一体何時なのかわからないが、まだ真っ暗な夜にフィルシスは目が覚めた。
頭痛と尿意のせいで。
昨夜のことが思い出せない。
何で寝ているのか、ここがどこなのかすらわからなく、一瞬不安になったが、すぐ目の前に黒いローブが見えた。
「…」
目が覚めてくると、昨夜ラークに酒を飲まされたことは思い出した。
きっとそのせいだ。
よりはっきりと感じる尿意に、シャーレンを起こそうと思ったが、何をされるかと思うと恐ろしかった。
いつもすぐには放尿させてもらえない。
拘束具をつけられたまま、尿道を刺激されて散々泣かされたり、1日中我慢させられたこともあった。
それにしても…
いつもシャーレンの方が早く起きているから知らなかったが、
自分はいつも、こんなシャーレンのすぐ側で寝ているような寝相なんだろうか…。
急に恥ずかしくなって、寝返りをうって黒いローブに背を向けた。
だが、今ので起きたのか、元々起きていたのか、シャーレンがささやいた。
「目が覚めたんですか?」
「…」
寝たふりをしようと思ったけれど、不意に離れた体を抱き寄せられて、腹を押さえられた。
「や…」
思わず呻いてしまった。
「…トイレに行きたいんでしょう?」
耳元で、くすりと笑ってささやかれる。
無意識のうちに身を縮めていた。
「あなたは記憶にないでしょうが、酒を飲んだ後、いつもすぐにトイレに行ってたんですよ?」
共有する昔の思い出が辛かった。
変わってしまった今と比べると。
「何も覚えてないんですか?昨日の夜のこと」
「…覚えてない…」
酒を飲んだ後のことはいつも覚えていない。
だからあれほど飲まないようにしていたのに。
いつも仕方なく飲まされた後は、自分が何を言ったか知るのが怖かった。
「ふーん…」
意味深に返事されて、抱き寄せられたまま耳を優しくなでられた。
しばらくそのままで時間がすぎた。
ずっとこのままならいいのにと、望みをかけても無駄なことだった。
「今日はどうしてあげましょうか?」
耳元でささやかれる言っていることの恐ろしさとは全く逆に、その手はまだ優しく頭をなでている。
嫌々と、身をよじって残酷な優しさを拒絶した。
「そんなに我慢するのが好きなら、もう二度と出させてあげる必要はないですね」
氷のような言葉を聞くと、どうすることもできなかった。
「せっかくここに来たんだ、いいものを見せてあげましょう」
シャーレンがそう言って起き上がり、フィルシスの手をとった。
ベッドから降りて、扉を出る。
それはこの部屋にはないようだ。
深夜の静かな暗い廊下を、優しく手をひかれて進む。
そのいいものが自分が見ていいものだと思うはずがない。
そうぼんやりと考えていた矢先、シャーレンが話し始めた。
「この宿舎には聖騎士を拷問する部屋があるんですよ」
シャーレンがそう言ってやると、つないでいた聖騎士の手が一瞬震えた。
「…」
「まだこちらにいた頃、私も実践したことがあるのです」
「…」
その言葉に、フィルシスはもう一度びくりと身を震わせた。
ゆっくりと間を置いて話すのが、自分にきちんと意味を理解させるようで恐ろしい。
「面白かったですよ?屈強な聖騎士がただの血まみれの肉塊に変わっていく様は」
楽しそうにきれいに微笑むシャーレンに、何も答えられなかった。答えられるわけがなかった。

最も地下の廊下の一番奥にその部屋はあった。
鉄の扉の部屋には鍵がかかっていていて、フィルシスは少し期待したが、暗黒の魔術師にはそんなものはあっても同じことだった。
すぐに魔法で開錠して、立ち尽くしたところを無理矢理部屋に入れられた。
背後で金属の嫌な音をたてて、扉が閉まるのがわかる。
暗い部屋の壁の燭台に、シャーレンが魔法で蝋燭に火を灯した。
不気味に照らし出されたその部屋を見てフィルシスは戦慄した。
天井から鎖がいくつも釣り下がる部屋の中、不気味な器具が、部屋にひしめいている。
「これは三角木馬ですよ」
その木馬の背の山の部分は鋭く鋭利に磨かれていて、黒ずんだ血がしみていた。
「あれが鉄の処女」
おぞましい鉄の容器は、内側についている突き出したいくつもの針全体に乾いた血がこびりついていた。
「恐いですか?」
フィルシスが気味の悪さに立ち尽くしていると、シャーレンにそっと抱かれてささやかれた。
怖いのに決まっているのに、何でそんなに楽しそうにするんだと、何とも言えない哀しみと感傷がこみ上げてきた。
何も答えられないでいると、シャーレンが嗜虐の笑みを見せた。
「ふ、ではおしっこさせて欲しいのだったら、服を脱ぎなさい」
シャーレンがフィルシスの腹を強く抑えてそう言うと、フィルシスは苦しそうに呻いて、恐る恐る服を脱ぎ始めた。
「……」
フィルシスが震えているのは寒さのせいだけじゃないだろう。
残酷なことをしているとわかっているけれど、怯える姿が可愛らしい。
晒された白い体の肩を抱いて、大きな台の前まで連れて行った。
「これが何だかわかりますか?」
「……」
フィルシスはとても口を開く気にはなれず、無言で首を振った。
目の前の、大人一人を横たえることができるぐらいの広さの台の両端には、手足を固定するためのものと思われるベルトと、
もう一つ、取っ手がついていたが、それは何なのかわからなかった。
「じゃあ教えてあげましょうね」
「嫌…!」
しまったと思った時には遅かった。
シャーレンに素早く抱えられて、暴れたが台のうえに押さえ付けられ、両手両足を上下に開く形でベルトで固定された。
「嫌だ…!お願い、やめて…」
消え入るような声で呻くと、優しく頭をなでられた。
なでたままシャーレンが楽しそうに説明し始める。
ゆらぐ蝋燭の火が、その端整な顔に浮かぶ残酷な微笑みを照らし出した。
「拷問には二種類あるのですよ。死んだ方が楽な程苦しいものと、死んだ方が楽な程気持ちいいものがね。
これはレイクという名の器具です。この取っ手をまわすと、このベルトのついた両端が広がっていくのです。
そうしていくとどうなるかわかりますか?」
片手を取っ手にかけたままでこっちを見て微笑みながら、
彫刻のようにきれいな顔で丁寧に淡々と紡がれる説明が恐ろしかった。
どうなるかわかったけれど、声がうまく出なかった。
「無理矢理体が引き伸ばされて、関節が次々と脱臼し最後には体中の筋が切れていくのです。
大の大人でも泣き叫ぶ程の痛みです」
そう言って、シャーレンが取っ手を少し動かすと聖騎士は声にならない悲鳴をあげた。
「やめ…!」
シャーレンが、痛くならない程度に取っ手を軽くまわしたり戻して、
体を強制的に動くようにすると、フィルシスは腹が刺激され苦しそうな顔をした。
「あぁ…!嫌だぁ…!」
深紅の瞳に溜まり始めた涙を拭おうと手を近付けると、狼の耳がびくりとした。
怯えた子犬のような表情でこちらを見上げるのが可愛らしい。
「少し待っていなさいね」
シャーレンは今度は壁ぎわの棚に向かうと、また不気味な器具を持って来た。
洋梨のような金属製の器具…
黒いベルトと何かの器具が付いていて、底がまるで男性器のような形になっている漏斗…
中身が見えないように着色されたガラスでできた瓶…
シャーレンは不安そうにこちらを見る顔の、狼の耳を優しくなでて説明した。
「これは苦悩の梨。肛門に挿入して、中で開いていくのです。最後まで開くと、内部の肉をずたずたに引き裂いてしまいます」
その金属製の器具に油をたっぷりつけて、怯えて身を引こうとするフィルシスの尻に当てた。
妖しく微笑みかけて、そのまま後孔の奥へと器具を差し込んでいく。
「少ししか開かなければ大丈夫ですよ」
それどころか、本来拷問として苦痛を与えるための道具なのに、この体なら快感を感じるだろう。
「やぁっ…!あ…ッ!」
肛門の中を押し広げてくる金属の感触が感じられる。
快楽を与えるためではなく、苦痛を与えるために作られたそれの形状は張り型とは少し違う。
押し広げられるばかりで、後孔を締めることができない。
快感の弱点を微妙にはずしていて、苦痛と、そして快感に届きそうで届かないもどかしい疼きを与えた。
「あ…ぁ……はぁ……ッ」
フィルシスは、はっきりとした快感を求めようとして、揺れそうになる腰を必死に抑えた。
体を押さえることは出来ても、荒くなった呼吸や、上気した頬を抑えることはできなかった。
端整な顔に苦悶の表情を浮かべて、甘い喘ぎを漏らし始める。
「そんなに怖がっているのに、ここはちゃんと感じるんですね」
白い肌の表面をなであげる。小刻みに震えた。
己の淫らさを認識させるのが一番の拷問。
「…はぁ…ッ!ゃ………」
恐怖ではないものに潤みだした瞳を見て、シャーレンはくすりと笑った。
器具は挿入したまま、今度は不気味な漏斗を手に取った。
「口を開けなさい」
そう言っても開けるわけがないのはわかっている。
「やだ…もう…」
「じゃあここで止めますか?あなたはこのままで、私一人で帰ってほしいんですね」
「違う…」
嫌々と首をふって、弱々しくすすり泣くフィルシスが可愛くて頭をなでた。
「や…!」
シャーレンは、仕方なく開いたフィルシスの口に、
漏斗の男根のような先端を喉の奥深くまで咥えさせ、付属の器具で鼻を押さえた。
ずれないように、ベルトを顎につけて固定する。
「んぅ…!」
盆になっている漏斗の上部に、瓶の中の液体を注ぎこむ。
それでも口も鼻も押さえられた状態では、次々と流れてくる液体は飲み込むしかない。
流し込まれる液体に、聖騎士は再びひどく怯えた顔をした。
「これはただの水ですよ」
それは嘘だった。
今にわかる、媚薬と利尿剤だ。
そして、なだめるようにそう言っても次に続く言葉は残酷な言葉。
「でも水だって飲まされすぎれば苦しくなるでしょうけどね」
ただでさえ尿意を催しているのに、そんな薬を飲まされて苦しみを助長する。
それでも、口を満たすその形状が、いつも舐めさせられているものを思い出させて、
フィルシスの体の奥の、浅ましく暗い刻み込まれた欲望を煽った。
尻と股間が再び疼く。
「んぅ…」
シャーレンが漏斗をはずしてやると、涎が糸を引いて、男性器のような先端が多量の唾液にぬらついていた。
「こんなに舐めて、本物が欲しいのですか?」
くすりと笑って、白い耳をなでた。
「違…ッ…あ…っ…ふ……ッ」
薬が効き始めたのか、悲鳴に近かった声に喘ぎが混じった。
ぷくりと色づき始めた胸の先端を軽く弾いてやると、台の上の体が仰け反った。
「あう…ッ!」
「淫乱な子だ。もっと他の器具も試させてあげましょう」
妖艶な笑みを浮かべながらシャーレンは、フィルシスの頭をなでた。
拷問器具の扱いは慣れていた。
昔、暗黒神官への反逆者や、捕らえられた聖騎士達への拷問で、よく使ったから。
「んぅ…やだ…」
シャーレンは、触れるだけで喘ぎを洩らす体の、両手足のベルトをはずして抱きかかえた。
抱き上げて今度は禍々しい椅子にフィルシスを座らせた。
黒い革のベルトが幾つもついた冷たい金属の椅子…。
薬のせいで力が入らないのか、嫌だと呻くだけで、抵抗はせずにされるがままになっている。
「く…ぅ…っ!や……」
少し身じろぎしても無理矢理座らせて、腕は背もたれの後ろに回させて、そのままベルトで固定した。
足は大きく開かせ、肘掛の部分にかけ、同じように縛る。胸や腰も固定した。
「この椅子はガロット。このねじを回していくと、ベルトがどんどん締まっていき、壮絶な痛みをもたらすのですよ。
その恐怖に耐えられず発狂した反逆者も、痛みに耐え忍んだ聖騎士も、
最後にはベルトが肉に食い込み、鍛えられた筋肉をも裂いていきました」
首にはめられたベルトが喉を締め付けていく証に、くぐもった叫びを発しながら。
そんな光景を思い出しながら、青ざめるフィルシスに説明した。
「あ……ッ!」
ねじが回されると、黒いベルトが白く美しい肌を締め付けた。
苦しさに歪ませた美しい顔と、白い肌を要所要所隠す黒いベルトの異質さが、官能をひきだした。
芸術的なオブジェのように。
「く…んぅ……!いや…はずして……っ!」
フィルシスは恐怖で身をよじったが、がっちりとベルトに拘束され、身動きできなかった。
しかし、痛みは感じない所でとめられた。
乳首の先端に、硬いベルトがすれて、微量な快感を呼び起こす。
僅かでも、薬のせいで、徐々に強くなっていく。
「んあぁ…く…ッふ……んう…っ!」
白い尾がびくりと動いた。
呼吸が荒い。
「ふ…痛いはずのものが、気持ちいいのですか?」
体の奥深くに溜まった熱には、少しだけの快感がもどかしくて、
胸の突起をベルトに擦り付けるように拘束された体が動く。
薬のせいで、足や腕を硬く縛るベルトの痛みにさえ、
せきとめられたままの尿意にさえ、快感となって反応しそうになる。
「や……っ…あ…ん…ッ!」
堅い椅子の底に、先程肛門に埋め込まれたままのものが当たって止まり、自分の体重がかかって沈んでいく。
深い青の目に見られていることも忘れてフィルシスは、
椅子に後孔の器具をすりつけて、少しでも多くの快感を貪ろうとしていた。
「あぁ…や……ッ」
それでもかちりと体を固定するベルトのせいで、わずかしか動かせない。
もどかしさに呻く端整なその顔が、口からあふれ顎を伝う透明な唾液が、
蝋燭の不規則な灯りに照らされると、ひどく淫らだった。
禍々しい室内に似合わない、淫靡な喘ぎが響く。
「ひぁ…!」
だが、勃起し始めると、未だ排泄を許されていない尿が刺激されて痛みをもたらした。
快感と痛みに、開かされて丸見えの内股が震える。
その白い肌をシャーレンが指でなぞってやると、嫌々と首を振った。
「やだ…もう…やめて……」
銀の髪が乱れた。
蝋燭の光に反射して、不規則に照らされるのが美しい。
「あ…あぁ…っ!嫌…お願い…もうやだ…」
苦しみに泣きながらそう頼んでも、腰と胸は淫らに動いている。
薬のせいで敏感になった股間が、苦しそうにびくびくと脈打っている。
「嫌ならどうしてここはこんなにひくついているのですか?」
震える性器の先端になであげるように触れられ、出せずにいる尿と精液が、激痛をもたらした。
反射的にそらせた体が、固定するベルトに阻まれて、締め付けられた。
「んぁっ…!やめ…ああぁッ!!」
聖騎士は刺すような苦しみと貫くような快楽に責め立てられて泣き叫んだ。
かつてここに存在していた同胞のように。
それでも薬のせいで、痛みさえ狂うような快感になる。
「可愛いね。飲みなさい。そうしたら出させてあげるから」
開かせた白い足を踏むのも構わずシャーレンが椅子の上に乗り、
だらしなく垂れる涎に濡れたあごをつかんで少し上を向かせた。
嗜虐心をそそる美しい顔を、痛みと快感に潤んだ深紅の瞳をじっと眺めた。
すがるように哀しみと悦びに潤んだその目がこちらを見た。
その目の前に、シャーレンが下着から自身を差し出すと、
貫く痛みと強烈な快楽に翻弄されたフィルシスは、ためらわずにそれを口に含んだ。
「んぅ…ッ!」
頭を押さえて白い耳をなでながら、
痛みに呻く飼い犬が出したがっている排泄物を、自分が先にその口に流し込む。
「んく…!…ふ……っ…」
目を閉じて受け入れた。抗えない屈辱を。
最初は苦くて飲めなかったのに、毎日飲まされて慣らされた。
その哀しみに再び涙が頬を伝う。
「楽にしてあげましょうね」
狼の耳をひとなでして、先程の空になった瓶を持って椅子の背にまわった。
囲うように後ろから手を伸ばして性器の先端を瓶の口に入れる。
触れただけで、びくんと震えた。
拘束を緩め、いつものように、幼児にするように性器を軽く握って放尿させた。
「あぁ…っ!ふ…ゃ………」
喘ぎのような声が洩れる。
勃起したものを無理に下に向けられて、その状態で放尿させられて、痛いはずなのに、
ずっとせき止められていたものの解放は、本来得ることの無い快感を感じ始めていた。
最初から最後まで、冷たい青の瞳が離れない。
長い間どぼどぼと音を立てて、瓶に溜まっていく。
どうしようもない羞恥と、狂いそうな快楽に身を反らせた。
「気持ちいいんですか?ただの放尿なのに?」
「違…っ!や…」
出し終わった後にぶるっと震えるところまでも全て見られる。
そしてまた、射精の欲望は残ったままなのに拘束される。
「う…!」
尿意が去ると、まだ体に残る薬の作用で、今度は乳首の疼きと強烈な後孔の熱が浮かんできた。
縛られた腕と足は痺れていて、その痛みの感覚さえも快感を呼び起こす。
もっと多くの快楽と痛みを求めて体が無意識のうちに身をよじっていた。
シャーレンはその様子を、フィルシスが動くままにまかせてしばらく眺めていた。
「あぁん…!やぁ…ん……ッ」
すすり泣いて股間のものをそそり立たせて不自由な体をくねらせる。
疼きと焦らしのもどかしさに苦しそうに頭を振った。
「イきたいですか?」
涎や涙、そしてどろどろとした蜜を流し、身悶えする飼い犬の耳元でささやく。
「…ッ!」
もう声を出す力がなく、何も考えられずにひたすら首を縦に振った。
それを見るとシャーレンは、壁の方を見た。
様々な種類の鞭やナイフ、鉄製の針がかけられている。
シャーレンは黒革の一本鞭を手に取って構えた。
震え始めたフィルシスに笑顔を向ける。
「嫌……ぃ……や……ッ!!」
必死に拒絶するフィルシスの股間に鞭を当てる。
「も……やめ…て……おねが…ぃ…!」
恐怖でフィルシスは涙を流し始めたが、シャーレンは鞭を握る手に力を入れた。
「この間はあんなに喜んでいたじゃないですか」
「…ァく…ッ!あ……!」
細い鞭の先で、睾丸を軽く叩くと、フィルシスは悲鳴とも喘ぎともつかぬ声を上げた。
そのまま大きく開いた太股を打つと、びしりと鋭い音がして、白い肌に薄紅の跡がつく。
「ひ…ィ……っ!ン…あぁ……ッ!!」
フィルシスの目から涙があふれたが、同時に股間からも先走りが漏れだす。
「ほら、やっぱりイイんだ」
「……ぁ…ン…ッ……!ァ…ひ…ッ」
鞭が、睾丸と内股を何度も往復する間、フィルシスは身を震わせて喘いだ。
痛みのはずが、その鞭の衝撃の余韻が、痺れる快感に変わっていく。
「は…ッは…っァ……!」
開きっぱなしの口から洩れる甘い声。
鞭打たれる度にびくん、びくんと、フィルシスの股間が震える。
先走りがとめどなくあふれ、ぐちゃぐちゃに中心部を濡らしていた。
「あなたはきっと、苦しい拷問も快楽の拷問も、どちらも悦んで受けるのでしょうね」
叩かれて赤くなった睾丸の皺を鞭の先でなぞりながら、シャーレンは満足げに微笑んだ。
そのまま鞭で、根元から順に、鈴口までしごいていく。
「あぅ…!はぁッ…ああーっ……!!」
フィルシスは獣のような声をあげて達した。

後始末をして、口をゆすがせて、ぐったりしてされるがままの体の、椅子の拘束をはずす。
服を着せて、立ち上がらせるとふらついたフィルシスを抱きとめて、その背に手を回してしばらく腕の中に抱いた。
「う…」
もうあきらめて、プライドや昔の思い出や期待を全て捨てられたら楽になれるのに。
なのに毎日ずっと、必ず昔と同じように優しくされる。
あの日真実を告げられてあんなにひどく犯された時のことや、昨日優しく励まされた時のことを思い出した。
こんなに何度も激しい屈辱を味あわされて、それでもこんなに何度も昔のように優しく気遣われて、
自分はシャーレンを憎んでいるのか、まだ好きでいるのかわからなくなる。
そのシャーレンにいつも好きだと言われていても、それが本当なのかどうかわからなくなる。
自分なら好きな人にこんなに残酷なことはできないから…。
もしもただ、気まぐれに遊ばれているだけだとしたらどうなるのだろう?
いつか飽きられたらどうなるのだろう?
それは、もうこんな屈辱を受けることはなくなって、嬉しいはずのことなのに、何故か一瞬恐ろしいと感じた。
こんな世界で同じ思い出を持つのはシャーレンだけなのに。
「……っ」
気がついたらすすり泣いていた。
そうするともっと強く、だが優しく抱きしめられて、柔らかく耳をなでられた。
気持ちよくなって、黒いローブにもたれかかったまま眠りそうになった。


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