女子高生と教師の放課後





「なぁ、吉住?」

「あ・・・っ、な、何?遥輔君?」

今まであなたのことを考えていました、という表情を必死に顔に出さないようにしながら、遥は何気ない素振りで答えた。

「どうかした?」

「今日の放課後、一学期最後の生徒会の会議があるって。全クラスの学級委員が出席しないといけないらしい。お前、来れるよな?」

「う、うん。大丈夫」

(今日で最後・・・か)

「じゃあ、放課後な」

「うん、ありがとっ」

はあ・・。思わずため息をつく。と、そこへ、

「はーるかっ、どうしたの?」

「うわっ、びっくりした!」友人の奈々子だ。

奈々子の成績は正直一組の下から数えた方が早い。

しかしくるくるとめまぐるしく変わる表情と、ゆるやかなウェーブのかかったロングヘアーがとてもかわいらしい女の子だ。

遥輔君のことを考えるとき、たまに遥は奈々子と自分を比べてみる。

遥は幼稚園の頃からずっとショートカットにしてきた。

受験生だったこともあり、髪型は特に気にしたことがなかったが、この頃は奈々子の女の子らしいロングヘアーが羨ましくて仕方ない。

「遥さぁ、最近元気ないよね?何か悩みがあるなら言ってよ!相談乗るからさ。」

「奈々子・・、ありがと。」

日ごろ悩みを簡単に相談しない遥も、奈々子にならこの思いを打ち明けてもいいかな、と思った。

むしろ、奈々子ならきっと良いアドバイスをくれるだろう。

「実はね・・・。」

「えっ?遥って遥輔君のこと好きだったの?私てっきり遥が女子校出身だから男子に緊張してるだけかと・・・、そうか、だからあんなに遥輔君の前では恥ずかしそうにしてるんだぁ。」

「え?私、恥ずかしそうに見える?普通にしてるつもりなんだけど・・・。」

「なんか遥かわいい!大丈夫、私が色々考えてあげるから。今日は放課後話し合いがあるんでしょ?私も部活で遅くなるし、待ち合わせして一緒に帰ろ?そのとき話そうよ」

「ありがとう、奈々子」
>奈々子がいると思うとなんとなく心強い。

遥はそう思いながら、放課後が来るのをそわそわしながら待った。

この先地獄が待ち受けているのも知らずに・・・。

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