淫靡礼賛
(26)
座間は淡く雄の匂いをまとわせた液体をペロリと舐めあげ、その指先を喘ぐ唇にこじ入れた。
もう二度目ともなるとヒカルは抵抗すらしなかった。
眉根を寄せて二本指が出し入れされるままに受け入れている。座間は目を細め、熱を帯びた舌が
太い指に絡みつく様子を眺めた。
「次はこっちだなァ。」
指を唇から引き抜くとヒカルをベッドの脇でひざ立ちにさせて、顔の前に強く勃起した赤黒い一物を
差し出した。はじめて見る大人の一物にヒカルは恐怖の色を浮かべたが、座間はかまわず頭の後
ろを抑えて言った。
「なに、さっきと同じ要領でいいんだよ――歯を立てないようにな。」
口調は穏やかではあったが、逆らえばどうなるかを含みに入れた低い声だった。ヒカルは意を決し
たようにそのグロテスクなものの先端を口にいれた。
「そのままゆっくり頭を動かして…そう…唇を少しすぼめて」
慣れないことゆえに動きの一つ一つがギクシャクしていて、座間はもどかしさを感じながらも細い髪
に手を入れて笑みを漏らした。
まっさらのこの小僧を一から仕込んで専用の性奴隷にするのも悪くない考えだ。しかし、なにぶん、
「初物」だ。大切に大切に仕込まなければ。
「おッ・・・おおッ…いいぞ…」
軽く喘いだところでいったん唇から引き抜いた。
「なかなかスジもいいねェ、キミは。」
(27)
屈辱的な行為からようやく解放されたヒカルは目のはじに涙を溜めていた。だが、それも今のうちだ
けだ。奉仕が次の身を裂くような快楽に繋がることを覚えれば、いちいち強要しなくても自ら喜んで
しゃぶりだすに違いない、と座間は胸算用を始めていた。
「こっちへ来なさい。ご褒美をあげよう。」
ベッドの上にうつ伏せに寝かせる。少年らしく小さな尻。「男」になりきれていないそれはプルンと柔
らかそうだ。
「きれいなお尻をしているなァ――さ、四つん這いになりなさい。」
「ふ…ぅん…」
ヒカルは恥じらうように鼻を鳴らしてモジモジ体を揺らせた。座間が尻を軽くパチンと叩いて促すと
身体がぴくりと震え、ヒカルはためらうようにゆっくりと膝を立てた。
座間はベッド脇の引き出しからローションのボトルを取り出し、ゆっくりと振った。だが、ローションを使
う前にまずはじっくり堪能しなければ――。
まずは尻のふくらみの頂点に沿って舌を這わせる。滑らかな肌触りといい、甘い匂いといい申し分ない。
(28)
塔矢のガキではこうはいかないかもしれない。あのガキは妙にませている。尻なんぞとっくに「男」の
ものになっているに違いない――女顔とのギャップも一興だし、細い腰も魅力的ではあるが。
座間は成熟しかけの身体が好みだ。初めてヒカルを紙面で見たときの喜びようといったらなかった。
少年期から青年期の狭間にいる者など棋界には山ほどいるが、大きな黒目がちの瞳やプクッとふくら
んだ唇、細い肩、座間は一瞬ですべてを見抜いた。まさに今の今まで求めていた天使そのものだった
のだ。一目惚れといってよかった。
惜しむらくは、棋譜を見る限り塔矢と同等の力はあるのにまだ自分とあいまみえることなく、予選でモタ
ついていることだった。座間はそれに地団駄を踏み、手合いでもないのに扇子の端を齧りに齧った。
だが、千載一遇のチャンスを見事手中におさめて、今は座間のなすがままになっている。ゆえにここは
手厚く手厚く陥落させなければならない。
間違っても無理やり後ろに押し込むような手荒な真似はすまい。
「う…うぅん…んんぅ…」
可愛らしい天使は身体をひくつかせながら息を殺していた。尻が唾液でしっとりと濡らされ、座間はあち
こちやさしく吸い上げたり甘噛みを繰り返した。
(29)
左右の尻の谷間、タマのすぐ脇を舌でちらちらと刺激すると、声を上げて上半身が崩れ落ちた。
いつの間にか谷間に誘い込むように脚が大きく開き、尻が高くツンと上を向いていた。
プクンと膨れた小さなタマを口に含んだ。
「ああああッ…!はぁん!ああん!」
「気持ちいいか…?」
「ん…はぁ…んん…」
「きちんと言わないとやめちまうぞ。」
「あ…やめないでェ…!…は…ん…いい…」
座間はニタリと笑って睾丸を舐め上げ、襞の蕾に続く細い溝に舌先を当てた。
「はああああんッ!そこダメぇ…!」
「頭が真っ白になりそうなぐらいイイだろう?塔矢だってここをいじればアンアン言ってケツ振るぞ。」
突如、密かな想い人の名前を出されたせいなのか、目も眩むような快楽でか、ヒカルは身体を前後
に揺すり上げて悶えた。
そろそろ仕上げだ。座間は舌先を尖らせて淡い色のすぼまりをつついた。
「あぁぁぁンッ!イイよぉ…先生もう許して…前もして…」
左右の尻を手で開いて、戸渡りから蕾を往復させると、天使は乱れに乱れた。
(30)
ローションの瓶を開け、たっぷりと手に取る。それを秘孔に塗りこみながら指を沈めると、そこは
案外すんなり座間の太い人差し指を吸い込んだ。
「ん…やぁ…はぁん…」
細い涙声に座間は荒く息があがるのを覚えた。ヒカルの体内は熱く潤んでいて、いささかきつい
秘孔も、これから自分の思いのままにやわらかくほぐれていくと思うとゾクリとした。
少しずつ襞を探っていくうちに、華奢な身体が甘く震えて女のような高い声が漏れた。
「や、ヤダ…なんかヘン…」
座間はすぐにでも熱くとろけるような中に押し入りたい衝動に駆られながらも、指にまとわりつく
襞の感覚を愉しんでいた。
押し入って己の情欲を満たすのはもっと先でいい。最初から手のうちを明かさず、狂おしい感覚
にじわりと慣れさせ、はては中毒にしてしまえばいいのだ。
襞が喘ぐようにヒクリヒクリと締まってきたところで、座間は攻めを中断して指を引き抜いた。
「はんッ…!」