ヒカルたん姫はじめ

(1)
 ボクの隣で、進藤が静かに寝息を立てている。
 元旦から今日まで、忙しいスケジュールから解放されてボクは久々に進藤とゆったりとした休みを過ごしている。
正月は本当は家族と過ごすものなんだろうけど、ボクの両親は韓国に行ってしまい、
進藤は自分の家族よりも、一人で正月を過ごすボクを選んでくれた。
ボクは正月から勝ち組の実感を得ている。
ボクって、ずば抜けた囲碁の才能に加えて、顔もいいし、素敵な恋人もいるし、全てを手に入れてしまっているから困る。
初詣なんかに行っても頼むことなんかないし、進藤を抱いているだけでいい、なんていったら罰当たりかな。まあ、初詣なんて負け犬たちの行くものさ。
 ボクは、そんな考えをめぐらせながら、進藤の柔らかい頬を撫でた。
 「う・・・ん、塔矢?」
 愛らしいボクの天使が、ゆっくりと目を開ける。
 「ごめん、起こしちゃった?」
 「・・・・・・ううん。」
 進藤は気だるそうに欠伸を一つして、起き上がるのは億劫とばかりに、ボクに甘えたように擦り寄ってくる。
  ああ、可愛い!!進藤!!カ・ワ・イ・イ!!キミはなんでそんなに可愛いんだ!!
  欲情したボクは、再び進藤を押し倒すと、プルプルして可愛い小さな唇を激しく貪った。
 「あっ!んんっ・・・!」
 まどろみのときを楽しんでいた進藤は、ボクの突然の行動に驚いたらしく、細い体で激しく抵抗する。
 ボクが一呼吸するために唇を離した瞬間、進藤はボクを思い切り突き飛ばした。
「バカっっ!!!」

(2)
布団から半裸で放り出されたボクに、進藤は一生懸命怒鳴りつける。
「お前、何回ヤれば気が済むんだよ!!!この変態ガッパ!!調子に乗るなよな!!」
進藤は、ほっぺを真っ赤にしてプンプン怒っている。怒る進藤も可愛いな・・・・・・。
「おい、聞いてんのかよ!!!」
進藤をうっとりと見つめるボクに、進藤は爆発寸前だ。
しまった!このまま「帰るっ!」と言われては大変だ。 
 「ごめんよ、進藤」
 ボクは素直に謝り、進藤を抱き寄せた。
「離せよぉ!」
そう言ってボクを振り払おうとする進藤に優しくキスをした。
「ごめんね?」
ボクは、わざとションボリした顔を作る。
「う・・・・・・」
優しい進藤は、いつもこの手で許してくれる。何度も同じ手に乗ってしまうちょっとおばかさんなキミは、ホントにラブリーだ。
 進藤は、ため息を一つついて、呟いた。
「お前、ホント精力絶倫だよなぁ。三日間ぶっ通しだぜ!こっちの身にもなってくれよ」

そう、リーグ戦やら年末のイベントの忙しさでなかなか進藤と時間を過ごすことができなかったボクたちは、
ここぞとばかり、食事をする間も惜しんで、昼夜構わず抱きあった。
おもちゃを試したり、(棋士にも関わらず)碁盤攻めをやってみたり、台所プレイをしてみたり、あらゆるセックスを楽しんだ。
最初は楽しんでいた進藤だが、一休みしたとはいえ、こうもぶっ通しではさすがにつらいだろう。

(3)
すまなそうにしているボクに、今度は、進藤が優しくキスを一つ落としてくれた。
 「突き飛ばしてゴメンな?痛かっただろ?」
 あああああ!!!!進藤、キミはマリア様か?
いや、正月にマリア様はないな。それに、マリア様は処女だし。
「大丈夫だよ。それに、ボクよりキミの身体が心配だ(キリッ」
「バカっ!お前ホントにバカだ!」
なぜだ?なぜ怒る?せっかく機嫌を直してくれたと思ったのに。
進藤は、オロオロするボクを見てクスっと笑った。
どうやら、本気で怒っているわけではないらしい。
「塔矢、オレ喉渇いた。なんか飲みたい!」
「そうだね、じゃあそろそろ起きて一緒に何か食べようか?」
ホッとしたボクは、笑顔で答える。
「オマエがなんか作って持ってきてよ」
「ちゃんと起きて食べようよ」
「ヤダ!寒いもん!それに、オマエのせいで腰痛いんだぜ!オレ、こっから動かないからな!」
進藤は、毛布に包まってまた寝転んでしまった。
「わかったよ」
進藤にはかなわない。ボクは服を整え、台所に向かった。

(4)
 「おー、美味そう!」
 進藤は、ボクが持ってきた食事を見て、ガバッと起き上がった。
 トーストとインスタントのコーンスープ、ソセージにサラダ、ホットミルクという、朝食みたいな組み合わせだが、洋風な食べ物が好きな進藤に合わせてみた。
 ボクは恋人の好みに合わせて料理も片手間でできるいい男なのだ。
「オマエ、なんでもできてすごいな!!」
「そんなことないよ。簡単なものだしね。冷めないうちにどうぞ」
「おう!いっただきます!」
美味しそうに食事をする進藤の傍で、ボクもクラッカーを口にする。
「オマエ、そんなんだけでいいの?」
「うん、それほどお腹はすいてないしね」
「へえ、少食のくせにどこからあんな元気が出てくるんだか」
進藤は、可愛い嫌味を言いつつ食事を始めた。
「うまい!」
ああ、幸せだ。ボクはキミがいればいつもお腹はいっぱいなんだよ。
進藤は美味しそうにソーセージを頬張っている。
ソーセージを焼いた油で、進藤の唇が艶かしく光る。
し、しまった!狙ったつもりはないんだが、ムラムラしてきた。

(5)
「美味いな!これ!」
進藤は純粋なキラキラとした目で、ボクの食事を褒める。
「そう、よ、よかったよ」
ダメだ!せめてヤるのは、食事を終えるまで待とう。
進藤は、ホットミルクを可愛い口でフウフウと冷ましている。
可愛い!!しかし、頼むから煽らないでくれ!!
進藤は、ミルクをコクッと飲むと、赤い舌で唇を舐めた。
もうだめだ!!
「進藤!!」
ボクは、進藤に抱きついた。
ミルクがこぼれ、進藤のTシャツを汚す。
「あっつ!」
し、しまった!火傷をさせたか?
「ごめん!」
「バカっ!なにすんだよ!」
「火傷しなかった?」
「大丈夫だけど、Tシャツ汚れちまったじゃねぇか!」
「ごめん、進藤!服脱いで!お風呂に行こう!」
「ヤダ!!あ、あのお風呂だろ?」
そういえば、あのままだったな・・・・・・。
通信販売で買ったローション風呂というものを昨日二人で楽しんで、確か翌日も楽しめるというから、流さずそのままにしておいたのだった。

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