アップルデリー&マッケンタイア珍道中・中南米編
〜或いはマッケンタイア受難記〜
(4)
「本当に久しぶりだ、ここで寝るのは…いや、懐かしい」

高床式の簡素な木造家屋の中、ボクの隣に並んで横になっているアップルデリーさんが、ウキウキと楽しそうに言った。

「この、毛布代わりの布を見たまえ。実に丁寧に織られている上に、模様も美しい!
本来は大切な祭事などにしか使用しない、とっておきの布だ…厚みがあって、織り目もシッカリしていて、暖かいな」
「…聞いてませんよ、ボク」

はしゃぐアップルデリーさんに背を向けて横になっているボク(ちなみに、剥ぎ取られていた服などは、全て無事返却してもらえた)は、低い声でむっつりと呟く。

「ん?何の事だね?」
「アップルデリーさんが、ここの人たちとあんな事情があったなんて、知らなかったって言ってるんですっ」

そう。アップルデリーさんは、ここの…ゲンジュウミンの村の人たちと、知り合いだったのだ。
しかも、ただの知り合いではない。その待遇は、正に「特別扱い」だ。


ボクとアップルデリーさんが知り合う、ずっと昔。
地形を調べるために独りジャングルに訪れた、若き日のアップルデリーさんは、密林の中に迷い込んでジャガーに襲われそうになっていた、一人の幼い子供を助けた。
その子供は、この村の酋長の孫娘だったのだそうだ。
本来は外界の人間と接触を持たないゲンジュウミンたちも、大切な酋長の孫娘を助けた(しかも素手のパンチ一発でジャガーを伸したらしい)英雄として、アップルデリーさんを大歓迎した。
その後1年ほど、アップルデリーさんはこの村に滞在しながら周辺の地図を描いて回り、その間にすっかりゲンジュウミンの言語も覚えてしまったらしい。
(ゲンジュウミンたちから、熱烈な歓迎の抱擁を受けている様子を唖然と見つめるボクの目の前で、アップルデリーさんは彼らの言語でペラペラ喋って楽しそうにコミュニケーションを取っていた…)
アップルデリーさんがこの村から去った後も、彼の名は英雄としてこの村にずっと伝えられてきたのだそうだ。


「話さなかったか??」
「聞いてませんっ!!」

ボクは少し声を荒げて、不機嫌に言い放つ。

――――――ボクが、あんな目に遭わされた理由。
それは、この村の人たちの、とんでもない『勘違い』が原因だった。
ゲンジュウミンたちはジャングルの中で騒ぎ回っているボクを見つけて、隕石がこの村の近くに落ちたのは、余所者がこのジャングルを踏み荒らした事に対する神の怒りだと思ったのだそうだ…。
それで、「神の怒りの原因」であるボクを捕らえて、その魂を神に捧げる儀式を執り行う事で、神に許しを乞おうとしたらしい。
ここの人たちの間では、性的な行為による快楽が、その人の魂を肉体から解放して神の元へ届かせると考えられており、ボクを抱いていたあの男は、儀式の要である「シャーマン」なのだとか…。

とにかく…とどのつまり、この村でのアップルデリーさんの事情を知っていて、最初からアップルデリーさんの名を口にしていれば、ボクはあんな目に遭わされずに済んだかもしれないのだ。

「はっはっは。まぁ、そう拗ねるな。ゲンジュウミンたちの祭事を体感するという、貴重な経験ができたではないか♪」
「なっ…!冗談じゃありませんっ、ボクは…っ、んっ!」

アップルデリーさんのお気楽な言葉に、ボクは勢いよく身体ごと振り返り、抗議しようとしたが…振り返った瞬間、素早く抱き締められて、そのまま唇を重ね合わされた。

「ん…っ」

慣れた…でも、この上なく甘い口付け。

「…すまなかったな」

唇を離し、アップルデリーさんはボクの耳元で、小さく囁いた。
少し掠れた低い声音に、鼓膜を心地よく震わされ、ボクは思わず身を竦める。

「あ、アップルデリーさん…今日はボク、もう…っ、あ!」

耳朶を甘噛みされて、ビクッと身体が緊張する。

「単なる儀式だと、解ってはいるんだがな…」

耳から首筋へと唇が這わされ、スルリとTシャツの裾から手を滑り込まされる。

「っ…!」

腹筋を優しく撫でられただけで、全身がぞくぞくと粟立った。

「正直、少し妬けたぞ」
「…!」

その言葉に、ボクは思わず頬を赤らめた。
アップルデリーさんが、ヤキモチを焼いてくれるなんて…。

「キミは、私が選んだ大切な助手だ…他の誰にも触れさせたくは無い」

澄んだ瞳に見つめられて、心臓がどきんと高鳴る。

「アップル…デリーさん…」
「もう二度と、私の傍から離れるんじゃないぞ」

いや…あの状況で、それは無茶ってモンじゃないかと…(汗)

思わず脱力しそうになったが、どうせボクがどう言おうと、この人は深く考えてはくれないだろうし…ここは素直に頷いておく事にした。

アップルデリーさんはニッと笑うと、いそいそとボクの服を脱がしにかかる。

本当は…今日1日で色んな事がありすぎて、メチャクチャ疲れてるから、泥のように眠りたいんだけど…。

(拒否できない、惚れた弱み……トホホ)

それでも、全身にくまなく愛撫を与えられると、疲れている事などすっかり忘れ去ってしまうくらいの熱が身体の奥から湧き出してきて…身も心も、蕩かされてゆく。

「はぁ…っ、アップルデリー…さぁんっ…」

固く張り詰めた自分自身を口の中に含まれ、亀頭を舌先で転がすように刺激されて、ボクは切ない喘ぎ声を上げた。

「ここには、ティッシュなどという気の利いたものは無いからな…全部飲んであげよう」
「やっ…あ、ダメ…それだめ、イッちゃ……っっ、ひ…あぁあぁんっ!!」

ガクガクと全身を震わせながら、ボクはアップルデリーさんの口の中に全てを放つ。

「あぁ、ん…くぅ…っ」

最後の一滴まで搾り取るかのようにキツめに吸い上げられると、苦しいくらいの快感が全身に広がって、ボクはアップルデリーさんの髪の毛を両手でギュッと掴みながら唇を噛んだ。

「キミは、本当に愛くるしいな」

解放後の疲労感に、ぐったりしながら荒い息をついているボクの頭を、アップルデリーさんの大きな手が優しく撫でる。

「もっと、して欲しいかね?」

ストレートな問い掛けに、ボクは一瞬躊躇し…こくり、と小さく頷く。

――――――不意に。

ぎゅぎゅぅ〜〜〜〜〜〜。

「へ??」

ボクの腹が、大きな音で鳴った。
今度は、空腹が原因では無い。先刻のアヤシイ儀式は、アップルデリーさんの登場で歓迎の宴へと一変し、果物やらジャガーの肉やらを、目一杯振舞われたのだから。

「い…痛っ…いたたたたたっっ!!??」

突如、猛烈な腹痛に見舞われて、ボクは蹲った。

「ひぃいぃっ、何だコレっっ…本気で痛い〜〜〜っっ!!」
「ああ…多分、昼間飲んだ河の水に当たったんだろう」

事も無げにさらりと言い放たれ、ボクの目は思わず点になる。

「うぅうぅ…水に、当たった…って…い、いたたっ…ここの河の水は、飲用は…」
「飲んではいかんのだよ。寄生虫や細菌がウジャウジャしているからなぁ」
「きっ…!!??な、な、何で…飲む前に、言って…うぅうぅっっ、くれないんですかぁあぁっ」
「何を言っとるんだね。言う暇など無いほど凄い勢いで走っていって、川の水に口を付けとったじゃないか」

……た、確かに……(涙)

「少しの間、我慢していたまえ。薬草を取ってきて煎じてあげよう」

顔色を真っ青にしながら、腹部を抑えて身体を丸めているボクの肩をポンポンと叩き、アップルデリーさんは家から出て行った。

「今日は…うぅうぅ〜〜、厄日…だぁ…っ、一体…何でっ、こんな目にぃ〜〜」

無理をごり押しして、ジャングルに突入を決め込んだアップルデリーさんが悪いのか…とんでもなくはた迷惑な勘違いを起こしたゲンジュウミンたちを責めるべきか…。

いや、やはり…惚れた弱みで、アップルデリーさんの熱意に負けてしまった自分が悪いのだろうな…と、激痛に耐えながら、頭の片隅でぼんやりと思った。

――――――つくづく、トホホ…である(泣)


※          ※          ※          ※


あれから2日ほど、ボクは寝込んだ。
激烈な腹痛と格闘した2日間だった…。
それでも、アップルデリーさんが取ってきてくれた薬草がとても良く効いた為(頭がどうかなってしまいそうな程苦くて、飲むのは一苦労だったが)たった2日で全快する事ができたのだ。

結局ボクたちは、暫くこの村に厄介になる事になった。
昔、アップルデリーさんがこの村に滞在していた時と同じように、ここを拠点に地形を調べる事にしたのである。

「準備はできたかね?マイケルダック君!」

地図を描くための準備を整えたアップルデリーさんが、元気よくボクに言う。

「…マッケンタイアです…」

機材を抱えて、ボクは気の抜けた声で答えた。

ボクを探しに来てくれた時の、たった一回。それ以来、アップルデリーさんは、ボクの名前をただの一度も正確に呼んでくれない。
どうやら、単なる偶然だったらしい…あの時、正しく名前を呼んでくれたのは。

「細かい事は気にするな。ニワトリたちの世話にも行かなきゃならん、出かけるぞ!」

軽やかな足取りで家の中から出て行くアップルデリーさんの後ろに、肩を落としながら続く。
名前を覚えて貰えたものだと思い込んでいただけに、すっかり気分が凹んでしまっている…。

「あっぷるでり、*****!」
「あっぷるでり!」

隕石が落ちた衝撃で起きた地震のせいだろう、倒壊してしまっている幾つかの高床式の住居の補修作業をしている人や、草を編んだり薪を割ったりしていた人が、こちらに向かって手を振っている。
アップルデリーさんの名前以外、何を言っているのかは解らないが、恐らく行ってらっしゃいとか何とか言っているんだろう。

「******!」

この村の言語で、ゲンジュウミンたちの呼び掛けににこやかに応えているアップルデリーさんを見つめて、ボクは溜め息を吐いた。


この人の事だ。この先、一生ボクの名前を覚えてくれないかもしれない。
しかし偶然とは言えど、正しくボクの名を呼んでくれたのは、事実だ。
この人に名を呼ばれるだけで、ボクはこの上なく幸せな気持ちになれる。
だから…どんなに名前を間違えられても、ボクは諦めずに名前を訂正し続ける。
そのうちまた偶然、ボクの名を呼んでくれる事がある……そう信じて。


「さぁ、行くぞ!マッケンロー君!」
「マッケンタイアですっ!」

ボクは、凹んだ気分を振り払うように、大きな声で名前を訂正した。
密林の入り口に向かって豪快に駆け出してゆく、逞しい後姿を見つめながら、精一杯この背中に付いていこうと、新たに決意を固める。


こういうのを、ドツボにはまるって言うんだろうな…と、心の中で自分に対して呆れ返りつつ―――――




※ おわし(受難の日々は続く…) ※
☆まおのコメントとか言い訳とか(死)☆


初・キリリクSSでございます〜。

キリ番500HITの申請が無かったので、
600HITを踏み踏みしてくれだLOVINつんに、捧げさせて頂きました!!

何でか解らんが、内容がくだらないクセに(涙)異様に話が長くなってしまい、
随分とお待たせしてしまいました…すいません(汗)
本当は、この3分の1くらいの長さにしようと思ってたのに。何でこんなに長く…(汗)

今回のお題は、

『アップルデリー×マッケンタイア・中南米爆笑珍道中を!』

という事だったのですが。

書いていて何が難しかったって、中南米がどんな所なのか全然解らなかった事(爆)
「ジャングルがある」って事くらいしか知らないまおの頭に浮かんだ図式は、

「中南米→熱帯雨林地域有り→ジャングル→原住民→怪しい部族→ヤヴァい儀式」

って、おい〜〜〜ッッ!!そりゃ激しく偏見ってモンだろうがヨ〜〜〜!!??
と、自分で自分にツッコミ入れながらも、それ以外に何も思いつかなかったんでしゅ・・・。
(この能無しがー!)

それでも何とかジャングルっぽさを出す為に、色々動物の事を調べてみたり、
河の水って飲んでいいのか?とか、亜熱帯雨林地域の住居ってどんなん?とか・・・。
まおの無知さ加減のために、執筆時間がかかりました(死)

そして、出来上がった結果は…。

『踏んだり蹴ったりの連続で、ひたすら可哀相で情けないマッケン君』

……………………(汗)

ごっ、ゴメンナサイ…皆様、ろびんつん…(多汗)
しかも、最後までホンバン無し…何故か、寸止めに…何故なんだ…?

俺、腹切ってお詫びします。(嘘)

ともあれ、こんな駄文を読んでくれて、ありがとでしたぁvvv(T▽T)/

PC用眼鏡【管理人も使ってますがマジで疲れません】 解約手数料0円【あしたでんき】 Yahoo 楽天 NTT-X Store

無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 ふるさと納税 海外旅行保険が無料! 海外ホテル