この話はトシゴロ「人魚の初恋」で遊んでみた、キンゴロ編です。
本編は「人魚の初恋」の方ですので、出来ましたらそちらから読んで下さいねv。



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それは吾郎、15歳の誕生日の夜のことだった。
満月がそれは美しく辺りを照らしており
上昇して行くにつれて、海が明るくなっていくのが感じられて、吾郎はワクワクしてきた。
昼間も水面へ出た事があったのならそれほど驚くような事ではなかったが
吾郎にとって、水面へ出る事はこの日の夜が、生まれて初めてのことだった。
人魚の国の掟として、15歳の夜までは海面へ出て地上を見る事を固く禁じられていたからである。
吾郎は15歳になるのが待ち遠しくて仕方がなかった。
そしてそれは、ようやくやってきたのだ。

夜ならば、いつもは暗い海の底。
月明かりが届く場所でも、ここまで明るい事はない。
水面がキラキラ輝いている。
きっとあそこへ行けば素晴らしい事が待っている。
今まで見た事もないような、想像もできないような素晴らしい事が。

ほら、水面はあと少し。
あと10m・・・あと5m・・・あと・・・・30cmで手がそこに届く!

パシャ・・・。

穏やかな海の海面に、吾郎の顔が飛び出した。
初めて見た、地上の世界。
初めて感じる、水のない世界。

「これが地上・・・・。」

夜空には満天の星。
そして大きく美しく輝く満月。

「なんて綺麗に輝いてるんだ・・・。」

吾郎は生まれて初めて月を仰いだ。
遠くには「陸地」がデコボコと見えて、そこからは星のように点々と灯りが見えた。
そして吾郎から少し離れた辺りに大きな「船」が浮かんでいた。

「あれが「船」か。」

その船は動く様子がなかった。
マストをすっかりたたんで、ただ、そこ浮いていた。
吾郎は好奇心を抑える事が出来ずに、そちらへ向けて泳いでいった。
近づくにつれて音楽が聞こえてきた。
船上をきらびやかに飾る灯りも、人々の楽しそうな声も。

「人間を見ることが出来る!」

興奮しながらも、ある程度の距離まで船に近づいてからは潜って水中を泳いでいった。
そして月明かりで船の影になる部分から、再び吾郎は顔を出した。
船の上には沢山の人間がいるように見えたが・・・その位置からでは逆光で良く見えなかった。
吾郎はいささか大胆かとも思ったが、好奇心には代えられず
船の反対側へ回って、今度はゆっくりと・・・頭から目までだけ水面に出して船上を伺った。

「おお!今度は良く見えるぜ!」

船の上ではパーティでも開かれているようで、ダンスを踊っているようだった。
女性のドレスが色とりどりで美しかった。
でも重そうだな・・とも吾郎は思った。
服だけじゃなく、頭にもあんなに飾りをつけて・・よく動けるな、とも。

暫く人間達の踊りに目を奪われていたが、だんだん全体を観察できるまでに吾郎は冷静になって行った。
楽しそうにダンスを踊る者達、給仕をする者、船上で何かしらの仕事をしている者、それぞれいる事に気付いた。

「そういえば、地上でも「貴族」や「王族」があるって聞いたな。
そうすると踊ってるのが貴族以上の者で働いてるのは・・・。」

そう思いながら観察していた吾郎の目に、船の先端でただ、水面を眺めている青年に気付いた。
その青年の身なりは周りを見た限りでは、立派な部類に入るように見えたので
恐らくは貴族のご子息といった所だろうか。
船べりに肘をついて、何か考え事をしているように見えた。
歳は・・・吾郎より幾つか上であろうか。

「へえ・・・。」

吾郎はまじまじと、その青年の観察を始めた。

「性格悪そー。髪はワカメみてーだな・・・。」

でも・・・・。
月に照らされるその姿は
まるで神々を模した彫像のように美しい。
なんて端整な顔立ち。

「え・・・・・!?」

こっち・・・見てる・・・?
なんて鋭い・・蒼く輝く眼光・・・・目が逸らせない・・・・が!
そんな事言ってる場合じゃない!!

吾郎は慌てて海に身を沈めて様子を伺うが
なんということだ!
その青年は海に飛び込んだのだ。
そして吾郎に向かって一直線に泳いできた。

「嘘だろ〜〜〜〜!?」

吾郎は慌てふためいてしまって、つい逃げそびれて、逃げ出そうとしたその時には・・・・捕まってしまっていた。

「お前・・・なんだ。」
「そーゆーお前こそ、なんだよ!」
その偉そうな態度に、吾郎はふて腐れて開き直って答えるが・・・
その間にその美しい青年は、吾郎の肩をガッチリ掴んでその全身を観察してしまった。
満月が美しく輝く夜だったので、とてもよく見えた。

「お前、まさか・・・・伝説の・・・・・人魚?」
「あ・・・ははは・・・・やっぱ、バレちゃった?」

驚いてる・・・。
へー・・・見るからに性格悪そうだけど、驚いた顔はちょっと可愛い・・・かも。

「人魚が本当にこの世にいるとは・・・・。」
「だからなんだっつーんだよ!世の中には色んな事があるんだぜ?お前の知らない未知なる事ばかりだ!」
吾郎はちょっと得意になって語ると、その青年はフッ・・・と微笑んだ。
意地の悪そうな顔に似合わず、小さく笑ったその表情が本当に綺麗で・・・吾郎は思わず見惚れてしまった。

「お前、名は?」
「・・・・。吾郎。」
「吾郎、か・・・・。」
「そういうお前は、なんて言うんだよ。」
「キーンだ。ジェフ・キーン。」

美しい響き・・・・。
まるで音楽みたいに・・・耳に心地いい・・・・。

と、次の瞬間。

「ふ・・、ん・・・・・!?」
唇付けられていた。
「ん、〜〜〜〜〜っ!!」
唇が・・・・しっとりと・・・舌が・・・・絡まる・・・息が!!

吾郎はジタバタと、もがき苦しむが、なにやら舌を触れ合わせているうちに、だんだん妙な気分になってきた。
キスに酔ったようだ。
吾郎がみるみるキーンのテクニックに堕ちていく様子に、かすかな興奮をキーンは覚えた。
何もかもを見通すような鋭い瞳で
吾郎をその腕に抱きながら、キスにぐったりしてしまった伝説の人魚をまじまじと見つめた。

そして。

「お前、俺のところに来い。」
「はい?」
「俺の屋敷で暮らすんだ。大きな池を作ろう。
あ、いや・・・それよりも・・・・・。人魚がいたんだ、じゃあ、あの御伽噺は・・・・・。」
「何、一人でブツブツ言ってるんだよ!」
「人魚の世界に魔術師がいないか?」
「いるけど。とんでもない変態が。」
「そいつに頼んで人間になる事は出来ないのか?」
「知らねーけど・・・・アイツならできるかも・・・・って、何言ってんだよ!!」
「俺はどうやらお前が気に入ったらしい。だからお前を俺のものにしたい。」
「は!?」
「もしも。お前が人間になる代償として声を奪われなりしないようなら・・・・人間にしてもらえ。
で、確か真の愛が得られなければ、海の泡だったな。その点は既に問題なかろう。」
「おい!!何、一人で何もかも決め付けてんだよ!!」
「月光の魔力か、人魚の妖力か・・・・。俺はお前を俺のものにしたくなった。」
「奴隷かよ!はん、ゴメンだ!誰がお前の奴隷になんかなるもんか!!つか、真の愛って・・俺、男だぞ?」
「性別など問題ではない。それに。お前だけを愛し抜くと言ったら?」
「・・・・・。俺とお前、たった今、会ったばかりだよな?」
「この出会いは起こるべくして起こった・・・必然の出会いだ。運命だ。」
キーンは吾郎を抱きしめながら、熱く見つめる。

・・・・誰か、この馬鹿、どうにかしてくれよ〜〜〜〜!!
つか、人間って、みんな、こんなアホなのか〜〜〜〜??

と、その時、下半身に・・・吾郎の下半身は人魚なので魚だったのだが・・・その魚の部分に硬いものが当たっていることに気付く。
「なんだ?これは。」
吾郎は好奇心ゆえ、それをいきなり握りこんでしまった。
「・・・っ!!」
「・・あ、ごめん・・なんだろうと思って。痛かったか?」
「・・・痛いのではない。フフ・・・丁度いい。どこかで奉仕してもらおうか。」
「??」

キーンはどこか陸に上がる事を希望した。
吾郎には陸地の事などサッパリわからなかったので、キーンの言うがままの所へと向かった。

そこは小さな岩場の入り江で、人目を避けることができる場所のように思えた。

そこで吾郎は半身を海に沈めたまま。
キーンは岩場に腰掛けると、前を寛げる。
吾郎は純粋な好奇心から、それをジーーーーーっと見つめた。
「人間って・・・おかしなものが付いてるんだな。なんだ?これは?」
「これは・・・・説明するより、おまえ自身が体験した方が早い。これを咥えろ。」
「はい?」
「咥えろ。舐めろ。吸い上げろ。」
「・・・・・・・・・。なんで?」
「やってみれば分かる。」
キーンはニヤリ・・と笑った。

この顔・・・・ムカつく・・・・・。
しかし、なんなんだよ!どうしても逆らえないような、この威圧感は!!
あーもー!!なんだかよく知んねーけど、咥えればいいんだろ?
で、舐めて吸い上げる?

人魚には無いそこ。

吾郎はしばらくジッ・・・と見つめた後、カプ・・・とそれを咥え込んだ。
「・・・・っ!」
そして、舌で舐めながら吸い上げる。
「・・・なかなか良いが・・・もっと根元まで咥えろ。」
「・・・デカイし長いし・・・無理だ!」
「大丈夫だ。ちょっとコツがあるが・・・色々やってみろ。そのうち何とかなる。
そして手でここに触れ。そっとだ。撫でるように・・・できるか?」
キーンは袋の部分を言った。
吾郎には何がなんだかサッパリだったが
袋に触れ、それを握りこみながら色々角度を変えながら、口いっぱいに頬張ってみる。
そして舌を絡めながら吸い上げる。
または舌でペロペロと舐めてみたり、ねっとりと舐め上げてみたり。

そうして「奉仕」をしている間、キーンは吾郎の頭に手を置いた。
髪をクシャッ・・とするように頭を撫でてくれている。
それが何とも言えず、嬉しいような気持ちが良いような・・・そんな気がして・・・
もっとその大きな手で頭を撫でて欲しくて、必死になって奉仕を続けた。

なにやらさっきより大きくなってないか?
でもって、なんだかさっきからやけに脈打ってないか?これ。
そして・・・頭にある、こいつの手・・・やけに力が入ってきたような・・・・。

「・・・っ!!」

どうしてもキーンの様子がおかしいように思えて
吾郎は思わず離れた。
そして。

「・・・大丈夫か?調子、悪いんじゃねーの?」

吾郎の瞳は、心からキーンの身を案じる瞳だった。
それにはキーンは苦笑するしかなかった。
口の周りには、キーンの先走りの蜜と吾郎の唾液が混ざったものがべっとりついていて。
そんな顔で心からキーンを気遣う。
出会ったばかりで、こんな事を強要したキーンに。

 こいつ・・・。

キーンの心に僅かながら動揺が走った。

「大丈夫だ。それより、お前はコレがなんなのか知りたかったんだろ?ならば、もっと舐めろ。」

冷静を装っているように見えたが、息が荒いのは見ていれば分かった。
吾郎は少々戸惑ったものの・・・
本人が「舐めろ」と言うのだから、きっとその方が良いのだろう、と素直に思い直した。
そして奉仕を再開。


 初めて・・・に決まっている。
 人魚なのだから、それ自体が存在しない。
 しかし・・・・。
 この必死な・・たどたどしい舌使い。
 そして何よりも・・・この、表情。


「っ、・・・・!」

 さて、どうする。
 口の中がいいか、それとも顔に放つか・・・。

キーンは吾郎の顔を伺う。
苦しそうに、しかし一生懸命吸い上げている・・・・この表情。

ドクン・・!!

キーンは吾郎の口からそれを引き抜いた。
そして迷わず吾郎の顔にそれを放った。

「・・・うわ・・、・・・・な、なんだ、これ!?」

生暖かな、白い粘り気のある液体にまみれるその顔。

 なかなか・・・・そそられる・・・・。


キーンは、慌てて海水で顔をバシャバシャ洗っていた吾郎の腕をとって引き寄せ唇付けると。
先程から想像もしてなかったことが起こりすぎて、もはやキス程度では驚かなくなっていた吾郎。
「・・・しょっぱいな・・・。」
「・・そうか?」
吾郎にとってはそれは常に自分を包み込むものであったので、人間との感じ方の差に少々驚いた。
が、その後キーンがとった行動にはもっと驚いた。

キーンは吾郎を抱きしめると、唇をずらし耳元に舌を差し込み
ちゅ・・・と吸われると全身に震えが走った。
「今度は俺が可愛がってやる。」
耳に直接吹き込まれた、ただそれだけの事なのに躯が勝手に反応してしまって、もうこれだけで訳が分からない。
吾郎の初心過ぎる反応に満足しながら、キーンは首筋へと唇を下していった。
そして吾郎の背を抱いた手で背中を軽く触れながら、もう片方の手では乳首に触れた。
「う、うわ・・・、あ・・・・!」

体に未知なるものが駆け巡るような・・どう表現したらよいのか・・・初めての感覚に戸惑ってしまって
キーンを引き剥がそうと思えばできそうにも思われたのに、そうしようとは思わなかった。
甘美な感覚に浸食されていく。

ついにキーンの唇は乳首まで下りてきて、それを丹念に舐めあげた。
もう片方は相変わらず指先でなぶられ続けていて。

「あ、も・・・・ああ・・・っ!!」
「ふふ・・。そんなにイイか?」

揶揄するようにキーンは言うが、吾郎にはそれに答える余裕もない。
第一・・・。

イイ。イイってなんだ?

そんな思考が頭をかすめる程、初心で無知なのだ。

とにかくキーンが与えてくれる刺激が、何とも言えず心地よくて
くすぐったいのに似ているのだが、それとは違う・・やめて欲しいような、もっとして欲しいような。
・・・・・何も考えられなくなる。

感じていることを隠そうともしない・・この吾郎の表情。
隠そうとはしていない、と言うより
初めての感覚に、どうしていいのかわかならい吾郎の戸惑いが伝わってくる。

そんな姿を見せられたら、ますますキーンも後戻りできなくなってしまう。
しかし、人間であればそこにあるべきものが吾郎にはない。
仕方なく、キーンは乳首をしゃぶりながら手を吾郎の下半身・・・魚の姿の下半身に手を伸ばした。
そして女の下肢を愛撫するように、ゆっくりそっと撫で上げてみた。


鳥肌が立つ。
キーンが下半身に触れる、その指先から。
耐え切れなくて、キーンの背に回した腕に力を込める。
意味をなさない喘ぎ声が絶え間なく漏れる。
もう、どうしようもないくらいに・・・我を忘れてしまう。

いつの間にか吾郎は、キーンの膝の上に抱きかかえられるように愛撫を受けていた。
片手は吾郎の背をしっかりと抱いて、もう片方の手は下半身に触れている。
そして唇は時に胸に首筋に、そして唇に、耳たぶへ・・・。

文字通り、キーンの腕の中で悶える吾郎。
何もかも初めての感覚におかしくなってしまいそうだ。
必死に喘いでキーンにしがみつく。

「も、・・もう・・・ああ・・・っ、・・・!!」

ガクガク・・と腕の中で震える吾郎。
それを見下ろすキーン。

──面白い。

キーンは興奮気味に笑みを浮かべた。
このまま続けたら、人魚でもイくのだろうか?
ペニスもないのに・・・射精も出来ずにどうやってイくのか。
女のようにイくのだろうか。
それとも魚のように精を出す?
まあ・・・生き物である以上、ペニスは無くとも穴はあるだろう。

キーンは吾郎の後ろ、人間でいえばお尻にあたる部分に触れて穴を探してみた。
暫くまさぐっていたら・・・・それを見つけることができたので、その入り口にそっと触れてみた。

「うわ、あ・・・、ああ・・・っ!!」
キーンの腕の中で吾郎が跳ねた。


──感じている。

キーンの口角が吊り上る。
キーンは徹底的にそこを攻めてみることにした。

──どういう構造になっているのか知らんが、狭い。
   これでは俺の分身を無理やり突き入れたら裂けてしまう・・・さすがに諦めた方がいいだろう。

頭のどこかでこんなに冷静に分析しながらも
指の第一関節まで入れるか入れないかを繰り返しているだけなのに
自らの腕の中で、悶え喘ぐ吾郎の姿にキーンも我を忘れていった。


──こいつは男だ・・・しかも人魚。
   しかし、この表情、この仕草、この喘ぎ声・・・。
   たまらなく・・・惹きこまれる。
   こいつを抱いた者は間違いなく、誰もがこいつの虜となるだろう。
   手に入れたい、どうしても。
   感じやす過ぎる・・この伝説上の神秘の生き物、人魚を。

「・・・ん、・・・あ、ああ・・・っ!」

──今はまず・・・俺がこの手でイかせてやる・・・・ペニスは無くともイかせてみせる。
   こいつがイく所を見てみたい。

くにゅくにゅ、とそこに挿れた指を動かす。
吾郎を支える腕をさらに回して胸を愛撫する。
小さな痙攣を繰り返す吾郎。
息も絶え絶えな、必死に快楽に耐える、その表情。
不規則にせわしなく呼吸するその唇を塞ぎ舌まで愛撫する。

「・・・っ、・・・・あ、も、・・・キ・・・・!」
「キーンだ。」
名前を呼ぼうとしているように聞こえたので、キーンはそう耳元で囁いた。
「キ・・・っ!!」
「キーンだ。呼べ。俺の名を。」
耳に舌を差し込みながら、甘く囁く。
「キ、・・・キーン・・・・!!」
「そうだ、もっと呼べ。俺の名を。」
「キーン・・・キーン・・・・あ、ああ・・・っ!キ、キーン!!」
    
ガクガク・・と震えるような痺れが吾郎の体中に伝播していく。

──イけ、俺の手で。俺の名を呼びながら。

「キ、キーン・・・・キ、・・ッ!!ああ、ああ・・・・・!!」
「・・・・・そうだ・・・それでいい・・・・吾郎・・・・・。」

低く甘く囁くキーンの声が耳に直接吹き込まれて
それが途方もないほど耳に、全身に心地よくて、我慢できなくて。
何が何だか分からなくて。

吾郎はあらんかぎりの力でキーンにしがみついて達した。
キーンの望んだとおり、キーンの名を呼びながら。

激しい痙攣が全身を襲ったその時、キーンが「吾郎・・・」と囁いてくれた。
それが何故か・・・吾郎はとても嬉しかった。

一方、キーンは恐らく生まれて初めて「絶頂」というものを経験した神秘の生物人魚を腕に抱き、不思議な感動を覚えていた。
絶頂の後、ぐったりと荒い息をする吾郎のこの顔。
人ではない、下肢。
何もかもが艶めかしくて、そこに突き上げるものを抑えることが出来ない。
このまま次へ進めないのが、かなり苦しい。
しかし無理やり挿入できるとは思えない、そこの狭さ。
そして先程奉仕させてしまった以上、また・・・という訳にもいかないだろう。
こんな事なら、奉仕させるのを後回しにすれば良かった・・と密かにキーンは後悔した。

──人魚だろうが、男だろうが関係ない。
   俺はコイツを手に入れたい。是が非にも。
   コイツには・・・男にそう思わせる何かがある。
   俺のものに・・・・・したい。


「吾郎。少しは落ち着いたか?」
キーンは頃合を見計らって、腕の中の吾郎に声をかけた。
「え・・・あ・・・。まあ・・・な。今の・・・一体・・・・。」
「やはり初めてか。」
「初めて?何が。」
「・・・・。お前は先程、初めて絶頂を迎えたんだ。どうだった?気持ちよくはなかったか?」
ニヤリ・・・とキーンが笑った。
吾郎にとっては性的知識は皆無だったが・・・・。
切羽詰まったあの感じ。
やめて欲しいような、もっと欲しいような・・・じんわりと熱く痺れていくようなあの感じ。
たまらないんだけど・・・確かに気持ちよかったような気がした。
しかし、それはとても恥ずかしい事なのだと本能的に感じた。
そしてキーンのこの意地悪そうな笑み。
無性に腹が立つし・・・無性に・・・嬉しいような・・・・・。

「吾郎、実はこの行為には続きがある。もっと気持ちよくなれる。
しかし人魚のままでは、それが出来ない。」
「・・・・・。」
「お前、まだ熱が残っていないか?もっと欲しいと思ってはいないか?」
そう言われて吾郎は頬を染めた。
図星だったのだ。

「先程も言ったが・・・もしも。お前が人間になる代償として声を奪われなりしないようなら・・・・その魔術師に人間にしてもらえ。
そして俺の元へ来い。
侯爵家のキーンだ。ジェフ・キーン。
街で聞けばすぐに俺の屋敷は分かるだろう。
いつになっても構わない。俺はお前を待っている。」
「俺を・・・。」
吾郎はまだ朦朧とした状態が抜けきっていない様子だった。
「真実の愛が得られなければお前は海の泡になって消えると魔術師に言われるかもしれないが、その点は既にクリアしている。
だから。次が欲しければ早く来い。俺の元へ。」

言いたい事だけを言ってしまうと、キーンは乱れた衣服を整えて、吾郎を残して立ち去ってしまった。



──来るだろうか、吾郎は。

しかし、キーンには妙な確信があった。
吾郎は来る。必ず。
キーンが感じたあの感動。
きっと吾郎も感じているはずだ、と。





吾郎はキーンが立ち去った後も暫くは混乱を抑えることができなかった。
あまりに色々なことが起こり過ぎて。
しかし、ここにいても、もうキーンはいない。
吾郎は火照る体をギュッと自ら抱きしめると、海へ身を沈めた。
そして一直線に、ある場所へ向かって泳いで行った。



──Jeff Keene
なんて美しい響きだろう。
まるで音楽のようだ。
Jeff Keene・・・Jeff Keene・・・・

その名前の持ち主も
しゃべるとムカつくんだけど
黙ってさえいれば、まるで彫像のように綺麗な奴。
Jeff Keene・・・Jeff Keene・・・・
その響きに酔ったみたいだ。

キーン・・・お前という海に溺れたみたい・・・・・・。


























一応続く予定ですが・・・

MAJOR裏 top




もう少し先まで書いてありますが
キリが良いので、ここまで。

このキンゴロ編、本編の「人魚の初恋」を書き終えた直後に書き始めました。
キンゴロ妄想も止まらなかったので。
一気に書いて、ギャグとして上げようと思っていたんですが
その当時、色々・・本当に色々あり過ぎて忙しすぎて!
書ききれずに放置していました。

その後の展開はちゃんと頭にあって、書きたい気持ちはあるものの
正直、今更過ぎて
完結させるだけのモチベーションが・・・続かないかもしれません、すみません!!

そんな状態ですが
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!!
(2014.11.11)








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