時代が嘘、ということはないんですが、場所と材料が嘘のようです。
が、亭主は飲んだことのない酒の話は書けなくて。
・・それって、煙草を吸うようになるまで天化の煙草話は書けないってこと?それはちょっと困ります。
やはり練習あるのみですかね。そんなこんなで中国酒講座、まいりましょう。
1 お酒あれこれ
日本のお酒にも日本酒と焼酎があるように、中国のお酒にもいろんな種類がございます。
とりあえず、日本酒と焼酎のように分けるとすれば、黄酒と白酒。
日本酒と黄酒は醸造酒、焼酎と白酒は蒸留酒ですね。これらは穀物から作ります。
それから、これらに薬草や動物を漬け込んだ薬酒、強精補酒。
果実からの醸造酒、あるいは白酒に果汁を配す果酒、露酒。
案外よく飲まれているのはビール。うん、日本のお酒の種類とおんなじですね。
2 黄酒、なかでも紹興酒
それではまず、今回採用の紹興酒。
琥珀色、というよりももっと赤かもしれません。飴のように濃い色です。
燗をつけても冷やしても美味しくいただけるといいますが、亭主は燗が好みです。
ストレートが基本ですが、お砂糖を入れて飲んだりもします。
レモンや干し梅を入れたりもするらしいですが、そちらはやったことありません。
燗をつけすぎると香りも味もきつくなるのでぬる燗がいいのですが、
真冬に大きな窓開けっぱなしてたらすぐに冷めちゃうんで熱めの燗にいたしました。
で。
紹興酒は名の通り、紹興地方で作られるお酒です。
紹興市は浙江省、上海よりももう少し南の地。米どころそして水どころ。ついでに魯迅の故郷、「故郷」の舞台。
したがって、この紹興酒はもち米を醸造したものです。
アルコール度数は15〜20%。日本酒とおなじくらいですね。原料も製法も似ているので当然かな?
穀物の醸造酒なので「黄酒」です。そしてどうも、いまは黄酒といえば紹興酒のようです。
紹興地方以外に醸造酒が皆無というわけでもないのですが、やっぱり何といっても紹興酒。
だから黄酒(紹興酒)は南方のお酒なんですね。米がとれなきゃ話にならない。
さて、朝歌も西岐も黄河の流域、米の生産はちょっと厳しい。
いえ南方にしたって米の生産がいつ頃から行われていたかは・・・はああ、理解してないことだらけです。
ま、ともかく紹興地方からわざわざ酒を取り寄せていたことだけはどうしてもありえないでしょうから、
あれは黄酒であるにしても紹興酒じゃあないのです。
もっとも、殷や周の時代に酒があったことだけはありがたいことに確かです。
妲己ちゃんだって酒池肉林してますし。
堯や舜も飲んだようですから、始まりの人すら飲んでいたかもしれませんv
いまから約四千年前、天化たちよりも約千年前の竜山遺跡にて、酒器の類が発掘されています。
でもってその頃の酒は蒸留酒ではありえません。
だからたぶん黄酒ではある。
原料は黍か、粟か。(麦の生産はまだなのかな?)
現代でも黍の黄酒は山東省の名産だそうですが、一度飲んでみたいものです。
3 白酒
さて、白酒。日本のしろざけとは全く関係ありません。
日本人にも知られている白酒としては、茅台酒(まおたいしゅ)、汾酒(高粱酒?)。
アルコール度数は50%とか60%とかいきます。亭主は飲んだことありません、いやきっと飲めません。
いま中国の酒類生産は、この白酒が圧倒的で約8割を占めているそうです。
しかもストレートで飲むものなんだそうですよ。せめてロックには・・しないのかなあ?
調べたときに、最初はシェアを見て白酒でいかなきゃいけないのかなと思ったのですが、
こんなものでさしつさされつしていたら、親父殿はともかく天化はすぐにひっくり返ってしまうと思ったので、やめたのでした。
・・でも実は、やめて正解でした。
蒸留酒は醸造した酒をさらに蒸留するのですから、当然製造法が確立するのは遅れます。
最も古い汾酒が文献に見られるのは6世紀ころだとか。
周にはまだ白酒はありません。やれ、よかった。
でも白酒は高粱や麦やとうもろこしやえんどう豆を原料とし(もっとも米を原料とするものもありますが)、
内陸の酒という印象があるのですよね(中国全土で作られていますが)。
現代では米を原料とする紹興酒が中心で「南方の酒」というイメージのある黄酒より、親父に似合う気がしないこともありません。その度数からいっても(笑)。
まあでもお子様と一緒に飲むんだから、やっぱやめとくか。
4 果酒、露酒
果酒と露酒の用語の使い分けがちょっとわからないんですが、果物系のお酒です。
露酒の名は杏露酒(しんるーちゅ)でおなじみですよね。
これにしても杏を醗酵させたのか、白酒に杏を漬け込んだのかわからずじまいです・・。
図書館に行っておおきな辞典を引いてこなくちゃ。
ま、さておき、道徳と天化が飲んでいたのはこの類いだということで。
彼らには穀物を育てる甲斐性はないのだろうと。
いや育てていても(あるいは貰っても)そのまま炊いて食べて終わりだろうと。
でも果実は酒にするなりジャムにするなりしないと保存がきかないんで。
いやいや彼らなら自然に出来た酒そのものを青峯山で見つけてきそうです。
木のうろとかに溜め込まれた果物が自然醗酵しているのを。
アルコール度数は黄酒と同じかより低くなります。
甘い、かな。甘くしないと案外すっぱいのかもしれません。
・・・・実はこのあいだ梨のコンポート→梨酒?なる変化を起こしてしまいまして(苦笑)。
絶対あれアルコール度数1%あった・・・故意はないんで酒税法に問われないと思いたいのですが。
熟しきった果物と水と砂糖を煮たあと常温で放っておくと、どうやら酒が出来るようです。(自然にも出来るんだから煮込む必要はないのかな?)
ちなみに蜂蜜+水でも出来ます。それが蜂蜜酒、ミードです。
中から醗酵して、炭酸飲料のようです。
・・いや酒ができるというより腐ったとか傷んだとか言ったほうがいいような気もしますが、いい香りでした。しっかりお酒の香りでした。炭酸が強くてちょっと酸っぱかったんですが、ほんの少しだったのでお湯で割って飲みました。幸いお腹は壊しませんでした。さすがに果実のほうは怖くて捨てました。
健康のために、そして法に触れないために、真似はしないでくださいね(苦笑)。
私ももう一度やってみたいんですけど、今度やったらはっきり故意だもんなあ(涙)。残念(おいおい)。
ちなみのどの洞府でも保存食作りはやっているということでvvサプリメント作っている洞府もあるかもしれませんが。
で、どの洞府にも酒はあるんだろうなということでvv太乙のところにはないかな?
食べ盛り、かつ山の恵み豊富な紫陽洞では冬支度も大変だろうなあ。
崑崙は時代考証出来ないので楽ですね(笑)。
参考リンク先
永昌源 中国酒を眺めよう。甘いお酒いっぱいの日本産中国酒メーカー。でも実は紹興酒もある。
China Island >
中国酒博物館 宝酒造の中国酒サイト。TOPからならとりあえず観光客をクリック。
愛華倶楽部 >
愛華データベース >
中国酒の種類
愛知大学現代中国学部のサークル。データいろいろ。
香港政府観光局 >
香港@倶楽部 >
食在香港 >
2001年6月号
コミュニティストアあさひや >
お酒のおいしい飲み方
咸享酒店 >
紹興酒 いや紹興酒もいいんですが、ご案内ページのお粥がおいしそうでたまりません。
でんでんむしの中国玉手箱 > 中国「常識のウソ」??? >
乾杯とは杯を干すことなり
小川利康的主頁 > 講義Web > 日中文化比較 >
食う(茶酒編) 早稲田大学商学部の先生。
呑歴 >
黄酒の歴史 圧倒されてます。蒸留酒の歴史の完成が待たれます。