大三島編 2011/03/19(土)


前回、鞆の浦で「瀬戸内海フォーエバー!!」になったあもちんみの会ですが、もっと瀬戸内海の魅力に取りつかれたい! と昨年の夏ごろには第二回の計画が立ち上がろうとしていました。説明しよう! あもちんみの会とは! 瀬戸内海沿岸に生まれ育った天王屋、エムサ、SANAの三人が所属する飲んだり食べたり遊びに行ったりするグループである! 要するにBASARAつながりの歴史文化系サークルみたいな。ビールのおつまみは阿藻珍味で買うのを忘れないことが大事でござる。
今度は一泊しちゃう? 温泉行っちゃう? 甲冑ハアハア! 忘れちゃダメだぜ瀬戸内海! と、いうことで沿海周遊ルートを使って大三島の大山祇神社、松山の道後温泉に行くことにしました。一週間前に東日本大震災が起きて、どうなることかと思いましたがなんとか開催にこぎつけました。西日本は本当に日常でしたからね……。テレビの向こうとこっちが同じ日本なんて、と変な感想を持ったものです。

今回の予定は一日目が、岡山から山陽道を下ってしまなみ海道を通り、途中の大三島に下りて大山祇神社参拝。高速に上がって今治から松山自動車道をさらに下って松山へ。道後温泉へ入って夕食を取ったら就寝。二日目はお昼まで松山城などを散策して、その後は松山道高松道を上り、瀬戸大橋自動車道を通って岡山に戻ります。
移動が結構時間とられるのですが、しまなみ海道も瀬戸大橋も景色はいいし、陸路でも海が見える場所は多いし、寝ててもいいし、話をしまくるもよしで乗りきってもらいました。ドライバーは私とSANAさんが分担して、エムサさんにはお大尽気分を味わってもらいました。
反省点はナビが古かったこと、CDが足りなかったこと……かな……。出発でーす!

エムサさんには朝の早くから東京駅を出発していただきました。連日の原発関連のニュースや相次ぐ余震で危機感が一番煽られた頃だったと思います。東京脱出民が見受けられたそうですよ。私は10時岡山駅集合の予定で意気込んで車を出します。まあ、時間にルーズな私が定刻通り到着したことないですよね……。三十分遅れ余裕。なんとかSANAさんと合流、エムサさんも拾って岡山駅を出発したのは11時前でした。アレ、おかしいな。
久しぶりー、の挨拶をしたらとっとこ高速に乗ります。途中の福山SAで休憩。SAPAは変な食べ物飲み物を売っていることで知られますが、その一つ。尾道チャイダー。尾道市は福山市の隣です。日本の代表ドリンクス……だと……? 聞いたことがないぞ! お味の方は形容しがたい渋甘さ。お茶とサイダーをブレンドさせようなんてきがくるっとる。
福山の水なるものもあって、東京今水不足なんだよねという話をしつつ古里の味をお飲みになるお二人。マズイとのこと。


広島(安芸国)と愛媛(伊予国)の間に浮かぶ島々を総称して芸予諸島といいます。有名な島では世界遺産厳島神社のある宮島、海軍兵学校のあった江田島、今回訪れた大山祇神社を有する大三島、「は! か! た! の! しお!」の伯方島などがあります。中世には村上水軍が拠点とした海域ですので、そちらに詳しい方にはおなじみでしょうか。以前発掘調査を見学した能島も含まれます。有人島無人島あわせると数百の島々からなる、瀬戸内海最大の島嶼部です。
尾道ICで山陽自動車道を下りて、西瀬戸尾道ICから西瀬戸自動車道、通称しまなみ海道に移ります。実は繋がっていないのです。今治も同様で、いちいち乗りかえるのがめんどくさいのでさっさと繋いでほしいけど今は道路拡張に金くれないから無理だろうなあ。
そんなグチはおいといて、尾道水道を挟んですぐの向島から橋を渡っていきます。瀬戸大橋と違って島の間を縫うように走っているので、山あり谷あり海あり、のどかな瀬戸内海の風景を思う存分堪能できます。鄙びているとは言わせない。島の山肌には採石場が多く、かつてはここから運んだ石が西日本各地の城の石垣に使われたとか。岩石組成でわかるんだそうな。あとは日当たりはいいし気候は温暖だし雨は少ないし、柑橘類の栽培が盛んです。
これは愛媛側に大分入ってから、能島のあたりです。


ズーム。左から鵜島、能島、鯛崎島。


二時間くらいで大三島に到着。車を停めてまずは腹ごしらえ。神社の前の小さな食堂に長蛇の列ができていたのに驚きつつ、普通の食堂へ。せとうち茶屋大三島。ぱっと開いたメニューにはおもしろそうな料理の名前と写真が。もちろん試しますよね! 私はかぐやうどん、SANAさんはじゃこカツレモンラーメン、エムサさんは鯛ラーメン。
普通のうどんかと思いきや……。ババーンキャー! 麺が真っ黒! その正体は竹炭を練り込んだうどん。残念なことに讃岐うどん常食者の私には耐えがたい柔らかさでした……。レモンラーメンはさっぱりしていて意外においしく、鯛ラーメンは鯛のダシが出てあっさり美味。なんか、泣いた。


気を取り直して神社へ行くよー。
の前に、銅像を発見。瀬戸内のジャンヌ・ダルクと名高い悲劇のヒロイン鶴姫のたおやかなお姿。しかも何体もあって鶴姫ロードに鶴姫鈴鳴公園まで。




すいません正直BASARA3で初めて知りました……。たぶん同じような方が多いと思いますので、鶴姫伝説を簡単に。
戦国時代のこと。大山祇神社の祭祀を務め、三島水軍の棟梁も兼ねる大祝(おおほうり)家の娘に生まれた鶴姫は越智安成と恋仲に。しかし時代は酷なもので、周防の大内氏に侵攻を受けて兄を失った鶴姫は紺糸裾素懸威胴丸を身につけて陣頭に立った。一進一退の攻防を重ね、三度目の戦で鶴姫率いる三島水軍は大内軍を退かせることに成功。しかし、越智安成は戦いのさなかに命を落としており、それを大きく嘆いた鶴姫は一首したためると海に漕ぎ出し姿を消したのだった。
  わが恋は 三島の浦の うつせ貝 むなしくなりて 名をぞわづらふ
実際に彼女が着用したといわれる胴丸が現存しています。現存唯一の女性用の鎧で、一般的な鎧とは違い、バストが膨らんでウエストを細めにしてあるのが特徴です。宝物館に展示されているので、訪れた際はぜひ見比べてみてください。


さて、ようやく敷地内に入りました。


すぐ右手に絵馬殿があります。こういうの大好きだー! とまたも暴走。いつもいつもスイマセン。



これはなんぞ……! 左はタイマイの甲羅だろうけど右が本気でわからん。必死で解読を試みるも挫折。どなたか訳してくだされ。
「第二回目御神様御出現□相成リ一千年ニ及ブ昭和三年十二月廿五日夜御霊夢ノ御神言ヲ賜ハル 住所氏名年齢」。


神使は白鷺。神使とは読んで字のごとく、神様のお使いの動物です。稲荷神社の狐や厳島神社の鹿などが知られてますね。まっこれ『ぎんぎつね』読んで私も知ったんですけどね! という話をしたらお二人も同じだったという。ナンテコッタイ。
元寇の折、矢をくわえた白鷺が飛来して河野通有に勝利を導いたという故事を描いたものだと思われます。


小さな斎田が。稲作文化にとって重要な田植えと稲刈りと、一人相撲というユーモラスな神事が行われます。一人相撲は稲の精霊と相撲を取るので一人のように見えるだけという無茶苦茶なものです。その考えに脱帽。


総門は工事中でした。でっかいです。きれいです。ときめく!



総門をくぐると急に広くなり、緑に囲まれて雰囲気が変わったような気がします。楠の巨木が多いのも一因かもしれません。


樹齢がおかしいぞ……。西暦より長いやないかーい。それでも葉がついているのが驚きです。楠は長生きさんだなあ。




明治四十二年は1909年、たかだか百年程度じゃまだまだひよっこということです。恐ろしい。


何でもない建物でも素敵に見える異空間マジック! これだから寺社仏閣巡りは止められないのです。


これは室町時代の建築。十七神社といい、国中の神々を祀ってあるそうな。中には木彫りの御神像が安置されているとのことですが、暗くてよく見えませんでした。ちぇっ。



神門の手前より拝殿を撮影。能かなんかの舞台が設置されていて、しかもブルーシートがかかっていてちょっとがっかり。
今度は大山祇神社のことをかいつまんで。
祭神は大山積神(おおやまづみのかみ)。記紀では山の神とされていますが、『伊予国風土記』には「和多志の大神(渡し、渡航の意)」とあって海の神でもあるそうです。平安時代に定められた『延喜式』の神社一覧にも載っている歴史の古い神社です。河野水軍の河野氏の氏神であり、古来より日本総鎮守として戦人からの信仰篤く、戦勝祈願や武具の奉納が多く行われました。神紋は折敷三文字。河野氏は家紋としていただいています。菊の御紋は日本総鎮守により? はっきりしなくてすみません。



回廊にはいろいろなものが。薩摩隼人族の舞踊の像だったり、鉄張りの太刀櫃だったり、旧日本海軍の軍艦や海自・海保の艦艇、乗組員の写真や、造船会社の奉納品、なぜか酒樽も。ここでお二人が一生懸命カメラを向けているのに気付いて寄って行ってみる。武田酒造より奉納された武田菱入りの酒樽でした。無言で頷きあいましたね……。私は撮るの忘れたけど。



拝殿は素木造りの檜皮葺き。古びた色合いがなんともいえません。ちょうど中で宮司さんらしき人がむにゃむにゃやっていました。私はまだ精進が足らんらしく、祈祷なのか祝詞なのかさっぱりです。



丹塗り檜皮葺きの本殿は近寄れません。格子にカメラ突っ込もうかとちょっと考えましたがまばらでも人がいたので自重。左右には上津社と下津社が構えています。写真は下津社。



恒例のおみくじタイム! 何が出るかな何が出るかなーはいっ! 凶……だと……!?
人生で初めて凶を引きました。人目もはばからず絶叫してしまう。出るもんなんですね。あまりのショックにお言葉もろくに読めず打ちひしがれる天王屋。逆にラッキーですよ、とフォローしてくれようとするエムサさんとSANAさん。もうダメ……とフラフラしながら木に結んで、気を取り直せないまま散策再開です。

拝殿向かって右手の宝物館方面へ。鬱蒼と茂る楠の林。これでも先の方は細い枝が生えています。楠は巨樹になると根元にウロができて不思議な感じになります。『となりのトトロ』でもメイが最初にトトロのところへ迷い込んだのは楠のウロに落ち込んだからですし、人ならざる何かが住み着いてもおかしくない雰囲気は魅力的だと思います。


さすがにこれは枯木です……よね? 河野通有が兜を掛けた当時はさぞや立派な大きさだったのでしょう。


おっと松山でもお見かけした一遍上人の名前を発見。宝厳寺生まれの時宗の開祖で河野一族でしたね。神仏混淆っぷりがたまんない。


宝物館(紫陽殿、国宝館)、海事博物館を見に行きます。お目当ての刀剣甲冑におみくじのことも忘れてはしゃぎだす。ピンクの花が満開で、はらはらと花びらが舞っています。なんだろうと見上げてみるとメジロが花をつついていました。うおお! と勢い任せにシャッター切りまくる。ピントずれずれ。なんで奥の枯木がはっきり写ってんの……。後で調べたところ、これはカンヒザクラというソメイヨシノよりも開花が早い種類だったようです。



どうしてこうも微妙な位置で撮ったんだろうと頭を抱えたくなります。二枚目はガラスがかわいかったからだと思うんだけど全体像がつかめなさすぎるよ。


中は撮影禁止でした。残念。しかし、国宝や重文の宝物が所狭しと陳列されていてもうウッハウハ。鎧、兜、太刀拵、太刀、薙刀、弓矢、古文書、鏡、御神像……。目が足りない。ハイパー語りタイム始まるよー。
国宝である伝源義経奉納の赤絲威鎧・大袖付や伝源頼朝奉納の紫綾威鎧・大袖付、河野通信奉納の紺絲威鎧・兜・大袖付は特に豪華で、色褪せはあるものの精緻な造りを見事に残していて息をのむ美しさでした。いかにも大将らしい装飾の施された大鎧は最強にカッコいいと思います。鶴姫着用の鎧は他と並べるとやっぱりサイズも小さめで形の違いも際立って見えました。
鞘や柄に驚くほど細かく美麗な装飾をされた太刀も見ていて飽きません。ものによっては刃が欠けた太刀や薙刀もあって、実際に使われたのだろうと考えるとぞっとします。野太刀の長いのなんて180cmもありました。背負って馬ごと人をなぎ倒す使い方をしたそうで、それなんてガッツ?
銅鏡はそこそこ数があって、うち一面は中国唐代の作という古さを感じさせない美品です。斉明天皇御奉納っていつの話ですか。いろんな形に模様が見られておもしろかったです。あと印象に残っているのは鳥の丸焼きみたいな形の盥。誰が見てもそう答えると思います。そのくらい鳥の丸焼きでした。

ふう。そんなこんなでたっぷり満足したら次に鋭角二等辺三角形の不思議な建物、海事博物館に向かいました。昭和天皇が海洋生物の標本採集にお使いになった葉山丸をまるまる建物の中に保存しています。特に見るものもないかな、と入口に近付くとこんなものが鎮座していたのです。
錨はまだいいとしよう。おおじゃこ? ひらがな? え? フィリピン産? 三人の間にざわ……ざわ……な空気が流れ始める。


突撃。
内部はものすごいカオスな空間が広がっていました。まさに一昔前の地方自治体の資料館。テーマとする展示品だけでは足りないからと手当たり次第なんでも展示してしまえ的な。海洋生物の標本はまだいい。魚のはく製はありがちだと思う。貝殻とか海藻とか塩田の道具とか軍艦の写真とかも理解できる。なぜ鉱物標本を多量に展示した。その木の輪切りはなんだ。ヒリピン産のおおじゃこは表でも見たよ。ヒリピンってどういうこと。瀬戸内海の生き物たちってくくりで鳥や哺乳類のはく製まで展示する必要はあるのか。
とてもとても言葉では表しきれないカオスっぷり。いやー……楽しかった。

気付けばもう16時半です。日が暮れる前に松山を目指しましょう。SANAさんに運転を代わってもらって楽させてもらいました。


灯台守って今でもいるのかな。


今治が見えてきました。造船業とタオルが有名です。


今年は明けてからも寒い日が多かったせいで石鎚山に雪が残ってました。標高1,982m、西日本最高峰だといわれたら納得もいくもの。


快適ドライブで18時半頃に松山到着! お疲れさまでした!
ここからも波乱まみれのあもちんみの会は続くのであった……。




おまけ
大山祇神社のパンフレットは英文も載っていて、刀剣甲冑お目当ての外国の方が多いのかなと思わせます。


『週刊神社紀行【特装版】 大山祇神社』はカラー写真とわかりやすい解説でおすすめ。『大山祇神社 改訂版3』はいわゆる図録。全てが載っているわけではありませんが、武具の写真がたっぷりで解説にやたらと力が入っていて図録好きとしては満足です。



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2011/04/23
天王屋よしわたり



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