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[357]jewel: R 2006/01/18(水) 00:26:37 ID:b2unchDk

Silver R

「もう一つ…。君の言う『闇の書』は、もうこの世界には存在していない。半年前、
ある事件をきっかけに機能を完全に停止させ、自ら消滅を選んだ」
「そうなんだ…でも、僕の目的が変わるわけじゃない」
「…言うかどうか迷ったが…僕も、闇の書には因縁があってね。
僕の父さんも、11年前の闇の書の暴走で、命を落としてるんだ」
「だったら…! 僕の言うことが分かるはずだろ!」
 よろよろと立ち上がりながら、少年は叫んだ。
「…君の両親の命を奪った騎士達だが…彼女たちは、今も戦っている。
自分たちの過去の罪から逃げず、十字架を背負い続けて、心優しき主の下、
全てをかけて戦ってるんだ。それなのに、君はなんだ!?
『守るものがない』だと!? ふざけるな! 君の両親は君を守るため、
身を挺して、それこそ命を賭して戦ったんだろう!? だからこそ、
今の君の存在があるんじゃないのか!? だから、君は生きなきゃいけないんだ!
今を精一杯生きて、『未来』を守ることで、大切な『過去』を守り続けるんだ!!」
 顔を上げ、クロノは少年に言い放った。
 その場にいた全員が、口を噤んだ。ゆっくりと、沈黙が流れる。

「………それでも、僕は止まらない。もう、止まれないんだ」
 涙ながらに話す少年の前に、5重の魔法陣が直列に並んだ。
「…任せろ。僕が止めるさ」
「………パイルドバースト!!」
 なのはのスターライトブレイカーを思わせるような、巨大な直射砲撃魔法。
 しかしクロノは避けようとせず、バリアを展開して真っ向から受け止めた。
「クロノ!?」「クロノ君!」
「…あのバカ! 何で!?」
 一瞬の不安に襲われたなのは達だったが、爆煙の中から聞こえてきた声に、
 ほっと胸を撫で下ろした。
「…まいったな。右腕も使えなくなったか」
 煙が晴れると、そこには魔法陣を展開したクロノの姿が。
 そして彼の前には、白銀の杖が浮いていた。
「デュランダル、氷結魔法を」『Okey, Boss.』
 パキィィイン…静かに、少年の身体に氷がまとわりついていく。
「…魔力で精製した氷だ。同レベルの炎熱呪文か、己の肉体で物理的に破壊するしかない」
「ずるい、な…こんなに…強…い…なんて…」
 徐々に遠のく少年の意識に、クロノの声が届いた。
「今は、眠るといい。…目が覚めたら、本当の自分を始めるんだ…」


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