最上級の友情の表し方




 何故だ。
 何故こういうことになっているのだ。

 未だ酔いの醒めない思考で、何かがおかしいとソニーは気付いた。


 いつもどおりの夜だった。
 居酒屋で少し飲みすぎたくらいで、ペッパーに寄り掛かり寄り掛から れながらソニーの家に帰宅した
のもいつものことだ。その後、たいてい は飲み直してソファで寝明かすことになるのだが、今夜はどう
いうわけ だか2人してベッドへ直行した。そして競うように互いの服を脱がし合 うと、鼻息の荒いペッパー
がのしかかってきたのだ。

「ペッパー、待てペッパー! な、なんで俺達…」
「ああ? 何言ってんだソニー」

 声が裏返りながらも押しとどめようとするが、ペッパーもまた酔って いるのかこの異常事態を意にも
介さない。熱い舌で首筋を舐め上げられ、 ゾワリと身体が竦む。

「ちょ、待てよ! 落ち着け!」
「俺は落ち着いてるさ。今更なんだっていうんだ」
「なんだって…なんだって、それは俺の台詞だ! いいから動くな!」
「ちぇー…」

 口を尖らせながらも言いつけに従うペッパーを見上げ、ソニーは記憶 を呼び起こした。
 少し飲みすぎて…誰かと口論になった気がする。相棒が騒ぐのはいつものことだが、今夜はソニー
も気が大きくなっていた。普段は温厚なソニーだが、酒が入ると人柄が変わることが間々ある。裸に
なってズボンに花を挿してみたくなったり、ホテルのロビーで寝転んでみたくなったり、クリスマスツリー
に突っ込んでいきたくなるのだ。

「確か…最後はサンチェ達と飲んでたんだよな。それで、話題が友情だ か絆だかになったんだっけか」

 なんでいい年した野郎共がそんな恥ずかしい話題を…と頭を抱えたく なったが、ペッパーは興奮し
た声で後を続けた。

「そうだ。あの野郎、ずっと続く友情なんてないとか言いやがった。 俺達の仲の良さをやっかんでんだ。
俺達が2人とも独身なのをいいこと に、デキてるなんて言い始めて」
「乱闘になったのか?」
「なんだソニー、覚えてないのかよ」

 呆れた口調で言われ、事実だけにソニーは何も言えなかった。だが謝 っては負けだと、視線だけは
強気にペッパーを睨み上げる。それは単に 駄々っ子がふくれているだけのようで、ペッパーは思わず
笑いそうにな った。

「だから飲み過ぎんなって言ってるだろ? お前弱いんだから。乱闘に はならなかった。ソニーが止め
て言ったんだ。デキてもないし、俺達 はずっと友達だって。そしたらサンチェが、証明しろって」
「そんなクサイことを俺が言ったのか…証明って…?」

 やや取り戻した理性が羞恥を訴えていたが、ソニーには最後まで聞く 義務があった。
 なにしろ、2人は互いに裸でベッドの上にいるのだ。

「だから…セックスしても、俺達の関係が崩れなければ本物の友情って ことだ」

 肩をすくめてさらりと言うペッパーに、ソニーはあんぐりと瞳と口を 開けた。

「なんだ…それは」
「ソニーだって受けてたったじゃねぇか。もちろん俺だって、たかが セックスで俺達の関係が壊れるだ
なんて思ってないさ。そうだろ?」
「じゃあ…俺達は、サンチェ達に見送られて帰宅したってわけか?」
「他の客も、拍手で送り出してくれたぜ」

 低く唸り声を上げると、ソニーはペッパーを突き飛ばした。
 油断していたペッパーがベッドから派手に転げ落ちる。

「くそっ、なんて夜だ!」
「ど、どこ行くんだソニー!?」
「サンチェのところに決まってるだろう。お前はシャワーでも浴びて酔 いを覚ましとけ」
「いやだね」

 寝室から出ていこうとすると、ペッパーに阻まれた。あっと思う間も なく再びベッドに沈められる。

「ペッパー!」
「セックスしよう、ソニー」
「酔っ払いの戯言を真に受けるんじゃない、この馬鹿!」
「馬鹿はソニーだろ。このまま何もなかったら、俺達の友情が疑われ るんだぜ?」
「だから、そこがおかしいと早く気付け! 第一セックスなんてでき るわけないだろう!? 俺はお前
に突っ込みたくないし、突っ込まれ るのも勘弁だ。お前だって、俺相手に立たないだろう!」

 しゃにむに喚くと、グッ、と太腿にペッパーのモノが押し付けられ た。
 互いに服は付けていないため、立派に反応している様子がありあ りとわかってしまう。

「立っちゃってんだけど」
「な…な、なん…」
「や〜だってソニー、さっきまでは大人しくて可愛かったんだもんよ。 肌だって白いし綺麗だし。
色気だって、そこらの女よか上等だぜ。ペ ッパー・ルイス様が保証してやる」

 ぺちゃくちゃとしゃべりながら、ペッパーの手がわき腹をなぞる。
 怒りに青筋を立てながらも、ペッパーの荒れた手にピクリと快感を 覚える自分に、ソニーは今度こそ
本気で焦り始めた。

「ペッパー、お前は酔ってるんだ。さっさとどけ!」
「ソニー、キスしたのは覚えてるか?」
「し、知らな…」
「そっか。じゃあもう一回」
「んぅ、む〜〜〜!」

 もがいても呻いても、ペッパーの拘束は解けない。
 キスによって再び酔いが回り始めたのか、口付けが終わる頃にはソニ ーの両手はペッパーの背中
へと縋るように回っていた。


  (続く)









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