ヴィータが張った封鎖領域…結界はあっと言う間に海鳴市を包み込んだ。
その結果、街にいた人や車、ペットも一時的に消えてしまった。
そして、フードを被った二人組みも結界に気付いた。
「!…結界だと…」
「やれやれ、この世界に魔導師が居たとは…」
二人が口々にそう言ってると、二人とも男の声だった。
右前方からの茂みから赤いドレスの様な服を着た少女が飛び出してきて、
「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!ブチ貫けぇぇぇぇぇ!!!」
っと叫びながら柄の長いハンマーを振り回した。
そのままハンマーは地面に接触し小規模な爆発を起こした。
しかし、手元には手応えが無かった。
「ちっ、逃げられたか…」
ヴィータがそう呟くと、
「ヴィータ!いきなり飛び出して危ないやないか!!」
「ヴィータ!主の許可も無しに飛び出すとは何事だ!!」
「ヴィータ、先走りは良くない」
ヴィータが飛び出した茂みから、はやてとシグナムにフェイトが文句を言いながらヴィータに近付いた。
「わ、悪い、はやて。飯のことでイライラして…つい」
ヴィータが左手で頭を掻きながらそう言った。
すると、
「…やれやれ、最近のガキは随分と物騒だな」
「「「!!」」」
はやて達が声のした方を見ると、二人組みの一人が公園を照らす電灯の上に立ち、
もう一人はその後ろにあったベンチに座っていた。
「ヴィータの一撃を避け、その動きが見えないとは、…貴様ら何者だ!」
シグナムが自分の愛剣「レヴァンティン」を構えながら聞いた。
「…相手に名を聞く時は先ず自分から名乗れと教わりませんでしたか?」
ベンチに座ってる男がそう言うと、
「…確かに正論だな。私はヴォルケンリッターの将、剣の騎士シグナム」
「…鉄槌の騎士、ヴィータ」
「同じく湖の騎士、シャマル」
「…盾の守護獣、ザフィーラ」
「そして、あたしがこの子達の保護者。時空管理局、特別捜査官候補生。
八神はやてです」
(時空管理局?)
「私は高町なのは。同じく局の武装隊の仕官候補生です」
「僕は管理局、無限書庫の司書。ユーノ・スクライア」
因みに一度名乗ったフェイトはもう一度名乗りアルフもそれに続いた。
「そして、僕が時空管理局執務官クロノ・ハラウオン」
こうして、なには達は名乗り終えたが、
「…それで君達の名は?」
「……は?」
クロノがそう聞くとベンチに座ってる男が首を傾げた。
「…いや、こっちが名乗ったんだから君達も名乗る…」
ユーノがそう言うと、
「別に答える義理は無い」
「な、貴様ら!名を聞くときは自分から名乗ると言って置きながら…」
「別に名乗られたからってこっちも名乗らなきゃいけない決まりもありませんよ」
「な!?貴様ら我等を謀ったな!!」
シグナムが顔を赤くして怒鳴ると、
「勘違いするな、お前等が勝手に名乗ったんだよ。バカみたいにな…」
電灯の上に立っていた男はそう言って笑い出した。