「100万ドルの夜景ってこんな感じ?」
球団側の配慮で越してきた高層マンション。
吾郎は既にホーネッツにとって、なくてはならない、エースと言ってもいい程の存在になっていた。
その吾郎に、いつまでもモーテルと大差ないような住まいに住まわせておく訳にはいかない、といった次第であった。
28階からの眺めは、夜景は素晴らしかった。
その夜景を眺めつつ、同じく今日このマンションに越してきたホーネッツの攻守の要、キーンに話しかける。
「・・・・でも・・・なんとなく人工的過ぎて好きになれねえ。」
「ではどんな夜景なら好きになれる?」
「・・・・やっぱり家庭の灯りかな。
一つ一つの灯りの下には家族が居て、大切な人がいて。そーゆうの、憧れる。」
珍しくしおらしい事を、とキーンは言いそうになったが
吾郎の過去を思い出して納得した。
現在の両親にはとても愛されていて幸せな筈なのだが
真の両親に勝るものはない。
「しかしあの灯りの下にも一つ一つのドラマがある筈だ。」
ふふ・・と吾郎は笑う。
「そうだな。どんな灯りの下にもドラマはある。」
球場の、あのライトの下で俺たちは数え切れないドラマを演じてきた。
それ以外の場所でも。
「そしてこの灯りの下でも新たにドラマが始まるんだ。」
キーンの腕が背後から吾郎を抱いた。
吾郎は素直にキーンに身を委ねる。
吾郎を抱いた手が顎に伸び、そして吾郎の顔を後ろに振り向かせ・・。
重なる唇。
「キ・・・ん・・・っ・・・。」
互いの舌がねっとりと絡み合い・・・。
「ん・・・。」
キスに気を奪われていたら、キーンの手がTシャツを捲り上げ・・。
「ちょ、待・・・。」
「どうした。」
「窓際でこんな・・・。」
「ここは28階だぞ?誰がどこから見るというんだ。」
そう言われると納得せざるを得ないが、しかしどうにも落ち着かない。
全面がガラス。
足の下に広がる夜景。
まるで空に浮いているような錯覚に陥る。
空の上で犯されている、そんな錯覚。








続く・・と思います(涙)

サンデーで、吾郎がいつの間にか高層マンションに引っ越していたと知って激萌えで!
こんな感じ・・と頂いてつい手が動き始めてしまって・・・。
なんとか続きを書きたいとは思っていますが
気長にお待ち願えると助かります。
(2009.7.1)


追記
これとは別の形で「28階窓際H」の話を書いてしまいました。
この話は「続く予定」でしたが、申し訳ありませんがこちらの「暗い夜が明けたなら」をもって完成とさせて下さい。

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