サンタクロースってほんとにいるの? .
>
はじめの日 いい子のところには
かちゃかちゃと音を立てながらどうにか無事にお茶を出した小さな天化に、来客はにいっと笑いました。
「ありがとう」 そしてずずっとお茶を啜っておもむろに言ったのです。
「君のところにはサンタクロースがプレゼントを持ってきてくれるかもしれないねぇ」
「うわ、何言い出すんだ雲中子!」慌てたのは道徳ですが、きょとんと聞き返した天化に雲中子は平然と説明を続けます。そしてだんだん天化が熱心に聞いていくものですから道徳は結局それ以上口を挟むことができませんでした。
「サンタクロース?」
「そう、サンタクロース。いい子のところにはプレゼントを持ってきてくれるねぇ」
「どんな人さ?」
「そうだねぇ、大きくって、ひげが白くて、赤い服で」
「いい子にしてたら俺っちのところにも来てくれるさ?」
「たぶんね」
「俺っちいい子さ!ね、コーチ」
「あ、ああ、そうだな」
おい、そんな元気いっぱい期待いっぱいの輝いた目で俺を見られても・・・
とりあえず天化の前では頭を抱えずにどうにか返事ができただけでも上出来か。
ちょっと現実逃避気味に自分を慰めつつ、天化が下がると道徳は途方にくれた恨めしげな目を雲中子に向けたのでした。
「天化に何てこと吹き込んでくれるんだよ・・・」
「ん?私、何かおかしなこと言ったかねぇ?」
「サンタクロースだなんて!」
「おや、君はサンタクロースなんていないって言うのかい、道徳?」
「・・・」
がっくりと肩を落とす道徳に雲中子はくっくっと楽しげに笑いました。
「それじゃあ私は明日から大掛かりな実験の予定だから、今日はこれで失礼するよ」
「ああ・・・」
既にもう道徳の頭の中はサンタクロースをどうしようかということで一杯のようです。
それでも帰りがけ「あんまり子どもをからかってくれるなよ」という溜息が雲中子の耳に入りました。
やれやれ。私がからかっているのは天化君ではなくて君なんだけどねえ、道徳。
気付いていないならクリスマスはきっと大変でしょう。
まあそんな君だからこそからかい甲斐があるんだけどね、と雲中子はうそぶくのでした。
続きます。7日くらい^_^;。ほんとに書けるのかどうか(-_-;)。
連載がクリスマスを過ぎても温かい目で見てやってくださいm(_ _)m。
2006.12.16
次の話>
▲書斎へ
▲▲正門へ