「ん…っん……ゃ………ッ」
暗い夜に静かな部屋で、淫らな水音と喘ぎだけが聞こえる。
「ひ…あぁっ……」
シャーレンは床に座り、ベッドに仰向けにしたフィルシスの足首をつかんだ。
そのまま持ち上げて、快感に震える内股を甘噛みした。
白い太ももに赤い跡がつく。
「ん…っ…やだ!」
ひととおり跡をつけると、性器の拘束具をはずし、すでにたち上がっている中心や溢れる蜜を舐めてやる。
睾丸を舌で転がすように舐めると、ベッドの上の体がびくんと跳ねる。
「やあ…ッ!やだ……はぁ…ッ」
性器をなぞるあたたかな感触に、飼い犬の体が仰け反った。
もうずっと長い時間、敏感な体の至る所を指や舌でまさぐられていた。
うなじを舌で撫でられ、ぷくりと尖った乳首を歯でそっと噛んで引っ張られ、脇腹や開かされた太股には、薄紅い吸い痕がついていた。
「欲しいくせに」
ベッドに上がって、つかんでいる足の膝を折り曲げて、ひくつく後孔に侵入する。
連日、男を咥え込んで、調教されたその後孔は、体の他の場所に与えられる刺激に反応して、物欲しそうにしていた。
先程すでに指で十分に慣らしたそこは、待ちかねていたように、指より太いものを締め付ける。
「…ッあ!……んァ………っ!」
自分を支えられなくなったフィルシスがベッドのシーツをつかんだ。
「そこじゃなくていつも私に腕をまわせと言ってるでしょう?」
ベッドのシーツをつかむ手を無理矢理引き剥がし、すぐに軽く肩から抱き上げて、シーツをつかめないようにして、後孔を突く。
宙を浮いた腕がつかむ場所を探して、飼い主の背中に回される。
一度その背に抱きつくと、二度と放したくないかのように。
「あぁ…ッ!ぃ…イ………ッ」
前立腺を執拗に貫かれる快感に耐えられず、もっと求めるように自分から腰を振る。
半開きの口から流れる涎が淫らに顎まで続く。投げ出された足が宙を蹴った。
自身の尖った乳首と性器を密着した熱い体にすりつける。
「…んぁ…あ…っ!」
「名前を呼びなさい」
耳を舐め、甘噛みしながらささやく。
「はあっ…シャー…レン…」
快感で何も考えられず、荒い息で、焦点を失った瞳で、従順に命令を聞く。
「…ゃ…んんぅ…!」
飼い主の名を呼ぶその口にシャーレンがしゃぶりついて舌を入れ、口の中を丁寧に舐める。
愛情と憎しみが錯綜する中フィルシスは、その背を強く抱いて射精した。


シャーレンは朝、目覚めると、隣でまだ寝ているフィルシスを軽くなでて起き上がった。
怒る様な拗ねるような素振りを見せていても、毎夜自分のすぐ横で眠る可愛い癖。
なでられて狼の耳がぴくつく仕草を見て、微笑する。
窓から射す、朝でもそんなに明るくならない暗黒の世界の光の中、一人で朝食をとっていると、呼び鈴が鳴った。
「よお、シャーレン」
漆黒の馬の幻獣と共に、暗黒騎士が立っていた。
「ラークか。どうしたんだ、こんな朝早くから」
ラークは珍しく真面目な表情で言った。
「話があるんだ」
ソファに座ると、ラークは切り出した。
「俺の部下の暗黒騎士何人かが、お前ら聖騎士に仲間を殺されたから許せないと、前々から言っていた」
「ああ、知ってる」
「部下達には、聖騎士を生かしたのは、シャーレン、お前がいくら密偵とはいえ下につかされて屈辱的だったから、
仕返しにしばらく奴隷にしていたぶりたいと言って聞かなかった、ということにしてるだろ?」
「その説明で納得されなかったのか」
「大半は納得した。だが、だったら俺達にも戦わせろっていうやつが、何人かいるんだ」
「……仕方ないな…じゃあ、今日だけ貸してやろう」
しばらく思案した後、シャーレンは微笑して答えた。
「本当にいいのか…?」
「ああ」
絶対断られると思っていたラークは、驚いた。
とらえどころのない笑顔だけで、理由はわからない。
「で、あいつは?」
「まだ寝てる」
「まだ寝てるのか、もう八時だぞ。聖騎士団ってけっこうゆるいんだな」
ラークが驚く。
「それは違う。聖騎士団長の唯一の欠点はたまに寝坊することだからな」
まあ昨夜は犯したから仕方ないけど、とこっそり思った。
「変なところでやっぱまだ子供なんだな」
シャーレンが部屋に戻ってきても、フィルシスはまだ寝ていた。
ラークはまだどこか幼さの残る寝顔を見て、少しだけ今日言うべきことをためらったが、名前を呼ぶ。
「おい、フィルシス」
それでも小さな寝息だけが返ってきた。
「呼んだだけじゃ起きない」
そう言われてラークは悪戯っぽい笑みを浮かべて、ベッドから少しはみ出ている
柔らかな白い尾を強くひっぱった。
「…!」
一瞬の痛みにフィルシスが目を覚ます。
「よう」
「…何だ」
いつの間にかへらっと立っているラークに、不機嫌そうに返事する。
「お前に話があるんだよ」


「…話って、何だ」
ラークは、着替え終えるのを待つために階下の居間に戻った。
寝室の扉が閉まるのを見ると、フィルシスはシャーレンに尋ねた。
無意識の内に黒衣にしがみついていた。
「さあ、何でしょうね」
不安そうに耳を伏せるフィルシスを優しく抱きしめた。腕の中でそっと頬を寄せてくる。
フィルシスが控えめに服を握ってくるのは、幼い時から抱っこをねだる時の癖だった。
ただ、先程のラークの話を事前にフィルシスに知られると、これからの面白みが半減する。
だから、シャーレンはわざと聞いてないフリをした。
聖騎士団の服に着替え終えると、フィルシスも階下に降りて来た。
「単刀直入に言うが…」
テーブルについたフィルシスに切り出す。
「俺の部下の暗黒騎士何人かが、お前ら聖騎士に仲間を殺されたから許せないと、前々から言っていた」
「…」
言葉が出てこない。
そういうことは予感していたが、実際に言われると辛かった。
「で、ついに昨日、敵討ちしたいと、お前と戦いたいと言ってきた。たとえ負けても」
「…そうだろうな」
苦々しくつぶやくように答えた。
「でもお前だって、俺達に部下とか色々殺されただろうし、おあいこだ。だから俺も説得したんだが、聞かなかった」
あとはフィルシスには知らせていないが、
暗黒騎士達を始めとする暗黒神官の部下達には表向き、
シャーレンが飽きたら暗黒神官を復活させるために、ちゃんと聖騎士を殺すと言っている。
それでほとんどの暗黒騎士達は納得したが、どうしても自分の手でもいたぶりたいという者もいるのだ。
「それで…私に戦えと?」
顔に出さないようにしたが、フィルシスは内心哀しんだ。
色々なことを割り切って、やっとこちらの生活にも慣れてきたのに、やはり自分はこちらでは相容れないのだ…。
自分の中の憎しみを隠していても、相手までが憎しみを隠すわけではなかった。
「そう、戦ってほしい」
「でもあいつらが束で掛かってきても、絶対お前が勝つだろうな。
だから何というか、あいつらも騎士の端くれ、一度剣で解からせれば多分二度はつっかかってこないはず。
殺さない程度に、相手してくれないか」
「…その騎士のはしくれの頭がお前みたいなやつじゃ、信用できない」
「それは悪かったよ」
思っていたよりも、いつも自分に気丈な言葉をかけてくるフィルシスに、ラークは面白そうに笑った。

出かける準備を終えて、三人は外にでた。
しかし一人だけ黒い馬にまたがろうとしたラークが気づく。
「そういや、お前はいつも白狼に乗ってたんだったな。普通の馬は持ってないのか?」
「ない」
「俺の黒蹄はがんばっても二人乗りだな…」
シャーレンが、自分よりかなり身長の低いフィルシスをちらりと見て、微笑んで言った。
「あなたには乗れませんね。私はあまり関係なさそうですし、二人で行ってください」
「…え…!」
戸惑うフィルシスの頭を少しなでると、シャーレンは屋敷の中に戻ってしまった。
本当は、自分のいない所でフィルシスが他の誰かと一緒にいるのは嫌だった。
だが同時に、自分が一緒にいないことに不安を覚えるフィルシスの姿を想像すると、とても楽しみだった。


二人乗りでラークに連れてこられたのは、シャーレンの屋敷からそう遠くない暗黒騎士団の宿舎内の訓練場だった。
「お前ら、コイツがお待ちかねの聖騎士だ」
彼らの中には実際に戦時にフィルシスと戦ったことのある者もいたが、
初めて聖騎士団長を見た者はその容姿の意外さに驚いた。
暗黒騎士達には全員、一応はフィルシスと暗黒神官の戦いのこと、その後の顛末は話されていた。
事実とは異なる形で。
聖騎士団長は手強くて、暗黒神官も四天王も全員敵わなかったことになっているし、
もちろんシャーレンが暗黒神官を見殺しにしたことも、イグデュールを黙らせたことも知られていない。
目撃者はシャーレンがいつの間にか始末していたのは、ラークはあえて聞かないことにした。
聖騎士を生かした理由は今のところ、シャーレンがいくら密偵とはいえ、下につかされて屈辱的だったから、
仕返しにしばらく奴隷にしていたぶりたいということになっている。
暗黒騎士達は、シャーレンの性格をよく知っているため納得した。
だからこそ、周りの野次馬の暗黒騎士達は、暗黒神官を倒した名高い聖騎士団長を興味津津で見ていた。
ましてや、こんなに華奢で品の良い容姿なのだ。
首輪をつけられて、一体どんな仕打ちを受けているのだろうと想像するだけで、
彼らの欲望は満たされていった。
「……」
フィルシスは伏し目がちに歩いた。
体を舐めるようなぎらついた視線が辛い。
その視線はほとんどの暗黒騎士から感じられた。
こんな首輪をつけられていては、自分は奴隷だと言っているようなものだ…。
はずしてほしいとどんなに頼んでも、はずしてもらえなかった。
暗黒騎士達は憎い聖騎士が奴隷のように扱われていると知れば、
殺意よりも卑下の悦びに心が移るだろうと言って。
そんな残酷な言葉を頭では理解できたが、シャーレンにそんなことを言われると悲しかった。
英雄の聖騎士だった自分…
囚われて無理矢理犯されて感じてしまった自分…
抱かせろと、時折嘲りの小声が聞こえた。
ラークはそんなフィルシスを哀れみと喜びが混ざる複雑な気持ちで見ていた。
確かに、フィルシスは仇敵。仲間の仇。
でも、フィルシス自身は…もし、別の出逢い方をしていれば…
ただ、誰かのため…自分の故郷のために、どこまで耐えられるか、興味本位で見ていただけだったのに。

訓練場の中央には三人の暗黒騎士が立って待っていた。
「私はヴァイン・ハイシェント。聖騎士の典範を持って礼節を守り貴殿が参られたことに感謝する。
貴殿をお呼びした理由は…」
ラークよりは低いが、三人の中では一番長身の男が最初に、丁寧な口上だが棒読みで挨拶した。
鍛えられたたくましい肉体に、短い茶色の髪で、狡猾そうな目をしていた。
ラークよりも、三人の中でも、最もがっしりした体つきで、短く硬い黒髪の男はレザックと名乗った。
他の二人ほどたくましくは見えない、標準的な騎士の体型で、金髪に茶色い瞳の男はクラインと名乗った。
フィルシスも名を名乗ると、開戦した。
聖剣は、仇討ちや道楽のためには使えない。
誰かを守るなど善の目的の時のみしか力を発揮しないので使わなかった。
しかしフィルシスは、聖騎士団の日課だった自主訓練をきちんと再開していたので、剣の腕は落ちていなかった。
クライン、レザック、ヴァインの順に戦ったが、すぐに三人の暗黒騎士を倒してしまった。
「やはり強いな。」
ラークが一人つぶやく。この三人も決して弱いわけではないからだ。
「よし、わかったか、お前ら。お前ら束になっても、こいつには勝てないだろ。これでもうこの件は、片をつけたことにしな」
ラークが三人の部下に言う。
「…わかりました」
三人が悔しそうに返事した。

ラークはあまり過ぎたことを気にしない性格だったが、特にヴァインはいくら騎士でも暗黒神の世界の者、
憎しみや執念はそんなにすぐに消えなかった。
しかもその憎しみは負けたことへの悔しさとも交じり合って倍増していた。
女みたいな顔のフィルシスに負けたことが悔しくてたまらなかった。
宿舎の暗い廊下で三人の暗黒騎士はこっそり話していた。
「ちくしょう…あの聖騎士…」
ヴァインが床を蹴りながら愚痴る。
「俺達じゃやっぱ無理だったんだよ、だってあの暗黒神官様を倒したんだ、団長だって負けたそうじゃないか」
クラインが弱気に返事する。
「あんなちっこいのに団長が負けるかよ、全部聖剣だよ、聖剣。道具のおかげ!
このまま引き下がるわけにはいかない!どんな手を使ってでも…!」
さっき聖剣抜きでも惨敗したのにも関わらず、支離滅裂なことを言うヴァインの怒りは消えない。
「でも、あいつは手を出そうにも団長がずっと見てるし…」
「放火ぐらいすれば、団長だって聖騎士どころじゃないだろう」
今度はむちゃくちゃなことを言い出す。
「本気か、そんなことしたら、団長に怒られるぞ…
それにあの魔術師様にも…わざわざ幻獣と合成させてまで仕返ししようとして…」
黙って聞いていたレザックが慌てて反対する。
シャーレンを怒らせるのが怖かった。
「いつか殺すなら、別に今殺したっていいだろ、あの人ももう十分いたぶってるさ」
「でもよ、俺達ボロ負けしたんだぜ、三人がかりでもあいつに勝てるのか?」
クラインがまた弱気に言う。
「それは、俺に考えがある。さあ、早速やるぜ」
ヴァインは戸惑う二人に有無を言わせず狡猾な笑みを浮かべると、足早にどこかへ向かった。


「団長、火事です!」
「…敵襲か?!」
「わかりません…!突然火の手が…!」
ラークは部下の案内する方へ走った.。
その場に一人、立っているのも気まずかったので、フィルシスもついて行こうとしたその時、
とても不快な匂いが背後から漂った。
「…っう!?」
はっと振り向くと、何かの植物を持ったヴァインと、その後ろにレザック、クラインの二人が立っている。
吐き気を催すような匂いは、その植物だった。
まだ空いた距離からでも、匂いに顔を歪めたフィルシスを見て、ヴァインはくっと笑った。
「やっぱり、この匂いが嫌なようだな?
これはシトロネル。鼻の効く魔獣を怯ませるために使うんだ」
「……!」
さらに近づかれて、思わずふらついたフィルシスの隙をついて、レザックとクラインが素早く抑え込む。
「やめ…ッ!」
嫌な匂いに、思うように力が入らない。
「く…!?」
ヴァインがシトロネルを眼前まで近づけると、フィルシスは気を失ってしまった。
「…さて、おとなしくなったな。借りを返させてもらうぞ」
三人は抵抗できないフィルシスを地下倉庫に運んで行った。


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