淫靡礼賛
(56)
目を逸らし、口に手を当てたまま言う仕草が妙にかわいらしくて、アキラはその姿を眺めな
がら、蛍光灯の紐をひっぱって消した。
暗闇の中、手探りでヒカルの肩に触れる。
ようやく目が慣れてきたところで、わずかな光が大きな目に反射しているのが見えた。
口元に当てられた手に指を絡めて布団に押し付ける。アキラは暗闇の中で大胆になっていて、
覆いかぶさるようにしてぷくっとした唇にキスした。
「ん…んくっ…」
閉じた唇を割って舌を滑り込ませる。
驚くほど口の中が熱くて、濡れた舌に自分の舌が当たって、なんだかとてもいやらしい。
下半身がむず痒くなってくる。
唇を離すと、ヒカルもハァハァと細かく息を吐いていて、闇の中で輝く目が熱を帯びている。
ヒカルはアキラの肩を力の入らない手で押し返していた。
(57)
「進藤――だめ?」
パジャマのボタンを外して薄い胸の上を撫でる。小さな粒に触れてそれを舌先で転がすと、
体がびくんと震えて腰が反った。
「やだ…塔矢…」
だが、アキラはまるでそれを無視してやさしく胸の上でぴんと立った乳首をなめあげ、そして
音を立てて吸った。
「だっ、ダメだよぉ…ダメえ…あ…ん…!」
アキラはピンク色の乳首をチロチロと舐めながら、パジャマの下半分に手を伸ばした。
自分のももうすでに持ち上がっていたし、おそらくはヒカルもそうだと期待して。
コットンのズボンが鋭く持ち上がってテントを作っていた。
パジャマの中に手を入れる。
「やあああっ!やめてっ!」
ヒカルは女の子のような甲高い声で叫んで体を力なくよじったが、それがアキラを却って欲情
させてしまう。
(58)
勢いよくズボンのゴムに手をかけて引きずりおろすと、しっかり立ち上がったモノがプルンと
顔を出した。先端に触れると、もうすでにヌルッとしたものが噴き出していた。
「や、やだ…。」
震える声で目を逸らし、フーフーと荒く息をつく。
そんな姿を見ると、つい、意地悪なことをしたくなってしまう。耳元でそうっと囁く。
「本当にイヤ?――すごい、濡れてる…やらしい…。」
その言葉に反応して、びくっと体が跳ねた。
一旦、起き上がってパジャマを全部脱ぎ、それから丁寧にヒカルの着ている黒パジャマを
全部剥ぐと、ゆでた海老のように体を丸めた。
素肌を重ねて抱きしめ、ゆっくりキスをする。
ようやく警戒を解いたのか、ヒカルの腕が背中に回り、絡みつくようなキスに応えてきた。
(59)
動くたびにお互いのモノがこすれあって、気恥ずかしい。
それをごまかそうと、何度もキスをした。
「んああっ…」
上ずった声が漏れた。
たまらなくなって、自分のモノとヒカルのモノを擦り合わせるように握り締める。
ちょうど、手と自分のモノの間にヒカルの小ぶりなモノを挟んでいる感じだ。腰を動かすと、
グシャグシャ濡れた音がする。
「…気持ちいい?」
「う…ん…。」
いつの間にか、ヒカルが大きく足を開き、軽くブリッジするように腰を浮かせていた。
その淫らな姿に思わずイキそうになる。
「とう…やぁ…」
「なに?」
息を弾ませながら聞き返す。
「オマエ、すっげーやらしぃ…。」
何を言ってるんだろう。ヒカルのほうがよほど淫らな格好で腰を揺らしているのに。
「そう。…じゃ、やめようか?」
ヒカルはアキラの細い腰にしがみついた。
「やぁだ…!も、イキそうなのにッ!」
突き上げると、ヒカルはひぁっ!と声をあげ、何度か体を痙攣させてアキラの手の中ではじけた。
――精液がこんなに熱いとは思わなかった。