雪の中に眠る夜

<後編>


「……んっ」
 見詰め合った紅い瞳の奥に、何かの光が揺らめいたように感じたその瞬間、フェイの唇を
再びスパイクが塞いだ。
 今度はさっきよりも積極的にフェイを求め、深くキスをしてくる。
「んんっ……」
 最初は戸惑ったフェイも、次第に彼を受け入れ、黙って目を閉じた。
 スパイクの手がフェイの髪を撫で、頭を引き寄せる。フェイも、無意識のうちに両腕をスパ
イクの首に回し、すがりつくように身体を預けた。
「ん……んぅ……む……」
 深く口づけを交わす唇の端から、途切れ途切れに声が洩れる。
 スパイクの舌がフェイの口内に割り込み、彼女の舌に絡みつく。少し強引な、けれど決して
不快ではない、彼のキス。激しく求めてくるスパイクに、彼女もいつしか自分から舌を差し出
していた。
 互いの舌が絡まり合い、吸い合う音を立てる。熱く激しい口づけに、フェイは段々頭の奥
がぼんやりと痺れてくる感覚にとらわれた。
 唇を重ねたまま、スパイクの右手がフェイの肌を滑り、弾力のある豊かな乳房をゆっくりと
愛撫し始める。
「あっ……ま……んっ」
 思わず唇を離して声を上げかけたフェイだったが、耳元に這わせられたスパイクの唇がそ
の言葉を止める。
「……待たねえよ。もう、我慢はしねえぞ」
 息を吹きかけながら呟いたその言葉に、フェイは頬が熱くなるのが自分でもわかった。
 再び唇が重ねられ、より深く、貪るように男が彼女の唇を吸い、舌を絡め、口腔内を蹂躙
する。
「ん、んん……はぁ……」
 長い口づけを交わした後、唇を離すと、スパイクはフェイの胸をやんわりと揉みながら、唇
を頬から首筋へと這わせていく。
「はぁ……ん……」
 くすぐったさと心地よさが入り混じり、溜め息のような悩ましげな吐息を洩らすフェイ。
 胸を愛撫していた手が硬くなった蕾を捉え、指先で摘まみ、転がす。
「あっ…!」
 そこから痺れるような快感が走り、彼女は上気した顔で喘いだ。スパイクの熱い手のひら
が優しく胸を揉みしだく快さが身体中に染み渡っていくようだった。
 彼の唇が胸まで下りてきて、乳房の周りをゆっくりと這う。ほんのりと紅く染まった胸の蕾
の形を、舌先がなぞる。
「あっ!」
 蕾を舌で刺激され、フェイの口から思わず大きな声が上がった。彼の唇が硬く尖った先端
を吸い、弄る。そのたびに甘い痺れが背筋を走り、フェイは身をよじった。
「あ、あっ……んっ!」
 広い手のひらで絶え間なく揉まれ、両の蕾を交互に強く吸われ、甘噛みされるたび、押し
留めようとしても声が洩れる。
 そして上半身の愛撫だけで、身体の奥が熱くなり、秘部が濡れ始めているのがわかって
かぁっと頭に血が昇る。
 スパイクもまた、自分の手の動きに合わせて響く甘い声音に、血が身体の中心に集まって
いく感覚にとらわれる。
 思った以上に柔らかくしなやかな肌、完璧に整ったスタイルの身体。火照って紅く染まった
艶っぽい面差し。そして普段聞くこともない甘い声。
 それらすべてに吸い込まれるように、彼もますます行為に没頭していく。
 冷え切っていた身体はいつしか熱を持ち、重なり合った肌にはうっすらと汗の皮膜が浮か
んでいた。
「はぁ……んんっ……」
 胸の蕾を唇で絶えず愛撫しながら、男の片手は胸から脇腹、そして下腹部へと下りていっ
た。
「あっ」
 スパイクの手のひらが秘所へと伸びた時、フェイの口から掠れた声が洩れ、彼の両肩を
掴んだ手に力が入った。
 指先が秘唇に触れ、それだけでクチュ、と艶かしい音が洩れる。
「もうこんなに濡れてるぜ」
「や…、あ…んっ…!」
 男の笑みを含んだ声に、上気した頬を羞恥でますます赤らめるフェイ。
 スパイクは最初くすぐるように指先で秘唇をなぞった。やんわりと、花びらを開かせるかの
ように撫で上げる。
「んんっ…!」
 フェイがぎゅっと唇を噛んで堪えるのを上目で見ながら、溢れる蜜を指になじませ、花芯を
つまんで擦り上げる。
「ひあっ!」
 一番敏感な部分を刺激され、フェイの声がひときわ高くなった。
 それを合図にしたかのように、スパイクの動きが大胆になる。右手が乳房を荒々しく揉み
しだき、硬く尖った蕾を唇が吸い、舌がなぞる。左手の指先が何度もぬるぬると秘唇の上を
上下に往復し、花芯を擦り上げる。
「んっ……くぅ……」
 ゆるゆると繰り返されるもどかしい愛撫に、フェイの眉根が寄り、唇がぎゅっと噛みしめら
れる。
 そして、中指の先がつぷりと秘唇に埋まり、ゆっくりと動いた後、そのまま奥へと侵入す
る。
「あっ…あんっ!」
 するりと自分の中に入ってきた指の感触に、フェイはびくんと身体を震わせた。思わず両
手がスパイクの肩を強く掴み、両脚に力が入る。
 フェイの中は既に十分過ぎるほどに愛液で濡れ、彼の指をすんなりと受け入れていった。
彼女が羞恥に頬を染めながらも止めようとはしないのを確認して、スパイクは指を奥へと忍
ばせた。
「んんっ……あ、あっ…」
 指先が奥へ進み、少し引くという動作を繰り返す。襞を指の腹で擦られる感覚に、フェイは
甘い吐息を洩らした。
「意外と、感じやすいんだな。締め付けてきてるぜ」
「…バカ…、変なこ……あっ!」
 男の声に思わず赤面し、反論しようとしたフェイの言葉は、もう一本指が入ってきた刺激に
遮られてしまった。
「あんっ…、あ、あっ、くぅ…んっ…」
 今度はさっきよりも強く指が出し入れされる。そこから次々ともたらされる甘い感覚に反応
して洩れそうになる声を、フェイは唇を噛みしめて耐えようとした。
「別に、我慢することないだろ。声出せよ」
「やぁっ……あっ……あんっ! ん…んんっ…!」
「ここには、俺とお前しかいない……誰も聞きやしねえよ」
 スパイクが、指先を少し折り曲げて、膣内のざらついた部分を強く擦り上げる。フェイの背
中が弓なりに反り、堪えきれずに喘ぎが押し出される。毛布を握りしめた手にギュッと力が
入った。
 指が秘所の中で動くたびに、クチュクチュと溢れ出た蜜が音を立て、フェイの顔がかぁっと
羞恥心で赤くなる。だが、そんな思いも押し寄せる快感の波にすぐにかき消されてしまう。
「はぁ…あ、あっ、あぁっ、んっ、はあんっ!」
「ここが感じるんだろ?」
 一番奥の、子宮の手前を引っ掻くように刺激され、一段と強い快感の波がフェイを襲っ
た。
「ひあっ! あ、ふ…、ぁ、んんっ!」
「気持ちいいなら、そう言えよ」
「んっ、あ、ああっ! やぁ…っ、くぅ…う…ん…、あっ!」
 唇を噛みしめ、シーツを掴み、それでも必死に声を押し殺そうとするフェイの顔を覗き込
み、スパイクは微かに笑みを浮かべた。
「強情な奴だな…。これでもか?」
 途端に指がぐいっと一番奥へ差し入れられ、くの字に折り曲げられた指先が中の襞をくね
るように掻き乱す。と同時に、親指が花芯を弾いて強く擦り上げてくる。
「ひぅっ!! あんっ、あっ、はぁあっ!!」
 敏感な部分を同時に荒っぽく刺激され、フェイの身体が跳ねた。
「気持ちいいんだろ?」
「あふ…っ、い、いい……、気持ち……いい……」
 スパイクに与えられる快感の波にさらわれ、フェイは切なげに声を上げた。何かを乞うよう
に突き出された瑞々しい野苺色の唇が、より一層紅く艶めく。
 スパイクはその唇に無意識に惹きつけられるように、深くフェイに口付けた。
「んんっ……」
 激しいキスに舌を絡め取られ、背中から回された彼の右手が右の乳房を包み込み、強め
に揉みしだいて蕾を摘み上げる。更に左手の指が執拗に秘所の中で行き来する快感がフ
ェイを襲う。
「んっ、ん…、ふ…あぅっ! あ……あたし、もう……んっ…!」
 指の動きが激しくなり、身体が芯からとろけていきそうな感覚がフェイの全身に広がる。か
ろうじて言葉を絞り出そうとした唇もすぐにまた塞がれ、途切れ途切れに声が洩れる。
「ん、うぅん、んーっ! ふぁ…、あ、あああ…!!」
 スパイクの指と舌の愛撫で高みに昇りつめた瞬間、フェイの腰がビクンと大きく浮き上が
り、彼女は顔を仰け反らせて甘い悲鳴を上げた。
「……ぁ……はぁ……」
 中の襞がキュンッと収縮し、ピクピクと痙攣する。フェイはぼうっと蕩けたような目をスパイ
クに向けるが、何も言葉が出ず、ただ荒い息を零して見つめるばかりだった。
 スパイクは彼女の中からゆっくりと指を抜き、ぐったりと力の抜けたフェイの身体を抱き寄
せると、もう一度唇を重ねた。
「ん………」
 舌を差し入れ、絡み付ける。唇を優しく愛撫するような甘い口づけに、フェイはイったばか
りの身体が再び熱くなるのを感じた。肌が火照り、芯が疼く。
「…………」
 スパイクの首に手を回し、フェイは頭を彼の肩に預けた。執拗なほどに愛撫され、彼女の
秘唇は溢れ出た蜜で濡れきってひくついていた。早くこの身体で彼自身を感じたい。フェイ
は自分から身体を引き寄せ、無言で彼を求めた。
 スパイクもまたそれに応えるようにフェイに覆いかぶさり、彼女の瞳を見つめ返すと、硬く
昂ぶった怒張を秘唇にあてがった。
「あっ……ああん!!」
 ずぶりと艶めかしい音を立ててスパイクがフェイの中に侵入する。燃えるような熱さに貫か
れ、フェイは顔をのけぞらせた。言いようのない快さが、身体中に広がっていく。
「んっ……あ、ああっ……」
「くっ…」
 スパイクもフェイの中の熱い感触に包まれ、微かな呻きを洩らした。
 彼女の中は熱く蕩けきって潤み、襞のひとつひとつが彼の昂ぶりを絡め取るように締め付
けてくる。
 ぞくりと背筋が逆立ち、スパイクは無意識のうちに彼女を揺すり上げていった。
「あっ…ん、あ、ああっ、あっ!」
 スパイクが腰を動かし始めるに従って、フェイの唇から一段と甘い声が零れ出す。
「あんっ、あっ、あっ、熱…い…っ、はあっ、あっ、ああん!」
「お前の中も……すげえ…ぜ。熱いのが絡み付いてくる…」
「やだ……あっ、ああっ、そんな……あっ! あ、ふ…っ、はああっ!」
 ますます顔を赤らめて言葉を返そうとしたフェイだったが、スパイクが動きを激しくすると、
襞をかき回される快感が彼女の脳裏を駆け巡り、唇から零れるのは甘い嬌声と化してしま
う。
「あああんっ、あっ、あっ、あぅっ、くぅ…んっ! あ、い、いい…っ!」
 硬く熱い怒張が激しく自分の中を行き来する。そのたびに彼女の膣は強く痙攣し、彼のモ
ノを温かく締め付ける。
 奥歯を噛みしめてその誘惑を堪え、スパイクはますます激しくフェイを突き上げた。その動
きに合わせて彼女の弾力のある豊かな白い胸が揺れる。
「んくぅ…あっ、はぁっ、あぁんっ、んあっ!」
 男の両手が揺れる乳房に伸び、交互に揉みしだいて親指で硬くしこった突起を撫で回す。
その快感が更に彼女を悶えさせ、喘ぎのトーンが上がる。
 フェイの悦楽の波が高まっていくにつれ、次第にスパイクの息も荒くなる。
 乳首が弄られ、奥に熱い昂ぶりがぶつかるたびに甘美な刺激が弾け、断続的に続く快感
が積み重ねられてあっという間にフェイの官能は高みへ引き上げられていく。
「あっ、あっ、あっ、だめっ、もう、んっ…んぁあっ!!」
 細い指がシーツを握りしめ、掻きむしる。びくん、と白い顎をのけぞらせてフェイは最初の
絶頂へと昇りつめた。
 同時に膣内がギュッと収縮し、怒張を締め付けてくる。スパイクは微かに呻いたが、ぐっと
堪えて踏み止まった。
「あ…、ふ…、あっ…」
 ぴくん、ぴくんと身体が頂点に達した余波で小刻みに震える。
「……」
 スパイクもベッドに肩肘をつき、呼吸を整えるかのように束の間動きをとめたが、自らを柔
らかく包み込む感触に長くはじっとしていられず、すぐに次の行動に出た。
 繋がったままフェイの片脚を持ち上げ、彼女の横に並ぶように身体を倒す。
「んんっ…」
 中でスパイクのモノが動き、角度を変えて刺激を与えてきたため、フェイの悩ましげな声が
上がる。
 そしてスパイクは後ろからフェイを抱きすくめ、乳房を片手で胸を弄りながらうなじに舌を
這わせてきた。
「はぁっ……んんっ」
 ねっとりと首筋を舐め上げられ、背筋を走る震えに声を上げるフェイ。
 それを合図に、再びスパイクが動き出した。フェイの片脚を持ち上げたまま、下からゆっく
りと、中襞の感触を確かめるように貫いてくる。
「あっ……んんっ……あ、あんっ」
 怒張の尖端が中でゆっくりと回転し、内壁をうねりをつけて掻き回される感覚に翻弄され
ていくフェイ。
 再び甘い声音が響き始め、スパイクの動きも段々と大きくなっていく。
「はあっ、んっ、んぁっ、ああっ!」
 首筋に這わせていた唇を背中へ滑らせた後、身体を少し斜めに起こして乳房へと移動さ
せる。
 彼の動きに合わせて揺れる乳房に舌を這わせ、硬く尖ったピンク色の蕾を唇に含んで強く
吸い上げる。
「ひぅっ! はぁっ、あっ、あんっ、ああっ!」
 舌と指で両の蕾を責められ、二ヶ所から走る刺激に一段と甘い声音が響き渡る。
 それに従って下からの貫きもますます激しくなっていく。
「あっ、やぁっ、んっ、あっ、あっ」
 肌を這う男の舌と唇、的確に敏感な部分を愛撫する熱い手のひら。そして膣内を激しく出
入りする焼けるような熱さの塊り。それらすべてがフェイの性感を翻弄し、全身を甘い痺れ
で覆い尽くしていく。湿って黒光りを放つ髪を振り乱し、フェイは休みなく与えられ続ける快感
に酔いしれた。
 やがて男の手の愛撫は胸から下へ滑り、何度か腹部を撫でた後、いきなり花芯を指先が
撫で、摘み上げた。
「はぁんっ!! あ、あああっ…!!」
 突然敏感な部分を強く摘まれ、既に悦楽の渦中にいたフェイは一気に高みへと昇りつめ
た。
「あ……ふぅ……」
 オクターブ高い嬌声を上げ、全身をビクビクと引きつらせたあと、ぐったりと力が抜けたよ
うにスパイクに背中を凭れさせた。
 はっ、はっ、と短く息が切れる音が零れ、胸が間隔の短い上下を繰り返す。
 心臓の鼓動は収まることなく早鐘を打ち、熱を持った身体は全身に汗を浮かせていた。
 繋がった部分からは止め処なく湧き出てくる蜜が溢れ、太股を伝い、シーツに小さな染み
を作っていく。
 少しの間そのまま動かなかったスパイクが徐に後ろからフェイを抱きしめ、うなじにキスを
落とす。
 とくとくと波打つ鼓動を収めようとするかのように片手がゆっくりと胸を愛撫し、もう片方は
腹部から脇腹を滑り、太股をさするように撫でた。
「んん……」
 くすぐったさと共に彼が触れている部分から新たな熱が伝わり、心地よさへと変わってい
く。
 彼の昂ぶりがまだ硬く膨張したまま、自分の中で熱く脈打っているのを感じ、再び身体の
芯が疼いていく。
「んっ……はぁ……」
 手のひらの愛撫だけで火照った身体は敏感に反応し、膣内がきゅっと収縮してスパイクを
柔らかく締め付ける。
「……くっ」
 襞が蠢いてまとわりついてくる感触にスパイクは眉根を寄せ、身体の中心が更に熱くなる
衝動を抑えられず、身体を起こして反転させ、再びフェイの上になった。
「んあっ…!」
 繋がりは解けることなく、スパイクが動いた拍子に中で大きく怒張が向きを変え、襞を擦り
上げてきた刺激にフェイが喘ぎを洩らす。
 正面から向き合い、上気した彼女の面差しを見つめる。
 しっとりと黒絹のように艶やかな髪。朱に染まった桜色の頬。蕩けたように潤んだ深緑の
瞳。熱い吐息を零す瑞々しい唇。
 それを見た瞬間、ぞくりと彼の背中を性感が駆け抜け、吸い込まれるように彼女の唇を奪
っていた。
「んんっ…!」
 貪るように唇を吸い、舌を口腔内に割り込ませ、舌を絡みつかせる。互いの唾液が舌を
通して混ざり合い、唇の端から一筋流れて頬を伝う。あまりに激しいキスに、フェイの苦しげ
な声が洩れるが、スパイクは彼女の全てを味わい尽くそうかとするかの如く、更に深く唇を
合わせていく。
「んーっ! んう…っ、んむ…ぅっ!」
 先刻とも違う、あまりにも荒々しい、乱暴と言えるほどのディープキスに、フェイの思考はく
らくらと溶け、霞がかったようにぼんやりしていく。
「んんんっ!!」
 スパイクは深く口づけたままフェイの背中から両肩に手を回し、引き付けるようにして腰を
動かし始めた。
「ぅん、んっ、んっ、んん───っ!! っ、あ、ふぁあっ!」
 息苦しさに必死でかぶりを振って彼の唇から逃れ、開放されたフェイの唇からは再び甘い
悲鳴が上がり始める。
 対象を失った唇は頬を伝い、耳たぶを甘噛みすると首筋を這って胸元に落ちる。
 ぼうっと淡い火影に照らされた肌はなめらかで美しく、その肌の感触を味わうように何度も
口づけを落とす。
 その間も休みなく腰を動かし、フェイをぐいぐいと突き上げていく。
「あぅん! あふっ、あ、ああっ、んぁあっ!」
 スパイクの貫きの激しさに、粗末な簡易ベッドがギシギシと鈍い音を立てて軋む。
「んっ、あっ、やぁっ、あ、はぅっ、ああっ、あっ、ああんっ!」
 髪を振り乱し、我を忘れて快楽に乱れるフェイの姿に、スパイクの情欲が更に煽られ、本
能のままに行為に没頭していく。
「あっ、んぁっ、ひゃぅっ!!」
 不意にフェイの顔がのけぞり、悲鳴にも似た嬌声が上がった。スパイクがフェイの右脚を
抱え上げ、左手で腰を掴んで引きつけ、勢いをつけて凶器を打ち込んできたのだ。
 ぐちゅっ、ずちゅっ、じゅぶっ。
 肉のぶつかる乾いた音と共に、粘膜が激しく擦れ合うぬめった水音が部屋に響く。だが、
その音が耳に届いても、既にフェイには羞恥に震える余裕もなかった。
「やぁ、ダメっ、そんなに…んっ、あはああっ!!」
 焼けるような塊りを奥まで抉るように打ち込まれるたびに、股間から稲妻のような悦楽が
突き抜ける。全身が溶けていきそうな気持ちよさに支配され、フェイはもう何も考えられなっ
た。
 スパイクの激しい抽送によって、尖端の部分が蜜を掻き出すように出入りし、結合部から
は大量の愛液が泡立つほどに溢れ出ていた。
「くぅ…っ」
 スパイクの表情が歪み、食い縛った歯の隙間から呻きが洩れる。断続的に襞に絞り取ら
れるような感触に、彼にも今度こそ限界が近付いていた。
「んくぅ…あっ、ああっ、はぁんっ、あああっ!」
 頭の中で白い閃光が幾度となく閃き、そのたびに小さな絶頂に襲われ、甘やかな喘ぎを
部屋中に響かせて乱れるフェイ。快感の波はやがて大きなうねりへと変わり、彼女を一段と
激しい悦楽の渦の中へ引き込んでいく。
「はぅっ、あっ、ダメ…っ、もう、これ以上……んっ、あっ、んぁあっ!」
 ずぶずぶと強く、奥深いところまで突き入れられ、フェイの腰が浮き上がり、背中が弓なり
に反り返る。両手はシーツを掻きむしり、引き裂きそうなほどの力で握りしめる。
「ああっ、あっ、はあっ…、ああんっ! もう……ダメ…っ、イく…、イっちゃ…はぁあっ!」
「…俺も…出る…!」
「あっあっあっあっ、はぁっ、ああっ、ああっ、イくっ、イっ…、んぁ、あっ、あっあぁああ───
っ!!!」
「く…ぁ…っ!」
 フェイが一際高く悲鳴を上げて全身を激しく痙攣させた瞬間、スパイクも身を硬くして苦し
げに息を詰まらせた。熱い液体が怒張の尖端からほとばしり、フェイの中を満たす。
「はぁ……あ、あっ……」
 鮮烈な白光が全てを覆い尽くし、溶かしていく。あまりにも激しい絶頂にさらわれ、蕩けた
瞳は焦点が合わずに宙を彷徨う。
「っ……ふぅ……」
 ぴくん、ぴくんと余韻に身体を震わせるフェイの上に、スパイクが荒い息をついて倒れこ
む。
 熱い身体と汗が混じり合い、掠れた吐息が途切れ途切れに零れる。
 そのまま互いに動くこともできず、火照りの残る身体を寄せ合った。
 部屋の中には俄に静寂が下り、暖炉の火が爆ぜる音と、二人の熱い息遣いの音だけが
響いていた。
 しばらくして、フェイが苦しくないようにスパイクが身体を少し浮かした。
 束の間二人の視線が交じり合う。
 濡れて額に張り付く前髪もそのままに、頬を熱っぽい紅色に染め、うっすらと涙を浮かべ
た深緑の瞳で自分を見つめ返すフェイの顔は、はっとする位に儚げで、綺麗だった。
 何故かその面差しから目を逸らせなくて。その柔らかな、華奢な身体を離したくなくて。
 スパイクは知らず知らずフェイの細身を抱きしめ、唇を重ねていた。
「……ん……」
 フェイも両手をスパイクの背中に回し、彼の広い胸に身体を預けた。
 次第に重くなっていく意識の底で、互いの胸から伝わる鼓動が重なり、一つになるのをフェ
イは感じていた。
 たとえこの温もりが、今だけのものでも。
 今だけは、確かに存在するものが、ここにあるから。
 今は多分、それだけで──いい。
 細い細い雫が一筋、フェイの頬を伝い、跡を残すことなく消えていった。


 窓の外に舞う雪は、ふわりふわりと音もなく、静寂の街に降り積もる。
 ゆらゆらと壁に踊る火影は、一つに重なった影を包み込むように、いつまでも、いつまで
も、ただ静かに、揺れ続けていた。


<→エピローグ>


テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル