天花粉

<作>坂田靖子
潮出版社

 記念碑的作品集

坂田靖子が潮出版社から出しているものの中では、最も古い単行本。初期のファンタジー作品の趣がまだ残っているものもあるが、『エレファントマン・ライフ』の「タマリンド水」以降に見られる民話的ファンタジーが多く所収されている。思えば、彼女はどちらかというと、アジアへの関心はあまり高くなかったように思う。若い頃の作品ではあまり扱われていない。むしろ、イギリスなどのヨーロッパ物が多かった。彼女の作品を全部読んだわけではないので確かなことは言えないが、初期・中期のものの代表作でアジアが舞台といえば、せいぜい「村野」くらいではないだろうか。それだって日本が舞台である。日本物は他にもあるが、一昔前のものを描いたものといえば、これぐらいだろう。ところが、この作品集あたりから、アジア的なものを多く描くようになった。

彼女にどのような心境の変化があったかはわからないし、こういったものを前から描きたいと思っていたのかもしれないが、もし彼女がこのタイプの話を描かなければ、漫画家として今ほどの評価は受けなかっただろう。その意味では、まだまだ模索段階とはいえ、この作品集は、彼女の漫画家としての地位を新しく意義付けることになったものと言えるかもしれない。

坂田靖子の作品は大抵安心して買えるが、これも大分前のものでありながら十分面白い。何度も読み返すほどの魅力はないものの、十年後読んでも多分面白いだろう。本屋には文庫でおいてあると思うので、目にとまったら手にとってみては如何。
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