「ジャック…トニー…ジャック、――トニー…」 プツ、はらり。 プツ、はらり。 音もなく花びらが散っていく。 その背中は少女のようにか細く、細面に刷いた唇は娼婦のように 妖艶な笑みが浮かんでいる。 「ジャック、トニー…」 ブチ。 華奢な茎は、ついに花弁ごと折れてしまった。 「あらあら――」 持っていた花をぽとりと床に落とし、彼女はくすくすと笑った。