Nov.05.11 by 管理人
掲示板には普段の社員旅行などの告知の上から、大量リストラの告知の紙が、でかでかと張り出してある。噂は確かにあった。強烈な不況のあおりで、会社が立ち行きいかなくなっているというものだ。昨今クビ切りはどこの会社でもあったことだから、仕方のないことだといえばそれまでなのだが、しかし、大量リストラとは--自分もクビになるんだろうか、などと思いながら席に戻った。 何人くらい残るんだろうか。目下の不安はそのことだった。下泉の部署は企画である。もともと情報収集が仕事の現場では、人員は不可欠の存在だった。プロジェクトにもその影響は大きくのしかかってくることぐらいは大いに予測できた。 「プロジェクトはどうなるんです?」 「なんでも一斉改変で、部署も縮小されるらしい。まったく冗談じゃない、このくそ忙しい時に」と、ぶつぶついいながら田村は作業を続ける。 電話が鳴り、当時新入社員だった香坂がでる。彼女は、まだあどけなさの残る顔で田村を呼んだ。 田村は苛立たしそうに電話をとると、みるみる顔色が蒼白へと変わっていく。平身低頭になり、頭まで下げ始めた。 「誰だったんです?」 「しゃちょうだよ、しゃちょう」 田村は嫌そうな顔をしながら部屋を出ていった。
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