「ね、フランシスカ。あんたひょっとしてM入ってない?」
「そうかな?職場では、あのサディスト女、ってよく言われるよ?」
「まわりの男どもが怯えるのは、そりゃま鎖骨叩き折れば当然でしょうけど。でもそれが普通の反応ってもんよ。だから、あんたのあの人に対する反応、絶対おかしいって!」
「でも私、鎖骨折られたわけじゃないよ」
「鎖骨のほうがまだマシよ、傷痕は服で隠れるじゃないの!肩の開いたドレスは着れなくなるけど、でもどうせそんな女性らしい服あんたが着るわけないし……」
「うーん、やっぱりもっとオンナっぽくしたほうがあの人に好かれるかなぁ?スカートはくとか、体の線を見せるようなやわらかいセーター着るとか……、」
「よしなさいフランシスカ、絶対似合わないから。……ってそんな話してるんじゃないの!あんたねぇ、顔を傷つけられたのよ、乙女の顔を!!しかも、一生消えないかもしれないようなのを!!!」
「うん。この頬の傷。ずっとずっとずぅーっと左眼の下に……一生消えないんだよぉ」
「なに顔赤らめてんの!眼潤ませてため息ついてんじゃないわよ!いくら実践模擬の訓練中だからとは言え、乙女の顔に傷をつけられたのよ。わかってんの!!」
「そう、私に傷をつけた。……この私に傷をつけた……ああん副長ってば凄い!強い!!かっこいいっっ」
「あんた。絶対おかしいと思う」
「そんなことない、乙女が強い男に憧れるのは当たり前だ!」
「うん、まぁ……そりゃそうだけど……何か間違ってるような……」
「で、で、でさ、そんなことより、今回の聞いて欲しいことなんだけどっ」
「な、何よ、そんなに勢い込んで。……わざわざ有給とって呼び出されたからには何かあるとは思っていたけど」
「あのさ。……わ、私、私、ふ、ふ、ふふふ副長とっ」