「お嬢様、今日から執事を務めるルークでございます」
「よろしくお願いします」
初老の男性に促され、ルークと呼ばれた青年が、とってつけたようながら丁寧な物腰で挨拶をする。
身長は180cm弱、細身だが、よく見るとそれなりに筋肉もついた引き締まった体格。長いワインレッドの髪を後ろで一つにまとめ、二重瞼の鋭い眼を持った端正な顔立ちの青年は、いかにも着慣れないタキシード姿で立っている。
「ふーん?」
身長こそ高くはないが、大人びた容姿でルークに負けず劣らず鋭い眼差しを持つブロンド髪の少女が、品定めするように見る。
「ま、せいぜい頑張ってよね。」
そう言って、読んでいた本に視線を戻す。ルークを連れて来た男性もお辞儀をして部屋から出て行った。
「……座っていいですか?」
一人取り残されたような空気の中、少女は一向に本から目を離さず、立っているのに疲れたルークは少女に訊ねる。
「ダメよ」
言ったきり、また本を読む。
「あの……」
「読書の邪魔しないでよ」
とりあえず何か話そうと口を開いたルークに少女はぴしゃりと言い放つ。
「……そうね、そんなに退屈なら遊んであげてもいいわ」
改めて青年を眺めた後、そう言って口角を上げる少女──笠原ユリカ。
「磐田、押さえて」
「あの、何を…」
どこからか現れた身長2mはあろうかという巨漢、磐田に押さえつけられ、ユリカによってベッドに縛られる。
「っ……!」
いきなりベルトを外され、両手の縄を解こうと暴れるが、驚くほど固く縛られている。今度は自由な右足を使って抵抗するが、磐田に掴まれてしまう。
「おとなしくしてなさい。暴れるとひどくなるわよ」
「何すんだよ!」
「遊んであげるって言ったじゃない」
睨みつけられても全く動じずそう言って、ユリカはルークのズボンの前を開ける。
「じい」
「どうぞ、姫様」
膝あたりまでズボンと下着を下ろされて、磐田に押さえつけられた脚を閉じることもできないルークは、じいがユリカに手渡した物を見て目を見開く。
「い……」
「入れにくいわ。縄は解いてあげるから、四つん這いになりなさい」
「誰がそんな!」
睨み付けるルークのペニスを踏みつける。
「私の言う事が聞けないの?」
「っ……」
ハイヒールの踵で踏みつけられる痛みに、生理的な涙を浮かべる。縄を解かれ、やっと自由になった手を下ろす。
「お尻をこっちに向けて」
「そんなっ」
締まった腰を磐田につかまれ、無理矢理向きを変えられる。ユリカはガラス製の浣腸器を、ルークのアナルにあてがう。
「う……っ」
注入されていく液に、青年の腹が不快な音を立てはじめる。
「最初だから、これくらいで許してあげるわ。漏らさないでよね」
浣腸器を脇に置くと、アナルに栓をねじ込む。
元通りにズボンを履かせると、何事も無かったかのように彼女は読書に戻った。
「どこへ行くの?」
一時的に便意の波が引いたのか、そろそろと立ち上がったルークがドアノブの手をかけた。
腹に入れた液の成分で、心なし呼吸が荒く頬も紅潮している。
「トイレに……」
「ダメよ」
うんざりしたような顔でユリカを見たが、そのままドアを押す。
「ダメだと言ったわ。内開きよ」
決まり悪そうにドアを引くと、磐田が立っていた。
「そうね……私がこの章を読み終わるまで我慢しなさい」
磐田が部屋へ入ってくると同時に、ルークも押し戻された。
しばらく落ち着かなさげに立っていたルークだが、10分もすると腹を抑えて蹲ってしまった。
「テメェさっきからページめくってな……ぁんっ」
自らの発した声に驚き、口元を手で覆う。
「あら、御主人様をテメェ呼ばわり?」
やっとその章を読み終わったらしいユリカが、ハイヒールの硬質な足音と共に近付く。
「我慢したらお手洗いに行かせてあげようかと思ってたけど……」
カツッ──というような音を立て、仁王立ちになるユリカ。腰に手を当て、少し身を屈めて言う。
「どうしようかしら」
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