abouttextbloghashi

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誰も死なない場合の話を作ろうとしてはあきらめて、という繰り返し…(^^;)
あ、「メロとニア その1」も誰も死なない話です。
そのうち、タイトル考えます。

半熟:絶不調の原因(1部ネタ、Lと白月くん)

「…まあ、大した奴だと思うよ実際。基本的な身の回りのこと一切出来ないやろうとしないその生活態度で他人と手錠つながりの生活を敢行しようというんだから。で、もう一度言ってくれ、風呂はどうするつもりだ」
「これです」
「…僕の認識ではこれは洗濯機だ。…標準より大きいかもしれないが」
「子どものころは普通サイズでよかったんですがね」
 月は無言で背後に控える者たちに振り返った。父や、捜査本部のメンバーが息をつめるように見つめている。
「こいつの言っていることがわからないんだ。言葉通りなら、この洗濯機が風呂なのか、父さん」
 父は無言で頷いた。他の者も苦笑している。もう一度、竜崎に向き直った。
「手錠つきでどうするつもりだ」
「一緒に入りますか」
「入るかっっ。お前っ、本気で言っているなら僕も本気で言うがな、おかしいぞ、お前のその感覚っ」
「そうですか? ラクですよ」
「ラク……」
 本当になぜ、自分は数十日間の監禁に甘んじたのか。そもそもこいつに近づいた時点で間違っている。

 ―――何故、Lに近づいた?

 ふいの疑問が頭をかすめる。いやふいではない。ずっと考えていたが分らないのだ。辻褄の合わないことが多すぎる。
 頭を軽くふり、気を取り直した。
「お前、僕をキラと疑っていて、この手錠なんだよな」
「はい」
「………キラの殺人方法、わかっているのか?」
「君が話してくれれば事件は終わります」
 竜崎の断定の言葉に、月よりも父親である総一郎が反論とともに詰め寄ろうとしたが、月は、竜崎を見据えて不適な笑みを閃かせた。
「本気で僕をキラだと思っているなら、この状況はお前にとってまずいはずだろう。キラの殺人方法なんか必要ない。僕はこの洗濯機にお前が入ったところをみはからって温度をあげ、止まらないようにもできる」
「月! お前は何を!」
「なるほど、それはカンタンですね」
「だろう?」
 父の声をあえて無視し、月は竜崎から視線を外さない。竜崎はその淀んだ漆黒の瞳を、はじめて煌めかせた。
「それではこのシャワーは却下ということで」
「そうしてくれ。背中くらい流してやるよ」
「結構です。自分でやります」
 冗談をいいあっていたかのように、二人は笑う。一見和やかで、総一郎以外の者は安堵した。


 その夜から、竜崎は食事も睡眠もままならなくなった。

「自分でやります」というLの言葉を、
別室のスピーカーで聞いたワイミーさんは感無量。
月の得たいの知れ無さは置いておいて、
自分が出来なかったLのしつけをこの際、月に託そうと(^^;)


原作沿い:事件終結直後 (ロジャー出てくるVer.)

 大きすぎるオーバーを着込み、マフラーを何重かに巻き付けて、それだけで身動きが難しそうな格好で、ぽつんと立っていた。
 ビル風が吹き込む場所で、突風があるたびによろめいている。ひょっとしたら飛ばされるかもしれないと、慌てて手を掴んだ。
 二アは不満そうに見上げた。手をふりほどこうとするのを苦笑して離す。
「すみません、どうしても先週までの癖で」
「いい加減子供扱いはやめてください」
「はいはい。ところでどうして中に入っていなかったんですか、こんな寒いところで」
「風が気持ちよかったからです。…もうちょっとで体が浮くと思ったのに」
 頬を膨らませてにらみあげる様は本当に小さな子供だ。いや、今、聞き捨てならないことを言った。
「……ニア、風で遊んでいたのか……?」
「浮力と重力の実験です。あっ、手をつながなくてもいいですと」
「だめです。今度は風をはらみやすい服を着ようとか考えてませんか?」
「……」
 むうとうなったニアは、目が合うとそらしてしまった。図星だったようだ。
 でも室内に閉じこもって、外にでること自体がいやがっていたことを思えば、進歩したような気がする。
「……今度付きあいますよ、パラグライダーでもどうですか」
「……パラシュートを地上で着込んで飛ぶあれですか…」
「まあそんなところです。上から飛び降りるよりかは怖くないですよ」
 想像してあまりよくない結果が脳裏に浮かんだのか、一瞬、ニアの手に力が入った。
 かわいい。
 これが、あの先週まで鬼のように人をこきつかってくれた人物だろうか。戦時中の軍隊ばりに、命までかけるよう要請という形の強制すらした冷徹非道の。
 
 ニアが一人で待っていたというからには、その宿泊場所は近くだろうとは思っていたが、まさか向かいのビルだとは思いもしなかった。
 キラ事件の終結をみて、アメリカを始めとする世界中の捜査機関はLの召還を求めていた。事件の顛末を、キラの殺人手段は何であったのかを知ろうとしているのだが、当の本人がICPOに報告書を出したきり、行方知れずとなっている。公には。
 Lは今、一番探しているであろう機関施設の向かいのビルの一室で、特大のハンバーガーと格闘しながら食べている。汚れるからと袖をまくり、真剣な目をして、しかし、手はパンの間からしたたるソースと肉汁ですっかり汚れてしまっている。はずみでソースが頬にはねると、ニアはかぶりつくのを諦めて、ハンバーガーの解体に乗り出した。
「…最初から上のパンから食べればよかったです」
 すでに食べ終えて、ニアの格闘を笑いをこらえながら見ていたジェパンニを軽くにらんだ。
「あなたが選んだものですよ。それは」
「……こんなに大きいとは思わなかったんです」
 むす、といったんは唇を引き結ぶと、また取りかかる。
「食欲、少しは出てきたんですね」
「…食べて体力をつけなくてはいけない事態ですので」
「世界中が探し回っていることは自覚しているんですね、『L』」
「……ニアでいいです」
「わかりました」
「それと、アメリカやほかの国が言っていることなど、私の知ったことではありませんよ、顛末を知りたければICPOに問い合わせればいい」
「…何か別件でも?」
「魅上をつれてきています」
「え? 魅上…どうして、彼は日本警察に」
「日本にも、いえどこの国にも魅上を裁く法律がありません。キラとして殺人を犯した。それも何百人という単位で。それは確かに事実ですが、魅上を殺人罪に問うにはノートを公にしなければならないし、ノートの実効性の新たな検証も必要です」
「…争奪戦が本格化するということですね」
「まずは日本とアメリカがノートの所有権をあらそい、仲介としてICPOが日本からノートを取り上げ、フランスがそれの保護と称して政府が介入、もともとICPOでキラ事件の議案を出したのはEU連合です。当初は一番死亡者を出していたアメリカをつるし上げるためだったらしいですが」
「一瞬で地球を一周しましたね。でもノートはもう処分したじゃないですか」
「したつもりだったんですがねえ」
「……してないんですか」
「日本警察で保管していたノートは偽物でした」
「え?」
「ま、夜神が管理していたものですからね、一筋縄ではいかないというか………もう食べられません、お腹いっぱいです」
 包み紙を広げた上には無惨にも解体されたハンバーガーが広がっていた。半分ほども残っているのではないだろうか。
 満腹になったというより、食べることの面倒さにうんざりしたのだろう。それをジェパンニの分の包み紙を広げて乗せてしまった。視界からとりあえず追いやって、忘れてしまおうとしている。
 そこに、ノックが起きた。ニアは無言だがすぐにドアがあく。小柄な老人が入ってきた。
 腕に成人のものと思われる服をかけた、一見、どこかお屋敷の執事風な雰囲気を醸し出していたが、ニアの手元に目をやるなり、口を開いた。
「ニア、全部食べなさい。興味本位で食べ物を粗末にするには、おまえは大きすぎるよ」
「………はい」
 ジェパンニは絶句していた。
 世の中のあらゆる種類の尊大さを圧縮して人のかたちにしたらニアが出来上がるとまで言えば大げさだが、こんなにもしおらしく返事をするニアを想像だにしなかったのだ。
「…ワイミーズ・ハウスの…?」
 ジェパンニはニアが育った施設の名を口にしたとき、ニアはふたたびハンバーガーに取りかかりながら頷いた。
「ロジャーです。私がLとして動くときは、ワタリとして相手との交渉をしてもらいます」
「しばらくはハウスの実務との兼務となるがね。ニアから話を聞いています。本当によくしていただいたようで」
 握手を交わし、ロジャーは改めてニアを見下ろした。ジェバンニもつられて見下ろす。
「…少々、甘やかしすぎたきらいもあるようですが? ニアの外見に誤魔化されましたかな」
「い、いやその…はい?」
「……ロジャー、何か用があってここに来たのでは?」
 ジェバンニが首をかしげ、問い返そうとしたとき、ニアはそれを遮るようにロジャーを見上げた。
「そろそろ彼が起きるようだから着替をね。話をするのだろう?」
「はい。それではそちらに行きます」
 また、ハンバーガーから手を離したニアは、席を立った。


再検証

 キラの敵対勢力であるSPKが行動拠点にしていると思われるビルを、何百人という人間が包囲している。金で集まった者、ただならぬ騒動に、おおっぴらに破壊行為ができると集まった者に二分されるだろう。出目川はヘリで上空からならず者たちを扇動し、かつ生中継で全世界に映像を送っている。包囲したビル周辺にも、暴力の波が広がった。騒動に紛れて道路に面している店舗になだれ込み破壊していく。金品を強奪する者も一人や二人ではない。

 立ち止まり何事かと見やっていた人々の、危険を察知してその場を離れようとする動きと暴徒の突撃が正面から衝突してしまった。深刻な悲鳴が至る所であがってその場はパニックと化した。

 入口が破壊されようとしたその時、突如警官隊が介入した。怒号が飛び交う。重装備した者たちが暴徒を取り押さえていくが、収まる気配すらない混乱を、上空に位置するカメラが広範囲に渡って映しだす。

「………いた。これか………」

 巻き込まれた人々が警官隊の誘導で退避していくところで、月は映像を止めた。
 白いパジャマの子どもを警官隊の一人が抱きかかえて走っていく。そのすぐそばにも、親子だろうか、同じように子どもを抱えて走る者が何人かいた。さながら入院中の子どもといった風に丸くなっているパジャマの少年はニアだった。それならば、抱きかかえているのはSPKの一人か。顔は見えないから、映像を見ていたミサにも名前は分からなかっただろう。

 抱えられた少年は、さらに自分も何かを抱えている。大事そうに抱きしめているものが一瞬見えたとき、月は脱力しかかった。おもちゃのロボットだ。それも3つは抱えている。自分が標的になっているとわかっていながら、この余裕、もしくは執着はさすがといおうか。

 それにしても、たった一年でここまで容姿が変わるものかと感心する。時間を考えればとても今のニアと同一人物とは思えない。

 ビルからドル紙幣が文字通り湯水のごとく混乱の下界へ流し込まれる。乱舞する紙幣がパニックに一層の拍車をかけ、画面が金の出所ばかり映す段になって、その映像を消した。 

(その内幕)

 キラが扇動し、暴徒と化した者共にビルが包囲された。以前より脱出案は何通りか用意していたので、手段が決まれば速やかに脱出できるはずだった。

「………ジェバンニ、ニアの装備をひっぺがして」
「ええ?」

 この場の指揮権をニアから強奪したハル・リドナーが仁王立ちして指示した。この状態の彼女に刃向かうことができる者はいない。かろうじてニアが口答えをしようとする程度で、今も頬をふくらませてリドナーを見上げている。

「なにか?」

 リドナーはそんなニアににっこりと微笑んだ。端麗な笑みは警官の重装備にはまるでそぐわなくて、妙な迫力があった。ニアはそれでもぼそりとつぶやいた。

「これを脱いだら目立ちすぎます」
「ジェバンニ、この子を抱っこしてダッシュ。よろしくね」
「………わかった」

 リドナーの言葉に従おうとするジェバンニから、ニアはずるずると坐ったまま床の上を後退していく。リドナーは再び口を開いた。

「ニア、立ってごらんなさい」
「…………」

 ますます頬を膨らませたニアは、しかしぴたりと止まった。

「さあ、時間がないんです。立って」

 腰に手をやりニアを覗き込むようにして言う。警報がまた一つ増え、けたたましく鳴り響く。
 ニアは抱えていたロボットを床に置き、ついで手をついて立上った。いや、立上ろうとした。

 結果、中腰のまま後にころんと転がってしまった。ニアにとってその装備はサイズが合わないばかりか、重量が彼には手に負えないものだったのだ。リドナーは「ほらやっぱり」とため息をついて呟く。

「………ニ、ニア、大丈夫か?」

 ようやく口をはさめたレスターだが、ニアを助け起こそうとはしない。リドナーの気配が恐ろしくて出来なかった。かわりにジェバンニが慌てて助け起こす。

「もう観念して言うこと聞いたほうがいい、ニア。顔を伏せていたらどこかでキラが狙っていても大丈夫だろう」
「それどころか、まさかSPKのリーダーが警官に抱えられているなんて思いもしないでしょうね」
「うー………」

 リドナーの辛辣な正論に、ニアは言葉を無くして俯いてしまった。ジェバンニが少し顔を寄せて声をおとした。

「………もう一つ、好きなおもちゃを持っていけばいいよ、君を抱えて走るのに今更おもちゃの一個や二個、なんともない」
「二つ……ダメですか?」
「いいよいいよ。そのかわり、しっかり捕まってくれよ」

 苦笑して承諾すると、ニアは少しだけ嬉しそうに微笑んで頷いた。


メロとニア その2

 ぷちぷちと髪の毛が切れる音を感じて焦ったが、ここで自分が手を放せばニアの思うつぼだとガマンする。
『………それにしてもこいつ、何で出来てるんだ?? やわいっていうか…マシュマロ? そうかマシュマロだ』
 しかも思いのほか、伸縮性がある。ニアの頬は横向きに引っ張られるまま、かたちが横に広がり、ニアの顔はいつもの清ましたような無表情からは想像もつかないほど滑稽になってしまっている。ニアの目じりからぽろりと涙がこぼれた。
『! やべ、泣くか??』
 これはもう問答無用でメロは手を放した。少しだけ浮いていたニアの腰はふたたびぺたんと床につく。ニアも同時にメロから手を放したのだ。

 メロがニアの顔を覗き込もうとしたとき、PCのスピーカーからロジャーに声がかかった。二人には聞こえないようにしているのか、幾分ボリュームを落とされた、若い男の声だった。
『…ロジャー、メロとニアが会話を交わしたのは初めてじゃないですかね』
「そうだね、二人とも互いに避けていたようだし…私の目の届く範囲ではこれが初めてだね」
『ひとまず安心しました。二人でこちらまで来てもらいます』
「…日本まで、かね…メロはともかく、ニアはこのハウスから文字通り一歩も出たことがないから少し心配だね」
『知恵熱くらいはなり……』

「わ、わ、泣くな、悪かったってっっ」
 頬を赤くさせて俯いて丸くなってしまったニアに、今度こそ本当に焦ったメロはニアの前に座り込んで顔をあげさせている。ロジャー目を丸くさせて、しかし、次第に顔をほころばせていった。
『メロにニアの面倒を見させれば、メロのコンプレックスは解消されるとふんだんですが、どうですかね』
「ああ、それはうまいやり方だと思うね、ニアのことを誤解しているむきもあるし、ニアもメロとの会話で良い影響を受ける……」
「あっ、てめ、嘘泣きじゃねえかっ」
「涙が出るほど痛かったのは本当ですよ、ちぎれるかと思いました」
「……本物のマシュマロならよかったのにな」
「……もっと思いきって体重かければよかったです、そしたら一房は確実に」
「このやろ、オレに部分ハゲを作る気だったのかよっ」
 ふたたび、じたばたと攻防戦を始めた二人に、ロジャーはため息をついてモニターに視線を送った。
『では、予定通りに』
「いくかね? やはりキルシュが迎えに来たほうがいいのではないのかね、L」
『いえ、ワイミーさんは今、ワタリとして動いてもらっている最中ですので…』
「仕方がない…これ、メロ、ニア。こちらにきなさい、Lが二人に話があるからと、さっきから待っているのだがね」
 ロジャーの少し怒気を含んだ声に、二人はぴたりと動きを止めた。
「「…L??」」
 そして、ロジャーの言葉を理解したとき、二人同時に振り向いた。それもはじかれたように。


誰も死なない場合の設定 その2

 日本警察が動きだした頃、月は真新しいノートを拾った。黒い表紙で奇妙な手書き風文字で「DEATH NOTE」とあり、中表紙に英語で取り扱い説明のようなものが書かれている。印刷されたものではなく持ち主が書いたのだろうが、それ以外は未使用の状態だった。

 曰く、名前を書けばその人物は死ぬ。

 曰く、それには顔を知っている必要がある。

「………キラ事件が元ネタだな」

 犯罪者の不審死は、神の制裁だとみる風潮が生まれていた。そして制裁を加える者の名を「キラ」と呼ぶようになっていた。神か悪魔の仕業か、とにかく不可思議な現象、事件は人々の想像をかき立て、インターネットでは「キラ」関連のサイトが無数に出現している。科学的にみようとする向きもあるが、心臓麻痺で突然死ぬ、そして、それは犯罪者に限ることが、呪術的なものを操る者が実在すると認識されつつあった。
 それを思えば、名前を書いて殺すというのは、多少、実際的なのかもしれないと月はそのノートの文章を評した。さすがに本気にはできないが。

 持ち主がノートが落ちていたところに戻るかもしれない。そう思ったが、戻るのも面倒になって、また後日にしようと鞄につっこんだまま、数日が過ぎた。
 父の動きが慌ただしくなった。父のパソコンにキラ関連のデータが、前に増した勢いで更新されていくのだ。
 ある日の夕方、何が起きたか推理するためにそのデータを睨んでいると、付けっぱなししていた部屋のテレビが、突然、緊急と銘打った放送を流しはじめた。

 ICPOの特別声明、キラに対する宣戦布告だった。画面にはその代表と思しき人物、リンド・L・テイラーと名乗る男がいた。

誰も死なない場合の設定 その1

 世界中で犯罪者の不審死が相次いでいた。突然にもがき苦しみ、息絶えるという現象だ。
 遺体を調べた結果、死因はすべて心臓麻痺。それを誘発するような薬物反応はなく、中には何らかの疾患を患っている者もいて、それが原因で心不全に至ったということも考えられるケースはあるものの、罪の重さ軽さは関係なく、犯罪者に集中している現象だった。

 夜神月は、警察庁に勤める父親のパソコンに侵入し、さらにそこから警察庁のデータバンクにアクセスして、世界で起きている奇妙な現象の推理に没頭していた。
 高校三年、受験生であり、学校だけでなく予備校にも通っているが、元来それらの必要はまったくない。全国模試でいつも首位をとり、志望校も楽々の合格圏内だ。
 両親の手前、勉強は最低限しているが年末にさしかかるこの時期、月は退屈だったのだ。

 日本警察が、この謎の現象に対応するために組織だって動き始めた。父のパソコンにそれに関するデータが頻繁に入力されていく。どうやら父がこの現象、事件の捜査責任者となったようだ。
「…だけど捜査の中心は別の人間、か」
 先日、父はフランスへ出張にいっていた。仕事の詳細はあまり話さない人だが、行き先はICPOの本部だったかもしれない。そこで世界各地で起きるこの事件について会合がもたれたのか。

 アメリカに被害が集中しているようにみえて、実はことの始まりは日本である。
 日本国内でしか報道されなかった、立てこもり事件の犯人が最初の犠牲者であることを、月は父にそれとなく指摘したが、しばらくしてそれが正しかったことが判明したのだ。

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