ドナドナ




















　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あ〜るはれた　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ひ〜るさがり







うとうとと意識が半分寝ている様な
かすかに起きているかの様な　まどろみの中で
微かに聞こえてきた　声





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　い〜ちばへ　つづ〜くみち

（？...なんか...うた？）





　　　　　　　　　　　　　　　　　　に〜ばしゃ〜は　ご〜とご〜と

　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ〜チゴ〜を　のせ〜てゆく〜


（ってか　俺かよ！？）
そこで意識がハッキリと覚醒した　途端、浦原とバッチリ目があった
わけの解らない歌を歌っていた張本人
しかも間近に顔がある...

「な.....なななななんだよ！？」
驚いた勢いでおもいきり浦原を突き飛ばそうと伸ばした両腕をあっさり取られて
「なにすんだよ！」
「そりゃ、こっちのセリフですから」

特に何事もないといった、いつも通りの顔　そしてまた歌い始めた



　　　　　　　　　　　　　　　か〜わいい〜こうし〜　売られていくよ〜



（今度は俺じゃない）

脈絡も無くただ淡々と最後まで続くのかと思いきや

「やっぱ誰かに売り渡すなんて、出来ないっスよねぇ」
「はぁ？」
「一護さんが誰かのものになるなんて.....ねぇ？」
「あんた...何いってんだよ...」
（とうとう湧いたかと思う）

「イチゴさんはアタシのものだから」
　ニッコリ
ちょっとヤラシイ笑顔になった浦原を見て　つい憎まれ口をきいてしまう

「いつ俺があんたのもんになったよ？つか離れろ！！」
口では否定　でも赤面しているのが自分でも解り　恥ずかしさの為
腕を振りほどこうと　ワタワタ暴れだした

「ちっくしょー！！　離せよ！」
「嫌」
「俺はモノじゃねーんだから、売られもしなきゃ誰かのもんでもねぇんだ！
所有権なんかあるか！」
「ありますよ」
「あぁ？」
「恋人同士がする事してるでしょ」


パクパクと口は開くものの　声にならない
益々赤くなった自分の顔をまじまじと見て　カワイイ　等と耳元で囁いた後
そっと両腕を解放し真面目な顔になった浦原は「でも...」と一言小さく言葉を濁した

「でも？　何だよ？」
態度がコロコロ変わるのはいつものこと　だけどこんな意味ありげな一言を聞いてしまったら

気になる

「聞きたいっすか？」
「あぁ!?　んだよ　話せよ」


「実はアタシらそろそろここを離れなくちゃぁいけないんですよね」

「どーゆう..事だよ」

「もともとソウルソサエティの人間.....いや人でさえない、死神という名の仮の姿なわけでしょ
　だから...」

「だから？」


嫌な雰囲気だ

大抵こうゆう時は最悪の事態しか起こりえない

「だからなんだよ！？」思わず声が荒くなる
本当は聞きたくない　聞いちゃいけないと心の深くが訴える



「お別れです」