カカ←イル

愛人な運転手2

枕もとに置いていた携帯が鳴り始めたのは、あれから一時間ちょっとしてからだった。眠気が一気に冷めて、時計を見る。
気だるい体を叱咤しながら、いまだに呼び出し音を響かせる携帯を開く。発信者は、ヤマトだった。

「・・・終わったのか」
「はい、スミレさん、別の車で帰りました。イルカさん、どこにいるんです?いつものとこにいないから心配で・・・」
「悪い、ちょっと野暮用で・・・っ」

上半身を起こしながら答えていると、横から伸びてきた腕に腰を抱かれる。驚いて体が揺れた。携帯を離して、「おい、やめろ」と言うけれど、奴は聞く耳持たず、より力をこめて抱き込まれる。

いつもは終われば用無しだというみたいにベットに置いていくくせに、今日に限って横にいやがるし。嫌がらせか?

「イルカさん?」
「ああ、悪い悪い…ホテルマンに鍵は預けてあります。すぐに行くから、車でまって・・・っぁ!」
「・・・っ」

ぶ、と思い切り通話を切って、腰を抱く男を睨む。不埒な手は、さっきまで奴を受け入れていた箇所にのびてきて、まだ湿ってる内部に入り込もうとする。

「なんのつもりだ、てめぇ」
「さっきまでヨガってすがってきてたくせに、ひどい豹変ぶりだよねぇ、イルカ。・・・あのガキか?終わったの」
「ああ、そーだよ!だ、か、ら、放せって・・・もう、帰る・・・ちょ・・・ひ、ぁ!」
「・・・・ふーん」

入り込んできた指が内部を刺激してきて、さっきまでの熱がぶり返してくる。

「やめろ、って・・・もう・・・ぁ、あ、あ、くぅ・・・」

ぬぶ、と指が一気に抜けたと思ったら、熱くほてったものがあてがわれて焦る。

「お、まえ、ちょ、やめろ!ヤマトが、待ってて・・・」
「いまから抱きあおうって相手がいるのに他の奴の名前なんか呼ばないでよ」
「あ、あ――――いや、や、まって、もう、・・・・だ、め・・・」

ぬぶぶ、といっきに根元まで埋め込まれて、意識が飛ぶ。瞼の裏がかーっと赤く染まって、中に入ってきた奴の熱さに息が上がる。がくがくとバカみたいに体が震えて、中の奴を締め付けるのが自分でもわかる。

「なんだかんだいって、悦んでるじゃない、ねぇ」
「るせぇ、ぁ、ああ、あ、ああ、あ!っなんで、・・・今日、こんな・・・・ひ、ぁぁぁっ」

体全体を揺さぶられるみたいにゆすりあげられる。意識が、もう、何をしているのか、何をしようとしていたのか忘れる。

後ろからがんがんにつかれながら、声を上げることしかできなくなる。

「イルカ・・・」
「ん、んんん、そこ、ばっか・・・やめ、ひ、もう・・・も・・や、ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

後ろにいた奴が、いきなり体制を変えて、中に入ったまま向い合せにされる。ぐりゅん、と刺激された中のものをいっそう締め付けて、奴がすこし息をのむのを聞いた気がした。

「今日・・・」
「ん、んぁ、はっ・・ぁ・・・?」
「いや、なんでもない」

言いかけてやめたと思ったら、一気に突きこみを激しくしてきて、息をのんだ瞬間に、中に熱い欲望をぶちまけられた。意識が飛びそうになるのを、己の舌を噛みながら何とか耐えていると、奴が無言でキスをしてきて、血のにじんだ箇所をなめとるようにしてきた。

慰めなのか、詫びなのか、奴のキスはいつだってやさしい。
それが人を傷つけてるなんて、知るよしもないんだろうけれど。


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