・・・私、やっと・・帰ってきたんですね・・・・この、自分の生まれた所に・・・・・それが、とても嬉しいんです。
あ、えっと、これじゃあ何のことか分かりませんよね。えっと・・私は、スピカと申します。このサンディール王国が、私の住んでいた生まれ故郷で・・・私は、このサンディールの中でも、ちょっとした貴族階級の者なんです。えっと、それで実は私・・・2年前に、突然倒れてしまいまして・・・・
原因は、後から分かったんですけど・・・その、私・・昔から心臓と肺に、病気を持っていたみたいです。それが2年前・・色々行事も多かった時で、忙しくて・・・・疲れてしまって・・ダウンしてしまったみたいなんです。
病気はなかなか深刻なものだったみたいです。それで・・・私は、緑が沢山ある空気の奇麗な所で生活しなくてはならなくなってしまいました。
サンディール王国は緑豊かな、とても美しい王国なんですけれど・・・・もっともっと空気の奇麗な所じゃないとダメだったみたいで・・・そこで、今までずっと療養してました。
療養生活は、そんなに苦労もなくて、楽しかったと言えばそうなんですけれど・・・・毎日が病気との格闘で・・・・特に最初手術を受けた後は・・・塞がっちゃいました。
ですけど・・唯一の家族のお兄様が、本当に私の安否を心配して下さっていて・・・・私の両親はもう他界してしまっていないんですけれど・・・お兄様はお仕事が多いにも関わらず、私のことを心配して下さって・・・・お会い出来なかった分、お手紙を沢山送って下さいました・・・・
そうして、私も療養を続けて・・・・おかげさまで何とかこうして無事に回復出来たんです!心臓の病気の方は完治した訳ではないみたいなんですけど、再発する可能性はとても低いってお医者様に言われてきましたし、これからは普通の生活をしていいって言われたことが、何より嬉しくて・・・・ウフフッ。だから、このサンディール王国にこうして帰ってきたこと・・・本当に、私嬉しいんです・・・・・
サンディールは・・2年前とは、あまり変わってないですけど・・・・ですけど、何か・・町の人が増えた感じはします。私がいない間にも、こんなに沢山の発展を遂げていて・・・・何だかちょっとびっくりです。

「スピカ様・・・このサンディールの景色は、目に焼き付けられましたでしょうか?早々に家に戻りましょう。お兄様をはじめ、皆様お待ちかねですよ。」
「あっ、そうですよね!!すみません、私ってばつい、懐かしかったもので・・馬車を止めてしまってすみません。どうぞ、出発なさって下さい。」

いっけな〜い。私、景色見てる間にすっかり考え込んじゃって・・・2年っていう歳月は、短いようでいて長かったんですよね・・・・ですから、つい懐かしくなっちゃって・・・うわ〜、恥ずかしいです〜。またこうしてバカしちゃいました・・・・・



家に着いてから、沢山のメイドさんや、働いている掃除の方にお会いして・・・・皆様、本当にお世話になった方ばかりで・・・こうして皆様にお会い出来たのが本当に嬉しくて・・・生きているって最高のことなんだって、改めて実感してしまいました。
そして、このお兄様の執務室の扉の奥・・・・いよいよここに、お兄様が待っていらっしゃいます・・・・・・私はゴクリと唾を飲み込んで、ドアをノックして中に入りました。そこには、確かにお兄様がいらっしゃいます・・・・!
私は一歩ずつ一歩ずつ、お兄様に近付いていきました・・・・そうして私が半分位歩いた所で・・お兄様が私の方に来て下さって・・・・私を、包んで下さいました・・・

「スピカ・・・おかえり。ずっと、待っていたよ・・・」
「お兄様・・・はい、ただいま・・ただいま、スピカは帰りました・・・・!」

お兄様の抱き締めて下さる腕の中が、とても優しくて、暖かくて。そして、何より懐かしくて!!昔からずっと、お兄様はこうして私に優しくして下さいます・・・・・
お兄様は、お名前をレグルス様と言います。私が本当に妹でいいのか?って思う位・・私と全然違って、とてもカッコ良くて、魅力的で、何でも出来て・・お優しい方なんですよ。この家で働く女の方たちにも大人気なんです。お兄様自身も女の方がお好きみたいですし・・・・もちろん私もお兄様が大好きです。
そしてお兄様は、こんな出来損ないの妹の私にも、とても優しくして下さるんです・・・・お兄様は、正に完璧な理想図みたいな男の方だなって、いつも思っちゃうんですけど・・・・本当に、私にはもったいない素敵なお兄様で・・・・私の永遠の憧れです、お兄様は。

「あぁ。本当に、よく帰ってきたね。とても嬉しいよ・・・・これからはまた、ずっと一緒にいようね・・・」
「あ・・はい。お兄様・・・・」

何か・・何となく、ですけど・・・お兄様、変わられたでしょうか?
お兄様はまだお若いですし・・・何か、私が病気で倒れる前よりも、更に魅力的になった気がします・・・・元からお兄様はとても魅力的でカッコ良い方なんですけれど・・・・何かそれに磨きがかかっているというか・・・・お兄様、誰か好きな方でも出来たのでしょうか?

「・・スピカ。これから暇かい?おまえさえよければ・・・家をあげての快気祝いの前に、おまえと2人きりで快気祝いをしたくてね・・・いいかな?」

と、お兄様が私にそう仰ってきたので私は少し驚いてしまいましたけれど・・嬉しかったです。

「えっ?お兄様と?」
「そうだよ。おまえの快気祝いパーティーはもう今週末と決まっているんだけれど・・・その前に、ね。どうしても・・おまえと話したいことも沢山あるしね。」

と言ってお兄様がウインクまでなさるので、私はドキッとしてしまいました。

「あ、あの・・その、はい・・私は、いいですよ?」
「ありがとう。それじゃ、私の部屋の方に移動しようか。」
「あ、はい。」


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