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第561話

部長が、
「どっ、どうなってんだ! なんで巨人が!?」
するとダイちゃん2号は、
「この星のやつらが巨大化できるわけない。
 やっぱりマジューイがかかわっていたんだ。」
ジードを握っている巨人は下を見下ろし、部長たちを見つけて言った。
「お前らもこいつといっしょに潰してやるからな。
 命令なんだ、悪く思うなよ。 がはは。」
そう言うとジードを握っている手に力を加え始めた。
ジードはじわじわと締め付けられ、苦しみだした。
「ぐわぁぁぁー、潰される・・・ 助けてくれー」
巨人は自分の手の中で苦しむジードをニヤニヤと見ながら言った。
「助けなんか呼んでも無駄だ。
 お前らみたいなのが何人集まろうが巨大な俺にかなうわけがない。
 まぁ、助けに来るどころか俺を見ただけで逃げ出すだろうな。 がはは。」
足元でダイちゃん2号が、
「こういう巨大化して調子に乗ってるやつは、僕がお仕置きしないとね。」
部長も、
「巨大化してもいいが、派手にやるなよ。」
「リーダーに命令するな! それじゃ、いくぞ! きょだ・・・」
ダイちゃんが巨大化しようとポーズをとったときだった。
巨人が何かの液体が入った樽を取り出して言った。
「おっと、忘れるところだった。」

ザッパーン!!

巨人は巨大化しようとしていたダイちゃんに、その液体をぶっかけたのだ。
「うわ!! 何するんだ!
 もう怒ったぞ、お前なんか超巨大化して踏み潰してやる!!」
ダイちゃんはそう言うと再び巨大化のポーズをとった。
「ちょうきょだーーーい、へんしん!!」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・?」
「あれ?」
ダイちゃんの体は変化しなかった。
部長が、
「どうしたんだ?」
すると上から巨人が言った。
「何かへんな能力を使おうとしたんだろ?
 お前らはへんな能力を持ってるから、見つけたらまずこの薬を
 ぶっかけろと言われていたんだ。」
「薬だと?」
「そうだ。
 お前にかけた薬は、どんな能力も10分間無効化することができるらしい。」
「なんだと!?」
「残念だったな。 10分たつ前には、お前らは俺の足の下でぺちゃんこだ。
 がはは。」
ダイちゃんは、何度か巨大化しようと試してみたが
巨人が言うとおり巨大化することはできなかった。
部長が、
「このままじゃまずいぞ。」
ダイちゃんは、
「10分たてば巨大化できるってことでしょ。
 それまで時間稼ぎすればいいじゃん。」
「そんなこと簡単にできるわけないと思うぞ。
 あの巨人だって10分たてば自分が不利になることぐらいわかってるだろう。
 つまり本気で10分以内に俺たちを潰しにくるぞ。」
上では巨人が、
「気持ちいいなあ。 おいジード、今の俺はこの星の誰よりも巨大だぞ。
 仲間のお前も、今じゃ手で簡単に握りつぶせる。」
そう言うとジードを握る手に更に力を加えた。 

第562話

「くぅぅぅぅっ」
 巨人の手の中のジードが苦しみ始めた。彼は必死で体をよじりながら
巨大な手からの脱出を試みようとしたが、もちろんそんなことなど
できるわけもない。そのときダイちゃん2号は、
「そうだ、今のうちに逃げちゃおう。10分たったら巨大化して反撃だ。」
「よし、わかった。」

-ズドォォォン-

 次の瞬間、部長とダイちゃん2号の間に、巨大な足が踏みおろされた。
その直後、上から巨人の声がした。
「逃げようとしたって無駄だからな。こっちは上からお前らの動きは
 丸見えだ。それにどんなに早く逃げようとしたところで、一歩で
 追いついて踏み潰してやる。こんな風にな。」

-ズドォォォン-

 再び部長とダイちゃん2号のすぐ近くに巨大な足が踏みおろされた。
「わぁぁぁっ!」
「なんて奴だー。巨大化できたら、すぐにでもやっつけられるのに。」
 上から巨人が、
「残念だな。こっちはいつでも踏み潰せる。が、それでは面白く
 ないからな。時間いっぱいまで楽しませてもらうぞ。」
 巨人は再び足を大きく上げ、思いっきり踏みおろす。

-ズドドドォォォォォン-

 ものすごい衝撃で部長とダイちゃん2号はその場に倒れこむ。巨人は
しゃがんで部長のほうへと手を伸ばした。
「しまった!」
 部長が気づいたときには部長の視界全体を巨大な手が覆っていた。
「わぁぁぁぁっ!!」
 部長はその場から逃げようとしたが、巨大な手はすぐに部長の行く手を
阻み、自由を奪った。巨人は、
「お前の仲間を捕まえたぞ。もう制限時間なんか関係ない。薬の効果が
 切れて反撃しようとしたらこいつをすぐにでも握りつぶしてやる
 からな。」 

第563話

ダイちゃん2号は黙ったまま部長を掴んだ巨人を見上げていた。
巨人は、
「どうした。 仲間が捕まって、逃げるのをあきらめたか?
 いいだろう、痛くないように一瞬で潰してやろう。」
そう言って、わざとゆっくりダイちゃん2号の上空に巨大な片足を上げた。
だがそのときだった。
巨人の肩をトントンと叩くものがいた。
巨人は、
「なんだよ、今いいとこなんだ。 邪魔するな。 ・・・・・って、誰だ!?」
ダイちゃんを踏み潰そうとしていた足をいったん戻し、後ろを振り返った。
そこには視界を埋め尽くす巨大な肌色の壁があった。
「な・・なんだ?」
するとまた巨人の肩をトントンと叩く。
それは巨大な指だった。
巨人は恐る恐る上の方を見上げた。
「な!? なんでお前が。 まだ10分たってないはずだぞ。」
そこにいたのは、巨人より3倍ほど大きいダイちゃんだった。
ダイちゃん2号が1号に今の状態を伝えて、大ちゃんに頼んで
ここにテレポートしてもらったのだ。
「それにお前はついさっきまで俺の足元にいたじゃないか。
 そんな一瞬で移動できるわけ・・・・」
巨人は自分の足元を見下ろした。
すると確かに小さなダイちゃんの姿があった。
「どういうことだ。 なぜ2人も同じ人間が??」
巨大ダイちゃん1号が言った。
「そんなことどうでもいいから、手に持ってるこびと僕に渡して。」
巨大な手を巨人の前に突き出した。
巨人は仕方なく、手に握っていた2人をダイちゃんの手の上に乗せた。
するとダイちゃん1号は、
「さてと。 よくも小さい方の僕をいじめてくれたね。
 このお返しは、たーーっぷりさせてもらうからね。」
「そ・・・そんな、卑怯だぞ。 2人も同じやつがいるなんて、聞いてないぞ。
 何かの間違いだ。」
「卑怯なのはどっちだよ。 変な薬かけてきたくせに。
 でも、もうそろそろ10分たつよね。」
巨人はハッとして、小さい方のダイちゃんの方を見た。
小さいダイちゃん2号は、ちょうど巨大化し始めるところだった。
「そうはさせるかっ!」
巨人は慌ててダイちゃん2号を踏み潰そうと片足を上げたが遅かった。
急速に巨大化したダイちゃん2号は、すぐに巨人の大きさを追い抜き
ダイちゃん1号と同じ大きさにまで巨大化した。
巨人は2人の巨大ダイちゃんたちに囲まれてしまった。
「さぁ、どんな仕返ししてやろうかな〜。」 

第564話

「ちょ、ちょっと待て、追いついて、いや落ち着いて話し合おう。」
 巨人、いやダイちゃん1号2号から見ればすでにこびとは突然現れた
自分より巨大なダイちゃん1号2号を見上げながら言った。
「そうだ。とりあえず名前だけでも聞いとこうか。」
「え、あのー。」
「どうしたの?名前も忘れちゃったノー?」
「名前はグーア、こいつは仲間のジード……。」
 先ほどダイちゃんの手から部長と地上に降ろされたばかりのジードが、
「何が仲間だ、さっき握りつぶそうとしたくせに。思いっきりやって
 くれ。」
 グーアは、
「奴の命令なんだ。仕方ないだろ。」
 すると部長は、
「奴って誰のことなんだ?もしかしてマジューイとかいうやつじゃ
 ないのか?」
 するとグーアは黙ってしまった。
「言えないんじゃお仕置き決定だね。あーあ、すぐに言ってくれたら
 やめようかなーって思ってたんだけドナー。」
 ダイちゃん1号はそういうと再び巨大化を始めた。そしてグーアの
10倍くらいの大きさでとまった。グーアの3倍くらいのままのダイちゃん
2号は、
「さあ、どっちにお仕置きしてほしい?大きいほうか、超大きいほうか
 選ばせてあげるよ。」
 グーアは、冷や汗をかきながら、交互にダイちゃん1号と2号の顔を
見上げていた。
「じゃあ、10数えるからその間に言ってね。選べなかったら二人同時に
 お仕置きしちゃうよー。」 

第565話

「10・・・9・・・8・・・」
ダイちゃんのカウントダウンが始まった。
グーアは、
「ま・・待ってくれ。 そんなの決められないよー。 どうしたらいいんだ。」
それでもダイちゃんのカウントダウンは止まらない。
「7・・・6・・・5・・・」
グーアは焦って、2人のダイちゃんの足元をうろうろしている。
「どうしよう。 同じ巨大でもできるだけ小さい方がいいか。
 ・・・いや、小さい方でも充分でかいぞ。 やっぱり決められない。
 許してくれー!!」
それでもやっぱりダイちゃんのカウントダウンは止まらなかった。
「4・・・3・・・2・・・」
グーアは焦りすぎて頭の中が真っ白になってしまった。
もうこうなっては決めることなんてできるわけがなく、
ただ謝って許してもらうことしか考えられなくなったのだ。
「すいませんでした! 全財産あげますから許してくださーーーい!!」
だが、ダイちゃんのカウントダウンは
「1・・・・・・0!! はい、終わりー。」
止まるわけも無く、結局最後まで数え終わってしまった。
「ってわけで、さっき言ったとおり2人同時にお仕置きに決定ね。」
「そ・・そんなぁ。」 

第566話

 その様子を見ていた部長とジード、ジードは、
「いくら俺にひどいことをしたといえ、ちょっと心配になってきた。
 大丈夫か……。」
 部長は、
「だが、ああ言い出したら、もう止められない。」
「待て、お前の仲間だろ、何とかしろ、殺されるかも。あいつがひどい目に
 あうのは自業自得だ。だが死体までは見たくない。」
 そんな二人のことなど気にすることもなく、ダイちゃん1号2号はグーアの
両側からどんどん近づいていく。グーアからすれば、二人の巨人が両側から
迫ってくるのだ。彼は恐怖で何もできずに立ちすくんでいた。そのとき
である。
「ダイちゃーン。」
 突然大ちゃんがテレポートしてきた。ダイちゃん1号2号は、
「なんだよ。」
「いいところだったのに。」
 すると部長が、
「いったいどうしたんだ?」
 大ちゃんは、
「ダイちゃんをテレポートさせた後、周りを調べてみたら出入り口
 みたいなものを見つけたんだ。」
 ダイちゃん1号は、
「『みたいなもの』位でいちいち言いにくるなよ。」
「でも、もしわなとかだっだら僕一人だけだし、困ったことになるかも
 しれないと思って。」
 ダイちゃん2号は、
「そうだな。さっきも変な薬をかけられたしな。よし、お仕置きは
 後まわし。」
「ふう、助かった。」
 グーアが言った。ダイちゃん1号は、
「でも許したわけじゃないからね。」
 そういった後2号とともに大ちゃんと同じサイズになり、大ちゃんに
両側から耳打ちした。
「うん、わかった。」
 大ちゃんが念じると、グーアとジードの体は縮み始め、部長たちの10分の
1くらいになった。
「あっ、今度は俺たちが小さくなった。」
 グーアが言うとジードは、
「何で俺まで……。」
 部長が、
「何か俺たちにとって役に立つ情報を知っているかもしれないからな。
 しばらく付き合ってもらうぞ。」


 こうして部長たちは、グーアとジードとともに先ほどまでダイちゃん
1号と大ちゃんが調べていた洞窟へテレポートしてきた。
「ここだよ。」
 大ちゃんが指差した先には、いかにもと言った扉があった。 

第567話

部長が、小さくなったグーアとジードに言った。
「おい、あの扉の向こうは何があるんだ?」
だがグーアたちは、
「し・・知らないよ。 俺たちはここまでしか入れてもらえなかったんだ。
 この先は何かの取り引き相手しか入れてもらえないらしい。」
するとダイちゃんが、
「ほんとに知らないのか? 嘘だったらお仕置き10倍だぞ。」
「ひ・・ひぃぃ。 ほんとに何も知らないんだ。
 俺たちは雇われただけで、内部のことは一切教えてもらってないんだ。」
「ふーん。 おしっこの海で溺れるのとお尻隕石に潰されるのどっちがいい?」
「し・・・信じてください!! ほんとなんです!!」
大ちゃんが、
「2人は嘘はついてないみたいだよ。」
部長も、
「そうだな。 だが、中のことがまったくわからずに入るのは危険すぎるな。
 相手はマジューイかもしれないんだ。」

ガチャガチャ

「開かないぞ。」
「え?」
部長たちが話してるすきにダイちゃんが勝手に扉を開けようとしてた。
大ちゃんが、
「ちょっとダイちゃん何やってるの!
 今、入るのは危険だって話してたとこでしょ。」
「入ってないじゃん。」
「開いたら入るつもりだったんでしょ。」
「あたりまえだろ。」
「もう・・・」
部長が、
「まぁまぁ、とにかく中の様子を知る方法を・・・ん?」
部長が何かに気づいて言った。
「この扉の下、5mmくらいの隙間があるぞ。
 誰かを縮めてこっから偵察できるかもしれん。」
するとダイちゃんがグーアたちに言った。
「どっちが行きたい?
 一人は5mmに縮んで偵察、一人は逃げないように僕たちといてもらう。」
2人は顔を見合わせて、
「そんな、5mmなんて。 小さな虫にすら潰されそう・・・」
「お前行けよ。」
「なんだよそういうお前こそ行けよ。」
2人がもめている上からダイちゃんが、
「決まらないようだから僕が決めてあげる。 こっちにしよう。」
ダイちゃんはグーアを摘みあげた。
「い・いやだああああ。」 

第568話

 ダイちゃんはそう言っていやがるグーアを無理やり扉の隙間に押し
込んだ。少しはなれたところで部長と大ちゃん、
「ここに戻ってきたときに2人にしていたダイちゃんを1人にしておいて
 よかった。」
「そうだな。うーん、誰か忘れていたような……。」
 部長が言うと、
「そんなー。忘れないでくださいよー。振り落とされないように必死で
 つかまっていたのにー。」
 部長たちについていた石本4号が言った。
「あ、そうだ。石本、グーアとか言うやつが逃げたり変なことしない
 かついていって監視しろ。」
「ああ……、忘れられていたままのほうがよかった。」
 石本4号も部長たちから見て5ミリくらいにされ、(もちろん大ちゃん
の力で)グーアを尾行、監視することになった。
「ああ、僕は行かなくてよかった。」
 石本3号が言うとダイちゃんが、
「分身のことはちゃんと報告するんだぞ。うそ言ったらお前も一緒に
 お仕置きするからな。」
「そんなぁぁ(;_:)」


 小さくされたグーアは、自分にとってはやたらと広い空間で途方に
くれていた。ドアの隙間を抜けた先は、部屋らしきところだった。
その部屋は殺風景で何もなく、正面と左右、そして自分が入ってきた
合計4つのドアがあるだけなのだ。もちろん、隙間を通ってどれかの
ドアの向こうへ行くか、その部屋で待てばいいのかもわからない。
また、どれかのドアに向かうとしてもとんでもなく遠いのだ。
グーアがどうしようか考えていると、

-ドン、ドン、ズシーン-

 誰かがこの部屋に近づいてくる。その足音でさえとんでもない振動と
して感じる。グーアは、
「ひぇぇぇっ、やっぱり戻ろう。」
 そうして後ろを振り向いたとき、すぐ後ろにいた石本4号と目が
合ってしまった。
「何だお前はー。」
「えっ、あのー、こっそり後をつけろっていわれたんだけど、隠れる
 場所がなくて……。」
 そのときである。

-バァァァン-

 正面のドアが開き、誰かが入ってきた。その風圧でさえグーアと
石本4号にとっては突風並みなのだ。2人は飛ばされないよう踏ん張った。
「うーん、異常は無いようだな。念入りに怪しい奴がうろついているから
 念入りに調べろとは言われたが、こんな所までこれるやつはいねーと
 思うんだがな。」
 男はそう言って部屋を出ようとしたが、
「うん、何だ……。虫か?」 

第569話

男はズンズンとグーアたちの方へ近づいてくる。
グーア達にとってはものすごく広い部屋なのだが、その男にとっては小さめの部屋なのだ。
たった2〜3歩でグーアと石本4号の目の前まで来た。
グーアと石本4号は男の足の地響きと風圧で吹き飛ばされ、壁に激突した。
その痛みで逃げることもできなくなってしまった。
逃げたとしても、この小ささでは逃げ切れるわけはない。
そして、グーアと石本4号のはるか上空から男が言った。
「虫けらめ、踏み潰してやる。」
そう言うと、グーア達から見て超巨大な足を上げた。
石本4号が、
「も・・もうだめだ。 潰されるーーー!」
グーアもガクガク震えて声にならない悲鳴を上げていた。

ズシィィィィィィン!!!!

男は足を勢いよく踏みおろした。
「ふん。」
そして、入ってきたドアから戻っていった。

「・・・・・・?」
「・・・・あれ? 生きてる。」
「・・・たす・・・かったのか?」

男に踏み潰されたと思われたグーアと石本4号は、なぜか潰れてはいなかった。
石本4号が、
「狙いがはずれたのかな・・・」
グーアが、
「いや・・あれだけ巨大な足だぞ。 狙いが外れるなんてありえない。」
「じゃあ、なぜ・・・」
2人は男が足を踏みおろした跡の方を見た。
「うわぁぁぁ!」
そこには石本4号たちの数倍もある虫がペチャンコになって潰されていた。
男が見つけたのは本当に虫だったのだ。
その虫よりさらに小さなグーアたちは目に入ってはいなかったのだ。
「助かった・・けど。 なんだかすごく情けない気持ちになってきた・・・」 

第570話

「これからどうする?」
  グーアが石本4号に言う、
「どうするって言われても、尾行するよう言われただけだから……。」
 すると扉の外からダイちゃんが、
「おい、何やってるんだ。」
 続いて部長が、
「何かあったのか?」
「あっそうだ。こっちからは見えないけど、こいつに聞けばわかるよな。」
 ダイちゃんは石本3号に言った。
「えっと、そのー、誰かに見つかりそうになったけど、大丈夫だった
 みたい。」
「あ、なるほどー、あれだけ小さくすれば、よっぽど注意してみて
 いない限り見つからないのか。どんどん先へ行って調べてもらった
 ほうがいいな。」
「そんなー。」
「いいじゃん、お前が行くわけじゃないんだし。」
「結局は僕の分身なんだし……。」
「ちゃんとやらないとお仕置き……。」
「わかったよ(;_:)」


 もちろん、そのやり取りは石本4号に伝わってはいたが、扉のすぐそばで
話していたのでグーアにも直接聞こえていた。石本4号は、
「この先へ行かないといけないみたいだね。」
「仕方ない。」
 そう言って二人は先ほど自分たちを踏み潰そうとした(実はすぐ横にいた
虫だったのだが)男が入っていったドアに向かって歩き始めた。


「ああ、やっとついた……。」
「ここまでくるだけでも長かった……。」
 グーアと石本4号ははあはあ言いながらドアの前までたどり着いた。
「入るぞ。」
「わかった。」
 グーアに続いて石本4号もドアの隙間から向こう側へ入った
「「なんだここは!!」」
 二人は思わず驚愕の声を上げた。そこには二人が先ほどいたよりも
はるかに広い空間に無数とも思える檻のようなものが置かれ、その中には
さまざまなサイズのこびとたちか入れられていたのだ。こびととはいえ
そのほとんどは二人より大きかったが、中には小さいものもいた。
こびとたちは、
「あ、誰か来た。」
「俺より小さい。」
「新しいお客さんだ。」
 グーアと石本4号は、
「みんなが騒ぎ出した。」
「誰か来たらどうしよう。」 

第571話

部長が石本3号に言った。
「おい、そろそろ何か見つけたか?」
すると石本3号が、
「えーと・・・、やっと次の部屋までたどり着いたみたいだけど。
 そこにこびとが閉じ込められた檻が大量にあるみたい。」
部長が、
「なるほど。 だが、これだけ時間かかってたったそれだけか?」
「あんなに小さくされたんだから仕方ないでしょ!」
するとダイちゃんが、
「あ、言うの忘れてた。
 小さすぎて移動に時間かかると思って、あいつら飛べるようにしておいたんだった。」
石本3号が、
「ひどいよ。 そういうことは先に言っといてよ。
 僕の分身は苦労して歩いたのに・・・。」
そのことは中にいる石本4号にも伝わった。
「どうやら僕たち、飛べるようになってるらしいよ。」
グーアが不思議そうな顔で、
「飛べる? 飛べるって鳥みたいにか?」
「うん。 羽があるわけじゃないけど、飛ぼうと思えば飛べるみたい。」
2人は空を飛ぶイメージを浮かべた。
すると体がフワッと空中に浮かんだ。
グーアが、
「おお、すごい。 ほんとに飛べるぞ。」
「でも、これじゃあ鳥というより蚊に近いかも・・・」 

第572話

 とりあえず自分たちが飛べることがわかったグーアと石本4号だったが、
「うーん、とりあえずどっちへ行こう。」
 石本4号が言うとグーアが、
「とりあえず奥のほうへいってみよう。」


 そのころ、ブギヒアと石本2号で遊びまくっていたバソレ、いくら
精力絶倫とはいえ、5度目の射精を終えさすがに疲れてきた。
「お役目ご苦労だった。またこれからもたのむぞ。」
 声をかけられたブギヒアと石本2号だが、ほとんど動けないくらい
ぐったりしていた。そのとき、部屋の戸をノックする音、そのあと、
「バソレさま、取引の時間でございます。」
「おお、そうだった。忘れるところだった。そうじゃ、うまく行けば
 お前たちの仲間が増えるかもしれんのう。」
 バソレはそう言ってブギヒアと石本2号を箱に戻し、部屋を出た。


「ええっと、取引があるとか言って、部屋を出て行ったみたい。」
 外で待っていた部長たちのところへ、石本2号からのことが4号を通じて
伝わってきた。
「早いな。もう取引があるところを見つけたのか。」
 部長が言うと石本4号、
「ちがうよ。まえに役人に渡して……。」
「あっそうか、すっかり忘れてた。そんなこともあったなー。」
 ダイちゃんが言った。
「ひどいよー、飛べるようにしていたことも忘れていたし。」
「まあ、いろいろあったからな。取引の相手も気になるが、一旦戻した
 ほうがいいな。」
 部長が言うと、
「あ、それから戻してくれるんならブギヒアという人も一緒に戻してほしい
 みたいだよ。」
 部長は、
「おい、何でそんな大事なことをもっと早く言わなかったんだ。」
「前にもちゃんと言ったのにー。」

 大ちゃんの力で、部長たちのところへブギヒアと石本2号がテレポート
してきた。ブギヒアは、
「信じられない。もう一生あそこにいるものだも思っていた。」
 部長がブギヒアに、
「ところで、取引とかいったみたいだが、何か知っているのことは……。」
「はあ、私のように捕まえられて直接つれてこられるもののほかに、
 巨人たちは私たちの仲間をどこかから買ってくるようなのです。」


 一方、飛びながら内部を探っていたグーアと石本4号だったが、
「飛んでても中は結構広いな。ちょっと疲れてきた。」
 石本4号が言うとグーアが、
「この先が部屋になっているようだ。そこへ出たら隠れられそうなところを
 見つけて休もう。」
 そのときである。二人が行こうとする先から声が聞こえてきた。
「ようこそ、皆さんお忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとう
 ございます。」
 グーアと石本4号は注意深く声のするほうへと向かった。その部屋には大
きなテーブルがあり、天井にはシャンデリアというほど立派でもないが
そこそこきれいないくつかの照明が下がっていた。グーアと石本4号は
そこに隠れて下の様子を見ることにした。
「だんな様、ここは……。」
 ワホとその主人が部屋の中に入ってきた。
「ここがいつも来ている場所だ、お前も見ていくといい。」
 次に部屋に入ってきたのは、バソレとその家来だった。バソレは、
「早速だが、もって来たこびとを見せてくれんか。気に入ったものも
 いくつかおるが、このあいだうっかり20ほどつぶしてしまってのう。」
「それならご心配なく。数は準備してございます。」
 ワホの主人はそう言って持ってきた石本の分身たちが入った檻を
見せた。
「数だけではのう。すぐにつぶれてしまっては意味が無い。」
 そのとき、グーアと石本4号が聞いた声、取引の仲介者らしい人、
大きな帽子のようなものをかぶっていて上から見ている二人には顔が
よくわからないその人が、
「なら、その場で確認されたらいかがです。よろしいですかな。」
「なるほど。」
 バソレに続いてワホの主人も、
「わかりました。」
「いったい確認って、何をされるんだロー。」
 檻の中の石本の分身たちが騒ぎ出した。 

第573話

バソレが言った。
「では、耐久度テストからはじめるとするかのう。
 ちょっとぐらいの重さで潰れられてはこまるからな。」
ワホの主人は檻の中の石本の分身達に言った。
「よし、1匹ずつ外に出てテストを受けるんだ。
 売り物にならんやつは、即潰されると思え。」
檻の中の石本達がいっそう騒ぎ出した。
「静かにしろ! 今すぐ潰されたいのか?」
石本たちはその言葉に騒ぐのをやめたが、上にいる石本4号は
「耐久度テストってなんだよー。 このままじゃ潰されちゃうよー。」
と、照明の上で騒いでいた。
グーアは、それを見て
「おい、どうしたんだ? 別にお前が潰されるわけじゃないだろう。
 騒ぐなよ。」
石本4号は、
「僕が潰されるんだよ。 あれはみんな僕の分身なんだ。
 もしあいつらが潰されたら、僕にも潰される痛みが伝わってくるんだよー。」
グーアは、
「なるほど、そういうことか。 それは大変だな。」
「なんだよ、人事だと思ってー」
「人事だからな。」
そうしてる間に、下では
「よし、まずはお前からだな。」
檻から石本の一人が出てきた。
「ではバソレ様、テストの方を。」
「うむ。」
バソレは人差し指を檻から出てきた石本に近づけていった。
石本は、ゆっくりと落ちてくる巨大隕石のようなバソレの指先の迫力におびえて
うつ伏せにかがみこんだ。
その瞬間バソレの指が石本にのしかかり、どんどん圧迫されていく。
「うわーーー、潰れるよーーー。」 

第574話

 その頃、例の扉の外では大ちゃんとダイちゃんが石本の分身から
中の様子を知り、
「うーん、なんか見えてきたぞ。」
 ダイちゃんが言う。
「見えたって?」
「ここの星の巨人たちはこびとたちを集めてつかまえて取引している。
 それにあのマジューイがかかわっているんだ。」
「あっ、そうか……。」
「まあ、ヒーローとしての勘だな。」
 すると部長が、
「確かにそうだが、それだけじゃ証拠がまだ不十分だな。」
「何だよ。文句があるならはっきり言えよ。」
「悪事を働くための資金集めをするだけならわざわざこびとを集め
 その取引で儲けるなんて面倒臭いことをやるんだろうか、何かほかにも
 理由があるからじゃないかと思うんだが……。」
 今度はブギヒアが、
「あのう、マジューイのことについては知らないのですが、もしかして
 私たちが集めようとしているレビウィが関係しているんでしょうか。」
 部長が、
「そうか、わかった。マジューイもきっとレビウィが何らかの目的のために
 必要なんだ。そのためにここでこびとの取引で儲けて、その利益で
 レビウィを手に入れようとしてるんだ。」
「あのぅ、それより僕の分身が大変なことになりそうなんだけど……。」
 石本3号が言った。するとダイちゃんが、
「お前話聞いてなかったのか?そのまま証拠集めを続けるんだ。」
「そんなぁ(;_:)」

 では、そのピンチの石本たち……というかその一人、
(お願い助けてー、ほんとにつぶれちゃうー)
 とんでもない圧力が石本にかかり、もはやしゃべれる状態ではなく
なっていた。そのとき一緒に居たバソレの家来が、
「バソレさま、それではどんなこびとでもつぶれてしまいます。やはり
 ここは専門の検査官にお任せしたほうがよろしいかと。」
「おお、そうであった。検査官を連れてまいれ。」
「はっ。」
 バソレの家来はそう言っていったん部屋を出た。
「ふう、助かった……。」
 潰されかけた石本の分身がほっとするのもつかの間、部屋にバソレの
家来と検査官が入ってきた。するとバソレの家来はどこに持っていたのか
水と小さな魚の入ったコップを検査官に渡した。検査官はコップの水を魚と
一緒に一気に飲み干してしまった。しばらくすると、
「もうそろそろ、いいではないか。」
 バソレが言うと検査官は、
「そうですね。」
 そういった食後ではなく直後、水とともに先ほどの魚もコップに吐き
出した。
「今日も調子がいいようじゃのう。では全部とは言わん、ここのこびとを
 2つ3つ調べてもらおうかのう。ちゃんとしたこびとなら、無事に戻って
 くるはずじゃ。」
「はい、かしこまりました。」
 検査官はそう言って嫌がる石本の分身をつまみ、水の入ったコップに
放り込んだ。 

第575話

検査官は石本の分身を3人コップに入れると、ゆっくりと持ち上げた。
そして顔の前に持ってきて、水に浮かぶ石本をニヤニヤと見つめた。
「では、いただきます。」
コップの中の石本は、さっきの魚を飲み込むのを見ていたため騒ぎ出した。
と言っても、石本達にとってはすごく深い水の中で
しかも巨大なコップの中、いくら騒いでも泳いでも逃げ場はなかった。
そして検査官が口にコップを近づけた。
そのときワホが小さな声で主人に言った。
「あんなのでわかるんですか?」
すると主人は、
「こら、失礼なことを言うんじゃない! バソレ様申し訳ございません。
 お前も謝れ!」
「も・・もうしわけありません。」
するとバソレは、
「まぁ、よい。 ここに来たのが初めてでいろいろと興味深いのだろう。」
検査官もコップをいったん口から放し、
「私は飲んだ水の上半分だけ出すことができるんですよ。
 元気のないこびとは、下に沈んでしまい再び口から出ることはありません。
 逆に元気のいいこびとは、必死で助かろうと上の方に上がってこようとします。
 つまり、元気がよく丈夫なこびとだけが口から出てくることができるというわけです。
 出てこなかったこびとは、私の栄養になるわけですがね。」
「な・・なるほど・・・」
「理解していただいたところで、ではいきますよ。」
検査官は再びコップを持ち上げる。
照明の上から見ていた石本4号が慌てはじめた。
グーアが、
「どうしたんだ?」
「このままじゃ、僕が飲み込まれちゃうじゃないか。」
「聞いただろ。 上の方で泳いでれば、また出てくるって。」
「それがダメなんだよー。 僕、泳ぐのはあんまり得意じゃないんだ。
 練習してある程度は泳げるようになったけど、どうしても力が入っちゃってすぐバテちゃうんだ。」
石本4号が言うとおり、コップの中の石本の分身達はぐったりしてきていた。
だが、そんなことはお構いなしに検査官はコップの水をのみはじめた。

ゴクッ  ゴクッ 

第576話

 その様子は、扉の外で待機している部長たちにも石本の分身を通して
伝わっていた。
「うーん、確かに今回はやばそうだな。」
 部長が言うとダイちゃんが、
「別にいいんじゃない?もしものことがあってもほかにも分身はいるん
 だし。すぐ近くに潜入させて探らせてるんだ。」
「そんなー。石本のお兄ちゃんがかわいそうだよ。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「それじゃ、向こうの弱っているのと交代させてやれよ。」
 すると部長は、
「うーん、石本は確かに泳ぐのはあまり得意じゃないからな。交代
 させたとしても結果は期待できない。」
「そんなー。今までも何度も潰されそうになったり、精液をかけられたり、
 お尻の穴にはまって抜けなくなったりしたけど、今度は胃の中で消化され
 ちゃうかもしれないんだよ。うんちになっちゃったらどうしよう。」
 バソレのところから戻ってきたばかりの石本2号が言う。石本3号も、
「何とかしてよー。」
 すると大ちゃんが、
「そうだ。いいことを思いついた。」


 一方、コップの中の石本の分身たちは、
「うわぁぁっ」
「もう駄目だー。」
 騒ぎながらもどうすることもできずにコップの中の水もろとも、
検査官の口の中へと流し込まれた。そして間もなく真っ暗な閉ざされた
空間へ放り込まれた。

 上からみていた石本4号が、
「どうしよう。このままじゃ外に出られないで溶かされちゃう……
 あれ?」
 すぐ横に居たグーアは、
「どうした?」
「一瞬楽になったと思ったけど、なんだか苦しくなってきたような……。」

 そのすぐ下では検査官が、
「……。」
「どうしたのじゃ。なにかあったのか?」
 バソレが検査官に尋ねた。
「いや、何でもありません。」
 検査官がおなかをさすりながら言った。実は彼の胃の中は大変なことに
なっていた。大ちゃんの力で胃の中の石本の分身たちは一時的に大きく
されていた。その結果検査官の胃の中は大きくなった石本の分身たちで
いっぱいになっていたのだ。その中で石本の分身たちは、
「苦しいー。」
「動けないよー。」
 もちろん、検査官自身も気分が悪くなりかけていた。それをみた
バソレが、
「もうよい。そろそろ戻してはどうか。」
「は、はい、かしこまりました。」
 検査官が水とともに吐き出したときには、石本の分身たちはもとの
サイズに戻していた。バソレが、
「中で何があったが知らんが、まさかここまで元気なこびとは見たことが
 無い。高く買わせてもらうぞ。」
「ありがとうございます。」
 ワホの主人は言った。すると大きな帽子の取引の仲介者らしい人、
長いので帽子の男としておく、
「私も感動しました。これほどまでに元気なこびとは大変珍しいです。
 サービスとして私からこびとを特別に差し上げましょう。」
 帽子の男は一度奥に入り、何か箱を持ってきた。そして箱の中に手に
入れ、こびとをとりだした。ワホの主人とバソレが、
「こ、これは……。」
「ほほう……。」
 ごとといっても石本の分身たちと比べると何倍も大きく、彼らから見れば
巨人である。バソレが、
「これは立派なこびとじゃ、一緒に持って帰るぞ。」
「ええーっ」
「そんなー。」
「こんなのと一緒なんて怖いよー(T_T)」
 石本の分身たちが泣き叫んだところで、どうしようもないのであった。 

第577話

上で見ていた石本4号は、
「どうしてこう、次から次と僕ばっかりひどい目にあわなきゃなんないんだよー。」
グーアは、
「まぁいいじゃないか。 溶かされる心配はなくなったんだし。」
石本4号は、
「また人事だと思って・・・。
 溶かされる心配がなくなっても、潰される心配はあるじゃないかー」
グーアが、
「まぁ、そうだけど。 それより取り引きはこれで終わりなのかな?」
下ではこびとの引渡しが終わってはいたが、別の話をきりだされていた。
石本4号が、
「いや、まだなにかあるみたいだけど・・・」


そしてこちらは扉の外。
石本2号が、中でまだ話が続いてることを部長たちに伝えた。
するとダイちゃんが、
「ええー、まだ終わらないの? ずっと待ってるなんて退屈すぎるよー」
大ちゃんが、
「でも仕方ないよ。 相手がマジューイなら下手に動けないし。」
ダイちゃんは、
「この洞窟ごと踏み潰しちゃえばいいのに。」
大ちゃんが、
「ダメだよそんなの。 他の人たちまで巻き添えにしちゃうじゃない。
 それに、ほんとにマジューイをやっつけたかどうか確認できなくなっちゃうよ。」
ダイちゃんが、
「わかってるよ。 ちょっと冗談言っただけだろ。 でも暇だなー。」
ダイちゃんは、ふとブギヒアの方を見た。
「おい、ブギヒアとかいうやつ。 助けてやったんだからなんかお礼しろよ。」
大ちゃんは、あわてて
「ちょっとダイちゃん、なんてことを言うの。」
でもブギヒアは、
「いえ、助けていただいたことは事実なんで私にできることならなんでも。
 と言っても、今は差し上げられるものは何もないし・・・。
 できることは、今まで毎日しごかれて鍛えられたテクニックで
 巨人のチンコをマッサージすることぐらい・・・」
ダイちゃんは、
「へー、それよさそうじゃん。 はやくやってよ。」
ダイちゃんはブギヒアをさっと掴むと、自分の股間の前に降ろした。 

第578話

「いいのかなぁ、こんなことして……。」
 そういいながら大ちゃんがダイちゃんを心配そうに見ていると、
部長はダイちゃんから少し離れたところで大ちゃんにこちらに来るよう
合図した。大ちゃんは、
「どうしたの?」
「冗談とか言っていたが、ほっておいたら本当にいきなり巨大化しても
 おかしくない。せっかく助けたブギヒアには悪いがダイちゃんの
 言うとおりにさせておいたほうがいいと思う。そこで万一のときの
 ためにブギヒアをつぶれないようにできるか?」
「それなら大丈夫だと思うよ。」
 するとダイちゃんが、
「二人で何こそこそ話してるんだよ。」
「それはな……。」
 部長が一瞬返答に困ると、
「どんなことを言っても僕が一番先だからね。」
「わかった。」
「皆さんも後で気持ちよくしてあげますよ。」
 ブギヒアはそういうとダイちゃんの股間へ向かった。ダイちゃんは
ズボンを下ろし、パンツの間からチンコを出した。
「じゃ、頼むよ。」
 ダイちゃんがそういうとブギヒアは、
「なかなかご立派なものをお持ちですね。それでは行きますよ。」
 そう言ってブギヒアはダイちゃんのチンコによじ登り、マッサージを
始めた。
「お、すっごく気持ちいいぞ。と、言うかだんだん気持ちよくなって
 きた。」
「もうそんなに……。」
 部長が見ている前でダイちゃんのチンコはどんどん勃起して大きく
なっていく。ダイちゃんは、
「こんなに『巨大化』したのは初めてだ。もっとやってよ。」
「これが自ら編み出した秘技です。私のマッサージはその人を元気に
 させるのです。逆にマッサージがうまくできずに潰されたものや、
 チンコから振り落とされてしまったり、チンコの先に押しつぶされて
 しまった者も居るのです。」
 ダイちゃんのチンコはミシッ、ミシッと音を立てながら考えられない
くらい勃起して大きくなり続けていく、それでもブギヒアはダイちゃんの
チンコの先にしっかりつかまり、マッサージを続けていた。そのとき、
部長たちに近づく影に誰も気がつかなかった。


 一方、石本4号とグーアの下では、続いていた話がようやく終わった
ようだった。
「いや、皆さんに納得していただいてうれしく思います。ほかにも
 お客様が来ているようですので、こちらに。もう少し時間をいただいて
 よろしいですかな。」
 帽子の男はそういうとバソレが、
「それはかまわぬが、ほかの客人に待たせるのも悪いであろう。」
「ご心配なく、専門の者が応対に向かいました。どうぞこちらに。」
 帽子の男は部屋の隅の壁をたたくと、隠し扉が現れた。その扉を開け
中に入っていった。続いてバソレとその家来、ワホの主人とワホが入った。
そして扉が閉まる前にあわてて、石本4号とグーアも続いて入った。 

第579話

「ふ〜、危なかった。 もう少しで扉に挟まれちゃうとこだったよ。」
石本4号たちは扉が閉まるギリギリのところで通り抜けることができた。
その部屋はさっきまでの部屋とは違って、かなり高度な文明を感じさせるものだった。
グーアが、
「なんだか急に雰囲気が変わったな。 洞窟の中にこんな場所があったとは。」
それはこの星の文明から考えても、違和感があるほどだった。
石本4号が、
「やっぱりおかしいよ。 これはもしかしたらマジューイの宇宙船なのかも。
 でも、あの帽子の男の顔を確認しないとわからないし・・・」
石本4号たちは、下で話してるものたちに見つからないように常に上の方を飛んでいた。
そのせいで、帽子の男の顔が見えないのだった。
いくら小さい体とは言っても、顔の見えるような位置で蚊の様に
飛び回っていたら見つかってしまうかもしれない。
だから下手に下に行くこともできなかった。 

第580話

 そんな石本4号たちの心配を気にすることなくその下では帽子の男が、
「それでは、先程お話したものをお見せいたしましょう。」
 そう言ったあとで再び帽子の男が、隠し扉を出した時のように壁を
たたくのではなく、壁の何箇所かにさわると、今度は壁のあちこちに
窓のようなものが現れた。
「い、いったいこの部屋はなんなんですか?」
 ワホは、うろたえながら主人に尋ねた。
「静かにしろ。」
 主人が言うとバソレが、
「まあ、よいではないか。余は一度この部屋に案内されたことがある。
 独特の装飾の部屋ゆえ、驚くのも無理は無い。」
 現れた部屋の「窓」にはさまざまな場所の風景が見えていた。砂漠も
あれば、広大な海、またワホの主人はもとより、バソレでさえも見たことも
ない巨大な建物が建ち並ぶ都市もあった。


 一方、部長たちはというと先ほどの近づく影に気づくことなく、ブギヒア
のマッサージでダイちゃんの快感の絶頂に達するさまを見ていた。そのとき、
「もう我慢できなくなって来た。敵もいないのに、『必殺技』を出し
 ちゃうよ。」
 そのとき、タイミングよく敵が現われた。部長たちの2、3倍は
ありそうな巨人だった。ダイちゃんが、
「もうだめだー。」

-ズドドドーン-

 その直後、ダイちゃんのチンコから精液ではなく、ビームが発射された。
巨人は、ビームによって倒された。部長は、
「いったいどうなってるんだー。本当にダイちゃんが必殺技を出した。」
「じゃあ今までのは必殺技じゃないっていうの?」
 ダイちゃんがむっとして言った。大ちゃんが言う。
「すごいよダイちゃん、必殺技がパワーアップしたんだ。」
 するとブギヒアは、
「私のマッサージは、相手を元気にすることが出来るのです。しかし
 ここまでパワーアップしたとは、私にも信じられません。」
 部長は、
「ダイちゃんは、いくらでも巨大化出来る特殊能力が有るんだ。きっと
 ブギヒアのマッサージでパワーアップして、新たな能力を身につけた
 んだ。」
 大ちゃんが言う。
「でもこれからどうするの?敵に見つかったかも。」
 ダイちゃんが、
「大丈夫だよ。必殺技もパワーアップしたし、どんな敵が現われても
 僕一人でやっつけられるよ。」
 そのとき、

-ガガガガ-

 部長たちの後ろの洞窟の壁が突然動き、新たな入り口が現われた。 



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