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2764号室へ
第581話
部長が、
「なんだ!? なんで壁が開いたんだ?
 中から誰か出てくる気配もないようだが・・・。」
大ちゃんは、
「でも気をつけたほうがいいよ。 開いたってことは、何か意味があるはずだし。
 罠かもしれない。」
ダイちゃんが、
「罠だろうがなんだろうが、パワーアップした僕がいるんだし怖いものなしだろ。」
すると大ちゃんが、
「そうだけど・・・。
 相手がマジューイだったら、また能力を使えなくされちゃうかも。」
ダイちゃんは、
「その前にぶっ潰してやればいいだろ。 中に入ってみよう。」
ダイちゃんは、そう言うと意見を聞かずに開いた壁の方に歩いていった。
部長が、
「たしかにダイちゃんと大ちゃんがいれば心強いが・・・。
 今回はやばそうな匂いがするな。」
大ちゃんも、
「そうだよダイちゃん。 もう少し様子見てからにしようよ。」
だがダイちゃんは、
「様子見るも何も、向こうから来ないんだからこっちから
 行くしかないだろ。」
大ちゃんが、
「そうだ、僕たちもブギヒアさんにマッサージしてもらったらパワーアップ
 できるかもしれないし。 その間だけ待ってよ。」
大ちゃんが、とりあえず時間稼ぎしようとそう言うと。
ダイちゃんは、
「もう、仕方ないなあ。 さっきの見ててうらやましかったんだろ?
 早く言えばいいのに。 わかったよ、その間だけ待っててやるよ。」
「よかった・・・」
部長は、ブギヒアのマッサージがマジにうらやましかったので心の中で喜んだ。
「そ・・そうだよな。 ダイちゃんだけ気持ちよくなってずるいよな。」 

第582話

 一方、自分たちの頭上に居る石本4号たちの事など気づいていない
帽子の男とバソレたち、
「では、例のあれが完成したというのか。」
 バソレが帽子の男に尋ねた。
「もちろんです。ここから見える景色の場所はもちろんほかにもすばらしい
 場所はたくさんございます。」
「仮に、行くことが可能としても、危険は無いのですか?」
 バソレの家来が尋ねた。
「大丈夫ですよ。向こうの住人たちはほとんどがこびとです。この国で
 みつかるこびとたちは向こうの世界からやってきたのです。これからは
 こびとたちがこの国に来るのをまたなくても、こちらからいくらでも
 捕まえに行くことができるのです。」


「今のところ、特に誰も来るような感じはしないよ。」
 辺りをしばらく見回していた大ちゃんが言った。すると部長が、
「じゃ、敵が来るまでにパワーアップする時間はありそうだな。」
「それでは、早速……。」
 ブギヒアが言うとダイちゃんが、
「先に大ちゃんをパワーアップしたほうがいいんじゃないか?」
 すると大ちゃんは、
「ぼ、僕は後でいいよ。」
 部長は、
「そ、それにだなまだ安全と決まったわけじゃないからな。もしもの
 ことを考えたら……。」
「そうだね。」
 大ちゃんが言うとブギヒアが、
「では、はじめます。いいですか。」
 ブギヒアはそういうと、部長のチンコにしがみつき、マッサージを
始めた。 

第583話

部長のチンコは、ブギヒアがマッサージを始める前からギンギンに勃起していた。
それでもブギヒアがマッサージを始めると、さらに太く大きくなった。
「す・・すげぇ。 こりゃ想像以上に気持ちいいぞ。
 オナニーするときのおもちゃに連れて帰りたいくらいだ。」
大ちゃんは、
「ちょっと、お兄ちゃんまでなに言ってるの。
 それじゃあこびとを捕まえてる巨人と同じでしょ。」
ダイちゃんは、
「おい、オナニーってなんだ?」
部長は気持ちよさに耐えながら、あわてて答えた。
「え? えーと、オナニーってのは・・・つまり・・・。
 そうそう、必殺技のことだよ。」
するとダイちゃんは、
「ええー、必殺技はそんな変な名前じゃないよー。」
部長は、
「えーと、まぁ大人の呼び方ってやつだ。」
「まあいいや、早くパワーアップして行くぞ。」
その間にも、ブギヒアは部長のチンコのマッサージを続け
どんどん部長のチンコが熱くなっていく。
「はぁはぁ・・・、もうイキそうだ・・・」
部長のチンコは限界まで膨れ上がり、今にも絶頂をむかえようとしていた。
ブギヒアは、
「そろそろだな。」
さすがに射精するときにチンコにくっついているのは危険なため、
チンコから離れようとした。
だがその瞬間、部長は自分のチンコをブギヒアごと握ってしまった。
気持ちよさのあまり、無意識に握ってしまったのだ。
ブギヒアは部長のチンコと手の間で必死に叫んだ。
「わあああ、話してくれー。 さすがに私でもこのままじゃ・・・。 ぐえっ!」
快感の絶頂をむかえた部長の耳には届かず、さらに力強く握られてしまった。

ドプンッ! ドプンッ! ・・・

その瞬間、部長のチンコから大量の精液が何度も噴出した。
ブギヒアのマッサージのおかげなのか、すごい量だった。
精液を出し終えた部長が息を整えながら、
「はぁはぁ・・・。 こんな気持ちよかったのは、はじめてだ・・・。」
すると大ちゃんが、
「ねぇ、ブギヒアさんは?」
「おっと、そうだった。」
部長は自分の股間の方を見下ろした。
そして、自分のチンコから握ってる手をゆっくり離すと
精液まみれの手の上に、ぐったりと倒れているブギヒアがいた。
部長は、
「うわっ、しまった。 やっちまった。
 知らずにチンコといっしょに握ってしまってたのか。」
大ちゃんが、
「ええー、大丈夫かな・・・?
 ブギヒアさんは薬で小さくなったわけじゃないから、力強く握っちゃ
 簡単につぶれちゃうのに・・・」
ダイちゃんは、
「もう、何やってんの。 それにちょっと量が増えただけで、
 ぜんぜんパワーアップしてないじゃない。」
部長は、手に乗せたブギヒアを観察して言った。
「大丈夫、潰れてはなさそうだ。 意識はないようだが・・」 

第584話

「おい、大丈夫か?」
 部長はブギヒアに呼びかけたが、反応がない。今度は注意深くブギヒアに
触れてみた。
(やべえ。もしかしたら……。)
 部長は不安になった。このままブギヒアが動かなかったら……、そして
更に悪い結果を想像しそうになった。そのとき大ちゃんが、
「あ、誰かこっちへ来るみたい。」
 巨人ではないようだが、確かに足音がこっちへ近づいてきていた。
部長は、
「まずいな。こんなときに……。」
 ダイちゃんは、
「心配するなよ。巨大化してやっつけてやるから。」
 大ちゃんは、
「だからそれはここじゃだめだって。」
「そうだ。」
 ダイちゃんはそう言ったあと大ちゃんに耳打ちした。
「わかった。やってみる。」
 ダイちゃんと大ちゃんはブギヒアと同じくらいのサイズ位に小さく
なった。ダイちゃんは、
「おい、忘れてるぞ。」
「あ、そうだった。」
 大ちゃんは、動かないままのブギヒアを心配そうに見つめていた部長も
自分たちと同じ位に小さくした。部長は、一瞬何が起こったかわからず
声をあげた。
「いったい何が起こったんだ?」
 ダイちゃんは部長に作戦を説明した。
「なるほど、わかった。」
 そう言っているうちに足音は明らかにこちらへ近づいてきていた。

-ズン、ズン、ズシーン-

 今の部長や大ちゃんたちにとってはこの星の住人たちはとんでもない
巨人なのだ。地震のような振動がだんだん大きくなってくる。部長は、
(ブギヒアは、こんな連中のいる世界で、ずっと生き延びて来たんだ)

「確かにこの辺に誰かいるはずなんだが……。」
 部長たちがすぐ近くにいるのに気づかず足音の主はあたりを見回した。
そのとき、
「うわぁぁぁっ!」
 突然三つの大きな影が足音の主を取り囲んだ。再び巨大化した大ちゃんと
ダイちゃん、そして部長ではなく見知らぬ男だった。見知らぬ男は、
足音の主を一撃で殴り倒した。
「すげえ、でもお前何者だ?」
 ダイちゃんが言うと大ちゃんは見知らぬ男に、
「え、あのー、もしかしたら……ブギヒア……さん?」
「そうだが、ここは?」
 ダイちゃんは、
「なんだよ。巨大化させる相手を間違えたのか。でもそのおかげで
 気がついたみたいだし。」
 状況が理解できていないブギヒアに、大ちゃんが今までの事を話した。
「そうか、そうだったのか。」
 ブギヒアは自分の足元にいる部長を見つけ、しゃがんだ。

「な、なんだ!?うわぁぁぁっ!」
 部長は、自分を捕まえようとする巨人から逃げようとしたが、簡単に
捕まってしまった。
「苦しい、痛い、助けてくれ!!」
 部長は、ブギヒアの手の中で暴れたが、どうにもならない。

 大ちゃんはブギヒアに、
「もうすこしやさしくしないと潰しちゃう。」
 ダイちゃんは、
「巨大化したら性格変わってないか?」
 ブギヒアはしばらく自分の手の中の部長を見つめていたが、
「そうか、こいつが俺を……仕返ししてやる。」 

第585話

 ブギヒアは部長を強く握りしめたまま、こびとを握る快感を楽しんで
いるようだった。部長は、
「ま、待ってくれ。 仕返ししたくなるのは当然だが、さっきのはわざとじゃないんだ。
 許してくれ。」
 だが、部長が何を言おうとブギヒアの握る力は強いままだった。
ブギヒアは、
「この体で仲間のところにもどれば・・・。 俺は王になれるぞ。
 いや、神になれる。 だがその前に、お前をさっきの俺と同じ目に合わせてやる。
 俺様のチンコですり潰れてしまえ!」
「や・・・やめてくれーーー。」
ブギヒアは、自分のチンコを出すと部長を握りしめた手を股間の方にもっていった。
そして、さっき自分が部長にされたように自分のチンコを部長ごと握った。
大ちゃんがあわてて言った。
「ねえ、ブギヒアさん。 さっきのことは反省してるみたいだから、許してあげて。
 そんなことしたら、ほんとに潰れちゃうよ。」
それでもブギヒアは、
「ああ、ほんとに潰すつもりだからな。
 お前らも後でボコボコにしてやるから、そこで大人しく仲間が潰されるのを見ていろ。」
ダイちゃんが、
「なんか、こいつヤバいぞ。」
ブギヒアは、部長とチンコを握った手に力をこめた。
「じゃあな。」
ブギヒアが、部長をすり潰そうとした瞬間だった。
ブギヒアの姿がパッと消え、かわりにダイちゃんたちと同じサイズに戻った
部長が息を切らして座り込んでいた。
「うわあああ・・・、あれ? たすか・・・た?」
部長の下には、ブギヒアが状況に気づかずまだチンコを握っている。
「つぶれろーーー」
ブギヒアは自分のチンコを擦りはじめた。
だが、周りの異変にようやく気づき部長を見上げた。
「あ・・・あ・・。 すいませんでしたーーー! なんか急に
 我を忘れてしまって、ひどいことを・・・。 私はなんてことを。」
ダイちゃんが、
「やっぱりこいつ、大きくなったときと小さいときじゃ
 ぜんぜん性格違うぞ。」
大ちゃんは、
「たぶん、今まで巨人たちにさんざんおもちゃにされて溜まってたものが
 いっきに爆発しちゃったんだよ。」 

第586話

 そのころ、自分たちの頭上に居る石本4号たちの事など気づいていない
帽子の男とバソレたち、
「ところで、行くといっても準備にどのくらいかかるのじゃ?」
 バソレが帽子の男に尋ねた。
「そちらのご都合さえよければ、今すぐにでも出発できますよ。必要な
 ものはすべてこちらにご用意しております。」
「そうか。ならば今から出発するぞ。」
「お待ちくださいバソレ様。いったい向こうにつくのにどのくらい
 かかるのかご存知なんですか?」
 するとワホの主人は、
「ご心配なく、よろしければ私がお供いたします。」
「いいでしょう。もしお急ぎでしたらその日のうちに行って帰って
 こられますよ。」
 帽子の男が言うとバソレが、
「なかなか面白いことを言うやつじゃ。」
「いえ、本当ですよ。ここに見えている中からお好きな場所をお選び
 ください。」
「うむ、それならば……といわれても迷うのう。」
「そうですね。ここは日を改めたほうがよろしいかと。」
 バソレの家来が言うと、
「いや、この者がすぐに行って帰れるといっておるのじゃ。すでに
 準備もしてあるというではないか。すぐにでも出発するというのが
 筋であろう。」
「ははっ、ではどちらに。」
「余はここに見えているどの場所にも同じように行ってみたいのじゃ。
 しかし、すべてを回るわけには行かぬ。いくらすぐに行って戻れると
 いってもこれでは何日、何ヶ月かかるやもわからぬ。そこで余は
 一箇所簡単に決める方法を思いついた。ここで目をつぶり一度その場で
 回り、どこか見えぬまま余が指で指し示した先に見える場所へ行く
 のじゃ。できるか。」
 帽子の男が、
「お望みとあらば。どこへでも。」


 こちらは部長たち、
「それにしても一体どこへ行けばいいんだ。敵らしき者は来るには
 来るんだが……。」
 部長が言うとちょうど石本4号からの「連絡」を受け取った石本2号が、
「あのー、なんかやつら今からどこかに行くみたいだけど。」
「行くって、どこへだよ。またでたらめなんかじゃないだろうな。」
 ダイちゃんが言うと、
「えっと、そのー、今から決めるみたいなんだけど。」
 そのとき、

-ゴゴゴゴゴ……-

「おい、又なんか来るのか、かなりでかそうだぞ。」
 部長が言うとダイちゃんが、
「心配するなよ。必殺技もパワーアップしたんだし。」
 すると大ちゃんが、
「そうじゃないみたい。」
 大ちゃんが指差すほうの扉がゆっくりしまろうとしていた。部長は、
「げ、あんなに遠くちゃ走っても間に合わないぞ。」
「だったら扉の向こうまで一気にテレポートすりゃいいジャン。」
「え?そんな急に言われても……。」
 大ちゃんが言うと部長、
「危険かもしれないが、ここまで来たんだ。奴らについていくしかない。」
「わかった。」


 さて、再び帽子の男とバソレたち、
「何、もう着いたというのか。」
 バソレが言うと帽子の男は、
「実はここはほかの場所へ行くための乗り物の中なのです。私はこれを
 使ってこの国へやってきたのです。どうぞ外へ。」 

第587話

するとバソレたちの後ろの扉が開いた。
さっきまでこびとの取引をしていた洞窟内の部屋があったはずなのだが
扉の向こうはまったく別の場所だった。
バソレたちは少し驚いた様子で、しばらく扉の向こう側をながめていた。
すると帽子の男が、
「さあ、どうぞ。 バソレ様がお選びになった場所ですよ。」
「ん? ああ、そうだな。 では。」
バソレはゆっくりと扉の方に歩き、外に一歩踏み出した。
すると、やわらかい無数の小石を踏み砕いたような変な感触が足の裏に感じた。
だが、周りには何も無いただ広いだけの景色がどこまでも続いてる。
極端に言うと、空と地平線しかない。
バソレが、
「なんだ、ここは。 さっき見ていた窓にはこんなところ無かったぞ?
 それにこびとなど1匹もおらんぞ。」
だが帽子の男は首を振った。
「いえ、確かにここはさきほどの窓の1つですよ。
 それに、こびとはバソレ様のすぐ近くにうじゃうじゃといますよ。」
バソレは、
「なんだと? 近くにうじゃうじゃ? 余には見えんぞ。」
すると帽子の男は何かのスイッチを操作して言った。
「では、これをご覧ください。」
するとバソレの目の前の空中にモニターが現れた。
そしてモニターに映像が映し出された。
「これは・・・?」
帽子の男は、
「このあたりに超小型のカメラをいくつもばら撒きました。
 そのカメラは、ここの住民達からの視点でバソレ様を映し出すようにしてあります。」
モニターには、ビルの隙間から空を埋め尽くすほどの超巨大男が映っていた。
バソレは、
「ここに映ってるのが余だというのか?」
帽子の男は、
「はい、そうです。 つまり、バソレ様が立っている場所は
 ものすごく小さなこびとたちの大都市でございます。
 もうすでにバソレ様の足の裏に消えてしまった地域もあるようですが。」
バソレは足元をよく観察した。
「なるほど、言われてみれば確かに地図の上に立ってるような感じじゃ。」
そしてもう1歩足を踏み出した。
するとモニターにものすごい数のこびとがパニックを起こし、
振動で崩れるビル群から必死で逃げ出そうとしている様子が映し出された。
「ほう、こりゃおもしろいわい。 余が1歩歩いただけで大騒ぎしとるぞ。」 

第588話

     一方、部長たちは……
    「うーん、ここは一度通ったような気がするんだけど……。」
     大ちゃんが言うと部長が、
    「これは俺たち明らかに迷……。」
    「何を言っているんだ。これは敵の基地の偵察なんだ。怪しいところは
     何度でも調べないと駄目なんだよ。」
     ダイちゃんが部長の言葉をさえぎって言った。部長たちは大ちゃんの力で
    しまろうとする扉の向こう側へのテレポートに成功したが、その向こうに
    あった迷路のような廊下に迷ってしまったのだった。部長は、
    「それにしても困った。これでは隠れるところも無いな。」
    「しょうがないなぁ、敵が現れたら僕が巨大化してやっつけてあげるよ。」
     ダイちゃんが言うと大ちゃんが、
    「だからそれは……あ、」
    「なんだよ。」
    「僕たち、みんなと離れてだいぶたつよね。そろそろ僕たちのこと連絡して
     おいたほうががいいんじゃないかと思うんだけど。」
     大ちゃんが言うと部長が、
    「そうだな。ブギヒアもみつかったことだし。」
     するとダイちゃんが、
    「それはリーダーの僕が決めるんだよ。たまたま今回は意見が同じだから
     よかったけど。」
     するとブギヒアは、
    「すみませんが連絡はしばらく待っていただけませんか。迷惑もかけて
     しまったし、さいご皆さんのお役に立ちたいのです。弟のフィキヨは
     私がこちらにいることがわかったらどうしても会いたくなるでしょう。」
     そのとき、石本2号と3号が、
    「あ、大変だ。」
    「と、言うかうらやましいなあ。」
     するとダイちゃんが、
    「うらやましいって何だよ。」
     すると石本2号と3号は黙ってしまった。
    「はっきり言えよ。言わなかったら思いっきり踏み潰してやるからな。
     代わりはいくらでも作れるんだからな。」


     実はどういうことかというと、石本4号とグーアは帽子の男とバソレ
    たちに着いて外へ出たのだが、
    「そうだ。僕たちも地上に降りてみない?」
     石本4号はグーアに言った。
    「そんなことをすれば、踏み潰されるかも……。」
    「大丈夫。あいつらから離れた場所に降りるから。もしこっちへ近づいて
     きて踏み潰されそうになったらあれば飛んで逃げればいいんだし。」
     石本4号とグーアは地上に降り立った。この星の住人からみれば、この
    二人でさえ大変な巨人なのだ。石本4号は自分たちの行動が部長たちに
    筒抜けなのを忘れて、
    「わーい(^^)思ったとおりだ。何をしようかなー。」

第589話

    石本4号は近くにあった民家を蹴り崩した。
    「ああ、気持ちいい。 久しぶりのこの感じ。 やっぱり巨人はいいなぁ。」
    でもグーアは、
    「なに言ってんだ。
   ここのやつらが小さすぎるだけで、今の俺たちはこびとに変わりはないんだぞ。」
    グーアは、遠くの方に見える超巨大なバソレを指差して続けた。
    「あれを見ろ。 あれが俺たちの現実なんだ。」
    それでも石本4号は、
    「あんなの関係ないよ。 僕が巨人として楽しめればそれでいいんだから。」
    そう言いながら、足元の車や家を踏み潰していく。

    そしてバソレは、
    「なんだか神にでもなった気分だな。」
    帽子の男は、
    「はい、バソレ様はここでは神に値する存在でございますよ。
   バソレ様のほんのささいな行動でも、地形すら大きく
   変えてしまうほどの力があるのですから。」
    バソレはその言葉に気分をよくして、仁王立ちで言った。
    「そうかそうか、余は神か。 がははは。
   では、おろかな人間どもに天罰をあたえてやらんとな。」
    バソレはそう言うと、自分のズボンとパンツを下ろした。
    そうとう興奮しているのか、チンコはすでにギンギンになっていた。
    鈴口からポトリと小さな我慢汁のしずくが落ちたが、
    それだけでビルがいくつも崩れてしまった。
    バソレはその光景をモニターで見ながら
    「なんじゃ、たった1滴でこのありさまか。 本番はこれからじゃぞ。」

第590話

     バソレはそう言って自分のチンコをしごき始めた。その振動すら
    こびとたちにとっては巨大地震に等しい。次々と建物が崩壊し、瓦礫の
    山と化していく。
    「おお、これはいいぞ。愚かな人間どもよ。自らの過ちが引き起こした
     滅びの時を見るがよいぞ。」
     バソレは手を止めて片足を思いっきり上げ、地上に踏みおろした。

    -ドォォォォォン-

     巨大な土煙が上がり、建物は周りの地面ともに完全に消滅し、その後に
    巨大なクレーターが現れた。
    「うむ、これは面白いぞ。」
     興奮したバソレは再び自分のチンコをしごき始めた。


     一方、石本4号はグーアの言うことなど聞かずに建物を踏み潰しながら
    歩いていた。すると、高架の高速道路が見えてきた。高速道路は渋滞し、
    駐車場状態となっていた。それを見た石本4号も片足を思いっきり上げ、
    高速道路の上に踏みおろした。

    -ズドドーン-

     石本の足元で大きく土煙が上がり、高速道路は崩壊した。そこにあった
    車も当然つぶれ、爆発した。何台かの車はまわりに飛び散り、周りの建物に
    突っ込んだ。
    「うわー。すごいやー。もっとやっちゃおう。」
     石本4号は高速道路を踏み潰しながら歩き始めた。

    -ドガーン、ドカーン、ゴゴゴゴ……-

     石本4号に高速道路といっしょに踏み潰された車が爆発する。グーアは、
    「こんなことをやっている場合じゃない。逃げよう。奴から離れるんだ。」
    「いやだよ。今まで散々ひどい目にあってきたんだ。こんなときこそ
     思いっきりたのしまなきゃ。」
     石本4号は知らないうちにバソレのほうに近づいていた。そのバソレは、
    「すばらしいぞ。こんな快感は初めてじゃ。いくぞおおおーっ!!」

    -ドボ、ドボ、ドババーッ-

     バソレは今まで自分の記憶から今まで出したことも無い大量の精液を
    発射した。

    -ドガーン、ドカーン、ゴゴゴゴ……-

     精液の落下地点の建物がつぎつぎと破壊される。その一部がちょうど
    石本4号の上に落下した。
    「うわぁぁぁっ!助けてー。」
     石本4号は周りの建物を破壊するどころか、精液に捕らえられ動けなく
    なってしまった。

第591話

    グーアも石本4号の近くにはいたが、奇跡的にバソレの出した巨大な精液の
  塊の直撃をまぬがれた。目の前では石本4号が山のように盛り上がった
  精液にのし掛かられるように捕らえられてしまっている。
    「ほらみろ。早く逃げないからだ。俺たちの小ささがわかっただろ?」
    石本4号は、
    「今のは油断してたんだよ。今度はあいつからもっと離れて
   巨人を楽しむから、早く助けてよ。」
    「全然わかってないな。」
    グーアはそれでも仕方なく石本4号の手を引っ張り、石本4号を助けだそうとした。
    だが、予想以上に精液が重く粘度も高かったためなかなか助け出せないでいた。
    そうしてると、はるか上空からこんな会話が聞こえてきた。
    バソレが、
    「がははは。街が余の精液に沈んだぞ。」
    帽子の男が、
    「ええ、バソレ様は神ですから当然でございます。」
    するとバソレが、
    「そうじゃ、余は神じゃ。ところで話は変わるが、トイレはどこにあるのじゃ?
   小便がしたくなったのじゃが。」
    帽子の男が、
    「残念ですが、ここにはバソレ様のサイズに合うトイレはございません。
   一ミリにも満たないトイレなら足下にいくらでもあるのですが。」
    「ではどうすればいいのじゃ?」
    すると帽子の男は少しニヤリとして言った。
    「バソレ様は神なのですから、足下の人間どもに恵みの雨を
   降らせてやってはどうでしょう?」
    バソレは、
    「ふむ、そうじゃな。天罰を与えるだけが神の仕事ではないな。では、
   雨を降らせてやろう。」
    それを聞いたグーアが、
    「た…大変だ。あんな巨大なやつが小便なんかしたら、雨なんかじゃすまない。
      ここら一帯が大洪水になって、小便の海に沈むぞ…」
    だが、まだ石本4号を精液から助け出せていない。

第592話

     さて、こちらは部長たち……。ダイちゃんが石本2号と3号を問い詰めて
    いたが、大ちゃんが
    「ねえ、とにかく向こうの詳しい様子を聞いてみたら?お仕置きとかは
     後でいいんじゃない?」」
     ダイちゃんはしばらくだまって居たがそのとき石本2号と3号が、
    「苦しいー。」
    「助けてよー。」
     もちろん、精液の下敷きになってしまった石本4号の苦しみが伝わって
    きていたのだ。するとダイちゃんが
    「あ、これでお仕置きする必要が無くなった。いい気味だ。」
    「いいのかなぁ……。」
     大ちゃんは心配そうに石本2号と3号を見つめていた。


     その「送信元」である石本4号は、まだ自分にとって途方も無く大量の
    バソレの精液から脱出できないで居た。そのとき、

    -ドドドドド……-

     向こうの方から轟音が聞こえてきた。そう、バソレがおもいっきり
    小便をし始めたのだ。それは巨大な滝という表現すら不十分というぐらい
    大量の水が上空から落ちてきた。それは水でできた巨大隕石とでも
    言うべきだろう。小便の落下地点は、あらゆるすべての物が一瞬で
    破壊される。それだけではない。相当たまっていたのだろう。巨大隕石は
    一度落ちたら終わりだが、それに相当する質量の小便が次々と上空から
    落下し続けるのだ。その大量の小便はそのまま周りに広がりはじめた。
    はじめ、そのことに気づかなかった石本4号は、
    「ああ、ここじゃなくてよかった……わあっっっ!!」
     上空から落ちてきたバソレの大量の小便は大津波のような巨大な水の
    壁になって周りの建物を次々と破壊しながら石本4号に向かってきた。
    上空から落ちてきたバソレの大量の小便は大津波のような巨大な水の
    壁になって周りの建物を次々と破壊しながら石本4号に向かってきた。

第593話

    石本4号を助けようと、引っ張っていたグーアも
    「まずい、もうダメだ。」
    と、あきらめかけていたそのとき
    今までまったく動かなかった石本4号の体がヌルリと引き出されたのだ。
    精液は時間がたつと粘度が落ちてくる。
    そのおかげで石本4号は精液から抜け出せたのだ。
    だがバソレの出した超大量の小便は、高層ビルを簡単に押しつぶしながら
    石本4号達にせまってきていた。
    もう走って逃げたところで助からない。
    石本4号は、
    「どうしよう、どうしよう・・・」
    するとグーアが、
    「そうだ、上だ! 早く飛ぶんだ。」
    ギリギリのところで自分たちが飛べることを思い出したのだ。
    石本4号とグーアは急いで空に飛び上がった。
    その瞬間、今まで石本4号達がいた場所は小便の超巨大津波に飲み込まれた。
    周りを見渡すと、黄色い海が一面に広がっていた。
    出したバソレから見ると、小便でできた小さな水溜りなのだが。
    石本4号は、
    「た・・助かった。」
    グーアも、
    「俺のおかげだぞ。 感謝しろよ。」
    さらにはるか上空では、バソレがようやく小便を出し終えたところだった。
    「ふい〜、すっきりじゃ。 これで人間どもの汚れた街もきれいになったであろう。」
    そう言いながら自分のチンコを振って、先に残ったしずくを飛ばした。
    そのしずくは、運悪く石本4号達の方にも飛んできていた。
    しずくと言っても石本4号達の体の数倍ある水の塊。
    しかもそれが高速で石本4号たちに向かって飛んできているのだ。
    そんなこととは知らず、石本4号とグーアは下の様子を見ていて
    上からそんなものがせまってきてるとは考えもしなかった。

第594話

    -ゴオオオオッ、ズボッ-

     巨大な水というか小便の塊はもののみごとに石本4号達を直撃した。

    -ドバァァン-

     そしてその直後、その塊は二人を包み込んだまま地上にたたきつけた。
    幸いにも大量の液体が衝撃を和らげたのか致命傷は免れた。
    「いててて……。」
    「何が起こったんだ?」
     しかし、落ちたところが悪かった。そこは石油コンビナートが立ち並ぶ
    工場地帯だった。

    -ドッカーン、ドッカーン、ドッカーン-

     二人を包み込んだ巨大な液体の固まりが落下した衝撃でそこらじゅうの
    施設に引火、爆発した。大量の液体は破壊されたタンクの引火性の液体を
    炎とともに押し流し、被害は回りに急速に拡大していく。

    -ドッカーン、ド、ドッカーン、ド、ド、ドッカーン-

     二人が起き上がると周りは火の海だった。石本4号は、
    「うわっ。どうなってるのー。」
    「こっちが聞きたいくらいだ。」
     まあ、このときも飛んで逃げればよかったのだが、次々起こる事態に
    あわてていた二人は走って逃げ出した。当然のことだが、その星の
    住人たちにとっても巨人である二人、二人が走るたびに被害は急速に
    拡大し続けた。


    「おや。」
    「どうされました?バソレ様。」
     帽子の男はバソレにたずねた。
    「何か向こうのほうで動いているような……。」
    「ここで動くものはたいてい見えないと思いますが……。」
    「そんなはずは無い。」
     そう言ってある方向を指差した。
    「ならば、直接行って確認されたらいかがですか。」
    「そうか。」
     バソレはそういうと歩き始めた。


    「あちちち。」
    「海のほうへ逃げよう。」
     石本4号達は次々と石油タンクなどを踏み潰しながら工場地帯から
    ようやく海へ出ることができた。実は二人に向かってその星の軍隊が
    向かっていたのだが、当然というべきか戦車などの地上部隊は知らないうち
    にすべて踏み潰し、海上の大艦隊も二人が海に出た時点で起こした
    大津波によって全滅していた。ふと二人が後ろを振り向くと、巨大な
    バソレが二人に向かって近づいてきていた。

第595話

    バソレが一歩一歩歩くたびに、街が足型に押しつぶされ跡形もなくなる。
    それだけじゃなく、足を振り上げる風圧や足を踏みおろしたときの地響きや爆音
    すべての大災害がいっきに起こったかのような、それ以上の惨状だった。
    当然バソレにとっては、ただ歩いているだけなので
    足元でそんな状態になっていることなんて考えもしない。
    そして海の前で足を止めた。
    「このあたりだったはずなんじゃが・・」
    バソレにとって、石本4号達は5mmほどのサイズ
    爆発の煙やバソレが歩いたときに崩れた建物の砂埃などにまぎれて見失ってしまったのだ。
    「たしかに虫みたいなのがちょこちょこと動いておったのだが・・」
    下では石本4号たちが、そのバソレを見上げていた。
    グーアが、
    「まずいぞ。 俺たちに気づいたみたいだ。 見つかるのも時間の問題だぞ。」
    石本4号も、
    「ええー、どうするの?」
    「俺に聞くなよ。 俺だってどうしたらいいのか・・・。
    下手に動くと見つかりやすくなりそうだし・・。
    海にもぐって行けるとこまで逃げるしかないか。」
    だが石本4号は、
    「ええー、さっき言ったでしょ。 僕は泳げないんだって。」
    「じゃあここで捕まるんだな。 俺は一人でも逃げるぞ。」
    「そ・・そんなー、待ってよー。」

第595話補足

    「どうしよう」石原4号が言う


第596話

    「とにかく俺は先に行くぞ。」
     グーアはそう言うと、海の中へもぐってしまった。
    「しかたない。ついて行こう。」
     石本4号は意を決して鼻をつまみ、海の中へもぐった。一方バソレは、
    「うーむ、確かに何か動いたのが見えたのだが……。」
     バソレは目を凝らして海を見つめていたが、どうしても見つけられない。
    「そうじゃ、こうすれば驚いて出てくるかも知れん。」
     バソレはしゃがむと海に手をつけ、水をかき回し始めた。当然そんな
    ことをすればバソレにとってはただの波紋にしか見えないがその星の人から
    見れば超巨大津波の発生源である。それが次々と沿岸地域を跡形も無く
    破壊し続けて居く。そしてそれは石本4号達にも届いた。
    「うわぁぁぁ。」
    「助けてくれぇぇ。」
     二人はまるで洗濯物のように周りの海水にかき回された。これでは
    飛んで逃げるどころではない。

     されて、こちらは部長たち、
    「もうそろそろいいんじゃないか。」
     部長が言うとダイちゃんが大ちゃんに、
    「そうだな。そろそろ戻してよ。」
    「うん、わかった。」
     大ちゃんが念じると、ずぶ濡れになった石本4号とグーアが戻って来た。
    「た……助かった。」
     二人はその場にへたり込んだ。ダイちゃんは、
    「何言ってるんだ。詳しいことを聞いたらまたもとの場所に戻って
     もらうからな。」
    「そんなー。見つかりそうになっていたのに……。」
    「勘弁してください。もうたくさんです。」
     すると石本4号は、
    「だったら何も言わない。大変だったんだから。」
    「それなら無理にでも聞き出してやる。」
     部長と大ちゃんは、ダイちゃんがこうなったらもう止められないことを
    悟っていた。
    「お仕置きを許してあげようと思ってたんだけど、こうなったらスペシャル
     版のお仕置きだ。手伝ってくれるよな。」
     ダイちゃんはそう言うと、ブギヒアのほうをちらりと見た。
    「は、はあ……。」
     ダイちゃんは、
    「こいつらに今考えた新必殺技をお見舞いしてやるんだ。」

第597話

    大ちゃんはそれを聞いてあわてて言った。
    「ちょ、ちょっとダイちゃん。 相手はこんなに小さいんだよ?
   巨人ですらぶっ飛ばしたほどなのに、そんなの当てたら
   跡形もなくなっちゃうよ。」
    するとダイちゃんが、
    「別にいいじゃん。 こいつの分身なんていくらでもいるんだし、
   1匹ぐらい潰れても。」
    石本4号が、
    「い、1匹ぐらいって・・。
   いくら分身がいっぱいいても、痛みとかはみんなに共有されちゃうんだよー。
   体が潰れた痛みなんて・・・」
    大ちゃんも、
    「そうだよ、いくらなんでもちょっとやりすぎだよ。
   せめて普通の必殺技にしてあげなよ。」
    石本4号が、
    「だ・・大ちゃん。 あんまりフォローになってないような・・。」


    そしてバソレは・・・
    「いない・・・。 目の錯覚だったのか? いや、確かに・・・」
    と、ぶつぶつ言いながら海をかき混ぜる。
    そして、諦めがついたのか立ち上がった。
    「せっかく神になれているんだ、こんなことで時間をつぶしていては
   もったいないのお。」
    そしてモニターを確認する。
    そこには瓦礫の山の向こうにそびえ立つ自分の姿が
  映っているだけだった。
    この星の住人の姿はなかった。
    バソレはもと来た場所を歩いて戻った。
    そして帽子の男に言った。
    「たしかに神の力を見せ付けて、人間どもの逃げ回る姿を見るのは
   楽しいのじゃが・・・。 何か足りんのう。」
    帽子の男は、
    「何か・・・ですか。」
    バソレは少し考えて言った。
    「そうじゃ、小さな人間どもが余のことをどう思っているのか
   伝わってこないからじゃ。」
    帽子の男は、
    「なるほど。 それならいい方法がありますよ。」
    そう言って、何かの操作パネルを操作した。
    「今までは、カメラを足元のこびとの視点からバソレ様を映すよう
   設定してましたが、今からこびとたちを映し出すようにしました。
   これで目に見えないほど小さなこびとたちと、テレビ電話のように
   会話することができますよ。」
    バソレは、
    「ほう、それはおもしろそうじゃ。」
    超小型カメラは自動でこびとを感知して探しだし、
  こびとの前で止まるとモニターを表示した。
    画面にバソレの顔が映し出された。
    そしてバソレの方のモニターには、避難して
  身を寄せ合うこびとたちが映し出された。
    こびとたちは震えながらカメラの方を見ている。

第598話

     さて、こちらは部長たちが乗ってきた宇宙船の中。ナントからの通信に
    サンドが応対していた。
    「では、まだこちらには帰ってきていないのだな。あれから自分なりに
     情報を集めていたのだが、どうやら奴はトゥームガー星のワープゲートを
     修復して……いやもう完了しているかもしれない。とにかくそのワープ
     ゲートを利用して何か悪巧みを考えているようだ。」
     サンドは、
    「なるほどね。みんなが帰ってこないことには行動は起こせそうに
     無いけど、何か対応策を考えておくことが必要ね。」


     では場所をもどそう。
    「聞け、おろかな人間どもよ。」
     バソレは画面に向かって話しかけた。こびとたちはしばらくざわざわと
    話していたが、その中の一人が意を決して話しかけてきた。
    「あ……あなたは……。」
    「我は神じゃ。おろかな人間たちに天罰を与えるために降臨した。」
    「いったい、私たちが何を……。」
    「許せんのじゃ。何もかもが……。お前たちはこの世界で我が物顔で
     好き勝手に振舞い、あらゆるものを破壊し続けたではないか。お前たちは
     この世界で唯一不必要で危険な存在なのだ。このようなものたちが
     存在する世界自体、あってはならないのだ。」
     こびとたちは、
    「そんな……。」
    「助けてください。」
    「お願いです。あなた神様なんでしょう。」
    「お助けを……。」
    「どうぞご慈悲を……。」
     こびたとたちは泣き、あるものは地面にひれ伏した。しかしバソレは、
    「駄目じゃ駄目じゃ、今ここで許してもまたお前たちは同じ間違いを
     起こすであろう。そこでお前たちを完全に消し去り、この世界を
     作り直すことにしたのじゃ。」
    「神様。おやめください。」
    「どのようなことでもいたします。命だけは……。」
     バソレの後ろで帽子の男は、
    「これは面白くなってきましたね。さて、どうするかしばらく見て
     いましょうか……。」

第599話

    するとこびとたちの中から1人の若者がカメラの前まで来て言った。
    「みんな騙されるな、こんなやつが神様なわけないだろう。
   どうせこの騒ぎを利用して、何か企んでる普通の人間だ。」
    別のこびとが、
    「だが、空一面を覆いつくすような巨人をみんな見てるんだぞ。」
    「そんなの、なにかトリックを使ってるんだ。」
    「あの巨人が歩いただけで消えてしまったいくつもの街はどう説明するんだ?
   あんなこと、神様しかできないぞ。」
    「それもトリックだろ。」
    そして若者はカメラのバソレに言った。
    「おい、インチキ神様。 お前が何を企んでるのか知らんが、
   俺にはそんな脅しは通用しない。 残念だったな。」
    それを聞いたバソレは、
    「な・・な・・・なんだとおおお。 目に見えぬほどの微生物どもが!」
    バソレは帽子の男に、
    「画面に映ってるこいつらはどこにいるんだ?」
    すると帽子の男が、なにかボタンを押して言った。
    「今、カメラの位置をわかるようにしました。 赤く光ってる場所がそうでございます。」
    バソレは辺りを見渡すと、遠くの方に赤く光っているのが見えた。
    遠くと言っても、バソレにとっては数十歩で行けるほどの距離だが。
    バソレは再びモニターに話しかけた。
    「今からお前たちに天罰を与えに行く。 覚悟しておれ。」
    画面の向こうのこびとたちは騒ぎ出した。
    「どうかお怒りをおしずめください。」
    「もう終わりだーー」
    「お前のせいでこんなことになったんだぞ。」
    「そうだ、神様に謝れ。」
    だが若者は、
    「ふん。 今にインチキだってわかるさ。」
    遠くの方から爆音や地響きが聞こえはじめ、地面が揺れだした。
    そしてその音や振動は、どんどん大きくなり
    最終的には大地震という言葉ですら生ぬるいほどの巨大な振動に襲われた。
    幸い、ここのこびとたちは頑丈なシェルターに非難していたため
    なんとか助かった。
    そしてバソレは立ち止まって、赤い光を見下ろした。
    「ここだな。」
    バソレはその赤い光の周りの地面を切りとるように持ち上げた。
    小さな街がバソレの両手におさまってしまった。
    バソレはその小さな街を顔に近づけ観察する。
    街はバソレの呼吸がかかり、台風のような風が吹き荒れた。

第600話

「愚か者め!この神に逆らうなどと考えたことすら後悔させてくれるわ。」
 バソレはそういった後帽子の男に、
「この様子をこの世界に住むのすべての者どもにみせるのだ。」
「ははっ、すべてとまでは行きませんがそれにほぼ近いことなら可能
 です。」
 帽子の男はなにやら操作すると、バソレの周りの空中にに無数とも
言えるほどの数のモニターが出現した。そこには、完全に跡形もなく
破壊されてしまった地域、破壊こそ免れたものの影響による気候変動が
起こっている地域、バソレの居る地点からはほぼ反対側と思われる
被害のほとんどなかった地域が一斉に映し出された。周りをゆっくり
確認するように見回した後バソレは、
「愚かなる人間どもよ。裁きのときは来た。この世界すべてをやり直す
 前に神に逆らったものがどうなるか教えてやらねばならん。」

 さて、ここはそのほとんど影響のなかった地域のとある町。
「なんだか周りが騒がしいな。」
「なんかさっきからどのチャンネルも臨時ニュースばっかりやってるし。」
「大地震とか、巨大台風とか、環境破壊の影響かな?」
「なんか神が現れたとか……。」
 その中の二人、
「残念だなー。ビテソス教授の大発見、今日のニュースでやる予定
 だったんだろ。」
「町外れの遺跡だな。古代文字を解読したら神と直接話した民族が居た
 とか言う。」
「発掘チームの一人だったんだろ。何か面白いこと聞いてないか。」
「研究室からちょっと持ち出してきたんだ。ただの石にしか見えないけど、
 偽者の神が現れたら、神の力を宿した少年が仲間とともに助けに来て
 くれるという予言が彫ってあるって。教授が言ったんだ。」
「おいおい、そんな貴重な……。」
 そのとき、周りの人々が空中を指差し、
「おい、あれを見ろ。」
「あたしい宣伝方法か?」
 二人が見上げると空中に巨大なモニターが出現していた。映っているのは
もちろんバソレである。
『よく見るがいい、神に逆らった愚かな人間の末路を……。』
 再び話して居た二人、
「まさか、あいつが予言にあった偽者の神?」
「ちょっと待て、この石光り出したぞ。」


 さて、こちらはダイちゃんたち……。
「よーし、今から新必殺技ウルトラ……。」
 ダイちゃんがポーズを取ろうとしたら大ちゃんが、
「ちょっとまって。」
「何だよー。調子狂うなー。」
「誰かが呼んでるんだ……。ものすごく強く。」
「呼んでるって誰がだよ。」
「とにかく今大変なことが起こってるんだ。助けなきゃ。」
 すると部長が、
「どういうことなんだ。」
 大ちゃんが、
「偽者の神様のおかげでみんな困ってるんだ。やっつけないといけない
 んだ。」
 ダイちゃんは、
「よし、お仕置きはお預けだ。新必殺技はそいつにお見舞いしてやる。
 早速その偽者の神様とか言うやつの居る所へ行こう。」



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