サァーーーーー・・・・・。
熱いシャワーがカイの体に降り注いでいる。
もう、随分前から。
シャワールームを出たら、金の瞳の虎男が待っている。
が、いそいそと喜んで出て行く気には、どうしてもなれないのだ。
その事自体は初めてではない。
しかし、ハッキリと覚えていない。
おぼろげな断片が、混沌とした暗い記憶の中に散らばっているばかりだった。
この・・・這うようなおぞましさ。
・・・・・・・。
ならば何故、承諾してしまったのか。
──わからない・・・・・。
カイは溜息をつくと
意を決してシャワーを止めた。
幾らなんでも、永遠に浴びている訳にもいかない。
──あんなもの・・・・目を閉じていれば、すぐに終わる。
レイと、薄ぼんやりとした記憶の奥底のモノが同じだとは思わなかった。
思わなかったが
何故、結局同じ所へと辿り着く・・・・・。
そんな事を考えながら、カイはバスローブに袖を通した。
カチャッ・・・・。
シャワールームのドアを開けると。
同じくバスローブ姿で、ベッドに腰掛けたレイがいた。
驚いたことに、あのレイが強ばった顔をしていた。
ひどく緊張しているのが一目でわかった。
色恋沙汰には、あんなに手馴れたレイが・・・・。
「カイ・・・。」
その声も、微かに震えている。
そんなレイに、カイは目を奪われた。
──違う・・・・明らかに・・・・・。
記憶の底のモノは、こんな澄んだ瞳でカイを見る事などなかった。
よく覚えていないが・・・もっと、卑しい・・・淀んだ・・・・。
しかしレイは、真っ直ぐな瞳でカイを捕えている。
カイは瞬間、慄然とした。
心臓が激しく高鳴った。
レイはゆっくりと立ち上ると、カイの肩に手をかけた。
レイが触れたその肩に軽い電撃を食らったような、そんな感覚がして。
「ま、待て・・・!」
とっさに制止を促す声が出てしまった。
「待て・・・待ってくれ・・・・・。」
懇願するかのようなカイ。
戸惑いを隠すこともできない。
レイも極度の緊張で、硬直したままカイを見つめた。
ここまできて、待ったをかけるか。
カイは呼吸を整えながら、必死に言葉を絞り出す。
「やはり・・・やめておこう。」
「どうして・・・。」
「・・・・・。」
「カイ・・・。」
カイの、この苦渋の表情。
ここまで来て臆したとは思えない。
初めてなら、いざ知らず。
では一体、何故・・・。
「俺はカイが好きだ!どうしようもないくらいに。
だから抱きたい。それでは・・・ダメか?」
「・・・。だからだ。」
「え?」
「・・・だから・・・・お前は、俺などに係わるべきではない。」
「何を言って・・・。」
「俺は・・・・・・・。」
──こんな、真っ直ぐな瞳に・・・どうやって、抱かれたらいい・・・・・・。
悲愴な想いに揺れる紅い瞳に、レイは思わず息をのんだ。
そして、言葉もなく唇付た。
柔らかな、一瞬─────。
抱きしめて、そのままベッドへとなだれ込んで。
「カイ・・・ッ!!」
「・・・・ダメだと、言ったろう・・・!」
「ダメだ、・・・、もう、逃がさない・・・!!」
唇付て、唇付て、唇付けて。
二度と「やめておこう」なんて言い出さないように。
昼間、キスしたあの時のように、絶対に有無を言わせないように。
舌を絡めながら、バスローブを肌蹴ていく。
腰の紐をほどく。
露わになる、白磁の肌。
「・・・!」
綺麗だった。
カイの体は。
「カイ・・・・。」
恍惚と見つめながら、レイも自らのバスローブを脱ぎ捨て
生まれたままの姿で、しっかりと抱きしめた。
「カイ・・・・。」
いつもは抱きしめても、それを隔てる布の存在があったが、今は。
触れあう素肌が、しっとりと吸い付くようで。
あたたかくて・・・心地よくて・・・・・。
「カイ・・・・。」
むさぼるように掻き抱く。
愛おしさが込み上げてきて止まらない・・・。
それから、レイはようやく少し顔を上げた。
息がかかるほどの距離で見つめ合って。
「カイ・・・好きだ・・・。
好きで好きで・・・もう、抑えられない・・・・。抱いても・・・いいか?」
それは最終確認。
今までのレイであれば、事ここに至って同意を求めるなど有り得ない事だ。
それはやはり、先ほどのカイの発言が心に引っかかっていた事もあった。
好きだからダメだ、とはどういう意味なのだろう。
カイはレイが思うよりも、ずっと深刻な何かを心に抱えているのかもしれない、が・・・。
でも・・・だからこそ、抱きたい。
どんな時も、カイを想っている・・・強く、強く想っている・・・・。
それは必ずカイの力になってくれるはず、だから・・・・。
・・・・。
だが、それは・・・確かに本心ではあるが、建て前かもしれない。
本当は、ただ・・・・。
カイを抱きたい。
何を押してでも、カイを抱きたい。
抱きたくて抱きたくて、気が狂いそうな程に。
レイの気持ちが、恐ろしいくらいに伝わってくる。
美しい金の瞳。細い瞳孔。
鬼気迫る・・・吸い込まれそうだ。
この状態で、この体勢で。
こんな瞳で、こんな事を言われて、一体なんと答えればいいのか。
こんな真摯な愛に、なんと応えれば・・・・。
──これ以上は、無理だ・・・・逆らい切れない・・・レイへも、俺自身へも・・・・。
カイは観念したように、フッ・・と瞳を逸らした。
「・・・・。好きにしろ・・・。」
言うや否や、レイはカイの首筋に食いついた。
「・・、・・・っ!」
散々お預けをくらって、もう我慢しきれないと言わんばかりに、貪るように。
首筋から耳へ、噛みつくように唇を、舌を這わせ・・・。
カイの匂いが鼻先をくすぐる。
カイの肌を旨いと感じる。
息を殺して耐えるカイが、たまらなく・・・・・・。
やっと・・・やっと、抱ける。
百戦錬磨のレイが、たったこれだけの事で感極まってしまった。
カイに本気で惚れてしまっている自分を、レイは改めて再認識した。
だからといって、がっついてはいけない!と肝に銘ずる。
少しずつ、少しずつ・・・・。
そうして、ゆっくりと辿る舌を下の方へ。
鎖骨に沿って舌先で辿り
少し下がって、その柔らかい肌をちゅ・・・と吸い上げ
服でギリギリ隠れてしまう部分に痕をつけて。
──旨い・・・・。
カイにしてみれば、たまらない。
いち早く性感帯に触れてくれた方が、諦めもつく。
そんな所ばかりを、いつまでもキスされて舐め回されて
それなのに甘い痺れを感じてしまって。
だんだんと、中心に熱が集まってきているのが分る。
胸の・・・その部分が硬くなっていくのも。
なのに、いつまでたっても触れてもらえない、もどかしさ。
が。
その硬くなった乳首を、レイが今、舐め上げた。
「・・ん、・・・っ・・・!」
突然の甘い刺激に思わず声が出てしまった。
そんなカイに、レイは嬉しそうに笑みを浮かべる。
そしてウットリとそれを眺めつつ、まるで飴玉をしゃぶるように舐め回し始めた。
もう片方の乳首は、指先でなぞったり転がしたり。
カイは必死に息を詰めて、レイの施しに耐えた。
ねっとりと舐め上げるレイの舌のざらつきがたまらない。
そんなものにまで敏感に感じてしまう。
舌で、指先で両方の乳首を弄られて
ぴちゃぴちゃと濡れた音が響いて、滑らかに浸食されて
全身に甘い電流が粟立つように伝播していくのを、どうしても止められない。
まだ、胸なのに。
「カイ・・・かわいい・・・・。」
「な、・・・!!」
男が、可愛いなどと言われて嬉しい筈もなく。
しかし、抗議する余裕すらカイにはない。
一方レイは、感動していた。
──感じている・・・カイが・・・・・。
俺の手で・・・俺の舌で・・・・・。
あのカイが・・・・こんなに・・・・・。
昂ぶっていく自分を抑えられない。
レイの下で、息絶え絶えに悶えている、カイの姿に。
胸でこんなに感じてくれるのなら、ソコに触れたら一体どうなるのだろう?
──見たい・・・もっと・・・俺の手で乱れるカイを・・・・・・。
その欲望のまま、乳首をしゃぶりながら片手を下の方へ伸ばし
カイの中心を指先で、さわ・・・っと撫で上げた。
「・・・ッ、・・・・ぁ・・・・・っ!!」
軽く撫でただけで、ピクッ・・と動く、カイのそれ。
そして触れるか触れないかの微妙な手つきで、優しく優しく撫でていく。
「・・・、・・・っ!」
胸とそこと。
両方からの刺激に。
カイのソコは、少しづつ甘い蜜を漏らし始めてきて、レイの手を濡らした。
撫でる手つきはそのままに、親指の腹で先端をグリグリと摩ってやると。
「・・・、ぁ・・・・っ!」
それでも声を何とか殺して必死に堪えるカイの姿と
レイの手の中で、震えながら蜜を零しているカイ自身が
可愛くて・・・切なくて・・・・。
レイは導かれるように、カイのソレを口に含んだ。
「・・・・っく・・、・・・〜〜〜〜・・ッ・・!!」
突如、生暖かいものに包み込まれて
もう、それだけで、どうにかなりそうだ。
舌と、唇が、絡みつく。
ソコに・・・。
唇を窄めて吸い上げられて
そうかと思えば筋や窪みに沿ってチロチロと舐められて。
レイの舌先の動きを敏感に感じてしまい・・・。
温かな口内・・・甘く、緩やかに・・・・。
単調に、だが確実に昂じさせられていく、この感覚が・・・・
もう、どうにも後戻りできないくらいに・・・・・・!!
「・・っ、・・・も・・・・!」
カイの艶のある声に、レイは嬉しくなった。
もっと聞きたくて、もっと感じて欲しくて、夢中になってカイのソレをしゃぶり、袋の部分を撫で上げる。
じれったくて、もどかしくて
もう・・・・わけがわからなくなってしまって。
「・・・ッ!・・やめ・・・ろ・・・・・!」
──このままでは・・・っ!!
カイはレイの頭を押しやるように懇願するが
押しのけようとしながらも、結局は縋り付いてしまう。
そんなカイの申し出はあっさり無視して、レイはカイの中心をしゃぶり続けた。
美味しそうに・・・アイスキャンディーをねっとりと味わうように。
口の中のカイが、脈打っている。
BBA最強の男である火渡カイと
今、レイの口の中で震えながら舐め尽くされているカイとのギャップが
たまらなく・・・・愛おしくて・・・・・。
「は、放せ・・・・早・・く・・・ッ!!」
切羽詰まった、カイの叫び。
そろそろか?
そう思ったものの、そこでやめるレイではない。
レイの頭に縋り付くカイの手に、更に一層力が込められたと思ったら
レイの口の中で、ドクドクッ・・・とソレが波打ち
次の瞬間、カイが弾けた。
溢れ出るそれを、レイは迷まず飲み込んでみせる。
「・・・。美味い。」
「・・・・!!飲むな、そんなもの・・・ッ・・!!」
ニカッと笑うレイ。
カイは羞恥に耐え切れず、クッ・・と目を逸らした。
するとレイは、あとから洩れ出た蜜までも舐め清めにかかったのだ。
どこか神聖なものに触れるように、丁寧に。
「・・・バ、バカ!なにを・・・・する、気だ・・・ッ!!」
「なにって・・・カイの全てを・・・逃したくないだけさ。」
「・・・!!」
「俺の、手で・・・感じてくれた・・・証、だから・・・・・。」
恍惚と、囁きながらカイのそれを清めていく。
「ク・・・ッ・・・。」
──何故・・・・・・。
ピチャ・・ピチャ・・・。
レイはわざと音を立てて、それを舐め清めていった。
カイの、大きく上下する胸までが愛おしい。
荒い息を整えようとするが、やはり息絶え絶え。
放った直後でも尚、舐め続けられて、敏感すぎる全身が言う事を聞かない様子が一目で分かる。
ビクビク震えながら、ひたすらレイの為すことに耐えている。
清めの行為がひと段落すると
カイは、ようやくソコから離れたレイを見上げた。
荒い息遣い、乱れた髪、朱に染まった目元、涙の滲んだ紅い瞳でレイを見上げる。
ドクン・・・!!
そんなカイの姿に、レイの中の何かがぶっ飛んだ。
──今すぐ突き入れたい・・・・・!!
激しい欲望が脳天を直撃したものの。
──まだ・・・ダメだ・・・・!!
驚異の忍耐力でもってグッ・・と抑え込み。
──今、突き入れたら・・・カイを傷つけてしまう・・・・!!
レイは、何かを抑え込むように、大きく一つ息をつく。
そして無言のまま、カイの足を胸につきそうな程に持ち上げて、後ろの蕾を顕にすると
今度はそこに唇を押し付けて、ピチャピチャと舐めながら唾液を押し込み始めた。
「な・・っ!バカ・・・!やめろ・・・っ!!」
「ちゃんと慣らさないと・・・カイを・・・傷つけたくない・・・・。」
「やめ・・・っ!そん、・・な・・所・・・何故・・・!!」
──舐める事が出来る!!汚いと、思わんのか!!
カイの意が分かったのだろうか、レイは。
「・・・・。カイは・・・綺麗だ・・・とても・・・・・全身、舐め回したいくらいだ・・・・・。」
「・・・!!・・・違う・・・俺は・・・・。」
「違わない。カイは綺麗だ。」
「・・・・。」
断言するレイに、カイは言葉を失った。
一方、レイは指を一本咥え込み唾液をたっぷり付けると、ゆっくりとソコに押し入れ始め・・・。
「・・・〜〜〜〜〜ッ!!・・・や、めろと・・・・!!」
「大人しくしてろ。万一傷つけてしまって、バトルに響いたら困る。いつもお前が言ってる事だろ?」
そう言われては、黙るしかない。
黙るしかないが・・・・。
──耐えろというのか、これに!!
レイはカイの中心に触れつつ、指を軽く出し入れしながらも確実に押し進めていった。
くにゅくにゅと、内壁を摩りながら。
「・・や、・・・・!」
込み上げる切羽詰まった甘い痺れに、堪え続けていた声が思わず漏れる。
「嫌じゃないだろ?」
レイは笑みを浮かべながら揶揄した。
その証拠に・・・
摩りつける度に潤ってくる。
レイを逃すまいと、締め付けてくる。
暫く後に、レイ自身を締め付けてくれるであろう、カイのナカ。
こんなふうに、オレを締め付けるのか・・・と、つい考えてしまう。
そう思うと、埋めた指がレイ自身になったような錯覚を覚えてしまって。
指を締め付けられると、レイのソコが締め付けられているような・・・・そんな妙な感覚がレイを襲い・・・・・・。
熱に浮かされたように、レイの行為は続けられていった。
──こ、こんな醜態・・・!
カイは、歯を食いしばった。
しかし鎮めようと思っても、どうにもならないのだ。
そんな所を無防備に弄られて乱れた姿を晒すことなど、とても我慢できない。
その筈なのに・・・・。
単調な動きで、じゅぶじゅぶと少しづつ奥へ進んでくるレイの指で
意思では制御できない程に、追い詰められてしまって・・・・・。
熱く熟れたソコが、今にも爆発してしまいそうなのに
もっと、もっとと・・・・・・体が・・・いう事を聞かない・・・・・!!
──レ・・・レイ・・・・ッ!!
「っく、・・・・!!」
カイは歯を食いしばるが
レイの指が、ある場所に到達した時。
「・・く、・・は、・・・・っ・・・ぁ〜〜〜〜〜!!」
ビクビクッ・・と痙攣し、カイの体が大きく波打った。
それと同時にレイの指をギュッ・・と締め付ける。
「ここがイイのか?」
しかしカイは、返事をする事などできなかった。
諤々と、意味をなさない声が漏れるばかり。
レイはその場所を、こするように摩ってみると。
「あ、・・・・っ・・・・!!」
カイはシーツを握りしめ、必死に堪えている。
中心部に、熱い血がドクンと一気に流れ込んだ様子が
カイのソレを握っているレイの手に、直接響いてきた。
「・・・・。」
レイの、たった一本の指。
それがカイの中で疼いている、ただそれだけで
あのカイをこんな姿にしてしまっている。
まだ、レイを挿れてもいないのに。
レイはカイの痴態を観察するが。
──すごい・・・俺の方が、おかしくなりそうだ・・・・。
「レ、レイッ・・・レ・・ィ・・・ッ!!」
カイが、初めてレイの名を口にした。
「カイ・・・。」
指の動きはそのままに、うっとりと答える。
「・・、ッ・・!・・っく、・・・!!も、・・は、はや・・・く・・・・・ッ!」
「・・・!!」
催促ともいえる、カイの叫びに。
──カイ・・・・・!!
頭が・・クラクラしてきた・・・・。
・・・・。
限界なのは、むしろ俺の方。
ソコが・・・張り裂けそうで、痛いくらいだ・・・・。
早く突き入れたくて・・・・爆発しそうなほど・・・・・・!!
無駄に長くて、すみません・・・。