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 パソコンのモニターが歪みを見せ始めたのは、朝起きてから何回目だったろうか。途中、感覚が麻痺してから、回数はすっかり霧の向こうに見えなくなってしまった。何度も何度も同じラインの数字を確かめる。これで最後だと見直しが終るたびに、肩幅の広い背広のイメージがちらつく。
「下泉、今日中に一部の懸案終わらせてよー」今日は幻覚どころか、幻聴まで聞こえる。響きはどこか苛立ったような、それでいて緊張感を削ぐような、不可思議な感覚を相手に与えるものだった。
「どれ」
 突然目の前に黒い物がぬっと出てきて画面を遮る。なんだこれは、と、考える前に黒い物から声が聞こえる。
「なんだ、まだこんなとこやってんの。時間ないんだからさー、早く頼むよ」
 黒い物は頭だと確認したところで、画面からすっと消えた。
 泉着やせする男の背中を見ながら、作業中の下泉光春は「心臓に悪いことするんじゃねえ」と、心の中で罵った。

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