01 - 何も持たない少年 「う……」 豪奢なベッドの上で、少年は目を開けた。澄んだ碧眼が、のぞき込む男の整った顔を視界に捉える。 男は20代半ば程度で、貴族らしかった。部屋の調度品も一目で高級品と知れるものばかりで、ここが彼の屋敷なのだろう。 そんなことをぼんやりと考えていた彼は、なんだか少し寒いことに気づいた。見ると、彼は服を着ていなかった。彼は恥かしさで、頬を朱に染める。一方、男のほうは何一つ気にしていないようで、少年の、サラサラの金髪を撫で付けた。 「やっと目覚めたな、シャンル。この時を待っていたぞ」 シャンル。それが自分の名だと、少年ははじめて知った。同時に、彼は自分に記憶がないことにも気づく。 「あの……私は……」 身を起こそうとして、力強い手に押し返される。 「きみは、シャンル・エルハルドだ。私は、ジェイク・エルハルド。私はきみの親にして主人……と、言ったところか」 男――ジェイクの説明で、シャンルは、エルハルドがこの惑星レートンの由緒ある貴族の家柄であることを思い出した。いや、そういった知識があることに気づいた、と言うべきか。 右手で髪を撫でながら、ジェイクは左手を、少年の内股にそわせていく。 「あっ、ああぁっ」 奇妙な感触に頭を持ち上げかけたところで、ぴくん、とその身体が痙攣した。あごを突き出し、短い悲鳴を上げる。 ジェイクの指先が、小さな穴のなかに潜り込んでいた。ねじるように押し入れられて、熱い痛みが駆け上がる。 「あ……いや、痛……いっ、うっ」 「大丈夫、すぐに慣れるようになるよ」 指は、どんどん奥にめり込んでくる。痛みに涙をにじませながら、シャンルは相手を押し退けようとした。しかし、細い腕は力なく、相手の胸に触れただけである。 「く……んっ、あ……うぁ……あ」 小さな穴に無理矢理指を入れられ、異物感と圧迫感、そして連続的な痛みが突き上げる。細い身体は震え、脂汗がにじみ出す。呼吸は荒く、喘ぎにしぼり出だすような声が混じった。 「やめ、やめ……ってぇ……あっあ」 「逃げることはできないよ」 身をよじろうとするシャンルに、ジェイクはどこか人間味の薄い笑みを浮かべて言った。 「これがきみの存在理由だ。他には何もないだろう?」 彼の人差し指が、小柄な少年の柔らかな体内を引っかいた。 「あっ、あぁーっ!」 細い腰が跳ね、背中が反らされる。 ジェイクはさらに、指先を動かした。衝動に合わせ、シャンルの身体は上下する。 「あうっ、ああ! いやぁ!」 「鳴き方の訓練が必要だな」 「うあぁ……くっ! あ……あ、んーっ!」 さらにもう一本、指が増やされた。なかを蹂躙されて、少年は激しく喘ぐ。 だが、肉をえぐられるような痛みのなかに、かすかに快感が混じり始めていた。その反応を察知しているのか、ジェイクは探るように指を動かす。 ある場所に触れられたとき、小さな身体が大きく跳ねた。 「あんっ、あ……ひゃうっ」 「ここが感じるのか?」 ジェイクは、そこを激しくまさぐった。 「あっ、あ……ん」 快感に、自然と甘い声が洩れる。まだ鈍痛が体内に残っていたが、それも気にならないほど、快感はシャンルを溺れさせた。 「あう、あ、やぁ……あん」 「いい鳴き声になってきたな」 言って、ジェイクがさらに奥をもみしだく。 「はぁ……う! あ、あっあっああぁ!」 ぴくん、とシャンルの身体が跳ねた。 それはすぐに力を失い、ベッドの上に落ちる。絶頂に至ったショックで失神したらしかった。 ジェイクはつまらなそうに、少年の体内から指を抜く。一筋の血が、シーツにしたたった。 シャンルの白い顔を見下ろし、貴公子はつぶやく。 「もっと慣らす必要があるな……」 |