わたしは、横を見る。ふと、フェイトちゃんの目元がほんのり赤くなっているのに気がついた。
フェイトちゃんに何かあったの?と聞いた。
「どうして?」不思議そうに聞くフェイトちゃん。
わたしが、目のこと言うと、腕で目元をごしごしとこすって、
「どうもしない。ただ、桃子さんに言われたことがうれしくて」とはにかんだ。
わたしは、そうなんだーと返した。
普段は変化が少ないフェイトちゃんの表情。
このときはごく自然な笑顔(といっても普通の人に比べればまだ変化に乏しいけど)を見せていた。
お母さん、フェイトちゃんに何を言ったんだろう。わたしは少し気になった。
何を話したの?と聞いたわたしにフェイトちゃんは
「なのはには秘密なんだって」と料理に手をつける。釈然としないわたしに、向かいに座っていたアリサちゃんが憮然とした顔で
「何二人してこそこそ喋ってるのよ。・・・もしかして、夜の行いのこととか?」
おにーちゃんとおとーさんがご飯を吹いた。
忍さんの様子が少しおかしい気がする。おかーさんは平気そうな顔をしてるけど、ほほが少し赤い。
おねーちゃんに至っては真っ赤になっている。
おねーちゃんの横にいたユーノくんは…ユーノ、大地に立つ…いや、仁王立ちで硬直してる。
すずかちゃんはいつもどおり…より笑顔が増してる。
フェイトちゃんも顔を赤らめてうつむいてしまった。
発言者本人は何がどうしたのかわからない様子で、みんなの反応を見てきょとんとしている。
すずかちゃんがそっとアリサちゃんに耳打ちすると、
アリサちゃんはとたんに顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
わたしはなんだか、とてもこの雰囲気には絶えられそうもない。
「あ、そうだ恭ちゃん。なのはたちのおみやげは?」おねーちゃんがしどろもどろに取り繕う。
「あ、ああそうだった」慌てて居間に置いてある袋から何かを取り出した。
「海鳴温泉の饅頭は食い飽きただろうから、これ」と小さなキーホルダーを渡された。