第1章 指戯 中編
| ふいに、男の大きな手が彼女の白いたおやかな手を握る。 その手を、男は一度放出を終えてふたたび息づく勃起に導いた。 「ほら……もう、こんなになってるんだぜ……。握ってみな……」 男の手が、彼女の手を強引に開かせて、隆々とそびえ立つものに触れさせた。 熱い……。 熱くて、堅いものの感触が、掌から伝わる。 「熱いだろう……。ふふ、しごいてみろよ……」 彼女の手でそのものを握らせ、その上から男が手を添えて、なかば強引に ゆっくりと上下にしごかせた。 ……痴漢男に犯され、感じさせられて…… そして今また、美香をよがらせたものに淫らな愛撫を加えている。 ……いずれ、また……犯される。 諦めと、期待の入り交じった複雑な感情が湧き出てくる。 男の怒張の先端から、半透明な液が滴り落ちてきた。 見ている美香の方が恥ずかしさを覚えるほど、淫猥な現象…… そして、それを見ていることで密かに腰の奥が甘くうずいている…… そのことを知られたくなくて、美香は男のものから目を反らした。 そむけた白い顔を、男は勃起へと向き直らせた。 「……見るんだよ……ほうら。 ようく見るんだ。おまえを、よがり狂わせたものをな……」 男は、とことん言葉で嬲るつもりらしかった。 そうされることで、美香の興奮の度合いを高めていく効果を知り尽くして いるように。 言外に、これで犯されることを覚悟しろ……そういう意味を美香は悟った。 また、あの陶酔の時がやってくる。 なにもかも忘れて、ただ男の与える性の愉悦に浸りきるときが……。 屈辱も、強制も、命令も……すべてが、彼女の被虐の欲望を満たすための 手段にすぎなかった。 ベッドの上で、美香はひざまずくように言われた。 ちょうど、口元のあたりに男はいきり立ったものを向ける。 頬を、そっと先端がこする。 男の分泌した液が彼女の頬を汚した。 「いや……」 小さくそう言うと、男の卑猥な責めから逃れようとした。 「いやじゃ、ないんだろう? ん……?」 優しく言いながら、ショーツの中に男の指が差し入れられた。 潤みきったそこを、そっと男の指がいじり始めた。 「はぁっ……」 思わず、悩ましい溜息を吐き出してしまう。 男が、嘲るように笑った。 「こんなに……ぐちょぐちょじゃねえか……。気持ちよく、なりたいだろう? だったら……俺も、気持ちよくさせてもらうぜ…」 優しく囁くような口調の中に、否とは言わせない強さがあった。 わななく美香の唇に、先端が押しつけられた。 閉じた唇をこじ開けようとしてか、左右にこすりつけてくる。 「しゃぶりな……」 有無を言わせない響きが、男の声にこめられている。 美香は目を閉じて、口を犯すものを受け容れようと決めた。 「目を開けろ。見るんだよ。可愛いお口を、俺のものが犯してやるところをな……」 男に言われて目を開いた美香は、眼前にそびえる怒張を見つめた。 熱い、ゴムのようにつるつるした亀頭部分に舌を這わせた。 先走りの液がこぼれ出てくるのを、舐め取る。 少ししょっぱいような味がするそれを、美香はためらわずに呑み込む。 舌で鈴口の割れ目をさぐり、歯を当てて軽くこすってみる。 同時に、男のものがビクッ、と跳ねた。 「うまいじゃないか……」 男は、美香の舌遣いの巧みさに驚き、そして喜んだ。舌先を立てて、カリ首を 素早く舐める。 大抵の男が感じるウラスジの部分を、舌で男根の根元から先端まで、ねっとりと 舐め上げる。 男は、声にならない吐息をついた。 上目遣いで男の表情を見ると、呻き声を出すまいとこらえているように見えた。 「もっと……奥まで、くわえろ」 心なしかうわずったような声で、男は言った。 美香は根元近くまで、ひといきに口の奥深くまで吸い込んだ。 ウラスジ周囲に舌と歯を立てて、こすり上げるように往復させる。 唾液で滑りやすくさせて、素早く根元から先までを唇と舌で締め付けるように吸う。 吸いながら、緩急をつけた絶技を駆使して愛撫を行う。 「う……うっ……」 絶妙な美香のフェラチオに、男はついに感じている声をこらえきれなくなった。 確実に迫り来る快楽に耐えようとして、眉根に皺を寄せている。 袋の部分にも指を使い、アナル周辺をも白い指先がくすぐりたてる。 「くっ……。 ……うっ……」 男の艶めかしい呻きが、美香の蜜を溢れさせる。 唇を犯されていながら、腰の奥が甘くうずき、愛液が湧き出てくる。 美香は、男を喜ばせる唇の愛撫にいつしか熱中していた。 まるで恋人のものを愛するように……それ以上に情熱を傾けて男に奉仕を続ける。 自分にできる限りのテクニックを極めて、愛おしげに舐める。 あそこから……とめどもなく蜜が溢れてきてしまう。 入れてほしくて、陰唇が無意識のうちに妖しく蠢く。 「……凄え、うまさだ……。そんなに、男のちんぽしゃぶるのが、好きなのか……」 息を弾ませて、興奮しきった様子で話した。 驚嘆と喜悦が入り交じった、酔ったような表情で、男はまじまじと美香の顔を見つめた。 楚々とした風情に似合わない、素晴らしいテクニックの持ち主。 両方の乳房を、キャミソールの上からぐっと掴まれる。 美香は喘いで唇を怒張から離した。 「ふふふ…2度目じゃなけりゃ、出しちまってるところだ……。 次に姦る時からは、最初の一発目は口で抜いてからだ。 それから、あそこにぶち込んでやるからな……」 次に…… 最初の、一発? ……陵辱は、今日限りで終わることはない。 男の言葉の意味を知って、美香はぞくぞくと妖しいふるえが背中に走るのを感じた。 「よかったぜ……。今度は、俺が感じさせてやるよ……。何度でも、イキまくらせて やるからな……」 美香の耳に唇を寄せながら、男は自信たっぷりに言った。 そのまま、ベッドに押し倒された。 美しい乳房を覆う、薄布の上からやわらかく手で揉みしだかれる。 「乳首が、立ってるぜ」 言いながら男は、乳首を唇ではさみこみ、次に指でつまんでこすり始めた。 「あんっ……。 ああ……」 美香の口から、艶めかしい喘ぎが漏れ出る。 そのまま、ベッドに押し倒されて、レースのキャミソールごしに舐められる。 「布の上からでも、感じるだろう…。次は、じかに舐めてやるよ」 薄い皮膜のような布地をめくられ、素肌の乳房がさらされた。 男は柔らかく揉みしだきながら、手のひらで円を描くようにしてこね回す。 舌を突き出して、乳房のふくらみの外側…脇の下側から、乳首の近くまでを舐めていく。 敏感な突起をわざとよけて、焦らされている。 そうされることで、かえって乳首が痛いほどに神経が集中する。 「ここ……舐めて、ほしいか?」 男の指先で、つうっと乳頭部分をこすられた。 「はあっ……」 美香の身体が勝手にのけぞってしまうほど、鋭い快感が襲った。 「どうなんだ? 舐めて、ほしいか?」 「……ええ……」 「乳首を、舐めてください、だ。言え」 美香の紅く染まる顔を見つめて、男は言い放った。 「……乳首を……舐めて、くだ……さい……」 羞恥と興奮のあまり、美香の声はとぎれとぎれに掠れていた。 男は、美香を言葉でも責めて、征服し、従属させようとしている。 「ようし……ご褒美だ」 そこから、本格的に胸への愛撫がはじまった。 唇で乳首をはさみ、舌でころがすように幾度も小刻みに舐める。 乳輪に沿ってまるく舌を使いながら、舌先で乳房全体を舐め回す。 ねっとりとした男の舌が……唇が、たっぷりと美香の左右の乳房を交互に吸い、 両手で乳房の形をさまざまに変えて揉んだ。 「あっ……。あ…… ああっ……。」 しつこいくらいに胸を集中的に嬲られ、美香はたまらずに声をあげ続けた。 男の舌戯は、素晴らしかった。 唾液をたっぷりと塗り広げられ、ぬるぬると滑る舌の動き。 それをされた時、乳房への責めだけでいきそうになるほど感じた。 どのくらいの時間が経ったのか、ようやく男の顔が美香の胸元から離れた。 強く吸われて、キスマークがついている箇所もいくつもある。 唾液が、糸をひいて乳首と男の唇を伝った。 男は完全に優位を取り戻し、薄く笑いながら美香を見下ろした。 せわしなく呼吸を乱している彼女の股間へ、指を伸ばす。 「凄え……。おもらししてるみたいに……濡れ濡れじゃねえか」 逞しい男の手が、濡れて秘所に張りつくショーツを脱がせにかかった。 やっと挿入されるのかと思い、美香は切ない息をついた。 すべて脱がされる前に、布は翳りをむきだしにさせた所で止まる。 「可愛い顔して……ここは、結構濃いんだな……」 その言葉が秘毛の濃さを指すのか、それとも女性器の色の濃さを示している のかは、わからない。 そして男はゆっくりとショーツをずり下げると、一度目に美香を犯した時と同じに 片方の足にひっかけた。 「膝を立てて、足を広げろ」 のろのろと、膝を立てるまではできた。 でも、美香はほんの数センチほどしか広げなかった。 膝頭が、こきざみに揺れている……震えていた。 男の眼前に、すべてをさらけ出すのはどうしても抵抗があった。 「足を、広げろ」 男はもう一度、語気を強めて命じた。 ……美香は諦めて、少しずつ……ゆっくりと広げていった。 男の鋭い視線が、股間を刺し貫くように……見ている。 視姦されているのを感じながら、膝を立てたままの状態では辛くなる寸前の 姿勢にまで、開脚した。 恥ずかしさで、いたたまれない……。 美香は目を閉じ、顔を横に向けて羞恥に耐えた。 すかさず、男は言った。 「顔を、そむけるな。俺の目を見ろ」 男は、彼女が自分の世界に逃げるのを許さなかった。 仕方なく、美香は虚ろな目で男と視線を合わせた。 切れ長の二重瞼に鋭さを秘めた眼光が、今は欲情に煙っている。 微笑を浮かべた男の顔が、開ききった股間へと近づいていった。 濡れ光る秘毛を指でかき分け、愛液で潤んだはざまをさぐる。 「くくく……。ここは結構、使い込んでるようだな……。ふふ、いい色してやがる……」 美香のそこは、完全なピンク色ではなく、くすんだ色をしている。 それを男に指摘されて、思わず耳を塞ぎたくなるほどだった。 膣の入り口付近をまさぐりながら、なおも男は卑猥な言葉を容赦なく浴びせかけた。 「足おっ広げて、おまんこ見られて……それでも、感じるんだろう。 汁がどんどん、あふれてくるぜ……」 男の言うとおりだった……。 恥辱のポーズをとらされながら、濡れている自分が確かにいた。 「クリも、割と大きいな……。おおかた、自分でもクリとおまんこいじって、愉しんでるん だろう?え?そうだろう……」 そんなことを言われてしまい、頬と腰が熱く火照る。 事実、美香は日常的にオナニーをしているのだから……。 指でいじくる訳でもなく、舐める訳でもなく…… 男はそこを観察し、逐一美香に猥語を言って反応を確かめていた…… ……はずなのに、ふうっとそこに息を吹きかけられ、美香はつい 「ああん……」 と甘い声を出してよがった。 次に、クリトリスにそっと口づけられる。 「あ……!ああ!あっ…………!!」 もう、限界だった…。 美香はその瞬間、強烈な絶頂感に昇りつめていった。 「あ……。……ああん……」 色っぽく喘ぎながら、余韻を楽しもうと膣内をひくつかせてしまう。 「イったのか……」 くく、と男は低く笑った。 「どこを……どうすると、感じる?自分でしてることを、やってみせろ」 「……え……?」 「俺の目の前で、オナニーして見せろ」 あまりにもいやらしすぎる命令に、美香は言葉を失った。 「もう、一度イったんだろうが。いまさら……恥ずかしいのか?」 小さくうなずいて、美香は顔を伏せた。 「それなら、俺がおまんこ気持ちよくさせてやる……」 男はそう言うと、美香の秘所に顔を埋めた。 …舌が、まるで別な生き物のように動き回った。 半透明な液が湧き出てくる膣口に舌先を入れ、クリトリスを唾液と愛液で濡らす。 膣からクリの間を、秘唇に沿ってぬらぬらと舌が上下に這う。 「は、あっ……。ああ……。……ああ……」 絶妙な舌の蠢きに、美香は身体の奥底から感じいっていた。 もう一度、イキそうに追いつめられていく。 艶めかしい声で、男の責めに応える。 唐突に、男は舌遣いを止めた。 「ああっ……」 美香の口から、小さな悲鳴が出る。 もちろん、やめないで、というサインだった。 「どうした……?」 男は美香のせつない表情を見上げながら、嘲るように言った。 「つづけて、ほしいか?」 うなずく美香に、男は突き放すように言った。 「続きは、自分の指でしろ。オナって見せて、イったら……そのあと、おまえがイクまで 舐めてやる」 どうしても、男は彼女に自慰を強制したいようだった。 美香は、男に言われるまま…白い指を、クンニでうずいているあそこに伸ばした。 膣口からクリトリスまでを、そっと指でこすりあげながら 指先で軽くクリトリスを持ち上げるように、上下に擦りはじめた。 目をかたく閉じ、ひとりの世界に没入していく。 男にされた淫らな行為を、淫猥な言葉責めを思い出しながら……。 男の目の前で、こんなことをさせられている……。 そんな暗い愉悦が、美香の性感をいやおうなしに高めていった。 まもなく、美香は二度目の絶頂を迎えた。 「あああっ……ああ……。だめ……。い、くっ…………」 高くか細い声で、自らの指で慰めながら快感を訴えた。 まだ荒い息をつく美香の股間を開かせ、すぐに男の舌が這った。 分泌された愛液が潤滑液となり、ぬるぬると滑る舌の猥褻な動き…… それは指とは比べものにならないくらいの快美な感覚だった。 「いいか……?」 男は、舐めながらくぐもった声で訊いた。 「ええ……」 「おまんこ、感じるか?」 「……感じ、ます……」 「ちゃんと言え。言わないと、やめるぞ……」 男は、今度は美香にも猥語を言わせようとしていた。 「……お……まん、こ……感じ……ます……」 恥ずかしさを懸命にこらえながら、きれぎれに美香は言った。 「自分の指と……俺の口と、どっちが感じる?」 「あなたの……あなたの、口です……。あ、ああ……。 あなたの、ほうが……感じ、ます……。 ああっ……」 それは、嘘偽りのない本心からの言葉だった。 「そうか……。そうだろう……」 男は満足げに笑いながら、美香の顔を上目遣いに見つめた。 「おまんこ、舐められるの、好きか?」 「はい……、好き、です……」 「そうじゃないだろう。言い直せ」 男は声を低く落として威圧した。 「……おまん、こ……舐め、られるの……。好きです……」 「そうだ……。言う通りにすれば、もっと気持ちよくさせてやる……。イク時は、イクと 言えよ……」 再び、男の舌はさかんに動き始めた。 「…ああ……。もう……いき、そう…です……」 美香は、顔を快楽で歪めて首を振っていた。 「イケよ……。これで、三度目だな」 ぺろり、とクリトリスの上を大きく舐めあげながら、吸われる。 その途端、急激にエクスタシーの波がやってきた。 美香は、立て続けに三度目の大波にさらわれていった。 気が……遠く、なる……。 淫らすぎる男のテクニックに、美香の肉体は完全に屈従を強いられていた。 少しの間、美香は動くこともけだるく、ただあおむけになって高ぶりが過ぎるのを待っていた。 男が、唇を奪いにくる。 さきほどまで、秘所を舐めていた舌を差し入れられても…… 美香は抵抗もできずに舌をからめて、ディープキスに応じた。 もう……あれが、ほしくてたまらなくなっている。 太くて固い、男のものを思いっきり突き入れてほしい……。 そのためになら、なにを命じられても従おう……本気でそう思った。 これ以上、じらされたら…… 気が、狂いそうになってしまう……。 唇に、男の怒張が押しつけられた。なにを求めているかは、わかりきっている。 わかっているのに口を開けずにいると、男が美香の顔に跨って指を口に入れてきた。 フェラチオの真似事を指に対して行うと、じきに指が抜かれ ……ゆっくり、唇を怒張で犯しにくる。 美香が男のものに舌をからめると、男は美香の顔の上で自分から腰を使ってきた。 イラマチオ…強制フェラチオのかたちをとらされる。 男は、息を乱しながら美香の口内を犯し続けた。 「もう、たまらねえ……。イキそうだ……。出すぜ……」 美香は、それを聞いて男根を口に含んだまま、いやいやと首を振った。 口から引き抜くと、男はさらに訊いた。 「こんなに、ちんぽしゃぶるのがうまいんだ……。 男のちんぽ汁くらい、飲んでるんだろうが?」 「いいえ……」 なおも、美香は首を振って否定する。 「見え透いた嘘を言うなよ」 男はせせら笑った。 「これだけのことしてやれば、男はおまえの口の中でイキたがるだろう? 我慢できずに射精しちまってもおかしくない。俺だって、今イクことを言わずに出して、 おまえに無理矢理飲ませることもできたんだぜ……」 ほんとうは、いままでに何度も飲んだことがある。 味わうことにも、抵抗はさほどなかった。 ただ、このままこの男の命令を素直に受け容れることは、したくない。 少しの抵抗が、一層男を燃え立たせるのを知った上でのことだった。 「俺の、精液を、飲め。…飲まないと、あそこにちんぽぶち込んでイカせてやらないぞ……」 いうことをきかない幼児をあやすように、優しく男は囁いた。 「しゃぶれ……」 美香は、男の言葉に操られるまま、フェラチオをはじめた。 「俺が出したら、そのまま口でまた大きくさせろ。 そうしたら、たっぷりおまんこをイカせまくってやる。いいな……」 美香の秘所が、その言葉でうずくと同時に、男への奉仕を始めた。 …ウラスジに舌を擦りつけて、上下に往復させる。 カリ首のくびれに舌を巻き付け、ぐるりと周囲を舐めまわす。 そのまま張ったカリに吸いつき、亀頭を歯でこする……。 「……ああ……。いい……。おまえの、唇は……最高、だ……」 男は冷静な表情が崩れ、凛々しい顔を陶酔のあまりに歪めていた。 美香の舌戯に加え、自分から腰を動かしつづける。 「出すぞ……。おまえの、色っぽい口に、全部出してやる……汚して、やる…… おまえの口を、俺のザーメンでな……。一滴も残さずに、飲め……」 ああっ……と、抑えられない快楽の声をあげて、男は激しく射精した。 美香の口内に、生ぬるい粘液が大量に浴びせられる。 口の奥深くまで注ぎこまれる液を、美香は呑み込んだ。 二度目の射精にしては、量が多いような気がする。 味も濃かった。わずかな苦みが、舌に感じられた。 決していやな味に感じない……。むしろ、その逆だった。 美香は、放出の快楽に脈打つ怒張の亀頭部分を舐めた。 鈴口からこぼれてくる精液の残滓を、巧みにすくい取る。 「……ああ……そうだ。ちんぽについてるのも、みんな、きれいにしろ……」 男のものの硬度が、射精によって失われかける。 美香が奥までくわえ込み、吸い続け、舌と唇を使いまくると 口の中のものは、また力を取り戻しはじめた。 「うまいぞ……。もう、感じてきたぜ……」 美香の舌遣いもさることながら、男の回復力も目を見張るほどだった。 それほどに興奮しているのか、すぐに熱さと固さを漲らせてきた。 男は、美香に口での奉仕をやめさせた。 そそり立つものは彼女の唾液で濡れ、てらてらと妖しい光沢を放っている。 「約束通り……こいつで、たっぷり可愛がってやるよ……。 俺がイクまでに、おまえを何度も、何度も……おかしくなるくらい、イキまくらせて やる……」 激しい陵辱を目の前の男に宣言されて、美香は腰から下の力が抜けていき、 しびれるような、たまらない快感を感じてしまう……。 「その前に……おねがい……」 「なんだ?言ってみろ……」 美香は、怯えと情欲の昂進に葛藤しながらも、口を開いた。 「ゴムは……つけて、して……」 一度は避妊をしてくれても、口内射精を強制させられて …今度は膣内射精をされることを恐れていた。 男の要求がエスカレートしない保証はどこにもない。 「安心しろよ……。ナマでは、出さないから」 くくっ、とおかしそうに笑いながら男は続けた。 「自分から、犯してくれ……と言ったも同然だな」 男が指摘した通りだった。 避妊さえしてくれれば、犯されてもいい。そういうことだった。 しかも、女の自分からそれを求めている。 「それじゃ……着けてもらおうか」 男は、ベッドの背もたれの上の箱をあごで示した。 「あそこに、コンドームがある……おまえの手で、ちんぽにかぶせろ」 瞬間的に、屈辱感と、羞恥心が当然湧き出てくる。 けれど、それらを凌駕する切実な性の欲求には勝てなかった。 ベッドに膝立ちする男に、美香は逞しい怒張にコンドームを被せた。 それは、いかにもいやらしい黒い色をしていた。 黒色の男根を見ただけで、美香は新たな蜜をこぼしてしまう……。 「よし……よく、出来たな」 男は美香を押し倒し、乳房を激しくしゃぶりながら秘所に怒張を押しつけてきた。 それだけで、美香はうっとりとその感触を愉しんだ。 足を広げられ、男に両足を抱え上げられる。 ……来る……。 美香は、胸を躍らせて挿入を待った。 「いくぞ……」 男のものは、ぐうっと膣内に侵入してきた。 「あああっ……!ああ…………」 灼熱の肉棒が、美香の秘境を充たしていく。 ものすごい充足感に、頭と腰がじんじんと強くしびれていってしまう。 焦らしに焦らされ、クリトリスで三度もイかされ、そのあげくでのやっとの挿入だった。 感じないはずがない。 男は腰を使いはじめた。 出し入れをされるたびに、太いものが突き刺さる。 そして、膣から出ていく寸前まで引き戻される。 特に感じる膣の入り口を、いやらしく張ったカリ首で突つかれると 美香は急速に頂上に突き上げられていった。 「あああっ……!イっちゃう……。 ああ……。もうダメ、はあ、ああっ…………」 絶頂の瞬間、男のものを締め付けて、快楽を追いつづける。 「ふふっ……もう、イったのか……。おまんこが、きゅっと締まってる。 そんなに、おれのちんぽが感じるのか…………」 勝ち誇った様子で、男はふたたび動きはじめた。 「まだまだだ……もっと、もっと、何度でもよがらせてやる」 ゆっくりと、男はリズミカルに律動を加える。 今度は、クリトリスの裏側に位置するくぼみ…… いわゆるGスポットと呼ばれる部分に突きあたってくる。 「あっ……あん、そこ……。いい……」 男の緩慢な動きがもどかしく、美香は自分からはしたなくねだった。 「おねがい……。もっと……。あ……。もっと……。ああん、うごいてぇ……」 鼻にかかる甘い声で、まるで恋人にせがむように言う。 つい数時間前までは顔を合わせたこともない、赤の他人同士だった。 ただ電車で乗り合わせて痴漢行為を働かれ、感じさせられてしまった。 そしてここに軟禁されるかたちでのレイプ。 しかも、そのレイプでさえも素晴らしい甘美な悦楽を伴っていた。 美香のすべてが、男の思うままに操られている。 いけないと思いながらも、肉体は容易に意志を裏切り快感を貪る。 男の巧妙な仕掛けに、美香自身が望んではまりこんでいっている。 「自分で、腰を振れ……」 乱れる彼女を上から見下ろしながら、男は冷たく笑った。 言いながら、あくまでもゆっくりとしか動かない。 美香は男に組み敷かれながら、腰を前後、左右に使いはじめる。 そうせずにはいられないほどの、快楽だった。 すると、男は突然美香の膣内から腰を引いた。 愛液が淫らに糸をひいて、男の黒い怒張と美香の尻を結んだ。 「ああんっ……いやっ……」 思わずそんなことを口走ってしまう。 男は、ベッドにあおむけになった。 「上に、なれ……自分で、入れてみろ」 とことんまで、美香が自分から犯されることを望むかたちにさせるつもりらしい。 男の逞しい筋肉質な肉体に、それにふさわしい威容を誇る黒い男根がそそり立っていた。 見ているだけで、あそこがうずいてくる眺めだった。 おずおずと男の側に寄り、男のものを見つめる。 これが、美香に与えられる悦楽の源泉だった。 犯されているということを忘れ、男の厚い胸板に頬ずりしたくなる。 愛する男でもないのに、積極的に男を歓ばせたいと願う衝動にかられた。 見ればみるほど、男の秀麗な顔も、長身で鍛えられた肉体美も、 なにもかもが美香を魅了してやまなかった。 はじめは無理にでも、今は合意の上でのセックスをしているような 錯覚に陥りそうなほどだった。 |