龍の宝玉=性感帯分布説における一考察
                                           ○久


 手触りの良い長い髪を、少し指にからませて、頭を引き寄せる。
 白い肌の上、そこだけ異質な光を放つ宝玉に軽く口付ける。
 それだけで、鷹通の体が小さく震える。
「どうして…こんなことくらいで私は…」
 漏れる吐息が甘い。
「こう考えたことは無いかい? 鷹通。」
 友雅は宝玉から唇を離し、代わりに指を滑らせる。
「…ん…」
 それだけでも鷹通の体は反応してしまう。
「我ら八葉は、この龍の宝玉を媒介として、五行の力を取り入れる。
つまりここは、気脈の入り口。」
 八葉や神子など力のある者以外には、見えもせず、触れることもできない
その石をコツコツと叩く。
「鷹通は、神子殿と術を唱える時、自分の中に龍脈を感じないか?
宝玉を通って、体の隅々まで流れ込む力を。」
 宝玉は、次第に熱を帯びる鷹通の肌の上にあってなお、ひんやりとした感
触を失わない。
「それは…感じます。けれどそれは…この…ような…」
 鷹通の息が不自然に弾む。
「それはそうだろうね。私が送りこんでいるのは、今この場に最もふさわしい
気だから。」
 くすくすと笑いながら、友雅は再び宝玉に唇を寄せる。
 硬質な石の感触を、舌で味わう。
「…あぁ…」
 鷹通にたきしめられている香が、体の熱さに沿うように、甘く香る。
「頭の良い鷹通のことだ。判るだろう?」
 執拗なまでに宝玉を狙って舌を這わせる。深く吸う。
 鷹通の体中を甘い痺れが走る。
 触れられてもいないのに、体の内側から感じてしまう。
「くっ…あっ」
 鷹通の体が跳ねる。首が仰け反り、襟が乱れ、普段は隠れている鎖骨が覗く。
 くぼみに散る赤い花。


「つまり私は、宝玉の存在を知る人間が、想いを込めて送る気に反応すると思う
のだがね。 鷹通はどう思う?」
 力の入らない鷹通の指がそっと触れた胸の宝玉から、甘いしびれが友雅の体に
広がり、火をつける。
「あながち、間違いでは無さそうだね。」
 友雅は、くすり、と笑った。


                                      了2000.05.17

香月さんにメールのおまけで送ったら、バカ受けした記憶が・・・。
香月さんのサイトにひっそりと(?)掲載されています。
どう行くかですって? ええと・・・薔薇の木リングから? 

割かしこのオリジナル設定は気に入っているのでこちらにも載せてみたり。
八葉全員に使えるところがポイント(笑)

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