リレー小説 狼の宴
(1)
クリスマス若手棋士によるパーティに呼ばれるヒカルたん。
のこのこやって来たはいいが、全員ヒカルたんを狙う狼だった。
そんなリレー小説とかやってみねえか?
今日から始めてクリスマスまでに完結させようぜ!
とりあえずオレからはじめても良いかな?
(2)
囲碁界のプロは、10代を筆頭に、60代、70代にまで年齢層が及ぶ。
クリスマスを目前に控えたある日、
ヒカルは同期で同年代の棋士、和谷に声を掛けられた。
「へ!?クリスマスパーティー?」
「そう、なんか越智のおじいさんの別荘で、若手棋士集めて
クリスマスパーティーするらしいんだよ。どう?行かね−?」
どうやら越智のおじいさんの別荘がクリスマスに丁度空くらしく、
囲碁好きな越智のおじいさんがこのパーティーを計画したらしい。
「駅から別荘まで送迎してくれるっつーし、何よりタダだぜ!」
「行く行く!おもしろそー!塔矢とか社とか、門脇さんとか、色んな人誘って、
早碁トーナメントとかやらねー?」
ヒカルは、同年代の連中と囲碁三昧でクリスマスを過ごせると、
この話を聞いてから異様にはしゃいでいる。
「あーv なんか今からわくわくするぜ!」
しかし、これは綿密に計画された罠だった。
ヒカルに邪な思いを抱く若い狼の群れの中に、ヒカルはたった一人で
放り込まれてしまうとも知らずに……。
そして、とうとう越智家所有の別荘でクリスマスパーティーがはじまった…!
(3)
表向きは若手プロ同士親交を深めるためのクリスマスパーティーだが、
自分以外の全員にだけ回されたメールのことをヒカルは知らない。
「うまく行ったな」
アキラは和谷にねぎらいの言葉をかけた。ヒカルが絡んでいるため口調も穏やかになる。
そんなアキラに和谷は「ああ」と頷いたが、それ以上会話が続かない気まずさからか手もちぶさたに暫く逡巡し思い出したように言った。
「ああっ!!俺用事あったんだっけ。じゃ、じゃあな塔矢!」
アキラといると重苦しいのは何故だろう…
どっと肩がこったが、まあいいだろう。クリスマスが待ちとおしい和谷だった。
(4)
和谷と別れ、道を挟んで向かい側にある小さな喫茶店にアキラは入った。
おもむろに携帯を取り出し、コールする。
数回のコールの後、相手が電話に出たのか、アキラは会話を始めた。
その相手とは、実は・・・!!
(5)
高永夏だった。
「例の韓国産の媚薬は?」
「ああ、もうそっちへ送ったが。」
「そうか。ありがとう。それじゃ…」
「ちょっと待て塔矢。その媚薬を誰に使うつもりだ?まさか進藤…」
用件だけを確認し、アキラはすぐに電話を切る。
その口元には妖しい笑みを浮かべていた。