35 な、何とか言えました・・・!体も顔も熱すぎてどうしましょう。手だけが冷たくなって、レグルスさんの暖かさを感じています。 「フフッ・・どうしたんだい?そんなことを聞くなんて・・・私のことを意識してるんじゃないかって、自惚れてしまうよ?」 レグルスさんは、常に余裕ですよね。私はここまで言い出すのにまごついて時間がかかっていたのに、レグルスさんはご表情を全く変えずにそう仰っています。 「あっ、えぇ〜っと。その、それは・・・」 あっ、なるほど。確かにそれはその通りかもしれませんね・・・・さすがレグルスさんです。 「そうなんですか。あの、もしかしたらレグルスさんって・・・」 私が気になってそう尋ねてみたら、レグルスさんは笑顔を浮かべられました。 「あぁ、そういうことになるね。女性から告白してくれるんだから、それに応えない訳にはいかないさ。」 あっさり肯定されてしまいました!な、何かそれって、嬉しいですけど悲しいですよね・・・・何だか私、このままレグルスさんを好きでいて幸せになれるかどうか不安になってしまいました・・・・ 「・・そうなんですか・・・」 驚いてレグルスさんを見ると、レグルスさんは苦笑されてました。 「私を指名してくれるお客を失えば店の問題にもなるから、結局肯定するしかなくてね・・・・後はフラれるのを待つだけかな。」 レグルスさん・・・普段はこんな寂しそうな表情をされないだけに、心が痛いです。 「・・大変ですね。ご自分の感情を出せないなんて・・・・」 今まで上りの坂道をレグルスさんとスローペースで歩いていたんですけど、気が付いて周りを見てみれば、何やらとても高い所に来たようです。下に見える景色がとっても奇麗で、東屋っぽいベンチに私とレグルスさんは並んで座りました。 「わぁ〜。景色が奇麗ですね!それから、お星様があんなに・・・・!」 星空に夢中になっていた私は、レグルスさんの方を見ずに、宝石が沢山こぼれ落ちたような光り輝く星空を見ながら返事をしました。 「はい。ここと同じ街ですけど、北に行くと田園が広がってますよね?そっちの方に私の叔父と叔母の家があって、高校までそこに住んでたんです。あっちは本当に夜空が奇麗で、時々お星様を見ていたりしてました。」 私はつい興奮して大声を出してしまったんですけど、レグルスさんはいつも通りの口調でお話して下さいました。 「あぁ、流れ星だよ。ここは特に流れ星がよく見える所でね・・・・この流れ星と夜景を、おまえに見せたかったんだよ。」 私が感動してそう言うと、その感動がレグルスさんにも伝わったようで、笑顔を見せて下さいました。 「おまえに喜んでもらえて何よりだよ。それで、おまえはどんな願い事をするのかな?」 急に言われても思いつかなくて、つい首を傾げてそう言ったらレグルスさんに笑われてしまいました! 「アハハハッ。おまえらしいと言えばそうだけど、もっと色々あるんじゃないかい?」 レグルスさんにそう言われて、私の中で一気にレグルスさんの存在が大きくなりました!自然とレグルスさんを見つめたら、レグルスさんも私のことを見つめて下さいました。 「おまえの好きな男は誰なのかな?アトラスではないようだけど・・・・」 何となくレグルスさんの余裕ぶりを崩してみたくてそう言ったら、レグルスさんに叶うことは全くありませんでした。しかもレグルスさんってばとても色っぽい微笑を浮かべてそんなことを仰るので、私はますますレグルスさんに惹かれてしまいました。 「アハハハッ。そんなに驚かないで・・・・秘密のある女性は魅力的だからね、つい私の方に振り向かせたくなってしまうんだよ。」 ウゥッ。今私、とっても顔が熱いです。レグルスさんの色っぽくてカッコ良い笑顔をこんな間近で独り占めしてしまってるからでしょうか・・・・? 「おまえは面白い質問をするね・・・もちろんいるさ。アトラスにしろミザールにしろ、濃いファンが多いからね。」 私がそう返事をすると、レグルスさんはそれまで見せられていた笑顔が嘘のように、急に神妙な面持ちになって淡々とお話されました。 「・・・スピカ。私はね、おまえが心配なんだよ・・・・その内、またアトラスに襲われるんじゃないかって気がしてね・・・・」 私が驚いてレグルスさんを見ると、レグルスさんは私と目が合うと微笑んで下さいました。 「だから、一緒に願おう。スピカ・・・・その内、大きな流れ星が無数に見える筈なんだよ。とても奇麗で願い事なんて忘れてしまいそうになるんだけど・・・・」 私がつい興奮してそう言うと、レグルスさんは苦笑して前髪をかき上げながら仰いました。 「フフッ・・やっぱりこの神秘的な流れ星を見ていると、とても願い事なんて出来ないか。でも、今はこうして一緒にいようね?スピカ。」 そうして私とレグルスさんは、その後他愛ないお話をしながら、沢山の流れ星を一緒に見ました。あまりに奇麗な大きい流れ星をこんなに沢山見たのは初めてで、興奮してしまってそれこそ願い事なんて出来なかったんですけど・・・・こうしてレグルスさんと一緒にいるだけで、私の願いは叶ったようなものなんです。なので、私は本当に幸せでした・・・・ |