「そうだな…何て言うか、なのはは『コントロールが良すぎる』んだよ」
え?と顔を見合わせるなのはとフェイト。
「なのはの誘導弾は、全ての弾が的確に僕を狙ってくるんだ。僕の居る『場所』を、
本当に正確にね」
「あ、そっか」
目を丸くするフェイト。なのははえ?え?と2人の顔を交互に見た。
「ぜ、全然分かんないかも…」
「あのね、なのは。つまり、クロノはなのはの弾丸を『誘って』たんだよ」
え、と驚くなのはに、クロノが続ける。
「君の誘導弾は、僕の居場所を正確に捉えてくる。逆を言えば、僕の居るところ
以外には絶対に来ない。それを利用すれば、誘い込んで弾丸をお互いにぶつけさ
せることも出来るし、こちらも同じように弾丸を放って、相殺させることもそれ
程難しくない」
「私も、前にシグナムと戦ったとき、そうやってプラズマランサーかわされちゃった
ことあるから、少し分かる」
苦笑いしながら、フェイトが言った。
「誘導操作弾を撃つときは、そうだな…例えば5発撃つとして、実際に敵に当たる
軌道で放つのは2発、残りの3つは相手の回避を想定してそのコースを塞ぐように
撃つのが一番いいんだ。元々大ダメージを与えるための攻撃じゃないんだから、効
果としてはそれで充分だよ。なのは、それに君の場合は一発一発の攻撃力も結構高
いんだから、何も全てヒットさせる必要なんて無いだろう?」
へー………。すっかり感心するなのは。
「フェイト、君の場合もそうだ。君のプラズマランサーも弾速が充分に速いんだ
から、上手く使えばもっと相手を攪乱できる。得意のクロスレンジに持ち込むのも
そう難しくないはずだ」
「うん。ありがとうクロノ、勉強になるよ」
「私も! いつもありがとね、クロノ君!」
「別にお礼はいいよ。それよりすまないけど、僕はこれで休ませてもらっていい
かな? 正直、君達2人の相手を連続で続けるのは、かなりキツイんだ」
今度はクロノが苦笑い。
「そっか…私達は交代でやってるけど、クロノ君は連戦だもんね」
「ごめんね。ありがと、付き合ってくれて」
「だからお礼はいいって。能力的にはAAA+クラスの君達を訓練できる教官
となると、本当に限られてくるし、僕にとっても凄く良いトレーニングになっ
てるから」
お互いに微笑む3人の魔導師。ストレージデバイス『デュランダル』をカード
形態に戻し、クロノはトレーニングホールを後にした。