カカ←イル

愛人な運転手

さて寝るか、と運転席の椅子を傾けようとしたとき、ケツポケットに入れっぱなしの携帯が鳴り始める。まさかもう終わったのか、と半分疑いながら画面を見て、携帯を持つ指が震えた。

「・・・」

なんで、こいつが、今かけてくるんだ。
どんなタイミングだよ。いつもそうだ。狙ってたとしか思えない。

硬直している俺にかまうことなく、携帯は鳴り続ける。いつまでも出るまで鳴らし続けるところは相変わらずらしい。一度切れて、またかけなおしてくる。

今出ておかないと、あとあと面倒だということは身をもって知っている。
外見に負けず劣らず、あいつは短気なのだから。

「なんでいつもすぐ出ないの」

人が決死の覚悟で通話ボタンを押したことを知らないだろう。電話越しの少しくぐもった声の主は、不機嫌を隠そうともせず、ただ静かに唸った。
相当キているということはわかったけれど、それをいちいち相手にしてはいられない。

「ご用件はなんですか」
「聞くだけ野暮でしょ?」

皮肉気に笑う声が聞こえた。

「最上階にいるから。・・・来るよね?」

そう言われて、目の前にそびえ立つホテルの、はるか遠くにある最上階を見上げた。景色を見渡せるオーシャンビューが売りの、超スイートルーム。
見えるはずのない彼の姿が、目に映ったような錯覚をする。

以前も同じようなことがあった。
スミレ様の愛人を連れて、ホテルについて、一服する暇もなく、彼から連絡が入る。スミレ様の居る部屋より数段上のランクの部屋にいる彼。

「1時間で済ませてください」
「短い・・・最近の若造はしぼんでるみたねー。外見も中身もロクな奴がいない」
「相手はあの人ですよ」
「わかってるよ。アレのしつこさはほとほと厭きれるんだ」

そう思うなら別れろよ。

喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、あなた譲りでしょう。とツッコミをいれたあとに、反論する彼の声にかぶさるように「今から向かいます」とだけ言い残し通話を遮断した。

一気に力が抜けて、背もたれにうなだれる。
手で顔を覆い、一息ついたあと、よし、っと一声あげて、とりあえず車を駐車場のほうへとまわした。



重圧な木の扉は、外見に似合わず高度なセキュリティで守られている。
ホテルマンに案内されるまま最上階にきて、扉の前に立つと、彼にチップを渡して去ってもらった。ここから先は、あまり他人に見られては困るのだ。

カツンとひとつ、ドアをたたく。
一時もしないうちに内側に開かれる。
つかまれそうになった手をはじくと、男は不機嫌そうに睨みつけてくる。相変わらず生意気そうなツラしやがって。

「で、ご用件はなんです?若社長」
「聞くだけ野暮って、と何回言わせる気よ?」

振り払った腕を取られて、そのまま閉めたドアに押し付けられる。
覆いかぶさってくる体と、香水のにおいと、洗いたての髪の香り。バスローブ一枚だけの、薄い服装。薄い布一枚向こうにある、奴の体温。
久しぶりの奴の存在感に、年甲斐もなく心臓がはねる。傾いてきた顔を避けるように横を向くと、不意にタイを解かれ抵抗する暇もなくむき出しになった首筋に舌を這わせられた。

「っ・・・、は・・・・世界をまたにかけるはたけ財閥の若社長が、この様ですか・・・っ」
「ふん、減らず口は相変わらずだねぇ・・・」

じりじりと迫ってくる彼の唇を見ないように首からそらし続けていると、タイを解いた指がそのままボタンを外していく。空調の整った部屋で、寒さは感じないはずなのに、体がブルりと震えた。

奴の指が開いた隙間に潜り込んで来て、ワケもなく立ち上がった突起に触れた。それだけで、腰が疼く。息が上がる。

「敬語なんてやめなよ。何年来の付き合いだとおもってるの」

ちゅ、と、首から聞こえてきた音に、奴の背中を思い切り爪を立てて引き裂く。奴はぴくりとも反応しないで、がり、と俺の首に歯を立てられて、息をのんだ。こいつ、また!

「く・・・は、・・・っ、痕は、つけんなって・・・!」
「いいの…あんたは俺のなんだから」
「誰が!は、ん…んぅ・・・!」

きりきりと痛みを感じるほどに胸の突起をつままれて、円をえがくようにいじられ、かと思ったら押しつぶすほどに抑えつけてくる。ねろねろと首筋をなぶりまわされ、浮き出た鎖骨を甘噛みされて、たったそれだけなのに、馬鹿みたいに反応する自分が情けない。

「くっ・・・ぅ、ぅあっ、は、・・・や」
「感じるでしょ・・・、イルカ」
「名前を、呼ぶな・・・っ」
「呼ばせてよ・・・ねぇ、イルカ」

耳に囁くように言いやがって。いつだってそうだ。やさしい振りして、俺のことふりまわして、人のこと、大事だとか好きだとか愛してるとか、都合のいい時に言いやがって。

「好きでしょ?ここ」
「好きじゃない!」
「ウソつかないでよ…いつから、この俺が、仕込んだとおもってるの」
「うるさい…嫌だ…いっ・・・あああ!」
「なんだかんだいって、スキモノだよねぇ、イルカって」

グイとシャツを引っ張られて、残りのボタンがはじけて飛ぶ。むき出しになった、期待するみたいにみっともなく勃起してる乳首が、蛍光灯に照らされてその色を浮き立たせる。恥ずかしいぐらい真っ赤に、男のモノじゃないみたいにぷっくりと色づいて、せわしなく息を吐くたびに上下に揺れる。

「かわいらしくおねだりしてみてよ、舐めてあげるから」
「っ、いちいち、命令すんじゃね・・・っぁ」
「好きでしょ?俺の言うこと聞くのが」

うるせぇ、黙れよ、この、色欲魔人が!
いつもいつもいつも自分の都合のいい時しか呼ばないくせに。

「くそ野郎…舐めろよ・・・っ」
「可愛くはないけど、まぁ、時間もないし、妥協してあげる」

言ったと思ったら勃起した先端に思い切り歯を立てられる。ぎりぎりと音がしそうなほどに、だ。

「いった、っく、…もっと、やさしく・・・しろ・・・っぁ、ぁあああ、ん、ん、ぁ!」
「やさしいでしょうが、俺は、いつも」

ウソついてんじゃねぇ!と叫ぼうと息をのんだ途端、舌の表面でねっとりと乳首全体を包まれるように愛撫される。腰にずくんと熱が集まる。収集がつかないほどに、腰が揺れる。ゆする勃起が奴の太ももにあたったのか、奴は人の悪い笑みを浮かべて、その太ももで俺の下半身の勃起を刺激してくる。

「はぁ、ぁっ、ちょ・・・・ま、」
「待たない・・・気持ちいいんでしょ・・・すごい、固くなってるじゃない」
「くそ、・・・は、ん、んんん!や、いや、ばか…やろぉ・・・ぁ、ぁ、ひ!」
「ふふ、かわいいなぁ、イルカ」

尻をもみしだきながら、次第に前に回ってきた掌が俺の勃起を刺激してくる。数度形をなぞるようにたどられて、そのまま、服の上から上下にもまれて、気持ちいい。かとおもえば、舌で乳首をなめまわされ、唾液でべとべとのそこに吸いつかれて、いっそうとがり赤く色づいてくる乳首に、否応なく感じる。
息がせわしなくなって来て、頭から物が考えられなくなる。

「あれから、抜いてないの?がちがちじゃない」
「うる、せぇ・・・っ…!俺だって、・・・ぁぁあ、あ、・・・・、ひ」
「ふーん?…ああ、あの子がしてくれた、とか?」
「っ!」
「図星かぁ・・・昔から、ああいうタイプに好かれるよね、イルカ」

ああそうだ、高校の時から、お前に会ってから。俺は男にモテモテだよ。バカらしい。さびしそうな雰囲気が守りたくなるだの、襲って組み敷いて従わせてみたいだの、あいつのお手付きがどんなもんか知ってみたいだの、常にエロいことしか考えてない奴ばっかり!

「…そんな目をして、期待させるってのがわかってないから、面倒なのに好かれるってなんで気付かないんだろねー」

なにかぼそぼそ言っていたけれど、聞き取れなかった。
顎に指を添えられてそのまま喰らいつくみたいにキスをされる。歯をくいしばって舌が入ってこないように耐えていたのに、ベルトを解かれ強引にズボンを脱がされて、直接触れられ、上下に激しくもまれ始めて力が緩む。
くそ、くそ野郎!

「イルカ、あんなガキに絆されるないでよ」
「はっ、はぁ、ん、ぁん、ひ、ん、んんん、ぁ・・・!は、は、いや、んーーーっっっ」

我慢汁がだらだら垂れているんだろう、亀頭の先端をぐりぐりと刺激されて、かと思えば皮が上下にずれるぐらいつよくもみこまれて、足の付け根がじんじんする。腹がなみうつみたいになって、いっきに射精しそうになる。

「イって、イルカ」
「っは、ぁ?あっぁ、や、いや・・ああああーーー!」

鼓膜を震わそうとするみたいにやさしく促されて、馬鹿な体は喜んで、前を解放させた。

「ふふ、かわいいな、・・・好きだよ、イルカ・・・」

囁きかけるな、期待させるな、ふり回すなよ。
どうせ、いっときの遊びのくせに。 終わったら、置いていくくせに。

射精して力の抜けた体は簡単に抱えられて、そのままベットに押し倒された。

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