寒い冬だと言うのに、家の中では服を着ていない事の方が多かった。

 邪魔するものも居らず、風呂場でも、トイレででも、盛ればいつでもどこでもセックスをする。

寝る間を惜しんでお互いを貪りあい、食事をするのもめんどうくさくて、適当にかきこんでは、またセックスをする。

いくらなんでももうやめようと二人で反省して大人しくTVを見ていても、ふと触れた手や、絡み合う目線が合図になって、相手を押し倒す。

 さすがに受け入れる側のひろゆきの体が耐え兼ねると、控えるどころか、スマタを教え込んでまたセックスをする。

 体の上で乾いた精液を綺麗にする前にまた精液がかかり、適当に拭いたままだらだらと昼すぎまで寝て、起きたってセックスしかしない。

 お互い以外の誰にも会わず、喋らず、二人だけでひたすらセックスをする。

 何日もそんな生活が続いた。




「天さんが、僕の全てになってしまうのは怖い」

 裸のひろゆきが、ぽつりとつぶやいた。

 セックスしたあとの煙草を楽しんでいた天が、ん? と振り返る。

 時刻は明け方。

 一度寝る前にセックスした後、夜中に目がさめたひろゆきが、天を揺すり起こしてまた求めたのだ。

「僕、どんどん駄目になってくなぁ」

 そう言いながら、辺りにちらばった自分や天の服を引き寄せ、綺麗に畳む。

 明け方の薄闇の中で、天の煙草の先のオレンジの光が綺麗だった。それを見ていると、急に不安にかられる。

こんな生活が長く続くはずがない。このままでいいはずが無い。

 そんな事は判りきっている。

「試験も近いっていうのに、予備校もずっとサボっちゃってるし……」

 独り言のようにそう言って、服は着ようとせずに、裸のまま立ち上がり、ひろゆきは台所へ行く。コップを取り、水を注いで飲んだ。

 大きくため息をつく。

 台所の洗い場の上に小さな窓があり、手をのばしてその窓を開けた。冷たい風が吹き込み、ぶるっと身を震わせる。寒かったが、篭った部屋の空気が嫌で、しばらく閉めずに外を見る。

 窓から、道を走る新聞屋の原付が見えた。こんな時間から働いている人と、セックスに溺れている自分を比べ、さらに憂鬱になる。

「行かなきゃ駄目だろ。ひろ、あんなに毎日勉強してたじゃないか。気がつかなかった俺も悪かったけどさ」

 後ろから声がして、天の手が伸び窓を閉めた。

 ひろゆきが振り返ると、天が少し怖い顔をして立っている。

 ひろゆきの言葉に、天は今が試験を控えた大事な時期だった事を思い出して舌打ちした。たとえ天が行くなと引き止めても、ひろゆきは予備校に行かなければいけなかったのだ。

「そうなんですけど……」

 天の声に、かすかにひろゆきを責める色が混じっているのを感じ。ひろゆきが口篭もる。

「天さんみたいに生きるのは僕は出来ないと思っていたけど、それも良いなって思いはじめている自分が怖い」

 ぽつりと、小さな声で呟く。

 天のように定職に付かず、毎日面白おかしく遊び暮らしてはたまに麻雀を打って金を稼ぐ。

そんな生活は自分から最も遠いと思っていたし、絶対に嫌だと思っていた。

 今まで、勤勉と規則正しさを尊ぶ真面目な生活を送ってきた。たまに麻雀で小遣い稼ぎをする他は、どこにでもいる普通の学生だったし、その中でもかなり真面目な部類に入っていると思う。

 いや、今では、入っていた。と言った方が正しい。

 好きなときに寝て、起きて、まともな食事もせずにセックスしまくる堕落した生活など、以前の自分なら信じられないと言い、軽蔑するだろう。

だが、今のひろゆきは自堕落な生活をする事に慣れてしまい、やらなければいけない大事な事を捨ててこの生活にどっぷりと浸かることに抵抗を感じなくなってしまった。

抵抗を感じなくなったというのが一番怖い。このままずるずるとどこまでも落ちていきそうな気がする。

「僕にとって、麻雀でお金を貰うって言っても、小遣い稼ぎ程度だったんですよ。それが、ほんの二、三時間打っただけで、百五十万……。そう思うと、真面目に勉強する意味って何なんだろ? とか思っちゃって……。駄目だって判ってるんですけど」

 ひろゆきが俯いてそう言った。

 本来なら、ひろゆき位の年頃の子が百何十時間もアルバイトをして得る金額を、ほんの数時間で手に入れる方法を見つけてしまった。結局その金は天に使われてしまったのだが、一度味をしめてしまうと、また次を望んでしまう。

 麻雀の好きなひろゆきにとっては、麻雀を打つこと事態が楽しいと言うのに、おまけにおもしろいほど金が手に入るのだ。

 それは、強烈な誘惑だった。

 ひろゆきは、麻雀で金を得る事を小遣い稼ぎの延長位にしか思っておらず、自分が裏の道へ裏の道へと進んでいる事に気が付いていない。戻ろうと思ったら、いつでも戻れると甘く考えている。

「僕、自分がこんなに弱いなんて思わなかった」

 ため息をつくひろゆきに、天が近づいた。

「ひろ、楽して手に入る金なんて、碌なもんじゃねえぞ」

「判ってます」

「判ってない」

 目を伏せて、ふて腐れたように言うひろゆきにいらつきながら、天がきっぱりと言った。

 ひろゆきは、気楽に見える天がなぜわざわざあんないかさまをして勝つのか、全く考えていない。

 なぜわざわざ殴られるのか、全く見えていない。

 ひろゆきは、まだ一度も裏の世界の怖さを知らない。

 人間がどれだけ汚いか、どれだけ簡単に堕ちるのか知らない。

ひろゆきのように、利用できる能力を持っている世間知らずの素直な子供は、格好の獲物だろう。

暴力で、脅しで、恐怖で、セックスで、薬で、借金で、どんな手を使ってでもひろゆきを利用しようと思っている悪人がいる事を知らない。

この世界で生き抜くのなら、自らも悪人にならなければならない。平気で人を騙し、誰がどんな目に会っても平然と笑えるくらいの神経がないと、良心の呵責に耐えられずにいずれ自分が壊れる。

俺みたいにな……。

天が、心の中でそう呟いた。

ひろゆきを、自分が会ったような酷い目にも辛い思いにもあわせたくないし、人を騙して平気でいられるようなひろゆきを見るのも嫌だ。

天は、ひろゆきのまっすぐな素直さを貴重だと思う。それは簡単には手に入れられず、下手をすればすぐに失ってしまうものだ。天が惹かれたそれがどれだけ貴重かひろゆきは判っていない。ひろゆきが幾ばくかのはした金でそれを失ってしまう事を、天は一番恐れている。

戻れなくなってからでは、失ってからでは遅いのだ。

「俺はさ、こんな生き方しか出来ないんだよ。だけどひろは俺みたいにならなくてもまっとうに生きていけるだろ? 大学出て出世して搾取する側に回ってやるってひろ言ってたじゃないか。ひろはそういう生き方が出来るしそれが相応しい人間なんだ。あの時啖呵切ったひろはどこいったんだよ?」

 ひろゆきの両肩を掴んで揺さぶり、目を覗き込んで、真剣に諭す。いつもふざけた態度ばかりとっている天の真剣な目に、ひろゆきの罪悪感がよけいに募る。

「俺が悪い見本になってるんだな……」

 天が苦々しげに呟いた。

「そういう訳じゃありませんよ。ちゃんと判ってますから」

 ひろゆきは、ムキになったかのようにそう言った。天がひろゆきを諌めれば諌めるほど、ひろゆきのなかで反発が強まる。

 自分でも判っているのだ。このままではいけないと。だが落ちてゆく自分がどうしようもなくて、怖くて、苛々して、この話から逃げてしまう。

「俺、天さんとこの事で言い争いしたくありません。自分のことは自分で責任を持ってやってますから」

 少し強い口調でひろゆきはそう言い、強引に話を打ち切った。

 全く話を聞こうとしないひろゆきに、天の顔が怖いものになる。

 急にひろゆきが動いた。ぎゅっと天に抱きつく。まるで、暗闇に怯える子供のように。

そのひろゆきの様子に、天がはっとした。

 堕ちるのが怖いのだ、ひろゆきも。

 でも、どうしようもできない。弱い自我は誘惑に振り回され、さらに快楽にのめり込む。

 大人ぶっていても、まだ十代の子供なのだ、ひろゆきは。

ひろゆきが欲しいとそればかり思って、それを忘れていた。

 狂ったようにひろゆきが天に口付けた。

「して下さい」

 逃げる為に快楽をねだる。セックスしている間は何も考えずに済む。

 ひろゆきがその状態にある事に気がつき、天がひろゆきに強引に口付けた。乱暴なキスに、驚いたひろゆきが抵抗して身悶える。だが、天の力は強く、びくともしない。天に掴まれた手首がぎりぎりと締め上げられ、激しいキスに息も出来ない。

「あっ!」

 ぐいと体を引っ張られてひろゆきが悲鳴を上げた。

 台所の脇のドアに、天がひろゆきを乱暴に押し付ける。背中に感じる金属の扉のひやりとした感触に、体が震えた。

「て、天さん?」

 嫌がって身悶えしても、天は凄い力でひろゆきを押さえつける。手でペニスをつかまれ扱かれると、ひろゆきの抵抗が段々と弱々しいものになっていった。

抵抗を止め、涙目で抗議するように天を見るひろゆきの体にキスを落とし、ペニスを優しく愛撫する。

「あ、あん……。ん……」

 天に抗議したい気持ちでいっぱいだが、快楽に耐え切れず甘い声を上げる。その自分が悔しくて情けない。

 天に貫かれるたび、自分の体がどんどん敏感になっていくのが恐ろしい。

 アヌスは突かれれば突かれるほど感じる範囲が大きくなり、今では女の膣のように全体で天のペニスを飲み込み、快感を感じてしまう。

前立腺のあたりがいつも疼き、些細な刺激にも過剰に反応する。丁寧な愛撫を執拗にされると、耳元で囁かれるだけでイってしまいそうだ。

「ちょっと、いたッ!」

 甘い声から一転して、ひろゆきが苦痛の悲鳴を上げる。天がひろゆきの肩に噛み付いたのだ。

「静かにした方がいいぜ」

 残酷な笑いを浮かべながら、天がひろゆきの耳元に囁いた。

「な……?」

 何か言いかけたひろゆきの顔が、はっと強張った。

 金属製の階段を上る、定期的な靴音が聞こえる。

「天さん、人が来る……っ!」

「新聞屋だよ。すぐに帰るさ」

「声、聞こえ……」

 恐怖の混じった声でそう言いかけたひろゆきに、天がにやりと笑った。

「聞かせてやればいいじゃねえか」

「え……」

「全身チンポ状態のひろのいい声をさ」

 そう言って、しゃがみこんでひろゆきの勃起したペニスを口に含む。

「んあ……、あ……、ん……、はぁっ」

 息を吹きかけても感じるんだな。と天にからかわれたほど敏感になっていたひろゆきの体が、異様な事態に、さらに興奮して感じやすくなっている。

 暗闇で、しゃがみこんだ天の顔が見えない。だが、ぴちゃぴちゃという水音と、ペニスに絡みつく舌の動きで、自分が何をされているか判る。

「あ、あ、あ、あ、天さん、出るぅぅぅっ!」

 天がペニスを吸い上げ、舌先で裏筋を執拗に責めると、泣き声を上げてひろゆきのペニスはすぐに爆発した。背をそらせ、体をぶるぶると震わせて射精する。

天はひろゆきの精液をいつものように飲み込まずにペッと手のひらに吐き出した。そのサディスティックな行為が、さらにひろゆきを情けない気分にさせた。

「天さん、僕が、声出すの我慢できないって、知ってる、くせに……っ」

 そう言って泣くひろゆきを無視して、天が命令した。

「ドアに手をついて、ケツ突き出せよ」

「えっ!」

「ドア越しにばっちり聞こえるぞ、ひろのやらしい声が」

 天の命令に逆らえず、ひろゆきは泣きながらドアに手を突き、尻を突き出した。

目の前にあるのぞき穴から、必死にひろゆきが外の様子を探る。

人の気配が近づいてくる。一軒ずつ郵便受けに新聞を入れる軽い音がする。次はここへ来る。

顔なじみの新聞配達員が、扉を挟んで向こうにいる。

 天は、手にある唾液とひろゆきの精液の混じったものをローション代わりにひろゆきのアヌスへ塗りつけた。

 にゅぷ……と音を立て、天の指があっさりとアヌスに飲み込まれる。

「んう……」

 先ほどセックスしたばかりで、アヌスとその奥がかすかに熱を持っている。敏感になった粘膜が、天の指の感触に疼くような快感を脳に伝え、ひろゆきが思わず甘い声を上げる。

 はっと声を上げた事に気が付き、手に噛み付いて、声を出しそうになるのを必死に堪えた。

「どうする? やめるか?」

「い、挿れてください」

 ここで天を受け入れたら、どうなるかは判っているはずだ。だが、じんじんと痺れるような体の疼きが我慢できずにひろゆきはそう言った。ひろゆきの返事に、天の手がぐいと尻を左右に広げ、先走りの汁に滑るペニスをあてがう。それだけで、ひろゆきのアヌスが期待にぴくぴくと痙攣する。

「ああ……」

 じゅぷっとひろゆきのアヌスが天のペニスを飲み込んだ。ずずっとペニスが奥まで入る。粘膜を擦るペニスの感触に、ひろゆきの口から思わず声が漏れる。奥までペニスを挿れた後、天が腰を動かす。

「んっ、んっ、んぅ、んふっ」

 のぞき窓を見ながら、物欲しげに突き出した尻を立ちバックで天に犯される。にちゃ、にちゃ、と精液が結合部分でかき回され、いやらしく泡立つ。ひざががくがくして立っていられず、ドアにもたれるように体重をかける。

手を噛んで必死に声は抑えたが、天が激しく突くたびに、ひろゆきが手をついているドアがガタガタと音を立てた。

 その物音に気がつき、ドアの向こうにいた新聞配達員が一瞬びくっと体を震わせた。

 気付かれた!

 ひろゆきの血の気が引く。相手は明らかに不信そうな顔をしている。だが、自分を犯す天に止めてと言う事が出来ない。

「天さん……?」

 こんな深夜に物音がするのを訝しがり、遠慮がちにノックをして、新聞配達員が小さく声をかける。

 あまりの快感に体を支えきれず、ドアに張り付くようになっていたひろゆきの体を、天がぐいっと引きはがした。

 繋がったまま、今度はキッチンカウンターの縁に押し付ける。良く磨かれたステンレスの調理台の上にうつ伏せで倒れこむような体勢になると、天がその上に圧し掛かった。その圧力で、天のペニスがぐいっとアヌスの中に深く押し込まれる。

「あああ……っ」

体の奥深くにペニスが届いた瞬間、軽くイってしまたひろゆきが思わずうめき声を漏らした。

 ずぶずぶと天のペニスを根元まで入れられ、ひろゆきが体を震わせた。カリ高の天のペニスは入っているだけで気持ちよくて、大きな喘ぎ声が出そうになる。

 ひろゆきが助けを求めるように伸ばした手の上に、天が手を重ね、まるで励ますように指を絡ませてぎゅっと握り締めた。

 天が、そのまま上体を上げて台所の窓を少し開け、顔だけのぞかせた。ドアのそばにあるその窓を開けると、そこからアパートの廊下が見える。

「悪い、なんでもないよ」

 明るい声でそう言い、新聞配達員と軽く会話を交わしている。もちろん、ひろゆきを犯しながら。

 あいた窓から、さっと外の冷たい空気が流れ込む。冷たいそれが、ひろゆきにこれは現実をだと知らせる。

 天が、悪戯をするようにくいっと腰を動かした。ひろゆきの体が軽く揺さぶられ、刺激を与えられる。

 この闇と角度では、ステンレスの台の上でゆさゆさとゆらされるひろゆきは辛うじて見えない。

だが、これ以上大きな声を出せば見つかるという恐怖がひろゆきを襲う。

「ぁ……ぁん……。ハァ……」

 駄目だと判っていても、声が出る。

 アスヌにずっぽりと天の太いペニスを挿れられてよがるこの姿を見られたら……と思うだけで頭がおかしくなりそうだ。

 恐怖と興奮で、ただでさえ感じやすい体が、天の言った通り全身ペニスになったかのように敏感になっている。いや、全身ペニスというよりは、全身が膣にでもなったかのような感覚だった。

「あ……、ン……。んんっ」

 あ、だめだ。またいく。だめだ、ここでイったら声が出る。

 だめ、駄目、だめ駄目駄ダメ目駄だめダメ目駄目駄ダメダメッ!!

 頭の中で、馬鹿のように一つの言葉を繰り返す。だが、体の昂ぶりが、まるで高波のように押し寄せてくる。

「あ、あ、あ……。んん……っ」

絶頂がくる前触れに、ひろゆきがなす術もなく小さく声を上げた。押し寄せてくる快楽に対して、ひろゆきは全く無力だった。

「ぁぁああぁんんんーーーっ……」

 不意に、弾けるような強烈な快感がひろゆきを襲った。くぐもった小さな声が、手を噛んだ隙間から漏れる。自然に尻を突き上げ、天のペニスをもっと奥に導こうとする。

 これまでも、アナルを犯されてドライオーガズムを味わった事は何度も有るが、今味わっているそれはそのどれよりもっと強い。

「ん、あ、うふぅぅぅぅぅ、くぅ……」

 大きな悲鳴を上げそうになり、手を噛んでいる顎に力を入れて声を殺したが、我慢しきれずにそう呻き声を上げた。

ひろゆきがイった事に気がついたのか気がついてないのか、堪えろというように、天が絡ませた指にぎゅっと力をいれる。

 ひろゆきのアヌスにペニスを突っ込みながら何食わぬ顔で平然と喋っている。そのギャップに興奮する。

 激しく動かれるよりもじっとしていた方がいってしまう事がこれまでにもあったが、今がまさにその時だった。

ひろゆきの中にある天のペニスが、じわじわと快感を与えてくる。じんじんとした疼きがだんだんと大きくなり、天がなにもしなくてもひとりで勝手にイってしまう。

気持ちよすぎて、ひろゆきは声を出すのを堪える為に自分の手を血が出るほど噛んだ。その痛みも、体の疼きをかき消すには到底足りない。天が与える快感の方がずっと強い。

「んんん、んっ、んんっ、あっ、んっ、あっ、あっ!!!!!」

 殺しきれなかった小さな喘ぎ声が、ひろゆきの口から漏れる。

 恐怖と快感で心がぐちゃぐちゃになる。感じちゃいけないと思うほど感じる。

 何度も何度もイかされる。上り詰めてはじけ、また上る。射精したら解放される絶頂と違い、終わりの感じられぬそれは、今のひろゆきにとっては拷問以外の何物でも無い。

体も心もすでに限界にきている。先ほどから気がつかないうちにペニスから精液が漏れだして床に流れる。

 ああ、だめ、声が、漏れる。

 もう終わりだ。

「ぁあぁああああんっつ!!!」

 耐え切れずに、そう大きな悲鳴を上げたと思ったところで、不意に意識が途切れた。

 天が外と話をしていたのは、ほんの数秒ほどだっただろう。天が窓を閉めた時、ペニスから精液を垂れ流したひろゆきが、天のペニスに貫かれ、まるで人形のようにぐったりとしていた。

 急に大人しくなったと思ったら、快感に失神させられていたのだ。

異常な状態に興奮し、敏感になりすぎた体と心が、限界を超える快感に耐えかねて切れた。

自分の意思ではぴくりとも動かない。天が腰を突き上げると、まるで天のペニスに押されるように、だらっと垂れ下がったひろゆきのペニスの先から精液が漏れる。それだけが、ひろゆきの動きの全てだった。

 精液がひろゆきの内腿を伝い、ふくらはぎを伝って床へ落ちる。床には、ひろゆきが作った白い精液溜まりが少しずつ広がっていた。

 天が慌てて突くのを止め、顔を見ようと身をひねると、天の動きが伝わって気がついたらしく、体がぴくりと動く。うっすらと目が開く。

 ひろゆきの口が開き、噛んでいた手が支えを失いだらっと調理台の上に転がる。

噛み後から、赤い血が一筋流れた。




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