―同時刻、高町家・なのはの部屋―
「それじゃあなのは、ちゃんと寝てるんだよ」
「はぁい」
美由希が部屋を出て行く。ベッド脇には、フェイトが座っていた。
「もう、何でもないって言ってるのに、お姉ちゃん、大げさなんだから…」
「それだけ、なのはの事を心配してるんだよ。クロノもそうだから、少し分かる」
「心配性だもんね、クロノ君」
笑いあう二人。
「…それで、『なんでもない』のに、どーしてこうなっちゃったのかな?」
穏やかな顔で、フェイトが本題に入る。
「えと、それは…」
口ごもるなのは。
「…ユーノの事?」
「///」 フェイトの言葉に、なのはの頬が薄く染まる。
―彼女の魔法陣と同じ、桜色。
「なのはは、ユーノの事、どう思ってるの?」
フェイトの口調は鋭く、そして温かかった。
「その…とっても大切な…友達…」
「それだけ?」
「…あと、今はちょっとだけ、違うかも…」
「そうなんだ」
敢えて、それ以上の追求はしなかった。その『想い』は、なのは自身の大切なもの。
今の自分が、簡単に「好き」という単語で表すものじゃない。
フェイトは、そう思っていた。
「あのね、フェイトちゃん…ユーノ君は私のコト、どう思ってるのかな…?」
「え?」 逆になのはに問われ、一瞬呆けてしまうフェイト。
「今日のユーノ君ね、何ていうか…いつもと同じだったの。ほんとにいつもとおんなじ。
優しい言葉も、笑顔も…だからね、ちょっと分からなくなっちゃったの。
ユーノ君、ホントは私のコト、その…どう思ってくれてるんだろう、って… ///」
みるみる顔を赤くしながら、なのはは小声で言った。
「それは…きっと…これからも、ユーノと一緒にいれば分かると思うよ」
「一緒に?」
「うん。なのはとユーノは、一緒にいるのが、一番自然なんだ」
笑顔で、フェイトが語りかける。
「…そっか。ありがと、フェイトちゃん」
「なのは。その言葉は、ユーノに言わなきゃ。…じゃあ、私は帰るね、バイバイ」
「うん、バイバイ」
パタン、とゆっくり扉を閉める。
(…二人共、よく似てるんだから。ユーノ、頑張って伝えなきゃね)
クス、と微笑んだフェイトに、ドアの向こうからなのはの携帯の着信音が聞こえてきた。
(END)