昔語り22

Back door




冷たいドアに彼女の上半身を押しつける形にしながら、俺はスカートを
さらにめくりあげ、幸実の女の部分へと指を差し入れた。
充分すぎる潤いを手に感じながら、幾度もそっと指先を動かすと
幸実は高く鼻にかかった声をあげる。
幸実との20pほどの身長差を考え、俺は彼女の腰に腕を回し
固定するように抱きかかえた。
その背後からかがみこむように腰を沈めた。
濡れている部分にあてがい、およその位置を見当づけながら探り
……ゆっくりと、押し開いた。


「ああ……っ!」
ひときわ艶めかしい声をあげながら、彼女のそこは俺を熱く
迎え入れた。
濃く粘つく肉の襞が、俺の硬直を幾重にもとりまいて、奥へ奥へと
導いていく。
自分から腰を進めなくとも、彼女自身から引き込まれていくようだ。
「う……うっ!」
こらえようとひき結んだはずの俺の唇から、深い快楽の呻きが
洩れてしまった。
何度も肉体関係を持っていたが、この立ったまま、背後から
という姿勢でもたらされる快感の大きさは、これまでの行為の
比ではなかった。
立っているということで、ただでさえ締め付けの強い彼女の
内部がさらにすぼまりを増している。
俺のものを捉えたまま、幸実の喘ぎとともに不規則に蠢き
まるで手で掴まれてでもいるような圧搾を感じ続ける。
それでいて、膣の中は愛液で溢れかえり、俺が少しでも腰を
前後に動かすと、そのぬめりが加わって予想以上に大きい
打ち付けをしてしまう。
吸いつくように、というのはこういうことなのか……
俺は陶酔の極みでぼんやりと考えた。

禁欲を自分に強いていた期間が長かった。それもある。
彼女を抱かないと誓った間の自涜行為、それだけでは到底
満たされる訳もなかった。
とりあえず、男の身体に否応なく溜まっていく淫欲というものを
吐き出すだけだ。
それだけの即物的な、即興の自己満足でしかない。
現実に愛しい女と抱き合い、柔らかな、あたたかな優しい肌の
ぬくもりを感じあうこと。
それだけを望み、これまで耐えて耐え抜いてきたのだ。
自らに課していた禁欲を今破り、生身の彼女を抱くという喜びは
例えようもない快楽の鎖となって、俺の全身を取りまいてゆるやかに
巻きついてきた。


「あ……、……ああ……!」
屈服の声をあげてしまうのは、俺が先だった。
彼女の白い首筋に唇を寄せ、ブラからはみ出た乳房の肉を
その柔らかさと弾力を手で幾度も味わう。
髪から漂う芳香、ヒップラインのなめらかな肌触り。
触感も、嗅覚も、五感のすべてが性感を増幅させていく。
幸実のたてる声を聴き、うつむく髪の間からのぞく紅潮した頬を見る。
意図的になのか、そうではなく快感のもたらす反応なのか、絶えず
震えるようにしながら濡れた部分が締め上げてくる。
奥深くまで突きまくってやりたいが、 このままでは、すぐに射精して
しまいそうだ。
まだ満足に動いてもいないくせに、俺にはすぐそこまで迫っている
限界が見えていた。
「幸実……。……もう……だめだ……」
俺は屈辱と興奮の入り交じった声で彼女に訴えた。
「イっちまいそうだ……。ああ、凄いよ……幸実」
このまま幸実の中で包み込まれて、いつまでもこうして快感を
貪り続けていたい。
だが、意志とは逆に俺の性感は極限にまで達しかけていた。
彼女の耳元でそう囁きながら、耳たぶと首の境目を舐める。
乳首をつまむと、彼女は自分から俺のものを捉えたまま、腰を
くねらせた。
それがとどめの一撃となって、俺は彼女の中へと欲望のすべてを
吐き出した。

 注ぎ込むごとに、心臓の脈が音を立てて強く打つようだった。
こらえにこらえてきた快感の門を、濁流が一気に押し開く。
「くうっ……、ああ…………」
じんじんと腰から下が痺れていくような凄まじい愉悦が、俺に
情けない呻き声をあげさせる。
性の快楽を感じる以外の身体機能が麻痺してしまうようだ。
それほどに、久しぶりに味わう快感は鮮烈だった。
幸実の尻を抱きしめながら、一滴残らず精液を彼女の身体へ
送り込む。
ただ今はこの快楽の虜になっていたい。
もっともっとこのままでいたい。
それだけを繰り返し心の中で念じていた。




幸実は俺に注ぎ込まれたあと、ドアに全体重を預けるようにして
ようやく立った姿勢を保っていた。
改めて見ると、ひどく淫らな格好をさせていたことに気づく。
なかなか興奮が静まらずにいた俺が、ようやく彼女から離れると
幸実は「あっ……」と高い声をあげた。
もう結合を解いたあとで、なんだろうと訝しんでいると、幸実が
自分の内腿に手を当てた。
その仕草で、俺がつい今しがた存分に放ったものがこぼれて
きてしまったのだとわかった。
はああっ、と彼女が恥じらうようにため息をつき、うつむいている。
「いやだ……。こぼれて、きちゃった……」
困惑と羞恥のこもった声で、独り言のように呟く。
射精後すぐに彼女から離れればよかったものの、そうはしたくなくて
彼女に埋めたまま余韻を味わってしまったからだ。
「ごめん……悪かったよ。つい夢中になっちゃって……」
俺はまだ身につけているジーンズのポケットからタオルハンカチを
出すと、彼女の秘部に当てた。
「ばか…………」
熱い溜息とともに、決して俺を責める口調ではなくそう言う。
頬も、耳たぶまでも紅潮させている幸実の表情はとろけるように
柔らかく、激しい行為に酔ったように見えた。
ブラとスカートを身につけたまま、まるでレイプされているかのように
背後から俺に抱かれ、精液を秘所からこぼれさせている女。
淫らな肢体は背後から眺めているだけで、またも俺の欲望を誘って
やまなかった。



「もう……いいわ。たぶんもう大丈夫」
幸実の手が、秘部を覆うハンカチごと俺の手をよけた。
「ねえ……シャワー浴びていい?」
玄関先から、かろうじてヒールを脱いで自室に入ろうとする。
そのいくぶんかすれた声、やや乱れた髪が俺にはひどく
セクシーに映った。
このままの彼女を、また抱きたい。
今すぐに。
「ねえ……」と口を開きかけた幸実を抱きすくめ、強引に唇を塞いだ。
テクニックもなにもなく、ただ彼女の口内を舌で探りまわる。
やや汗ばんだ乳房を撫で、既に固くなっている乳首を指先で
優しくこすり、軽く押し潰すように何度もつまんだ。
幸実の喉の奥からせつなげな声が出る。
感じている……。
「シャワー浴びちゃ駄目だ」
俺は彼女の首筋を舐めながら囁いた。
肌の匂いと汗の香りが入り交じり、甘酸っぱい味がした。
「……ほら」
俺は幸実の手を俺の腰の前に引き寄せた。
「もっと欲しいんだよ……。もっと……もっとな」
飢えきった獣じみた科白が口を突いて出た。
幸実は俺のものを握らされる形になり、ただ小さく喘いでいた。



幸実の肩を抱いて寝室に連れて行き、ベッドに倒した。
俺自身はジーンズと下着は脱いでしまい、全裸になった。
この部屋の空気はひんやりとしている。
どうやら外出するまではエアコンがかけてあったらしいので
暑さは感じない。
幸実がブラを外そうとしてホックに手をやるのを止めた。
その身体におおいかぶさって、ブラが乳房の上にずり上げられる
形で食い込み、はみ出た胸の下半分が強調されているのを見つめる。
俺の強い視線に羞恥を感じるのか、幸実は「いや……」と小さく
言って顔を逸らした。
全裸に剥いてしまうよりも、この方が遙かにエロティックな視覚
効果があった。
「このままでしようぜ」
乳首の周囲を丹念に舐めながら言うと、幸実の吐息が乱れはじめる。
固く尖った乳首を唇に含み、吸い、舌先でほんの先っぽを転がす
ように繰り返し舐めてやる。
「あっ……ああ、はああん……」
幸実は快楽の声をあげながら、俺の首に腕をからめてきた。
さっきは胸への愛撫がおざなりになっていた分だけ、今は
彼女を感じさせてやろうと拙い技巧を使った。
固くふくらんだ粒が唇と口内の粘膜をこすると、くすぐったさとともに
舐めている俺の口にも快感が生まれてくる。
「乳首……感じるか」
喘ぐ耳元に吐息を吹き込むと、幸実はビクッと身体を震わせた。
「ああ……。いいの……。気持ち……いい……」
身体をくねらせて喘ぐ幸実は、思うとおりの反応を見せて俺を
喜ばせた。


「それじゃ……俺も気持ちよくしてもらおうかな」
幸実の顔近くに俺の腰を持って行き、既に猛っているものを
彼女に見せつけた。
彼女は欲情に煙ったような瞳をそのものに向けた。
試合会場を出る前にシャワーは浴びていない。
幸実はそのことを知らない。
しかもさっき、深々と彼女に突き刺し、たっぷり放ったばかりの
ものを彼女の唇につきつけた。
「ああ…………」
幸実は拒むでもなく、受け容れる訳でもないような表情を
浮かべていた。
彼女の半ば開きかけている悩ましい唇に、俺のそのものを
こすりつけた。
艶やかなピンクの、果てしなく柔らかなものが俺の膨らみを
暖かく包んだ。
ベッドに横になったままの彼女の顔をまたぐ形になって、俺の
欲望の源に奉仕をさせる。
可愛らしい唇が俺のいやらしいものをくわえ、ねっとりと舐め
しゃぶっている。
先だけを丁寧に、じっくりと舌でこすられて、俺は思わず呻き声を
あげてしまった。


やがて幸実は数分は続いた口唇愛撫をやめた。
どうしたのかと思っていると、幸実はベッドの上に起きあがった。
「貴征さんも……起きて」
ベッドの上に膝立ちになると、幸実はためらわずに再び大胆な
フェラチオを続けてくれた。
感じやすい先を集中的に舐めてくれるのはもちろん気持ちいいが
根元の方もそうして欲しい。
「奥も……もっと……」
そう言っただけで彼女は俺の望みを知り尽くしたようだ。
手指をも使ってさすり、愛撫を加えながら裏筋、太腿の内側などの
俺の弱点を責めてくる。
舌を強くこすりつけられる快感に陶然としながら、彼女の唾液で
濡れた幹が、激しく唇の外と中を往復する。
卑猥な眺めを目で楽しみながら、ますます快感のボルテージが
上がっていく。
幸実は清純そうに見えるはかなげな美貌の持ち主だ。
その彼女が男の股間を弄り、積極的に快楽を与えようとして
淫猥な性戯を加えている。
普段の彼女からは想像もできないほどの、激しい愛撫だった。
幸実に惹きつけられているのは、その矛盾、その落差のせい
でもあった。

まさしくこれは、唇を性器に見立てたセックスだった。
しかも、女性の側が自在に男へ与える快感を調節できるのだ。
もう、これは我慢できない……
幸実の唇の中で果ててしまおう。そう思っていた。
俺の膝近くで熱心に励む幸実の頭を押さえ、やがてその絶頂を
目指して俺自身も腰を遣った。
「イクぞ……幸実。……出すぞ……」
俺は興奮の極みでそう宣言した。
幸実の唇へ、俺は淫欲の液を放った。
幸実は恍惚とも苦悩ともつかない表情を浮かべ、俺の望むとおりに
飲み込む。
射精の快感に加えて、唇での奉仕をさせてなおかつ精液を飲ませる
ということが、俺の支配欲を大いに満足させてくれる。
これだけのことで快楽の度合いが数倍にもなっているだろう。
注ぎ終えたあとでも、まだ硬度を保っているものは彼女の唇に
収まったまま、最後の最後まで舐め尽くされているのが舌の刺激で
わかる。
先はあまり執拗に強く舐められると、痛みに近い感覚もある。
舐め取らせたあとで、幸実の中から抜け出た。
 
ビデオに出てくるような、女の顔に精液をかけて汚す……いわゆる
顔射という行為にはそれほど惹かれない。
好きな女にするには侮蔑的な意味合いが強すぎると思うからだ。
ただ、乳房や太腿にぶちまけるというのはしてみたいし、そんな様を
見てみたい。
さぞ刺激的な光景だろう……
そんなことを考えていると、幸実の方から俺の頬にキスしてきた。
俺ばかりが続けざまにイって、彼女をまだ満足させていなかったのだ。
俺は、たった二度射精しただけだ。
今の今まで自制を重ね、押し殺してきたはずの欲望が、幸実に向けて
解放されようとしていた。
まだ冷房の名残がある部屋とはいえ、さすがに汗が浮いてじっとり
してきたが、汗もかかずに絡み合うよりもよっぽど官能的といえる
だろう。
幸実の唇と何度も重ね合い、首筋から胸元へとゆっくり舌を這わせて
いった。
今度は、俺が可愛がってやる番だ。
彼女が悶え狂い、俺の身体に溺れきる様子を見下ろし、男としての
充実感を、支配欲を味わいたい。
 


21 衝動


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