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[90]640 2005/05/07(土) 12:23:48 ID:NcXJ6DLN
[91]640 2005/05/07(土) 12:25:45 ID:NcXJ6DLN

She & Me 第一話 the night

 暗闇の中眠る町に、轟音が木霊する。
獣の雄叫びと、爆裂音。それらの混ざり合った、単純でない騒音にも、結界によって視覚、聴覚を遮られた人々が目を覚ますことはない。

───来る。

フェイト──フェイト・テスタロッサ=ハラオウンは、近づいてくる気配に向け、手にした無骨な愛杖、バルディッシュを構える。

「バルディッシュ、ランサーを」
『yes,ser』
残った魔力は少ない。結界はユーノが担当してくれているから問題はないが、無駄使いできないことに変わりはない。

漆黒の戦斧の先端へと、金色に輝く魔力が収束していく。

『photon lancer』
標的へと向けて、光の槍が放たれる。


──それは、正に異形と呼ぶべきものだった。大きく裂けた口に、血のように赤い凶暴な瞳。巨大な狼と例えることもできなくはないが、それよりもはるかに醜悪な外見をしている。

自らを焼き尽くすべく迫る光の槍を異形は俊敏な動きで避け、その牙を剥いてフェイトに迫る。

「バルディッシュ」
だが、一発目を当てる気ははじめから毛頭ない。あくまでも最初の一撃は、必殺の二撃目を確実に当てるためのおとり、牽制に過ぎない。
間髪をいれずに放った第二撃が、フェイトの意図したとおりに異形の身体を貫き、焼き尽くしていく。

───やっと、終わった。
炎上し、倒れる異形の様子に、フェイトは息をついた。今週だけでもう10体目。いくらAAAクラスの魔導師とはいえ、疲労しないわけがない。
そんな状況が、本来冷静なフェイトから注意力を奪っていた。

「ッ!?」
うかつに近づこうとしたのがいけなかった。炎に包まれ、完全に沈黙したと思われた異形が再び立ち上がり、襲い掛かってきたのだった。

──やられる。
避ける暇などありはしないし、ディフェンサーでは防ぎきれない。防御魔法を起動するほどの魔力も残ってはいなかった。
今にも異形の牙は、フェイトの小さな身体を噛み砕かんとする距離にあり、どうすることもできない。


刹那。側面から飛来した光弾が異形を撃ち抜き、フェイトを救った。

「・・・なのは」
「よかった・・・間に・・あった・・」
駆けつけたなのはの放ったディバインシューターが、異形へととどめをさしたのだった。
「ありがとう・・なのは」
「うん・・でも・・・ちょっと・・限界・・かも」
フェイトも、フェイトを助けたなのはも共に、肩で息をし、杖で身体を支えている。
二人とも、ほとんど魔力は空に近かった。
「とりあえず・・・帰ろっか」
「・・うん・・」
バリアジャケットを解き、元の服へと戻る二人。

・・・力を使い果たした二人は、気づかなかった。はるか遠くから二人を見つめる、強大な力の持ち主がいることを。


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