その夜遅く、シャーレンは、ベッドの中でぐっすり寝ているフィルシスの頭をそっとなでて、寝室を出た。
地下倉庫から、必要な材料を持ち出して、庭のテラスに出る。
外は美しい満月だ。
その銀色の光の下、材料の一つ、墓場の土を鍋に入れる。
黒百合とマンドラゴラは細かく刻んでから入れた。
そこに、昼間ブラッシングした時に抜けたものを、こっそり保管していたフィルシスの尻尾の毛も、一緒に鍋に入れる。
次は、静かな夜の空気の中で呪文を唱えた。
「さあ、おいで」
蝙蝠が暗闇から姿を現し、鴉が羽音もたてずに舞い降りて、黒い蛇がそっと地面を這って来る。
「いい子だ」
そう小さく呟いて、ただ死んだようにじっとしている蝙蝠と鴉と蛇の首を、鉈で切り落とした。
あふれ出すその鮮血で、先程の鍋を満たす。
そこに自分の血も少量混ぜる。
死骸を燃やしてできる炎で、その鍋をぐつぐつ煮た。
溶け出した中身を、しっかりとかき混ぜる。
色が紫に変わり始めたら、火を止めて、月光の中で冷ます。
完全に冷え切って取り出した粘土のようなそれをこねて、人間の形を作り始める。
本物に似ているほど、効力を発揮する。
五本の指の一つ一つから、陰茎や乳首などの性器の細かい部分まで、しっかり形作る。
夜明けが近づいてきた頃、ようやく完成した。
フィルシスが起きないように、魔法で材料や血の匂いを消してから、寝室に戻った。
窓の外は明るくなり始めていた。
シャーレンが布団をそっとめくると、フィルシスはまだ寝ていた。
胴に向かって丸まっている柔らかな尻尾をそっと引っ張ると、軽く揺れた。
「…ん……っ」
喉をくすぐると、小さく呻く。
白い耳がぴくりと動いた。
そっと掛け布団を剥ぎ取って、隅にたたんだ。
最後にフィルシスの頭を優しくなでると、シャーレンは下に降りた。
居間に行き、先程作った人形と水晶玉をテーブルの上に置く。
呪文を唱えると水晶玉に、ベッドの上で眠るフィルシスの姿が映った。
許可無く射精できないように、性器に拘束具を装着させているせいか、フィルシスが隠れて自慰をしている所は見たことがない。
だから、見てみたいと思っていた。
人形を動かす方が、直接本人を魔法で長時間操るより遥かに楽だ。
この人形を作ったのはそのためだ。
人形に印を刻むと、毛や爪等の体の一部を入れた生物を、人形の動作通りに動かすことができる。
印が消されている時は、その呪縛は消えるが、再び印を刻むと、効力が蘇る。
柔らかな人形の胴に、早速爪で印を刻んで、左腕をそっと股間にあてさせた。
そのまま人形の人差し指をゆっくり動かして、陰茎をなぞる。
水晶玉に映るフィルシスの腕も、同じように股間に触れた。
まずは、服の上から股間を揉ませる。
「ん……っ」
びくっと、フィルシスの体が軽く跳ねた。
「あ……?」
快感を感じ始めたのか、閉じていたフィルシスの瞳が、うっすらと開いた。
「ふ……ん…ッ」
そのまま、柔らかく睾丸を揉ませた。
布が張って、染みができ始めた事を確認すると、人形の両腕を動かして下履きを脱がせる動作をした。
「あ…ッ!や…っ」
下着を脱いで顕になった下肢、今度は陰茎を握らせる。
根元からすりあげさせ、くびれを摘ませる。
くちゅりと、鈴口の拘束具の隙間から透明な液の雫が漏れた。
「ぁん…あ…ッ」
水晶玉に映る、足を大きく開いて自分の股間を弄くっている姿は、とても気持ち良さそうだ。
ついでに右手で上着のボタンを外させ、はだけた胸から見える乳首をつまませると、口から涎が零れ出した。
「あ、ふ……ッシャーレン……っ」
自分の手が性器を弄っているのに、その触れ方が自分のものとは違う事を感じたのか、フィルシスは思わず名前を呼んだ。
「あ…ぁん…っはあぁッ!」
フィルシスの表情は今や完全に困惑から恍惚に変わっていた。
開いた股の間で尾をばたつかせながら、陰茎をすりあげ、乳首をぐりぐりとつまむ淫乱な姿が、水晶玉いっぱいに映し出される。
人形の尾は作っていないため、フィルシスの自由に動く。
次はうつ伏せでさせてみようか…
テーブルの上で仰向けになっているフィルシスの人形を、転がして俯けにする。
「ん……」
水晶玉の中のフィルシスも寝返りをうち、うつ伏せになった。
「……っやだ……」
足は膝立ちにさせて、尻を高く上げさせる。
「あ…っ」
さらに、陰茎を握らせていた左手を一旦、外させる。
拘束具の隙間から滲み出した、先走りでぬらついたその手を、尻に当てさせる。
そのまま人差し指を後孔に埋めさせる。
「んう……っ」
くちゅくちゅと自分の指を飲み込んでいく淫らな後孔。
「ふあぁ……ッ」
目を閉じて、乱れた呼吸で甘い吐息を吐きながら、快感を貪り始める。
「あ…っもっと奥……」
浅い部分に触れさせたままでいると、もどかしそうに、尾が揺れた。
一本だけ入れていた指を二本に増やし、内壁を抉らせる。
「ん、あ…っふぁ……ッ!」
だらんとしていた右手は股間に持っていかせた。
先程の刺激でぬらついているそれを、再び弄くらせる。
「ふ……っあぁ……」
途切れずに喘ぎをあげる口元から、新しい涎が流れ出して、シーツに染みを作っていく。
うつ伏せになっているため、尖って敏感になった乳首がシーツにすれる。
淫らに指を飲み込んでいる尻の上で、白い尾がゆらゆらと揺れていた。
「んあッ!」
どうやらドライでイったようだ。
そろそろいいか…
シャーレンは水晶玉の呪文を解くと、痴態を見せ付けているフィルシスの元に向かった。
寝室の扉の前につくと、中からかすかに喘ぎが漏れてくる。
「気持ち良いですか?」
扉を開けて、こちらに向かって尻を高く掲げているフィルシスに微笑みかけた。
「んあ…っシャーレン…っ」
涎で口もとをぐちゃぐちゃにしているフィルシスの上体の方に向かった。
ベッドに座って、フィルシスに、まるで人間をそのまま小さくしたかに思える程、精巧な人形を見せる。
「この人形を動かした通りに、あなたの体も動くんですよ、面白いでしょう?」
性感帯に触れている人形の手を離した。
「あ…っ」
脱がせずに残っていたフィルシスの上着を剥ぎ取り、完全に裸にする。
尻をあげてうつ伏せになっている姿勢から仰向けに変えた。
膝の上に頭を乗せて、耳をなでる。
「…面白くないよ」
勃起した股間をさらし、頬を上気させたフィルシスがぼそっと答える。
「気持ちよさそうにしていたくせに」
膝の上で拗ねているフィルシスの目の前で、人形の腕を動かした。
「ん…は…っ……ッ」
乳首を弄くらせると、甘い吐息が漏れる。
シャーレンはベッドの上のフィルシスを抱き上げると、壁際の大きな鏡の前に連れて行き、絨毯の上に下ろした。
「や…っ」
「こんなポーズにする事もできるのですよ」
座り込んでいるフィルシスの前にしゃがんで、床に人形を置く。
目の前で人形を動かしていった。
その魔力で、フィルシスの体も同じように勝手に動いていく。
「あ…!」
膝立ちにさせて、両腕は胸の前まで上げさせる。
人形を動かし終えるとシャーレンは立ち上がって、フィルシスの前から隣に避けた。
「やだ……」
鏡に映る自分の姿が、犬の芸のポーズだと気づいたフィルシスは、恥ずかしそうに頬を赤くした。
それに、勃起して先走りを垂らしたままの股間も、しっかりと鏡に映っている。
「お利口なワンちゃんですね」
“ちんちん”の芸をするフィルシスの頭を優しくなでた。
「今度はどうしようか」
もう一度抱き上げて、ベッドの上に仰向けに寝かせた。
「ぁう…」
左手を口元に持ってこさせ、親指をしゃぶらせる。
「んん…っ嫌……」
まるで乳幼児のようなポーズをさせられて、上からじっと眺められてフィルシスは羞恥に目を閉じた。
「少し待ってて下さいね」
そう言い残すとシャーレンは寝室を出て階下に向かった。
「はい」
寝室に戻ると、地下から持ってきた浣腸用の道具、そして、おむつと哺乳瓶をフィルシスに見せた。
「………」
浣腸に使う器具はもうすっかり見慣れてしまっていたが、幼児用ではないサイズの大きなおむつを見て、フィルシスは黙り込んだ。
「これでお漏らししても大丈夫ですね」
「嫌だ…」
目を涙で潤ませながら、フィルシスが呻いた。
しかしシャーレンは意地悪く微笑みかけると、人形のせいで抵抗できずにいるフィルシスの尻の下に広げたおむつを敷き、浣腸の用意を進めた。
「あ…!や……」
注射器で浣腸液を肛門に注入していく。
だが、今回は液を全て注ぎ終えても栓をはめなかった。
代わりに、広げていたおむつを組み立ててはかせていく。
「や…っやだ……!」
身をよじろうとしても、人形のせいで避ける事はできない。
まだ射精していない勃起した陰茎ごと包まれていく。
「んぅ…っう……」
「随分大きな赤ちゃん」
わざと羞恥を煽り立てる事を言いながら、優しく耳をなでる。
股を開いて、乳児のようにおむつを穿かされて、親指を口に咥えてしゃぶっているフィルシスを眺めた。
恥ずかしそうに顔を赤く染めて、目を伏せている。
「いや……っ」
羞恥に加え、フィルシスは腹がごろごろと疼き始めるのを感じた。
浣腸された後に栓をはめられる事で、排泄を制御される事に慣れてしまっている体が、漏らしてしまわないように必死に堪える。
「おや、我慢してるんですか?お漏らししても大丈夫ですよ、そのためのおむつですからね」
意地悪く微笑むと、フィルシスの目に涙が滲み始めた。
「んう……っ」
「どうして泣いてるのかな。お腹でもすいたの?」
わざとらしく子供に話しかけるような調子で言い、シャーレンは今度は哺乳瓶を取った。
フィルシスの唇に当てる。
「嫌だ……」
哺乳瓶の中には白い液体が入っていたが、そこからミルクの匂いはしない。
また怪しげな薬が入っているに違いない。
そう思っても、あの人形のせいで未だ恥ずかしいポーズのまま、体を動かせなかった。
口に突っ込まれる哺乳瓶から逃れる事はできない。
「ほら、早く飲みなさい」
奥に差し込まれると苦しくなって、フィルシスは仕方なく哺乳瓶の口を吸った。
「く…っふ……」
ちゅうちゅうと鳴る音が、恥ずかしくてたまらない。
「ん…っん……っ」
耳をなでられながら、哺乳瓶の柔らかい口にしばらく触れていると、羞恥の中にどこか甘い感触がするような気がしてしまう。
「可愛いね」
やがて、羞恥に眉をひそめていたフィルシスの表情が、恍惚としたものに変わり始めた。
フェラチオをさせている時のようだ。
哺乳瓶の中に入れたのは、あまり強力なものではないが媚薬と、利尿剤だ。
「ふぁ……ッ」
薬が効き始めるとフィルシスは、先程までは恥ずかしさのあまり、気に留められなかったが、勃起したままの性器の事を思い出した。
少しでも快感が欲しくて、ついに後孔に入れていた力が緩んでしまった。
「ん…はぁ……ッ!」
一瞬目を見開いたフィルシスの下肢から、ぶりぶりと汚い大きな音がする。
それを聞くと、シャーレンは空になった哺乳瓶をフィルシスの口から放した。
おむつの中に排泄し始めたフィルシスの様子を、微笑んでじっと眺めた。
「ん…っん…うぅ……!」
涎を垂らすフィルシスの唇から、恍惚の喘ぎが漏れる。
もう人形の呪縛を一旦解いても、フィルシスは気持ちの良さに、自分から指を咥えていた。
「ふっ、おむつに漏らして気持ち良いですか?本当に淫乱ですね」
シャーレンは穿かせたおむつを開いた。
茶色い便が染み込んでいる。
フィルシスの肛門からは丁度、最後の便が押し出されている所だった。
「やぁだ……」
おむつの中に排泄している瞬間を見られて、恥辱を思い出したフィルシスが呻く。
だが、今更止める事はできなかった。
ぶしゅりと汚い音をたてながら、肛門を収縮させて、まだ中につまっている便を吐き出す。
「はあ…はぁ……っ!」
排便を終えると、フィルシスは自由になった足を、ぐったりとベッドの上に降ろして喘いだ。

