「なあ、カイ。一緒に暮らそうぜ?」
あれから数日後、再びカイと会った時、俺はそう切り出した。

「・・・・。そうだな。」
カイは異論を唱えなかった。



2年前────。
マイノリティを受け付けないこの国で、俺たちに明るい未来はない。
そう話し合って別れる事にした。

ところが・・・だ。
結局俺にはカイしか・・・カイには俺しかあり得ない。
それを二年かけて悟った。


「で、新居だけどどうする?マンションってーのが一番手っ取り早いけど・・・・。」
「とりあえずはマンションでいいだろう。
追々、良い場所を見つけて新居を建てればいい。」
「んじゃ、決まりだな!BBAにも火渡にも通いやすいところで探そうぜ!」
「・・・・。それなら、既に探させている。」
俺は思わず目を見開いた。
「・・・お前、手、早え〜〜〜〜!」
「・・・・!」
カイは少し怒ったような顔をして、プイ・・と横を向いてしまった。
「プ、プロポーズしたのはお前だろう!・・それは共に暮らすという事じゃないのか!」
そしてカイは横を向いたまま、耳まで赤く染めて言う。
「そりゃ、そうだけどさ。まさか、お前がもう手を打ってるとは思わなかったから。
で、いいのか?火渡の連中になんて説明すんだ?」
「・・・何も言わずとも良い。俺は・・・俺のしたいようにする。
お前こそどうした。臆したのか?」
「・・・・・。誰に向かって言ってんだよ。俺がビビる訳ねーだろ?
それにしても・・・・カイ、開き直ったな?」
俺はニヤリと笑んだ。
「開き直らなければ貴様となど暮らせる筈がなかろう。」
カイもニヤリと笑う。
そして引かれ合うように唇を重ねた。

そうだ。
俺達はマイノリティ。
どんなに頑張って根回ししたって、叩く奴は叩く。
開き直って堂々としているのが、きっと一番いいんだ。



そうして辿り着いたのは、とある高級マンションの最上階。
お互い、最小限の荷物を運び
真新しい家具、電家製品を仕入れ
二人の生活が始まった。











ジリリリリリ・・・・・!
午前7時。
目覚まし時計で目を覚ます。

「・・・・おはよ、カイ。」
俺はまだ眠かったけど必死に体を起こした。
昨夜は嬉しくってつい、ハメ外しちまって遅くまで無理させちゃったからな・・。
カイもかなり眠そうに顔を顰めた。
「カイ、おはようのキス・・・。」
だが、俺が顔を近づけるとカイは少し頬を染めてもう一度瞳を閉じた。

しみじみと・・・幸せだと感じた。
カイと朝を迎えた事は初めてではないが
もう、俺たちはどこにも帰る必要がないのだ。


カイがのそのそと起き上がる。
その胸には幾つかの紅い華。
昨日、俺が付けたヤツだ。
白い朝日の中、カイの白い肌に浮かび上がる紅い華。
急に照れくさくなった俺は、慌てて視線をそらした。

「カイ!えっと・・・その・・・朝飯にすっか?」
「ああ。」
「といっても何にもねーな〜。トーストと目玉焼きでいいか?」
「・・・任せる。」

パンをオーブントースターへ放り込み、熱したフライパンにベーコンと卵。
じゅわじゅわじゅわ〜〜〜!と美味しそうな音。
その間にフルーツとコーヒーを用意する。

「お前にこんな事ができるとは・・・・。」
「まあな。俺んち、男所帯だろ?家事はジッちゃんに叩き込まれた。」
「そうか・・・。」
「まあ、家事は俺に任せときなって!」
「・・・そういう訳には・・。」
「いいって。カイは無理しなくて!俺、こういうの結構好きだし。」
「そうではなく・・。二人で暮らすのだから、俺も・・・何かしたい。」
「・・・・・。いいけど・・・できたらコッチを見て言って欲しいかな〜って。」
そうなのだ。カイはあらぬ方向を向いてしまって目を合わそうとしない。
昔から素直な言葉を吐く時は、いつもこんな感じだ。
だが耳が赤くなっているので照れてるのは一目瞭然なのだが。

「さ、できた。カイは座って座って〜!」
テーブルにはできたての朝食。
朝日の中、ほかほかとした湯気の向こうにはカイの姿。
「何をニヤニヤしている。」
「いや、なんかさー・・・こういうの、いいな〜って思ってさ。」
「何がだ。」
「新婚って感じでさー。」
「!馬鹿なこと言ってないでさっさと食べろ!」
「はあ〜い!いっただきま〜す!」
ムシャムシャと食べて、慌ただしく出勤準備をする。
そんな風景も、本当に一緒に生活してるんだな〜と感じられて嬉しかった。

「じゃ、暫くのお別れだな。」
「紛らわしい言い方をするな。たかが出勤するだけだろう。」
「そうだけどさ、その間、会えねーじゃん。」
「・・・・。」
「カイ、浮気すんなよ?」
「するか!それを言うならお前だろう。お前には前科があるからな。」
カイが不穏な瞳で見上げる。
「あ・・・は、はははは・・・・。ま、アレはアレで、いい経験だったかな?
っつーか、カイ・・・やっぱ根に持ってる?」
「誰が根になど!」
プイ・・とそっぽ向くカイ。
「もう二度としねーよ、あんなこと。俺、カイじゃなきゃ、勃たねーもん。」
「・・!朝から何を・・・!!」
「ホントだぜ?」
そして抱きしめて触れるだけのキスをする。
「続きは帰ってきてからな。じゃ、行ってきます。」
「・・・あ、ああ・・・。」
「そしてカイ、行ってらっしゃい。」
「・・・・。」
カイは少し頬を染めて困ったように瞳を逸らした。
「行ってきます、は?」
「い、行ってきます・・・・。」
消え入るような声で言う。
それがあんまり可愛かったから、俺はもう一度・・・今度は深いキスをした。








「何か良い事でもあったんですか?」
よく聞き知った声に振り向くと
「キョウジュ!久しぶりだな〜、お前が研究室から出てくるなんて!」
「まあ、たまには息抜きしないと・・。
で、何かあったんですか?タカオがそんなに嬉しそうにしているのを見るのは久しぶりです。」
図星されて驚いた。
「・・・良くわかるな〜、さすが幼馴染!」
「タカオが昔から分かり易すぎるんですよ。」
「・・・。まあ・・・いずれ分かる事だし・・・キョウジュには話しちゃおうかな〜。」
「もったいぶらないで早く教えて下さい!」
「じゃあ、耳貸せ。」

ゴニョゴニョゴニョ・・・・。

「・・・ふんふん・・・ふん・・・え〜〜〜〜〜〜っ!?」
キョウジュの声に、フロアじゅうの人がこちらを振り向いた。
「ば、馬鹿!声がでか過ぎるっつーの!」
「だ、だって・・・え〜??」
「ちょ・・・コーヒーでも飲みに行こうぜ?」
そして逃げるようにそのフロアを後しにて、休憩室へ。

「・・・・そうですか・・・・・。さすがの私も驚きました。
でも、ここ1〜2年のタカオは、苦しそうで見るに耐えない状態でしたから・・・・。」
「そうだったっけ?」
「ええ。まあ、他の人には次々彼女が出来て羨望の的に映ったでしょうけど、私の目は誤魔化せません。
なにせ、一番タカオと付き合いが長いのは、私ですからね。」
「そうだったよな〜。キョウジュに出会って、そして次から次へと・・・懐かしいな〜。」
「はい。でも、あの頃から・・一種運命的なものがありましたからね、貴方とカイの間には。」
「・・・・・・。」
遠い目をして幼き日を語っていたキョウジュだが、真面目な顔で俺に向き直ると
「おめでとう!これから色んな人が色んな事を言うと思いますが、私は祝福します。何があっても。」
「キョウジュ・・・・・。」
「頑張って下さい。私にできる事があったら、何でも言って下さいよ?
タカオとカイの為だったら、何でもしますから。」
「ありがとう・・・・。」
キョウジュのあたたかい心に触れて
俺は感極まってガラにもなく、こみ上げてくるものを感じた。
やっぱり心を許せる友というものは尊いものだ。
昔から、俺とキョウジュはいつも一緒だった。
いつも一緒にベイ三昧の日々。
共に語り合い、共に喜び共に泣いた。
そのキョウジュが手放しで祝福してくれる。
キョウジュは涙を拭う俺の背に手を当てて、ゆっくりと摩ると
「どうしたんです?タカオらしくもない。」
「うん・・・俺、誰かに祝福されるなんて思ってもいなかったから・・・はは、だらしねーの・・・。」
俺は泣きながら笑った。
「収まるべくして収まったんですよ。
貴方達の事は誰よりも私が・・いえ、レイやマックスも・・よく分かっていますから。
本当に・・・よかった・・・・。」
「ありがとな?キョウジュ。」
しかし、キョウジュが急に血相を変えた。
「でも、感動している暇なんてありません!これからが大変ですよ?
なにせ初代BBAのメンバーは、今や伝説の人!
中でもタカオはその象徴とされていますし、カイはそれだけでなく、あの火渡の若き社長なんですから!
そんな二人が同性婚しただなんて世間に知れたら、どんな事になるか!!」
「分かってるって。」
「分かってない!!いいですか?大体、昔からタカオの能天気にはつける薬がないくらいで・・・・・!!」
「はいはい・・・。」
久しぶりにキョウジュのお説教が聞けて、俺はなんだか嬉しくなった。










一方、カイ。
「社長、本日の予定ですが・・・・・。」
見るからに有能そうな美人秘書が、今日の予定を読み上げる。
いつもの社長室の朝の光景。
カイは片肘をつき、窓の外に視線を向けつつ秘書の声に耳を傾け、自らの記憶と照らし合わせていた。
「・・・以上です。」
「わかった。」
「早速ですが社長・・。」
「その前に・・。昨日、転居した。」
「転居?火渡のお屋敷を出られたのですか?」
「ああ。住所等、必要事項はここに書いておいた。書類の訂正を頼む。」
カイはそう言って、小さなメモを秘書に渡した。
「わかりました。・・・差し出がましいようですが、新しいお住まいはマンションのようですね。セキュリティは万全でしょうか?」
「ああ、問題ない。」
「社長にもしもの事がありましたら私共は・・・。」
「くどい。」
「・・・申し訳ございません・・・。」
「では仕事にかかろう。まずは・・・。」
「はい、この書類を・・・。」
書類を受け取るカイ。
その表情が・・・ただでさえ整った顔立ちは美しく、どこか近寄りがたい程高潔であったが
今日のカイはそれに加えてどこか楽しげで、そして差し込む陽射しのせいだろうか輝いて見えた。
秘書は思わずハッ・・とし、書類に目を通していくその姿に見惚れた。
秘書は心の中で首を振る。
───社長の女嫌いは有名。事実、自分もそれとなく近づいてみたが見事に無視された。
だが、しかし・・・。
カイは書類に次々目を通しながら時折、微笑むような表情をした。
そんなカイを秘書は今まで見た事がなかった。
幸せそうに微笑むこの若き社長の、なんと美しい事だろう。
自分は社長の相手ではない。
それは分かっていても・・・
この美しい光景を目にしているのは今、自分だけなのだ・・と思うと、それだけで秘書は幸せを感じてしまった。

カイはふう・・と溜息をつく。全ての書類を片付けたのだ。
「次は会議だったな。」
「はい、○○会議室です。」
それを聞くと、カイは無言のまま席を立った。
秘書はカイのすぐ後ろをついて歩く。
エレベーターの扉が音もなく開いた。
「失礼ですが、社長。」
「なんだ。」
「何か良い事でもあったのですか?」
「何故そう思う。」
「いえ・・・表情がいつもより明るく感じられたので・・・。」
それを聞いたカイは自然、口元が緩むのを感じた。
秘書はカイの後ろに控えている為、それが見えない。
「・・・・。何もない。」
「・・・そうですか。」
「私語は慎め。」
「はい・・・。失礼いたしました。」
目的の階へ到着した。
エレベーターの扉が開き、会議室へ颯爽と向かうカイ。
書類を抱え、カイの後ろから秘書が続いた。












「カイ〜〜〜〜!!お帰り〜〜〜〜!!!」
俺が玄関を開けると、待ってました、とばかりにタカオが飛びついてきた。
「うわ・・・!やめんか!!」
「だって〜!俺、カイに会いたくて会いたくて〜〜〜!!」
「わ、わかった!わかったから!!」
帰るなり顔中にキスの嵐を降らせるこの男。こいつが俺の生涯の伴侶。
「カイ、変な男に言い寄られなかったか?襲われなかったか?俺、もう心配で心配で!!」
「そんな物好きなヤツ、貴様以外にいるか!」
「そんな訳ない!だってカイ、無茶苦茶綺麗だし色っぽいし!その辺の女なんか、お前の敵じゃねーもん!」
「・・・・・。」
訳の分からない事を馬鹿面でほざくこの阿呆・・・。
「でも良かった〜〜〜!!カイが無事に帰ってきた〜〜〜!!」
うるうるの瞳で万歳している、この正真正銘の馬鹿・・・・。
「・・・戦場へ出向いたわけでもあるまいし。無事帰ってくるのが当然だろう。」
「違う違う。カイの唇・・・。」
そう言ってタカオは熱い唇付けを・・・。
「そして貞操が無事だったって事・・・。」
そう言ってズボン越しにそこを・・・・。
「俺、無茶苦茶嬉しいぜ?」
だが耳元で囁かれ、俺は・・・。
「カイ、なんだかんだ言って・・もう元気じゃねーか。」
タカオがチラリ・・と俺を見てニヤリと笑った。
「!!」
「カイ・・ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・・・俺??」
俺は思い切りタカオの頬に拳骨をくれてやった。
「うっ・・・げ・・・・・っ!!」
「・・・・飯だ!!」
「・・・わかりました、ご主人様ぁ〜〜・・・・・・!!」
タカオがぶっ倒れて体をピクピクいわせながら、かろうじて答えた。











「そうか、キョウジュが・・・・。」
「ああ。俺、すっげー嬉しくなっちゃって。」
カイも昔を思い出したのか、幸せそうに微笑んだ。
「な、カイ。またあのメンバーで会いたいな。あいつ等、今頃どうしてるだろう・・・?」
マックスは母親と共にPPBで共同研究をしていると聞いていた。
レイは・・・きっとまだ世界中を渡り歩いていて、自らを鍛え上げているのだろう。
そしてキョウジュと俺はBBAに、カイは火渡の社長だ。
「またあいつらと、くったくたになるまでバトルしてーな〜!
カイとも全然バトルしてねーし。どうだ?今度の休みにでも。
結婚式はできねーけど、結婚バトル?な?やろーぜ?」
「・・・・バトルは良いが、そのネーミング・・なんとかならんのか。」
カイが呆れ顔で言った。
「じゃあ新婚熱々バトル?なんかエロいよな。スタジアムでヤッちゃいそうだぜ・・・。」
ニカニカと俺が笑うのに、カイが溜息をついた。
「・・・ったく・・・何故俺は、こんな馬鹿など・・・。」
「なんか言ったか?」
「・・・いや、いい。」
カイは長々と、溜息をついた。





「カイ・・・。」
本当は一緒にお風呂に入りたかったんだけど、カイが嫌がったから別々に入って
そしてその後は・・・・。
「・・・まさか毎日スる気じゃないだろうな?」
「え?当然そのつもりだけど?」
俺があっさりと答えると、カイはまた溜息をついた。
「タカオ・・・。俺達は社会人だ。そうだな?」
「とーぜん!」
「翌日の仕事に差し支えては困る。」
カイはキッパリと言った。
それで俺が考え直すと思ったようだが・・甘いぜ、カイ!
「じゃ、平日は早めに終わらせるよう頑張るから。とりあえず食事が終わったら、すぐ風呂な?」
「そういう意味ではないと・・・・分からんのか〜!!」
カイがドランザーを構えた。背後には炎が朱雀が!
「ああ、ちーっともわかんねーな〜!!」
俺もドラグーンを構える。俺の背後にも竜巻が、青龍が!
不適に微笑む俺とカイ。殺気が寝室いっぱいに立ちこめる。
カイのあの瞳、もうゾクゾクする・・・たまんね〜!!
カイ、やっぱお前は最高だぜ!
俺はこのままバトルっていうのも悪くないかな〜と、そう思った時。
先に腕を下ろしたのはカイだった。
「・・・・止めておこう。あまりにも下らん・・・。」
「なんだ、せっかく久しぶりにカイとバトルできると思ったのに。」
俺はちょっとがっかりした。
「俺達が本気で戦ったら、この部屋どころかマンション自体が倒壊する。」
「ちぇ、つまんねーの!じゃ、今度の休みは絶対バトルな?
で、それはいいとして・・・さっさとヤる事ヤって、さっさと寝ようぜ〜?明日の為に!」
笑顔全開で提案すると、カイはやっぱり盛大に溜息をついた。
「なんだよ〜、その態度!ま、いいけどな。3秒でその気にさせてやるから。」
俺はカイの返事を待たずして、力いっぱい抱きしめて唇を押し付けた。
そしてカイの舌を追い、絡め・・・。
「ん・・・ふ・・・・ぁ・・・・っ!」
ゆっくりと絡ませて摩り合わせ・・・途中からカイは苦しそうにもがいたから
俺は一瞬だけ酸素を吸い込む間を与えただけで、また唇を押し付けた。
後頭部をがっちりと掴んで離れないようにしながら、俺はカイのパジャマのボタンを片手で外していった。
そして尚も舌を絡ませながら、胸の飾りを指先で触れると・・。
「あ、・・・ああ・・っ!」
カイが耐え切れず唇を離すが、俺はそれを許さない。
「ダメだ・・。」
そして有無を言わさず唇を押し付ける。
舌が縺れ合う感触と、胸の突起に触れる指先と。
カイが堕ちていくのが、手に取るようにわかる。
でも堕ちるのはカイだけじゃない。
俺も・・・一緒だ・・・・・・。
感じるほどに激しくなる吐息、すがる舌、そして熱く火照る躯。
全身で俺を求めてくる・・・カイ。
滑らかな象牙色の肌、折れそうな細い腰からは華奢なイメージを受けるが
体は鍛え抜かれていて程よく筋肉がついていて、とても・・・綺麗だ。
たまんねー・・・。
マジ、たまんねーぜ・・・・。










翌朝。
「木ノ宮・・・・・。」
再会してカイにプロポーズして以来、カイは俺のことを普段でも「タカオ」と呼ぶようになっていたのに
久しぶりにその呼び名を聞いた。
だが、懐かしんでいる場合ではなさそうだ。
現にカイの声には不穏な色が混じりまくっている。
恐る恐るカイの顔を見てみたら、思わず悲鳴が漏れた。
「ひ・・!ま、待て、カイ!話せばわかる!!」
「この色情魔が・・・。ヤる事ヤって、さっさと寝る・・・貴様、確かそう言ったな?」
目覚ましに叩き起こされたカイ、開口一番がコレだ。
「え・・っと・・・・は、ははは・・・・!
だってよー、カイがあんまり色っぽかったから、つい・・・・。」
俺は笑って誤魔化そうとしたが、その手は通じないようだ。
カイの紅い瞳が、しっかりと据わっている。
「今夜はシない。いいな?」
「ゴメン!カイ!今度こそ早めに終わらせ・・・・。」
「何度も言わせるな・・・・・。」
俺に最後まで言わせず、カイが鬼気迫る表情で念を押した。
「は、はい・・・わかりました・・・・・・。」
なんだよ〜、カイだって感じまくってイきまくってたくせに〜・・・とブツブツ文句を言いながら重い体を起こすと
「何か言ったか?」
またしてもカイに睨まれて、引き攣り笑い・・・・。
穏やかな朝の時間が過ぎていった。




















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裏ベイ部屋へ









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