その夜フィルシスは、あのハウゼンの不気味な姿を見て、もう随分見ていなかった夢を見た。
崩れていく故郷が、血に染まっていく街の人達や家族の姿が、悲しくて、恐ろしい夢…。
「大丈夫ですか?」
余程うなされていたらしく、シャーレンも起きていた。
「シャーレン…」
そっと名前を呟いて、しがみついた。抱き寄せられて、頭をなでられる。
ずっと昔、まだ幼い頃に同じ悪夢を見た時も、そうしてくれた。
ハウゼンの暗い瞳が恐ろしかった。
あの人が自分を殺しに来る…
「そんなに恐い夢ですか?」
「……」
きゅっとしがみついて頷いた。
「夢を見ないぐらい、ぐっすり眠れば大丈夫ですよね?」
強く抱き返されて、耳をなでられる。
「…そうだけど」
どうすればそうなるのか、一瞬嫌な予感がした。
「や…っ!何を…」
そう考えている間に、寝着に手をかけられた。
「気分転換しましょうね」
「…何をするの…」
「気持ちいいことに決まってるでしょう」
声だけはとても優しい。
「…やだ」
手を振り払って布団の奥にもぐりこむ。
「そう言えば、賭けにも負けましたしね」
「……」
その言葉に、びくっとした。
「それに、私を疑いましたしね?」
「……そんなつもりじゃ…」
哀しくなって、声が弱々しくなった。
「でも、もう二度とそんなこと思わないぐらい、可愛がってあげましょうね」
逃げられないように、抱きしめられる。
「嫌だ、朝にした、昨日もした…!」
「もう空だとでも言うんですか?」
服の上から睾丸に手を当てられて揉まれる。
「ぁ…う…!」
「出すものの心配なんて無用ですよ」
「やだ…」
しかし、あんまり抵抗していると、主人に逆らおうとする幻獣の動きを止める呪文を唱えられる。
結局、おとなしく服を脱がせられて、抱き上げられた。
また地下室に連れて行かれた。
いつものように、台の上に仰向けに寝かせられる。
「…ベッドでしたい…」
「大丈夫ですよ、それもちゃんと、明日してあげます」
「んや…」
耳をなでられて、軽く額に口付けられる。
腕を頭上で固定され、足も大きく開かされて拘束された。首輪にも鎖を繋がれる。
「やだ、はずして…」
「縛っておかないと、逃げるでしょう」
そう言って、壁際の棚に置いてある瓶の中から、小瓶を一つ取った。
「やだ…」
性器の拘束をはずされる。シャーレンが小瓶に入っている香油を、手の平に垂らした。
それで、何をされるか想像がついた。以前も何度か、四肢を束縛されたまま、亀頭だけをずっと弄ばれた。
いつも、あまりの快感に息が詰まり、小便を漏らしてしまう。
「や…っ」
あの時の快感と苦痛を思い出して、腰がひくんと一跳ねした。
「楽しみですか?」
それを見られてシャーレンが優しく微笑む。こんな状況でないなら、誰が見ても惚れ惚れしそうなきれいな笑顔で。
「いや…っ」
思わず腰を退こうとした。それでも縛られているため、意味はなかった。
もう片手で、根元を固定するようにつかまれ、香油に濡れた方の手の平が、性器の最も先端の部分だけに当たる。
その状態のまま、手をそこだけに擦り付けて、ぐりぐりと回された。
「やだ…や…!ああぁ…ッ!」
腰がくねった。開かされた足の間で、白い尾がばたつく。
「気持ちいい?」
そのまま、敏感な性器の先端だけを、指でくにくにと摘まれる。
「ふ……っあ…ッ…あぁっ!」
再び手の平で、ぐりぐりとされると、息が詰まった。内股ががくがくと震えた。激しい刺激に閉じられない口から、涎がこぼれる。
しばらく亀頭だけを刺激され続けた後、全体をすりあげられた。
「ん…ああぁ…ッ!」
一際身を大きく震わせてシャーレンの手の中にとろりと放った。
「確かに、薄いですね」
「ぁ…う…」
不意に内股が震え、今度は黄色の液体がシャーレンの手の中に迸った。羞恥に涙があふれた。
「またお漏らししちゃったんですか?こんな年になって、本当に恥ずかしい体ですね」
「ん…ゃ…」
半開きの口から覗く舌を引き出して、白と黄色の液に汚れた手の平をすりつけた。
「んくぅ…」
舌でぴちゃぴちゃと音をたてて舐める。何度もその行為をさせられた体が勝手に動いた。
「今度から、おむつでも穿かせましょうか。きっと可愛いですよ…」
すっかり従順に舐めるようになったフィルシスの耳を撫でながら、そう言った。
「では、新しい中身、入れてあげましょうね」
そう言うとシャーレンは今度は、橙色の液体の入った瓶とカテーテルを、壁際の棚から取ってきた。
「入れる…?」
怯えてはっと顔をあげた。
「入れてからのお楽しみです」
瓶の中身は樹液だった。そして媚薬を調合する時の原料にもなる種類。
「やだ…や…ッ」
カテーテルを通そうとすると、フィルシスが拘束された体を必死によじった。
「これは逆流しないようになっていますから、漏れることはないですよ」
にこやかに微笑んで、震える太ももをそっとなでた。そのまま膀胱まで差し込んでいく。
「はあ…ぁ…っ!」
尿道に与えられる刺激に甘い声が洩れだした。
「入れますよ」
膀胱までカテーテルを通し終えると、その先に瓶をとりつけて、中に入った液体を送った。
「や…やだ…もう…ひあ…ッ!」
膀胱を液体が一杯に満たしていく。その痛みと快感に身悶える。
「ぁ…く…」
強い尿意に身悶えた。
「折角入れたんですから、漏らしてはいけませんよ?わかりますね?」
カテーテルを抜いた性器を指で弾くと、ひくりと震えた。
「は…ぁんッ」
「気持ち良さそうですね。では、こっちにもあげましょうね」
身をよじって抵抗する両足を押さえ込み、後孔に太いチューブを差し込んで、今度はそこに橙色の液体を注入した。
「あ…っ」
内部が満たされいく快感に、体が悦び、中心が震えた。
「や…ぁ…っもう…あ…んッ」
十分に後孔の中を満たし終えると、漏れないように栓を埋め込む。はずれないように、ベルトで拘束し、鍵をかけた。
「では、さっきの続きをしてあげましょうね」
再び先程のように、手の平で亀頭だけを刺激し始めた。
「ゃ…はあ…も…っ!おねが…やめ…ッ」
股間に刺激が伝わらないように、震える足は必死に静止させて、フィルシスは縛られた腕をよじらせてもがいた。
強すぎる快感に、今は限界まで満たされた膀胱で、また漏らしてしまいそうになる。漏らせば何をされるかわからない。
「そんなに触ってほしくないんですか?」
シャーレンが手を止めて尋ねる。
「ん…ッ」
息絶え絶えで頷いた。
「では、これで最後にしてあげましょう」
はずされていた拘束具をはめられる感触がした。
「ぁん…」
これで、漏らす心配はない。
その代わりに、我慢させられる苦痛と快感にひくっと喉を震わせた。
「これで本当に、触れるのは最後にしてあげますからね」
あやすような優しい微笑みで、棚から取ってきた小さな瓶を見せられる。
「待って…何…」
聞かれてもシャーレンは、ただ優しい微笑を浮かべたまま、無言で瓶の蓋を開けた。
性器の亀頭だけに、その瓶の中の薬を塗りつけた。以前、後孔に塗りこんで、一日中放って行った時と同じ媚薬だった。
「や…!やだ…あぁッ!」
薬を塗られてすぐに、性器の頭に熱が溜まり出した。苦痛とも言える快感に涙が出た。
「あ……ん…っ!あぁ…ッ!」
燃えるような疼きが襲う。後孔よりも敏感な、性器の先端に。空気に触れるだけで、強すぎる刺激となった。
薬の刺激にぴくぴくと震える。
「は……ぁッ…んあぁッ!」
首輪に繋がれた鎖をかちゃかちゃと鳴らし、熱い吐息を漏らしながら、腰が揺れた。
「でももう、触らないって、約束ですからね」
シャーレンが今度は意地悪く笑った。
絶え間なく喘ぎを洩らす浅ましい体をじっと眺めて、触れずに焦らす。
「ぁ…ん…!や…っちが…」
しかし、言い切る前に口に、数ヶ所に小さな穴の開いた、白い球体の猿轡をかちりと噛まされる。
「んぐ…!」
はずれないように、付属のベルトで顎に固定され、鍵をかけられた。
「んぅ…んんーっ!」
どんなに触れて欲しくても、出させて欲しくても、言葉で訴えられない。快感が苦しくて、涙がにじんだ。
「…ぅん…っ…んんッ!」
敏感な部分を熱く灼くような疼きに、じっと眺めるだけのシャーレンに、泣きじゃくって身悶えた。
痒みに似た疼きを帯びる陰茎の先端を、刺激して欲しくて、身体が勝手に動いていた。
朦朧とした意識で、気づけば誘うように腰を動かしていた。
「何故腰なんか振ってるんですか?」
緩慢に腰を揺らすフィルシスの痴態を見据えて、意地悪く聞く。
「…ッ!ふ…っ」
敏感な部分に塗られた薬と、たっぷり入れられたままで出させてもらえない蜜のせいで、痺れるような快感が、辛い。
羞恥と興奮に、真紅の瞳から涙があふれた。
「こっちもひくつかせて」
白い肌の尻は、内部を満たされて、栓を咥え込んだまま震えていた。その栓を軽く揺する。
「んん…ッ」
びくりと跳ねた体が、後孔が咥え込む栓にすりつけるように、腰が動いた。
「あんなに嫌がっていたのに。聖騎士が、何度も嘘をついていいのですか?」
くすりと笑って、今はもう自分無しではいられなくなった体の、至る所を愛撫する。
物足りなさそうにしている後孔から指を離し、震えている先端には触れないように、睾丸にその指を当てた。
「ん…ん…ッ!」
聖騎士が、と誇張されると、悲しくなった。
それでも、股間に当てられて指の感触がたまらずに、再び腰をゆすって、その指にすり付けていた。
「気持ち良い所がたくさんあって、大変ですね」
揺れる腰と、ひくつく後孔と、びくんと跳ねる白い尾を、微笑んでじっくり眺めた。
自分の指で、愛しい人をこんなにも乱れさせることができる悦びに。
今度は空いていた手で、乳首を弾く。汗ばむ体がびくんと跳ねて、新しい涎が口の端からあふれ出した。
「んうぅー…ッ!ん…ッふ……!」
睾丸を強く揉まれたり、優しくなでられながら、乳首をこねられて、引っ張られる。
体中を走る快感に、足をばたつかせてもがいた。
何よりも、触れて欲しいのは、薬を塗られて、空気が触れるのさえ熱をもたらしていく、性器の先端だ。
なのに、別の場所ばかり触れられて、性感だけが増していく。もどかしい快感に涙が次々とこぼれる。
「んん…う…ッ」
それに尻の中の異物の感触と、液を入れられた膀胱に感じる尿意は、もうすでに限界だった。
出したくてたまらない苦痛も、快感と共に襲う。
「まだ全然疲れたように見えませんね。それどころか、こことここは元気のようですし」
そそり立ったままの性器と、ひくひくしている尻に触れる。
「自分で動いてみますか?」
腕の拘束をはずした。よがって、もがいたために、ベルトの赤い跡がついていた。
「んぅ…!」
拘束を外されると、フィルシスはたまらずに、疼く先端に手を伸ばした。
真っ先に、薬を塗りたくられ、ひくひくと剥き出した亀頭をいじくる。触れた瞬間、気持ちよすぎて腰が大きく跳ねた。
「んうッ!」
白い尾がくねった。頭が仰け反る。首輪に繋がれた鎖がしゃらしゃらと鳴る。
淫らに指を動かして、塞がれた口から、くぐもった喘ぎを漏らした。
「可愛いね、そんなに自分でするの、好きなんですか?」
じっと眺めているシャーレンに意地悪く言われても、手を止めることができなかった。
疼いて仕方なかった箇所に、やっと触れることのできた快感に、夢中になっていた。
「ん…ん…っ」
だらしなく涎を垂らし、前を弄くりながら、もう片方の手を背中に回し、後孔に差し込まれた栓を揺らした。
抜きたくて、中のものを出したくてたまらなかったが、拘束具には全て鍵がかかっていた。
それでも後孔にくる刺激に、閉じられない口から涎がごぼりと溢れる。
「一人でも、良さそうですね?」
今度は意地悪な声に、びくっと身を震わせた。
「冗談ですよ。隣の倉庫に、取りに行くものがあるだけです」
そう言ってシャーレンが部屋を出て行った。
何を取りに行くか不安だったが、止められない自分の手が与える快感に、やがてその不安はかき消された。
「んん…ッ!」
自分の痴態を思い浮かべると、恥ずかしくて仕方なかったが、やめられなかった。
先端に塗られた媚薬のせいで、一瞬でも手を止めると、すぐにあの熱い疼きが襲ってくる。
止められないままに、しばらく身悶えていると、意地悪に言われた。
「まだ一人で遊んでいるんですか?本当にどうしようもない淫乱ですね」
戻ってきたシャーレンがうっとりするように微笑んで、ようやく口に咥えさせられた拘束具をはずされた。
溜まりこんでいた涎が、あふれだす。
「たくさん垂らして、幼児みたいですよ」
「や…」
意地悪く、じっと眺める視線が恥ずかしくて、羞恥に瞳をきゅっと閉じた。
「ぁ…ッシャーレンの…いれて…っ」
流れ出す涎が止まった後、恥ずかしいことに、真っ先に出た言葉はそれだった。
栓は小さくて、満たされない、奥まで届かない。
「あ…も…欲し…っ」
両手を淫らに動かしたまま、ねだった。
「その前に、良いものがあるんですよ」
淫乱な姿を褒めるように、犬のような耳をなでた。
優しく微笑んで、フィルシスの、自らを慰める手を引き離し、もう一度頭上で縛る。
「ん…や…」
次は、物置から持ってきた瓶の中の、大人の中指と同じぐらいの大きさの、蛭のような生き物を見せた。
「や…やだ…っ何…」
息を詰まらせて、フィルシスが叫んだ。
くにくにとのたくるそれは、深い緑色で、まるで植物の茎のようにも見える。
「この生物は、さっきここに入れてあげた蜜が好物なのですよ」
それも、薬を調合する時の材料にもなる生物だった。
気温が低いと、仮死状態になるため保存ができ、常温で活動を始める。
「あぅ…っ」
膨らんだ性器の先端から、栓をされた後孔にかけて、指でつうっとなぞられて、びくんと身悶えるフィルシスに話を続けた。
「ここに入れた樹液は木の内部の低温の中では液体状ですが、常温中では少し固まります。木から流れ落ちないように。
体温でも固まるでしょう、だから一気には出ません。長くかかりますから、その分ずっと気持ち良いですよ」
縛られた身をよじって露骨に嫌がるフィルシスに、あやすように優しく微笑んだ。
「やッ…!」
「後ろから、試してみましょうね」
尻のすぐ側に、蛭のような、植物のようなその生物を置き、蜜の漏れ出す後孔から、栓をはずした。
「あう…っ!んぁあッ…」
すぐに、排便時と同じく、後孔を収縮させて、半ば固形と化した蜜を流し出していった。
「ふ…っあ…」
ぶりゅりと醜い音を漏らしながら、便のように、適度に後孔に快感を与えながら排出されていき、甘い喘ぎが漏れる。
シャーレンに、じっと眺められて、フィルシスは羞恥も感じたが、それよりもやっと排出される快感の方が勝っていた。
収縮する後孔から、蜜に混じって柔らかくなった便も、少し排出されていく。
外に出された、少し便の混じった蜜を舐め終えると、蛭のような生き物が今度は、後孔の中に残っているものを求めて、入り込んでいった。
「嫌…ッ!やだ…やめ…っ!ひあぁ…!」
飢えた生物が、舌を出して、内襞にこびりついたままの蜜を隅々まで舐めとっていく。
粘液と肉壁の擦れる水音が響く。
「はあ…ぁあ…ッ!」
舌が弱点を舐める度に、腰をくねらせて、尾や足をばたつかせて喘いだ。
そんなフィルシスの耳を優しくなでながら、シャーレンは注意した。
「あんまり動いてはいけませんよ、それは毒薬を調合する時の原料にもなる生物なんですからね。
万が一その生き物が驚いて、中で毒を出せば、何ヶ月も体中の痛みに苦しみながら、死ぬことになりますよ」
もちろん、その解毒剤の調合法も知っているけれど。
かたかたと震えて怯え、揺れそうになる腰を、必死に抑えている姿が可愛らしくてたまらず、そのことは黙っていた。
「ゃ…やだ…ッ!」
恐ろしい事を聞いて、フィルシスが泣きじゃくって、必死に体の動きを止めた。
後孔に直接、執拗に快感を与えられて、我慢するのはさぞ辛いだろうに。
「可愛い…」
固く尖った乳首を両方こねまわすと、フィルシスは絶叫して、仰け反りそうになる体を押さえた。
純粋なフィルシスを、他の誰も知らない、こんなにも淫らな姿にすることが出来る度に、幸せだった。
彼をよく知る向こうの世界の皆が、高潔だと信じて疑わないフィルシスを、自分だけがここまで汚せる。
「ああ…ッ!あぁん…ッ!やだ…!やめて…!」
これ以上、刺激を与えられると、体の動きが押さえられなくなる。
乳首を弄くる指と、後孔の内部をかき回していく生き物の刺激に、それに耐えて押さえようとする腰の動きに、辛くてひくひくと体を痙攣させた。
「気に入ったようですね」
しばらく乳首を弄った後、ぱたつきそうになるのを堪えて震えている尻尾をなでた。
「今度はこっちにもあげますからね」
蜜を舐めとり終えて、這い出てきた生き物を掴み、ぴくぴくしている睾丸に乗せる。
「ぁう…っ」
刺激を与えられ、敏感になっていた後孔は、空気にさえひくりと反応した。
「んあぁ…ッあ…!」
そそり立つ陰茎から、僅かに睾丸にまで流れ出していた蜜を伝って、蛭のような生き物が中心まで這い上がり始めた。
先端から少しずつあふれ出す汁を欲しがって、執拗に絡んでくる。
「はあ…ッはぁ…ぁん…」
性器を包み込み、適度に締め付ける生暖かい感触が、気持ち良くてたまらなかった。
思わず甘い声と涎を洩らす。腰を揺らしてしまい、はっと気づいてまた静止させて耐える。
「ぁ…ッ!や…だ…痛ぁい…!」
拘束具で塞がれた尿道から漏れだす液は、少量だった。
もっと多く絞りだそうと、貪欲な生き物が陰茎を強く吸う。
「そろそろはずしてあげましょうね」
「はぁ…っ!」
だが、性器の拘束をはずされても、粘り気のある蜜はどろりと漏れるだけで、放尿のように、勢いよくあふれ出ることはなかった。
後孔に入っていたのと同じように、内部で半液状になっているようだった。
膀胱は、尿意がある時と似たような感触なのに、中のものは少しずつしか出て行かない。
「やだ、やだ、もう…お願い…!」
股間に吸い付く生き物に与えられる快感が辛すぎて、泣きじゃくった。もう震える腰を抑えるなんてできない。
だが、悪意が全くないような、優しい微笑みで、ゆっくり耳をなでられるだけだった。
「ん…ッああ…っ!」
そのまま、くちゅりと吸い付かれて徐々に増す快感に、思わず喘いだ。
早く出したい。
なのに、中でどろどろと溜まっているのがわかる。
半固体と化した液が、吸い上げられるたび、膀胱と尿道の中でどろりと動く。
「ぁ…ん…くぅ…ッ!」
慣れるとそれが、段々と快感になり始めていた。
だらしなく涎を垂らしたまま、腰をがくがくと震わせる。
今まで様々な快感と苦痛を仕込まれた体だったが、また新しい快楽と苦しみを覚えさせられる。
ずっと味わってしまいたくなるようなこの快感が、恐ろしくて、涙が止まらなかった。
「あ…ッゃだ…!」
股間に貪りつく生き物が、新たな動きを見せて、ひくんと、少し身をよじらせた。
まだ蜜を求めて、細く変えた舌を、今度はくちゅくちゅと尿道に突っ込み始める。
「ふ…ッく…ぁん…っ!」
いきなりの激しい刺激に、堪え切れずに下肢がくねった。
尿道の中でくねる舌の快感が強すぎて、とてももう、腰を押さえることはできなかった。
「やあぁ…ッ!あっ…あ…っ…んぁッ!」
ちゅうちゅうと、性器の先端を吸われ、くちゅっと尿道の中の舌を出し入れされる。
縛られた身を拘束の許す限り仰け反らせ、口から甘い嬌声と涎が、絶え間なく漏れ出した。
激しい快感にフィルシスは気絶しても、たっぷりと入れられた蜜を全て吸い終わるまで、蛭のような生き物は離れなかった。
膀胱に何も感じなくなった気がした時には、びくびくと束縛された身を痙攣させて、気を失っていた。
「では、こっちにも入れてあげましょうか」
シャーレンは、満足そうに動きを止めた蛭のような生き物をフィルシスから離して、瓶に戻した。
その頃には、元の大きさの何倍にも膨らんでいた。たくさん蜜を吸った証だ。フィルシスの中に入っていた蜜を。
今度はフィルシスの四肢の拘束をはずし、下着を脱いだ。
震える尻の肉を左右に押し広げて、寂しそうな後孔に自身を入れた。
「ん…ぁ…っああぁ…ッ!」
新しく与えられた刺激に、すぐに目を覚ました。
先程、蜜を求める生き物よって解されたそこは、すぐに受け入れた。
「…シャーレン…っもっと…だきしめて…して…」
抱きついて、黒いローブにしがみついて、名前を呼んでねだった。ひっきりなしに甘い声を洩らし、涎の垂れる半開きの唇で。
「可愛いね…」
絶え間なく与えられる激しい快感に、朦朧としている真紅の瞳をじっと見る。
「他の人の所になんか行かないで、他の人の夢なんか見ないで、あなたは私のものなんですからね」
抱きしめて、耳元で囁いた。恍惚の表情を見せるフィルシスの、涎にまみれた口元を貪った。
「んうぅ…ッ」
入れられる舌に絡ませ返す。
「ぁ…ッふ……!あ…ぁん…ッ!」
シャーレンにしっかり抱きしめられて、貫かれて、熱い飛沫を中に出される快感が、何よりも気持ちよかった。
苦しすぎて、気持ちよすぎて、何も考えられない。しがみついたまま、腰を振って喘ぐ。
抱いてくれる腕の中で、もう一度、気を失った。
フィルシスが次に目が覚めた時は、寝間着を着せられていて、ベッドの中だった。
寝転んだまま窓の方を見ると、部屋の中はそこから射す弱い光で明るい。もう朝だった。
体がだるくて、まだ布団から起き上がる気にはなれなかった。
すぐ隣に、シャーレンが一緒だった。ごそごそと動いていたため、起きたと分かったらしく、頭をなでられる。
「怖い夢、見なかったでしょう?」
「……」
昨晩を思い出して、涙がにじんだ。恐い夢ではないけれど、恐い現実だ。
「もうやだ…っ…」
ぱっと寝返って、シャーレンに背を向けた。
恥ずかしくて、恐くて、苦しい。なのに、いつも気持ち良すぎて、何も考えられなくなる。
そんな淫らな自分を見るのが嫌だった。
「あなたもねだってきたのにね」
後ろから抱き寄せられて、耳元で囁かれる。
しばらくじっと、後ろから抱かれたままでいた。抱きしめられたまま、貫かれた昨夜を思い出した。
別に、シャーレンなら構わないかもしれないと、少し思ってしまう自分に、そんな風にされた自分の体に悲しくなった。
「……」
でも結局、恋しくなって、もぞもぞと寝返った。
「シャーレン…」
最初にいた位置のように、シャーレンの方を向いて、寄り添った。優しく耳をなでられる。
「やっぱりペットみたいに…思ってるんだ…」
「だってその通りでしょう?私が餌をあげないと死んでしまうんですからね」
うなじから首輪にかけて、なでられる。
「じゃあ、置いて行くのはだめじゃないか…」
胸にもたれて甘えた。
かわいいと呟いて、ぎゅっと抱き締められる。
シャーレンの服を握る手を放さないで、ずっと寄り添って甘えていると、いつまでも抱き締めたままなでてくれる。
「……」
なのに、どうしてこんなに哀しくなるんだろう…。
また、命をかけて戦わなければならないからだ。
今がいつか終わってしまうかもしれないから、みんなにもう二度と会えないように…。
こちらの世界に留まることになってから、事あるごとに浮かび上がってきた記憶、郷愁、思い出、幻覚…
過去にばかり囚われていたけれど、通り去った日々にばかり想いを馳せていたけれど、
自分にとって本当にあの刻だけが全てだったのかな?
すぐ隣の温もり…この先もずっと一緒にいたいんだと気づいた。
死を覚悟していた時に、生き延びた喜びを知ってしまったから、今は死が、別れが恐ろしい。
でも、きっと大丈夫…
あの時と同じように、シャーレンが一緒にいてくれるから…。
今度もきっと、大丈夫…
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