―アースラ司令室―
「艦長、ただいま戻りました」
「クロノ! 無事で良かったわ」
仲間達と共に帰還したクロノを、リンディがほっとした表情で迎えた。
「幸い、武装局員達も軽傷で眠らされていただけだったし…本当に良かった」
「あの魔導師さんは…どうなるんですか?」
「…軽傷とはいえ、局員への攻撃と拉致、それに本局への脅迫行為だからね…
実刑を免れたとしても、しばらく長い間、執行猶予の身になると思う」
なのはの質問に、クロノは自ら答えた。
「でも、…彼ならきっと大丈夫さ。これからの彼には、『守るもの』がある。
それに、生き続けていけば、それはもっと増えていくんだから」
そうだね、と一同は小さく笑いあった。
「それよりクロノ、あっち」
フェイトが、モニター前の机を指さす。先には、エイミィの後ろ姿があった。
落ち込んだ様子の背中に、クロノがゆっくりと近づく。
「…エイミィ、ただいま」
「………!」 エイミィが、クロノに抱きついた。
「…ごめんね、クロノ君。私がちゃんと調べてサポートしてたら、こんな事には
ならなかったのに…! ごめんね…!」
肩口に、エイミィの涙が落ちる。彼女の涙を見るのは、久しぶりだった。
「こっちこそ、ごめん。…もっと仲間を、君を信頼すべきだったんだ。
いい教訓になったよ。これからも、本当に宜しく頼む」
「うん…」
クロノに抱きついたまま、エイミィは静かに泣いた。
仲間達が、ゆっくりと二人に近づく。
「クロノ、抱き返してあげないの?」 フェイトが笑う。
「…いや、そうしようにも、腕が全く上がらないんだが。実際、今も失神しそうな程痛い」
「ほー。んじゃ両腕が無事だったら、感動的ラブシーンが見られたワケだ♪」
「やっぱり、あの時避けるべきだったね、クロノ」
「え!? クロノ君って、エイミィさんのこと好きだったの!?」
たたみかけるアルフとユーノに加え、なのはの天然ボケが炸裂する。
「な…何言ってるんだキミ達は! き、今日は疲れたから、もう寝る!」
「あら。それじゃエイミィ、クロノの両腕が治るまで、悪いけどサポートお願いね?」
リンディの声で、司令室に笑い声が溢れた。
―END―