―時空管理局艦船『アースラ』内、トレーニングホールB―
「よぉし、今度こそ! アクセルシューター!!」
『Acceleration Shooter』
桃色に光り輝く魔力弾が、フィールドを駆け回る。数は優に10個以上。使い手の魔力の高さを物語っている。
そしてその中を、黒衣の魔導師が飛び交う。トレーニングホールという限られた空間内にも関わらず、弾丸は彼を捉えられない。
「デュランダル、スティンガースナイブ」
ドドドン!!
彼の体を纏うように放たれた青白い光球が、魔力弾と衝突した。次々に起こる爆煙。
「あれ…?クロノ君は?」
「なのは、後ろ!」
チャキ、という乾いた音。白衣の肩口には白銀の杖。勝負あり、だった。
「チェックメイト、だな」
「あーあ、またダメかぁ…」
張りつめていた緊張感が緩み、肩を落とすなのは。
「大丈夫だよなのは。今の動き、すごく良かったと思う」
2人の模擬戦を見つめていたフェイトが、そう言って微笑みかけた。
「ああ、僕もそう思う。気を落とすことはないさ」
つい先刻とは異なる穏やかな顔で、クロノが続ける。
「ありがと…でも、一発も当たらなかったのはくやしいなぁ…。クロノ君相手だと、エクセリオンバスターとか撃つチャンス全然作れないから、アクセルシューターのコントロールをアップさせたのに…クロノ君、なんでかわせるの?」
「それ、私も気になる…単純にスピードだけだったら、ちょっとだけだけど私の方がクロノより速いのに、私はなのはの弾を全部かわすなんて絶対出来ないし…どうして?」
不思議そうな顔で尋ねる2人に、クロノは丁寧に答えた。