松山編 2011/03/19,20(土、日)
道後温泉まで来たのはいいものの、ホテルの場所がわからない。電話して目印を聞き、路地を入ってなんとかたどり着いたそこはこぢんまりして年季の入った、なんというか……いや、逆になんともいえない雰囲気のホテルでした。雑居ビルくらいの大きさで家族経営の小さめで昭和っぽさ満点な感じ。ホテルを予約したのが結構ギリギリだったせいで、大きくてきれいな所やまさに旅館っていう所は残ってなかったのです。これは完全に幹事を務めた私のミスでした。ごめんなさい。
まあ、そんなでも住めば都的な。部屋に入ったらお茶を飲んでくつろぎながら温泉行きますかー、とまったり。早速浴衣に着替えて最低限の荷物だけ持って道後温泉本館へ。『千と千尋の神隠し』の湯屋のモデルの一つでもあるんですよー、皇族専用風呂っていうのがあるんですよーここ入口、でっぱってる赤い部分はぎやまんのはまった太鼓楼、などと軽くガイドして正面入り口へ。
が、受付前に長蛇の列。は? となりつつ係の人に聞けば二階大広間と三階個室を待っている人たちだと。沈黙。そりゃあ折角来たんだものゆっくりしたいわと思うけど並んでまで入るのもどうか。お二人の意見は銭湯感覚の一階神の湯でOKで一致。もうホント申し訳ない……と情けなさに小さくなる天王屋。
中に入ってまた唖然。浴室が芋洗い状態。おいおいマジかよ……シャワー待ちの人が溢れそうだよ……こんなの初めてだよママン。体を洗ったりするのはホテルの温泉でするとして、雰囲気だけでも味わいますかとかけ湯をして湯船につかりました。一番にのぼせかけてフラフラ上がる最年長。あ、便所へ行くまでに風情のある中庭がありました。
なぜにこんなに人が多かったのかといえば、ちょうど温泉まつりの予定があったからのようでした。震災の影響で中止になっていましたが。
一旦ホテルへ戻って夕飯へ。ホテル側が用意できない(既に手いっぱいだったらしい)ので、料亭です。ここで四国のお酒九種登場! 持ち込みをさせてもらって飲もうと取り寄せをしていたのである。味見と称してちょこっと飲んじゃってましたけど。あまりの重さに私がふらつくのでSANAさんが持ってくださいました。いつもながらお優しい。
道後椿倶楽部という和風でモダンな料亭さん。そしてまたしても問題が。お酒の持ち込みには一本ごとにお代をいただくと。全部試したかった私涙目。泣く泣く二本だけお願いして残りは預かってもらうことに。相も変らず度重なる事前調査不足を責めないでくださるお二人マジ天使。かわいいし優しいし気がきくし話は楽しいし仕事はできるし……なにこの完璧超人たち。きゅんきゅんしまくりです。大好きです。……言えないけど。
へこみまくっていてもご飯は美味しくないので気を取り直して。そしてまた部屋を撮り忘れる。こういうものはバッチリ撮るのにな。近代文学の匂いのする素敵な部屋でした。
料理の時間が始まるよ! 土佐酒造のゆず酒を食前酒にいただきます。ゆずの香りの日本酒で、香り豊かな軽い飲み口はカクテル感覚で楽しめます。アルコール度数も低くて清酒のきつさもなく、日本酒があまり得意でない人でもおすすめです。おいしいと言ってもらえてよかったです。
まずは白子玉子寄せ清まし仕立て。蓋には梅が描いてあってかわいい。
お造りは石鯛とかつお。生の鰹ってほとんど食べたことなかったんですが、臭みがなくってびっくりでした。クレソンみたいなのは松山で栽培されている……なんとかっていうの。まんまクレソンの味でした。
蒸し物。鯛の山菜蒸し。卵の白身で鯛をとじたもののやわらかさと、タケノコの歯ごたえが絶妙。
鰆の西京焼き。焼き加減もよくって匂いもいいんだけど、ごめんなさい私これ苦手です……。少し箸をつけたもののやっぱり食べ切れず、食べてもらいました。
お椀がチーズ豆腐。お皿がサーモンムース、空豆、小いか、春野菜木の芽和え。ツクシ!? と思わず笑ってしまう。このチーズ豆腐がまたおいしいのなんの。もったりした食感にダシがからんでうまうま。
揚げ物は太刀魚のアスパラ巻き。黒っぽいのは藻塩。カボチャもシシトウもアツアツうまい。
豆ごはんとみそ汁。お腹いっぱいになりました。
苺シャーベット! イチゴそのまんまって感じでさっぱりしていてお口直しにもってこいでした。ごちそうさま!
料理の見た目はもちろん、器もどれもこれも味があってこれぞ日本料理とはしゃぎまくりでした。全部写真撮りたくなるのもしょうがない。
ゆず酒がなくなってから、斉藤酒造の阿波黒蜜梅酒を出してもらいました。こっちはとろっと甘くてロックがおいしい。濃いめの梅酒なのでソーダで割っても美味しいと思います。
一日話しても全然話足りなくて、ご飯の間中もBASARAから始まっていろんなことを話しました。大笑いしたり感心したりしんみりしてみたり。同郷や同学年以外でこんなに仲良くなれる友人を持てたことは本当に幸運なことだとしみじみ思います。そんなこんなで夜は更けていくのである。
さて、ホテルに戻ってカバンをひっくり返すとドサドサと本が出てきます。三冊の台本全集がね! 何やってんだまたコイツという視線は見ないふり。3の大谷赤エンドの補足とかお市や天海様のツッコミどころ満載なのとか幸村のとんでもない青ストーリーのこととか、話したように思います。あと五周年祭のこととか。話半分も覚えていない。
飲め飲めーと言っても、もうお腹いっぱいですとお断りされて一人で晩酌。阿藻珍味のおつまみをアテに一合空けてしまう。さすがに飲み過ぎかなと思いつつだって普段家でいると飲めないんだからとハイペースに飲み続ける天王屋。いい加減酔いが回って気分良くなったところでお風呂へ行きました。
……? 写真詐欺? サイトで見た時はもっと大きかったような……と二人入れば湯船がいっぱいになりそうな小さなお風呂で一日の疲れをざばんと洗い流します。大分酔ってるから湯当たりしたらまずいなー助けも呼べずに湯だって死ぬなーとのほほん。問題なく上がって就寝です。おやすみなさーい。
五時前に目が覚めた。鈍痛が頭を襲っている。完全に二日酔いである。静かに廊下に出て水をがぶ飲み。こういう時はさっさと体内の水分を入れ替えるに限る。そうこうしているうちに本館の太鼓が六時を告げます。ぼんやり起きてきたお二人に朝風呂でもどうですかとお誘い。
本館前。行列? まだ六時ですよ? 諦めて道を間違えながら椿の湯の方へ。混んでる……だと……。「人多いし、ホテルの温泉でいいですよ」。ごめんなさい……全部天王屋のせい……。ごめんなさい……。
朝からすごい量のご飯です。ほとんど平らげたけどな! フハハ!
着替えながら今日はどこ行く会議。昼過ぎには出発したいので、そんなにあちこち行けません。松山城は行くとして、城下のミュージアムや建物なんかは下りてきてから時間があれば、それとは別に菅原道真と徳川家康を合祀した松山神社がよさそうとのことで決定です。
ちょっと迷ったり小雨に降られたりしつつ、車を置いて登るんですが……こんな看板見たらここから突撃するっきゃないよね!
一人だけぜいぜい息を切らしてカサを杖代わりによたよた山を登る天王屋。すごく心配そうなお二人に大丈夫ですと答えながらなんとか到着。なんでお二人はなんともないんだ。
ちょうど神職の方がいらして、いろいろと説明くださいました。久松松平家は徳川家康と異父兄弟であり、久松氏の本姓は菅原氏で菅原道真につらなるということで藩主が合祀を進めたのだとか。神社も財政難で大変だよーという話をしておきながら夏には昔風の照明をつける予定だという疑問については深く追求しない。
権現造りの拝殿と本殿の間には渡殿と九段の階段があって、他に食事を作る建物も併設されています。三枚目の真ん中あたり、地面と接した壁の部分が渡殿と階段部分です。で、神事の際には何人かが手渡しで神様のお食事をお供えするんだそうです。
神社の裏手にいくと遮るものが何にもなくて松山城がはっきり見えます。昔は高い建物が何にもなくて、城下がばーっと見渡せたそうな。さぞ壮観だったことでしょう。麓の観覧車はくるりんという名前だとか。あと、この辺りでも普通にイノシシが出没するらしい。近くのミカン畑では収穫作業をされていました。
斑入りも桃色も白も赤もきれい。椿はコントラストがぱきっとしていて好きです。
門の上にいた狛犬? 一枚目のやつ、尻尾が欠けてます。神職さんに言われるまで気付かなかった。いろいろ説明してくださってありがとうございました!
さて、神社から下りてきて松山城へ向かいます。連休のせいかロープウェー乗り場が人でごった返している……だと……。こんなの初めてでどうしよう。こんな人出予想してなかったぞ! しょうがないので一人乗りリフトで山腹まで上がります。ロープウェーはすし詰めでした。途中に咲いていたのはやっぱりカンヒザクラかしら。
大きいね―広いねーとえっちらおっちら天守閣を目指していきます。人が多すぎたのと前に写真を撮っていたのとでお城の写真は一枚もありません。いっそ清々しい。お年寄りから赤ちゃんまで、どっからこんなに人が出てきたんだってくらいごった返してました。天守閣の階段が人で詰まって櫓に上れないとか、一番楽しみにしていた甲冑試着体験に女の子たちがたかっていていつまでたっても終わりそうにないせいで泣く泣く諦めざるをえなかったりとか。しばらく待ってみたけど全くこちらに気がつくこともなくきゃっきゃされてイライラしてたら、エムサさんとSANAさんに諦めましょうよってなだめられて大人げなさに申し訳なくなったとか。たぶん、三人で一番精神年齢幼いです……。
天守から松山神社探してみたり、展示されている武具をひととおり見て回って帰りがけ、天守前の広場で一眼レフを持ったお兄さん達に写真を撮ってくれませんかと言われる。SANAさん撮ってあげる。いい子! 私はさっと後ずさりしました。だってあんなカメラ怖くて触れないよというのは冗談で男の子久しぶりすぎてキョドってしまいました……。
ロープウェー乗り場まで下りてきました。坂の上の雲の特設展をやっていて、こんなものがでーんと置かれていました。でかい。
松山城の築城に着手した加藤嘉明公の銅像。天守前広場によしあきくんなるゆるキャラがいたのは見なかったことにする。写真一緒に撮らなくてよかった……。ちょっと撮りたいとか、思ってないんだからねっ。
さてさて、12時半になったのでお昼です。愛媛の特産品を売っているアンテナショップみたいなところにカフェスペースがあって、数量限定鯛めしとあったので三人ともまんまとのせられて鯛めし三つ。宇和島の水軍料理らしい。だし汁に刺身と海草を入れてまぜ、熱々のご飯に乗っけて食べる。うまー! うまー! とがつがつ食べました。
旅先のご飯はその土地のおいしいものを食べるに限る!
最後に萬翠荘を見に行くことになったので坂の上の雲ミュージアム方面へ。ちょうどミュージアム前に兵隊さんが。お話を聞くと、趣味で勲章や指揮刀を集めていらっしゃる方で、仲間と一緒に時々軍人さんの格好をしているのだとか。ちょうど私達が来る前に海軍さんもいたけど帰っちゃったとのことで、残念。服は陸軍の騎兵さんですかね。儀礼用? 詳しくないので……。
一緒に写真を撮ってもらいました。うへへ! 一枚二百円だったと思います。
愚陀仏庵は去年の大雨で全壊して、なんにもなくなっていました。ショック……。建て直してもらいたいものです。
萬翠荘もまた外観を取り忘れる大失態。一度行ったからって! 今回は中を見学できたのでじっくりばっちり見ていきます。このステンドグラスはハワイから輸入したものと考えられていましたが、調査の結果日本人の職人の手によるものだと判明したそうです。
ゲストルームと大広間。全体的に豪華で格調高いお屋敷ですが、マントルピースがすごくいい。それぞれの部屋に合わせたデザインがなんとも。
大広間のシャンデリアは水晶でできているとパンフには書いてあるんですけど……。
以前上がれなかった二階へ。南向きの四つの部屋にはデザインの違うマントルピースがあります。それぞれの部屋のドアと同じ装飾がされてあるのがセンスいいと思います。
雨のためバルコニーには出られませんでした。ぐぬぬ。
家具が全部ネコ足でかわいいのなんの。イスはふっかふかです。しばらく三人でここに座ってだらだらしていました。お客さん少なかったから……。
昭和天皇が皇太子の頃にご滞在なされた際、朝食をお取りになったお部屋。
かわいらしすぎて言葉もない。
デザインが気に入ったもの。アールヌーヴォーっぽくてときめき。
階段の手すり、ドアの上の擦りガラス、玄関ドアの装飾。
気がつけばひたすら照明ばかり撮っていました。かわいいんだもの。
14時を少し回ったくらいですが、岡山まで行かねばならないのでそろそろ帰る時間です。
帰りの車内もBASARAとマクロスのCDエンドレスリピートしながらずーっとおしゃべりしっぱなしでした。オタ話ができるっていいよね! 途中豊浜SAで伯方の塩大福買ってもちゃもちゃ食べたり、車線変更に焦ったりしましたがなんとかなりました。車少なくてよかった……。
そんなこんなで香川に入り、瀬戸大橋を渡り、お先にSANAさんとお別れです。それからエムサさんを駅までお送りして第二回あもちんみの会は幕を下ろしたのでした。やっぱりどこかしら失敗してしまいましたが、その反省を次に生かしていきたいと思います。……第三回は萩と津和野かな?
お二人共、ありがとうございました! 楽しんでいただけたならなによりです。
教訓。古いナビは信用してはならない。このせいでどれだけ酷い目にあったことかっ……!
おまけ
松山城で絵はがきをもらった!
萬翠荘のパンフレット。大正ロマン。
SANAさんにお勉強セットをもらいました! かわいい。
子規の愛した菓子パン。イースト菌を使わず、酒種で発酵させた昔の手法で作られているパンです。病床にあっても食欲は衰えず、いろんなものを食べては詳細をつづっています。なんというバイタリティ。
温食パン(紫蘇入・芋入)とつぶあんパン。素朴な味がしました。
阿藻珍味のおつまみ。うまいんだな、これが。
みかんの酒。みかん箱みたいなのに入っていてビンも丸くてかわいい。ジュースのようなお味でした。
今回のルート。
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2011/05/23
天王屋よしわたり