don't want to kiss


「……あっ、ン」
「あれ、」
 ずるりと下着が脱がされる。そっと触れた後孔の感触に虎徹は声を出した。
「バニー、ここ自分で解した?」
 難なく虎徹の指を引き入れて、ぐちゅぐちゅと音を立ててかき回される。いつもならもっと丹念に解さなければならないはずのそこは、既にとろけきっていた。
「……あっ、バス、ルーム、で……っはぅ」
 虎徹が泊まりに来て、期待するなというほうが無理な話で、すぐにでもしたいという気持ちが、そんな行為をさせてしまった。
 虎徹がすると、優しすぎて焦れてしまう。それも嫌いなわけではないから、いいのだけれど、性急に求められてもみたいと思っていた。とはいえ、今回の計画は失敗といえるだろうが。
「ほんっと、やらしいうさぎちゃんだなぁ」
 大きくため息を吐いた虎徹に、まずいことをしたかとバーナビーの瞳が大きく震えた。
「ごめ、なさ……」
「ちげーって。おじさんをあんまり煽んなってこと」
「んんっ」
 ずるりと抜けた指の代わりに押しあてられたのは硬くて熱い、虎徹のペニスだった。一度吐き出したことで萎えたはずのそれは、いつの間にこんなになっていたのだろう。
 抵抗なく、先端が押し込まれる。
「なにこれ、……ヤベ」
 ずるずると奥に引き込むように収縮する後孔は、まだ足りないと虎徹を締め付ける。
「バニー、奥、キツい」
 解したのは浅い場所だけだった。自分で奥まで指を入れるのは怖くて、なんとか入れた1本だけで中をキレイにした。
 慣れたところで増やした指はそれでも第一関節程度までしか入れられなかったのだ。
「もっかい、解す?」
「ダメ、もう、まてま、せん……」
 申し訳なさそうに眉じりを下げて、抜こうとする虎徹の腕をつかんで懇願した。
 ジンジン疼く奥を、擦って、気持ち良くしてほしい。痛くても、構わないから。
「だから……、煽んなって、言った、ろ!」
「んああッ!」
 遠慮なく、深く差し込まれて、一瞬ちかちかとスパークしたように目の前が白くなった。
 擦られた内壁が、痛いはずなのにそれよりも悦びを掬い取る。一つに溶け合う、悦び。
 ガツガツと奥を抉られるように突かれ、縋る場所を求めたバーナビーの手のひらは、シーツを掴んだ。
「優しくできなくて、ゴメンな」
 切羽詰まったように汗を流しバーナビーを見つめる瞳は、それよりも欲望に溢れているように見えた。
「あなたは、……いつも、ッァ、優し、……ンッ」
 だからたまにはこういうのも構わない、と言いたかったのだけど、それはこらえた喘ぎとともに飲み込んでしまった。
「優しいのと、っは、優しくないの、どっちのがいい、……の?」
 そんなことは愚問だと、何故わからないのか。もしかしたら虎徹も自信がないのかと、そんなことがぼんやりした頭に浮かんだ。
 受け入れられることが奇跡だと、思ったことがある。今では、こんなふうに繋がることも当然のようになってはいるが、触れることすらままならない時期もあった。しかも、彼からのスキンシップは異常とも思えるくらい多くて、バーナビーが限界を超えるのはそう難しいことではなかった。
「……バニー、つらい?」
 ああ、そうではないのに。
 深く思考の底に潜り込みそうになったバーナビーを虎徹が留めた。
「いえ、ちょっとトんでただけです」
「ちょっとって、お前……」
「善すぎて、と言えばいいですか?」
「……余裕あんな、まだイってないのに」
 ぐいと汗を拭う虎徹に見惚れる。さして暑くもないこの部屋で、汗を流して、互いに求めあって、ああ幸せだなと思った。
「なくせよ、」
「あっ、は、……っ」
 バーナビーの中心を握り、虎徹はグラインドを再開する。
 握りこまれたそこは激しく擦られて、すぐにでも達してしまいそうだ。
「ああっ、こてつ、さんっ……もっと、ン」
 腕を虎徹にのばして、首に巻く。本当はこうしたらつらいのだけれど、少し優位に立てる気がする。背を引っ掻いてみたり、引き寄せてみたり。
「ぅん、ふ、こて、……さ」
「どした、……っわ」
 キスがしたい。
 ガクガクと揺らされるまま虎徹を引き寄せ目を閉じる……が。
 その軌道はずされ、虎徹の唇が触れたのは耳だった。意図が伝わらなかったのかと思い、こんどはちゃんと言葉で伝えようとしたとき。
「バニー、……好き、だ」
「っ、ア」
 息を吹き掛けるようにそう告げられ、ぞくりと背が痺れたように感じた。
 重ねられた身体のせいでバーナビーのペニスは自分と虎徹の腹に擦られて限界を訴えている。
「かわいくて、好き」
「僕も、っあ、……すき、」
 ぎゅっと、強く抱き込めば、角度を変えた虎徹のものはバーナビーの感じる場所を擦る。
 気持ちいいと伝えるように、きゅうきゅうとそれを締め付ければ、虎徹からは苦しそうな息が漏れる。
「あ、あ、でちゃ、……ンッ、いき、そっ」
「イけよ、」
「ひ、あああっ!」
 殊更激しく穿たれ、バーナビーは吐精した。それでも抽挿は終わらず、ガクガクと力の入らない身体は揺らされるままに受け入れる。
 汗と精液のせいでふたりの身体がペタペタとくっつくような感覚がする。
 もう、痛いも気持ちがいいもあまり感じられなくて、ぼんやり虎徹を眺めた。
「ばに、はっ、出すな、……ん、くっ」
 こくりと首だけで返事をすれば、ずるりと抜けた性器の感覚のあと、腹にかかる熱い飛沫。自分のものと交ざりあって、ともすれば虎徹がたくさん出したように見えて少し面白い。
「っはぁ……バニー、なんで笑ってんの」
「ふふ、だって、お腹ぐちゃぐちゃ」
「お前のせいだろ?」
 虎徹はニヤリと笑い、額に口付ける。
「ホント、バニーちゃんってエロいよな」
 くすぐるように髪を撫で、色気を纏った声が耳を犯す。びくりと、身体が震えてしまう。
 いやらしい、えろいと言われ続けて、本当にそうなってしまったように感じる。しかしそれは虎徹のほうだと、バーナビーは否定する。
「お腹拭くから動くなよー」
 もう零れてしまっているのだから、シーツで拭けばいいのにとも思うけれど、今から新しいシーツを用意するのこそ面倒なので、素直に虎徹の言うことを聞く。
 寝そべったまま、ティッシュでごしごしと擦られていると、だんだん眠気が襲ってくる。
「まだ寝んなよ。脚あげろー」
「……はい、ふ、ぁ」
 小さくあくびをした。
「お子ちゃまなバニーちゃんもかわいいでちゅねー」
「……僕はおとなです」
 眠くて、言い返すのも億劫だ。粗方きれいにはしてくれたのだろう、ごろりとバーナビーの隣に寝そべった虎徹は、バーナビーの頭をくしゃくしゃとかき回す。
 それから、落ちる寸前のまぶたと鼻先に優しいキスを落として、おやすみ、とささやいた。
「……ン、」
 いつもはもっとスキンシップは激しいのに、妙だなと感じたけれど、満足感と解放感と倦怠感に、バーナビーの意識は沈んでいった。

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