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あたしの絵本 第一話、物語の始まり

「お〜い、居るか〜?」
少女は何の迷いも無く扉を開ける。
そもそも彼女にとって聞く必要性など皆無だった。
そこに彼がいるのはいつものことであり、彼女、ヴィータにとって日常なのだ。

数ヶ月前。

最初ははやての付き合いで管理局に来ていた。
しかし、ついてきてもやる事など無い、はやてとクロノの会話など聞いていても面白くない。
そこでヴィータは管理局の中を毎回散歩するようになった。
最初は通路を回るだけだった、そのうち細かい施設も回るようになった。
そして、無限書庫にも行くようになった。
最初は暇つぶし程度に見ていたのだが………

「あ、これ、はやてが読んでくれた本だ」

本、と言っても絵本、無限書庫には色々な世界の絵本もそろっている。
ヴィータは絵本が好きだった。
はやてがはじめて読んでくれた本だからだ。
ヴィ−タはそのうちの一つを手にとって読み始める。
ヴィータは絵本の話を最後まで知らない。
いつもはやてが読んでくれても途中で寝てしまうからだ。
結局、中盤にはヴィータは眠りについていた。

夢の中、誰かの腕に抱きかかえられている。
その腕はとても暖かく、心地よかった。

ヴィータは喉の渇きで起きた。
しかし起きると同時に違和感を感じる。

(…ベットの感触が違う?…)

正方形の部屋に自分がいることに気づく。
天井も、壁も、まったく、見覚えの無い部屋だ。

(ま…まさか………)

誘拐、その言葉が脳裏をよぎる。

「…ん………明日…送る……」

ヴィータが考えているとき不意に話声らしきものが聞こえてきた。
ベットから離れたところ、ベットから見て右に頑丈そうな扉が見える。
声はその扉の向こうから聞こえ来ていた。

ヴィータは足音を立てないようにゆっくりと扉に近づいていく。
ヴィータは扉の右側に息を潜めて立つ、誰かが入ってきたら直ぐにでも戦えるように。
幸いなことに、グラ−フアイゼンはとられていない。

グラ−フアイゼなら扉ごと誘拐犯(?)を倒せるだろう。
ヴィータはグラ−フアイゼを起動する。
その時、不意に扉が開けられ誰かが入ってくる。
とっさにヴィータはグラ−フアイゼでその『誰か』の頭を上から振り下ろすように殴る。

ゴォォォォン…

「ぎゃぽっ!?」

ドサッ………

『誰か』は奇妙な声を上げて床に倒れた。
「どーだ!あたしを誘拐……?」
ヴィータは『誰か』を見る。

そこに倒れているのは金髪の少し女性のような感じのある男の子。
今は叩かれたゴキブリよろしく?のようにピクピク痙攣している。
無限書庫の司書、ユーノ・スクライアだった。



結局のところ、寝てしまったヴィータをはやてに頼まれ、ユーノの部屋に運んだ、それだけだった。



「まだ痛いよ…」

今はユーノの部屋にいる。
ユーのは頭に氷嚢を載せている。

「あやまったじゃんかよ………」

ユーノとヴィータはテーブルを挟んで互いに向かいあう形で座っている。
あの後、音を聞きつけ駆けつけた職員がユーノを医務室に運び、現場にいたヴィータに事情を聞いた。
その際ヴィータが「あいつはあたしを誘拐して陵辱しようとしたんだ!!」
と、いったことからユーノは拘束され知り合いのクロノにしつこく尋問(拷問?)されたのだ。
しかし、はやてから頼まれた、と言うことがはやてによって確認され冤罪だったことが判明した。
それでも気になるのが人の性、釈放された時に聞こえた職員の会話。

『ユーノくん、あの歳で女の子を部屋に連れ込んでるんだ…』

女性職員のささやき。

『なのはちゃんとあの子…ヴィータちゃんだっけ?どっちが本命だ?』

男性職員の疑問。

『やっぱし本当はヴィータちゃんに何かしたんじゃ………』

両者の疑惑。

などなどあまりよろしくない内容の憶測が早くも浸透しているようだった。
今も扉の向こうで聞き耳を立てているであろう職員のことを考えて憂鬱になるユーノ。

(明日からの仕事が怖い………)

そんな思考とはおかまいなしに空腹は襲ってくる、現在の時刻は午後八時。

(とりあえず何か食べよう)

何か食べればふっきれるだろう、そう思ったとき。
グギュルルルルルルル………
猛烈な音がした、肉食獣が久々の獲物を見つけた時のような音。
音のしたほうにはヴィータが顔を赤くしてそっぽをむいている。
ユーノは苦笑い。

「何か食べる?」

ヴィータは赤い顔をさらに赤くする。

「お…お前がそこまで言うなら食ってやるよ!」

笑いながらユーノは食事の準備を始める。

十数分後

テーブルには豪華な食事が並んでいた。

「………お前、料理上手いんだな………」

「料理作る機会が多かったからね………」

遺跡の発掘に世界を渡り一人ですごす時間が長ければ上手くもなる。
遠い記憶にユーノが旅立っている間にヴィータは料理に手をつける。
一口目、ヴィータの目が驚きに見開かれる。
二口目、一回に食べる良が増える。
三口目、一心不乱に食べ始める。

(う、美味い!はやてとは違う味付けだけど美味い!)

結局、ユーノの意識が戻ってくるころには料理は残っていなかった。

「………残しといてくれてもよかったのに………」

顔を赤くしてそっぽを向くヴィータ、口の横に食べかすがついている。

「う、美味かったからつい…」

悪いと思っているのか口調は控えめだ。

「まぁ気にしなくていいよ、それより…口の周りきれいにしたほうがいいよ?」

ユーノに言われて初めて気づいたのだろう、懸命に口の周りを拭う。
が、汚れは落ちるところか広がっていく。

「ちょっと動かないで」

見かねたユーノがティッシュで拭ってやる。

「あ、ありがとう…」

気恥ずかしさから顔を真っ赤にするヴィータ。
自分のやったことに恥ずかしくなるユーノ。
恥ずかしさからくる気まずさに二人とも沈黙する。
部屋には時計の音と廊下からの声だけしか音が無かった。

『初々しい…聞いてるこっちが恥ずかしいよ!』

『ユーノくんの手料理食べてるよ?』

『ユーノくん、なのはちゃんの事あきらめたのかな?』

「ちょっとまってぇっ!!」

ユーノは扉に向かって走る。

「やべ!ばれた!」
「逃げろ!!」

扉が開くころには遠くに逃げてている職員、逃げ足だけは速かった。

「まったく!」

ユーノは部屋のソファーに座っている。
結局、聞き耳をたてていた職員を追いかけていったユーノだったが捕まえられず戻ってきたのだ。
ユーノが戻たころにはヴィータによって食器などは水につけてあり、テーブルもきれいに拭いてあった。

「…片付けてくれたんだ…」
「か、勘違いするなよ!ただ気になるから片付けただけだからな!」
「…ありがとう」

素直にお礼を言うユーノ。

「ふん………」

礼を言われるのは慣れていないのかそっぽをむくヴィータ。
その後風呂に入ろうとしたヴィータに睨まれたり、いろいろあった。
きがえ、パジャマは女性職員が用意したウサギの絵が書いてある子供服だった。
風呂から出た後の沈黙。

特に喋ることの無い二人、今まで顔見知り程度だったせいか共通の話題はない。
またしても気まずい雰囲気の二人。

(ど、どうしよう…気まずい)

今までなのは以外の女の子と二人きりになる機会が少なかったユーノにはたいした打開策など思いつかない。

(そ、そうだ!)

「絵本、好きなの?」

突然の質問。

ヴィータにとってそれは凄い効果を発揮した。

「なななななな、何のことだ?」

予想外の質問に挙動不審になるヴィータ。

「絵本片手に寝てたから好きなのかなって思って…」
(そ、そうか、見られてたのか…!)

恥ずかしそうな顔のヴィータ。

「そ、そんな子供っぽいものあたしが好きなわけ無いだろ!!」

照れ隠しか大きめの声。
結局、絵本が好きなことも、しかも日本語が読めないことも。

「なら教えてあげようか?」

ヴィータにとってそれは考えてもみないことだった。
はやてに言えば教えてくれるだろう、しかし恥ずかしい。
シグナム達に教えて貰うのも恥ずかしい、と諦めていたのだ。

(こいつに教えて貰うのも恥ずかしいな…)

恥ずかしさで躊躇するのは誰にでもあることだ。

しかし、ヴィータは揺れていた、恥ずかしい、でも絵本が読みたい大きく揺れていた。

「絵本読みたくないの?」

ユーノの言葉が決定打だった。
結局絵本の誘惑に負け、ユーノに教えてもらうことにしたのだ。

現在の時刻は十一時、そろそろ寝よう、そうユーノは思っていた。
あの後二時間、日本語を教えているが、ヴィータはすでに五十音はすべて読めるようになっていた。

「今日はこのぐらいにておこうか?」

「………うん………」

ヴィータは眠いのか頭がふらふらしている、返事も生返事だ。

「それじゃあベットはさっきのベット使ってね」

そう言って寝ようとするユーノ。

「あ、ありがと…ユーノ…」

不意に声をかけられる。
そういうとヴィータは走っていった。
なんとなく心が温かくなった感じがした。

「………ん〜?…」

なんとなくベットが狭く感じる。
ユーノは違和感で目が覚めた。
ベットが狭く妙に暖かいのだ。
そして心地良かった。
体にやわらかいものが当たっている感触さえある。

(何だろう?…まいいやぁ…)

今日は仕事休みだし、このまま二度寝しよう。そう思ったのだ。
あまりの心地よさにまどろみの中に落ちていくのは早かった。
このとき起きていれば、後に彼は後悔することになる。



はやてはユーノの部屋の前に来ていた。
昨日泊まっていったヴィータを引き取るためである。

プシュー…プシュー

部屋に入るはやて。

「ユーノくん?起きてるー?」
……………

返事が無い。

(まだ寝てるんかな?)

ユーノくんには悪いけ寝顔を見させてもらおう。
はやていたずら心がくすぶる。

(おじゃましまーす)

とりあえず一番近い部屋に入ってみる。
そこには………
気持ちよさそうに寝ているユーノと、ユーノに抱きついて眠るヴィータ。
悲鳴が管理局にこだました。


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