想いをのせた渾身の一球────。
バットが空を切り、と同時に俺の手には凄まじい手ごたえ。
球速101マイル。
バッター、空振り三振。
どよめく場内、そして喜びの声。
そんな中、茂野は無表情のまま自らマウンドを降りた。
「そんな限界までやるなんて、バカとしか言いようがない。
やはり俺にはお前のスタイルも価値観も理解できん。」
それは本音。
しかし。
「だが、ジャパニーズ サムライらしい立派な責任の取り方だった。
必ず治してまたここに戻って来い。」
それを聞いた茂野の口の端が少しだけ上がる。
表情を変える事すら出来ないほど全てを燃やし尽くしたらしい。
ねぎらいの拍手が沸き起こる中、お前の背中を見送る俺は
ようやく、心から安堵した。
────馬鹿が・・・・・・。
しかしこれで大丈夫だ。
ベンチにはワッツがいる。
ヤツに任せておけば・・・・・。
そして俺は気持ちを切り替える。
必ず勝つ。
限界を遥かに超えて、あんな状態にまでなってまで責任を果たしたお前への
お前の想いをこの手で受け続けた俺の果たすべき責任は
勝って優勝を土産にお前のもとへ帰る事。
その後、あのマードックがサヨナラホームラン。
ホーネッツ、悲願の優勝。
大喜びのメンバー、そしてファン。
監督の胴上げ。
その後は恒例のシャンパンファイト。
信じられないほどの逆転劇の末の優勝だ。
さすがに皆、盛り上がっていた。
それを横目に見つめながら俺は会場を後にする。
「あれ?キーンは?」
「ああ、キーンならさっき出てったぜ?」
「なに〜〜〜!?あのワカメ頭にシャンパンぶっ掛けてやろうと楽しみにしてたのに!!」
「そう言うな、あいつはきっと・・・・。」
「あ、・・・・そうか・・・・・・。」
早々に会場を出たが、やはりシャンパンでびしょ濡れ。
シャワーを浴びてシャンパンと汗を流し、向かった先は。
ガラガラ・・・・。
扉を開けると、そこには昏々と眠る茂野がいた。
暗闇の中、月明かりに浮かび上がるように照らされる茂野。
まるで眠れる森の・・・・。
俺は茂野の横に腰を下ろし、その寝顔に話しかける。
「勝ったぞ。」
しかし返事など、あるはずもない。
「ワッツの諦めない姿勢から始まって
そしてお前の・・・馬鹿としか言い様のないピッチングのお陰で・・・・・。」
返ってくるのは規則正しい寝息だけ。
「最後はあのマードックがサヨナラホームランだ。」
マジかよ!といつものお前なら言うのだろうが、今は何の反応もない。
眠り続ける茂野。
・・・・穏やかだった。
お前だけではなく、俺も。
全てを出し尽くして戦い、そして勝って。
今ようやく休息を取り眠る、お前のその顔を眺めながら。
こんな穏やかな気持ちは・・・・思い出す限り記憶にない。
そして続ける。
「・・・・お前の・・・・お陰だよ。」
勿論、茂野だけのお陰じゃない。
最初はワッツから始まった。
それから皆、頑張った。俺も何とか打てた。
そしてお前の選手生命さえ危ぶまれる力投。
それが更に皆に力を与え、その結果、マードックがはじけた。
「俺にはお前のスタイルも価値観も理解できん。
理解できんが・・・・・お前に出会えて良かった。」
安らかな寝顔。
「・・・・・ありがとう・・・・・・・・。」
薄く開いた茂野の唇に俺のそれをそっと重ねた。
キスでお前が目覚めればいい。
復活できればいい・・・。
しかし、それはお話の世界の戯言。
はやく帰って来い。
さっさと治して
お前の野球の下へ。
ホーネッツへ。
・・・・・俺のところへ。
はやく・・・帰って・・・来い・・・・・・・。
俺の、ゴロー・・・・・・。
end
多分キンゴロ劇場最終回??
でもまあ・・・今後もこうやって遊べそうなら書いてみよう、とは思っています。
なんとか丸く収まって本当に良かった!!
そしてキーンのあの様子、もう、メロメロですねvv。
健全な少年誌なのに・・・同人誌にしか見えません、M田先生・・!!
それでは。
キンゴロ劇場、ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
(2009.6.10)
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それから・・・ついつい遊び心が疼いてしまって、オマケを二つ、書いてしまいました。
興味のある方は下へスクロールしてみてください。
俺は時間を忘れて茂野の寝顔を見つめていた。
無意識に思い出してしまうのは今日の試合の・・・・
───あの顔。
今、現在にしろ、試合中のあの時にしろ
コイツは無防備がすぎる。
あんな顔を全世界に放送されたと思うだけで
・・・・腹立たしい。
恐らくかなりの数の男がその気になったのではないかと思う。
今は眠っている。
・・・・この、無防備な・・・この顔・・・・。
寝顔まで意識してガードしろ、とはさすがに言えないが
せめて起きている時くらいはガードしてくれ、と頼みたい。
「ん・・・・。」
それにしても良く眠っている。
麻酔で眠らされていると聞いたが・・・・・。
しかしこの顔───。
俺は無意識に茂野のソコをシーツ越しに触れていた。
「・・・。」
そっと摩ってみる。
「・・っ・・・・。」
硬くなってきた。
俺はシーツをめくった。
今度はパジャマ越しに触れる。
「・・・っ。」
少し身じろぎした。
だんだん忍耐が効かなくなってきて
茂野のパジャマを下着ごと引き摺り下ろした。
そこには既に立派な茂野のそれ。
にもかかわらず、本人はよく眠っている。
直接それに指先で触れるとピクッ・・と動いた。
握ってみる。
しかし目覚める様子はない。
握りこみ、ゆっくりと摩る。
「・・ん・・・。」
指をにじらせて親指の先で先端をクルクルと摩りつけてやる。
「あ、・・・キーン・・・・。」
起きたのか?と思い茂野の顔を伺うが、眠っている。
寝言のようだ。
夢の中でも俺にされているのか・・・・。
ならば。
俺は茂野のそれを咥え込んだ。
舌を絡ませ唇で吸い上げ、そして手で触れて。
いつものように茂野のそれを可愛がる。
「・・・あ・・・・・。」
時々体が硬直するように動き、そして俺の名を口にする。
夢で、現実で俺にされているお前。
───たまらない・・・・・。
そして止まらない・・・・・。
茂野、お前はまるで麻薬のようだ。
麻薬に手を出したことなど当然ないが
一度手を出したら止まらない。
お前なしでは生きられない。
はやく・・・はやく戻って来い、茂野。
俺のところへ。
はやく・・・・・。
その時、茂野のそれが弾けた。
それをいつものように迷わず飲み込む。
茂野の味。
お前を最後に抱いたのは、つい昨日の事なのに
この味を味わったのは随分前の事のように感じる。
今日の試合の前と後。
たった数時間の事なのに、それが何日にも何年にも匹敵するかのように
その前の出来事、お前との情事がやけに懐かしく思えた。
そして茂野のそれを舌で丁寧に舐め上げて綺麗にしてやり
身なりを直し毛布を掛け、茂野の顔を伺うが
しっかり眠っている。
「キーン・・・・・・。」
まだ言ってやがる・・・・・・。
俺は無意識のうちに微笑んでいた。
ほら・・・お前の味だ・・・・。
茂野の口内に無理やり舌をねじ込んで絡めた。
いつものように絡み返される事はなかったが
意識不明であるのを良い事に、存分に茂野の口内を味わい、そして離れた。
唇を、舌を離し・・・そして二人を繋いでいた銀色の細い糸が途切れる。
「ゴロー・・・。」
返答はない。
はやく帰って来い。
俺のところへ。
ふてぶてしい、可愛くないお前を・・・はやくこの手に抱かせてくれ・・・・。
はやく・・・・帰って来い・・・・・・。
end
こんな事しておいて、キーン自身は元気にならないんだろうか・・・?
部屋に戻ったキーンは一人で・・・・・??
キーンの自○って一体どんな??
・・・・と思って止まらなくなり・・・・。
すいません、書いてしまいました。
自○ネタでも大丈夫な方のみ、お進み下さい。
申し訳ありませんが、苦情はご勘弁願います!
キイ・・・・パタン。
俺は割り当てられたホテルの部屋に戻ってきた。
完璧にリメイクされたベッドへ、そのまま寝転ぶ。
昨夜の痕跡もなにもかも綺麗に消し去られ掃除の行き届いた清潔な部屋。
人のぬくもりもなにも・・・全く感じられない、冷たい部屋。
「明日の試合の事だけどよ!」
「あん時のお前の打球は・・・。」
「うまい菓子、見つけたんだ!」
何かと理由をつけては、俺の部屋にやってきたあの馬鹿。
しかし今日はやって来たくても来られない。
「・・・、キー・・・ン・・・・。」
眠りながら、俺の名を呼ぶお前。
夢の中でも俺にされていたお前。
眠りながらも達してしまったお前。
そしてなお、俺の名を呼んだ・・・・お前。
・・・・・・。
何故お前はここに居ない。
今も手に残る、お前のソレの感触。
今も唇に、舌に残るお前のソレの感触、そして味。
・・・・・・・!
今、お前に突き入れたい・・・・・!
すぐにも突き入れてかき回して・・・グジャグジャに・・・・!!
しかし今、ここにお前はいない。
どうしたらいい・・・・はちきれそうだ・・・・・・。
自分でシた事がない訳ではない。
男なら誰もがスルことだろう。
しかし、最近は自分でスルまでもなく
相手がいた為、自分でスル必要がなかった。
茂野に出会う前も、性欲処理の適当な相手に困る事はなかった為
自分でなどスル必要がなかったのだ。
・・・・・・・。
とはいえ、今、その適当な性欲処理の相手とどこかで、という気には到底なれない。
真に大切なものに出会ってしまった。
出会ってしまった以上は、それ以外の相手となど考えられない。
想像するだけで不快で、吐き気がするほどに気分が悪くなる。
・・・・・しかし、どんどん集まってくる熱。
痛いくらいだ・・・・・・。
どうしたらいい、どうしたら・・・・・。
衣服越しに、自らにそっと触れてみた。
「・・・っ!!」
一度触れると、もう止まらない・・・・。
きつくなってしまったズボンは脱ぎ捨てた。
見ると、体に密着するタイプのボクサーパンツが大きく盛り上がり
そして下着の腰の部分からは先端が顔を出していた。
「・・・・・・。」
我ながらみっともない姿だ。
こんな状態をあいつが見たら・・・・。
「アハハハハ・・・!!
お前、コンニチハしてる!面白れ〜〜〜!!
クールで冷徹なキーンが、キーンが・・・・!!
だ、誰かに見せたい・・・教えたい〜〜〜〜〜!!」
と涙をこらえつつ大笑いするだろう・・・。
あいつがいなくて良かった・・・と、その点だけは心からホッとした。
しかし爆笑するヤツを俺は問答無用で押し倒し、その笑いを瞳で制して。
「・・・うっ・・・。」
と、少し怒ったように照れくさそうに見上げるあいつに唇を・・・・。
そんな事を考えながら下着越しに自らのそれを指先で撫でる。
「・・・・、・・!」
我慢がならなくなり、下着の中へ手を入れた。
それからは・・・無我夢中。
思い浮かべるのは・・・・今日の試合中のあいつのあの顔。
そして・・・その時のあいつの顔。
あいつのモノを可愛がるつもりで、あいつのソレを脳裏に浮かべつつ自らに触れると
脳裏ではあいつが感じ、実際には俺が感じる。
あいつの喘ぎ声と、俺の息をつめる音が一つになったような気がして
更に昂まってしまって・・・・・。
もっともっと、感じさせてやりたい
もっともっと声を出させたい
俺でお前を、もっと・・・・もっと・・・!!
そう願いながら自らのソレを一心不乱に・・・・・。
「・・・・っ・・・くっ・・・・!!・・・シゲ・・・・ノ・・・・・・・!!」
・・・・・・・・・。
手の平の白い液体を虚ろに見つめた。
あいつのものなら舐めてやろう、という気になるが
自分のソレは汚らわしいだけ。
そしてコトが終わって我にかえると・・・・・虚しいだけ。
自分で慰めたのはどれだけぶりだろう
最後に自分でしたのはいつだったろう・・
と思いを馳せてみるが、どうにも思い出せない。
俺は自ら犯してしまった愚かしい行為に舌打ちすると、シャワールームへ向かった。
そして熱いシャワーに打たれながら考えてみる。
そういえば・・特定の誰かを思っての行為ははじめてだったかもしれない。
ふふ・・・・。
何故か自然と口元が緩んだ。
子供の頃の幼い恋を除けば
もしかしたら俺にとっては初めての本物の・・・・・・・・・。
明日になればあいつは目覚めるだろう。
明日は見舞いに行こう。
そして明日は・・それはデキないまでも、たっぷりキスをくれてやろう。
先程のような、無反応なお前への一方的なものではなく
纏わりつくような、忘れられないような唇付けを・・・・・・。
早く帰って来い・・・・・。
俺の・・・ゴロー・・・・・・・。
end
すいません、ごめんなさい、申し訳ありません・・!!
クールなキーンが自○なんて、自○なんて〜!!
でも、オマケその1であんなことしておいて
キーンのナニがケロッとしているとは思えず・・・。
ここまで読んで下さりありがとうございました!!
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